〜Marigold〜 恋人ごっこはキスを禁じて

嘉多山瑞菜

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第五章 煙草なんて苦いだけ…吸いたくなんてないのに…

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 映画は抜群に面白かった。
この間は亮の事が気になってろくすっぽ内容が頭に入らなかったが今日はストーリーを追っていくことが出来る。

 今日の桂はテレビ画面に目線をあわせる為に、ローテーブルに肘を付いて床に座り込んで映画を見ていた。

 ストーリーはスパイ映画のアクション物で、桂はすっかり夢中になってストーリーに見入っていた。ハラハラドキドキの展開に自然力が入ってしまう。

 亮はと言えばソファーに座ったまま、斜め下で無邪気に映画を見ている桂を眺めていた。
コーヒーを啜りながら、シーンが変わる度にコロコロと表情を豊かに変える桂を楽しそうに見詰める。

 しばらく桂のその横顔を、何かを含むように見詰めてから桂の肩に手を伸べた。

「…桂…」

 甘さの滲んだ亮の声と肩に触れる感触に桂が「え…?」と振り返って亮を見た。

 今まで確かにそこにいた亮はそこにはなぜか居らず…突然消えた亮の姿を求めて桂の視線が空をさ迷った。

 ふいに背中に熱い体温を感じて桂の鼓動がドクンとなった。あっと思う間もなく亮の胸に背中から抱き寄せられ、身体に亮の力強い腕が絡んでくる。

「…え・・・何…?」

 亮の突然の行為に桂はビックリして訊ねる。 

 亮はソファーから滑り降りて自分も床に座り込むと桂を背後から抱きしめる。ローテーブルとソファーの間の狭い空間に亮と密着する格好になって桂はうろたえた。

 腕から抜けでようともがいても腰を亮の腕でしっかりと拘束されて身動き取れない。亮のスラリとした長い足は桂の足を挟み込んでいた。

 振り返ろうとしても、自分の前にはローテーブル、背中には亮。そして動きを拘束するように体に絡みつく亮の腕。 

「…桂…」

 もう一度言って、亮が桂の項に唇を這わせて吸い上げていく。そのまま口を滑らすとゆっくりと舌を桂の左耳に差し入れグルリと舐め上げた。

 ふいに与えられた刺激に桂の体がピクリと揺れる。亮は構わずに桂の耳朶を口に含んでしゃぶっていった。

「…ぁ…んっ…ぁっ…」

 たまらず桂が喘ぎを漏らす。桂は顔を逃がすように亮の右肩に顔を押し付ける。そんな事は無駄な事で…亮はしつこく水音をたてながら桂の耳朶をやんわりと噛みしだいていった。

「…桂…」

 耳元に唇を押し付けながら亮が甘い声で囁く。桂は亮のその声に弱い。低く響く声を聞くだけで、腰砕けになりそうになるのだ…。

 桂の前に回された亮の掌がせわしなく桂の体を這い回る。
シャツをジーンズから引っ張り出し中に手を入れていく。

 しっとりとした桂の肌の感触を確かめながら指で桂の敏感な胸の粒を悪戯に弄っていく。

 こりこりと押し潰すように揉みしだき、爪を柔らかく引っ掛けてはキュッと摘んでいく。桂の体が甘い快感にピクピクと震えた。

「…桂…俺…今夜…桂の事寝かさないから…。だから…今…一回抜いておこう…」

 亮が桂の乳首を執拗に嬲りながら耳元で囁く。

「…あ…んっ…何…言って…」

 どんどん高められていく身体にたまらず桂は身体を捩る。

 どこに逃げようとしても亮はガッチリと桂を抱き込み、キスできない口寂しさを埋めるように桂の首筋や顔の回りに舌を這わせていた。

「…言った通りだよ…。今抜いてあげるから…その方が後でスゴイ気持良いからさ…」

 言って亮は手を桂のジーンズのフロントに掛ける。ゆっくりと探りながらボタンを外していった。

「…やっ…やめ…っ…」

 亮のやろうとしている事に気付いて止めようと桂が亮の手を掴もうとする。亮は桂の手を煩そうに払いのけると、寛げたジーンズの中に手を滑り込ませていった。

 …お仕置きかよ…

 自分を煽るように右手で胸を弄り、左手はジーンズの中。

 意地悪な亮の行為に桂は身体を襲う快感に耐えながら、必至で理性を掻き集めて考える。

 亮はさっきのキスの拒絶をまだ怒っているのだ…。だから…こんな恥ずかしいシチュエーションで俺を煽る。

 そして…その後は全てを搾り尽くすような、貪られる激しいセックスが待っている…。

 それが今までの経験で桂が知った亮の手管だった。
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