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第十二章 ― そんな風に俺を扱わないで…期待してしまうから…―
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桂はベッドの自分の腕を見た。痩せた腕に注射針の痕が点々とついている。
「随分、注射打たれたんだな」
リナに支えられてベッドに凭れる様に身体を起こすと、苦笑しながら呟いた。リナは桂にスポーツドリンクを渡すと、瞳を可笑しそうにくるくるさせながら答えた。
「そうよ。大変だったんだから。先生、かっちゃんに6本ぐらい打っていたわよ」
リナの言葉に桂はベッドサイドの時計に視線を走らせた。もう昼の12時を回っていた。
「俺…随分寝てた?」
昨夜亮と諍いしたのは夜の9時ごろだったような気がした。その後の記憶が無いから眠っていたのだろう。
桂の言葉にリナは「ええ」と答えてから、また思い出し笑いをしながら続けた。
「多分、かっちゃんが倒れたのって9時ぐらい。最初救急車って思ったんだけど、あいつが医者呼んでくるって言って脱兎のごとく飛び出して行っちゃったのよ。お陰で私は救急車を呼ぶ事も出来ず、ひたすら待っていたわけ。あんな時間にどっから調達したのか、あいつ言葉通り15分後には医者を連れてきたわ」
亮の様子を思い出したのか、リナがまたふふっと笑みを零した。
「そうなんだ…」
リナの言葉に桂は複雑な表情を浮かべた。そんな桂の表情をリナは優しく見つめると、桂の手をぎゅっと握り締めた。
「ねェ、かっちゃん…。かっちゃんは彼とどうなりたいの…」
リナの問いに桂ははっとしたようにリナを見つめ、そして弱々しく、分からないと頭を振った。
昨夜の亮の姿が胸をまた締め付ける。
あんな…嫉妬めいた事をされると混乱してしまう。どうして彼はあんな風に俺に接するのだろう。昨夜の亮は本当に「恋人の浮気を詰る」と言った感じだった。
「ドライでライトな恋愛を楽しむ…愛情抜きの関係。心は自由。束縛や嫉妬心はそこには存在するはずもない…」
それが契約内容だった…。それなのに…。
桂はジワッと涙を溢れさせた。どうしてこんな風に俺に接するのだろう。まるで俺が山本の、本当の恋人のように…。
こんな風に俺を扱わないで欲しい…。こんな風に接されると辛くなる…期待してしまう。
何度も何度も押し殺した浅ましい希望…もしかしたら亮に愛されているかもしれない…そう思ってしまって…。
桂は自分の手を握り締めるリナの手の甲に、もう片方の自分の掌を重ね合わせた。
リナの手の温もりがありがたかった。リナの手の甲を自分もきつく握り返しながら桂がポツッと呟いた。
「俺…リナと恋愛していたら…、絶対幸せだった…。俺…お前の恋人になりたかった…」
桂の言葉にリナが切ない微笑を滲ませた。
「私も…そう思う。でもね世の中ってそう都合良く行かないモノなのよね」
優しく諭すように言いながら、でもね…とリナは言葉を継いだ。
「でもね…私はかっちゃんとの友情がとても大事で愛しいの…。失恋しても生きていけるけど…かっちゃんとの友情を失ったら…私きっと…生きていけないと思うわ…。失恋しても、私はかっちゃんの所に帰れる…帰れる場所がある。それって…多分ドラマチックな恋愛より素敵な事じゃない」
言ってリナは、今度は大輪の花のような艶やかな笑みを零した。
「随分、注射打たれたんだな」
リナに支えられてベッドに凭れる様に身体を起こすと、苦笑しながら呟いた。リナは桂にスポーツドリンクを渡すと、瞳を可笑しそうにくるくるさせながら答えた。
「そうよ。大変だったんだから。先生、かっちゃんに6本ぐらい打っていたわよ」
リナの言葉に桂はベッドサイドの時計に視線を走らせた。もう昼の12時を回っていた。
「俺…随分寝てた?」
昨夜亮と諍いしたのは夜の9時ごろだったような気がした。その後の記憶が無いから眠っていたのだろう。
桂の言葉にリナは「ええ」と答えてから、また思い出し笑いをしながら続けた。
「多分、かっちゃんが倒れたのって9時ぐらい。最初救急車って思ったんだけど、あいつが医者呼んでくるって言って脱兎のごとく飛び出して行っちゃったのよ。お陰で私は救急車を呼ぶ事も出来ず、ひたすら待っていたわけ。あんな時間にどっから調達したのか、あいつ言葉通り15分後には医者を連れてきたわ」
亮の様子を思い出したのか、リナがまたふふっと笑みを零した。
「そうなんだ…」
リナの言葉に桂は複雑な表情を浮かべた。そんな桂の表情をリナは優しく見つめると、桂の手をぎゅっと握り締めた。
「ねェ、かっちゃん…。かっちゃんは彼とどうなりたいの…」
リナの問いに桂ははっとしたようにリナを見つめ、そして弱々しく、分からないと頭を振った。
昨夜の亮の姿が胸をまた締め付ける。
あんな…嫉妬めいた事をされると混乱してしまう。どうして彼はあんな風に俺に接するのだろう。昨夜の亮は本当に「恋人の浮気を詰る」と言った感じだった。
「ドライでライトな恋愛を楽しむ…愛情抜きの関係。心は自由。束縛や嫉妬心はそこには存在するはずもない…」
それが契約内容だった…。それなのに…。
桂はジワッと涙を溢れさせた。どうしてこんな風に俺に接するのだろう。まるで俺が山本の、本当の恋人のように…。
こんな風に俺を扱わないで欲しい…。こんな風に接されると辛くなる…期待してしまう。
何度も何度も押し殺した浅ましい希望…もしかしたら亮に愛されているかもしれない…そう思ってしまって…。
桂は自分の手を握り締めるリナの手の甲に、もう片方の自分の掌を重ね合わせた。
リナの手の温もりがありがたかった。リナの手の甲を自分もきつく握り返しながら桂がポツッと呟いた。
「俺…リナと恋愛していたら…、絶対幸せだった…。俺…お前の恋人になりたかった…」
桂の言葉にリナが切ない微笑を滲ませた。
「私も…そう思う。でもね世の中ってそう都合良く行かないモノなのよね」
優しく諭すように言いながら、でもね…とリナは言葉を継いだ。
「でもね…私はかっちゃんとの友情がとても大事で愛しいの…。失恋しても生きていけるけど…かっちゃんとの友情を失ったら…私きっと…生きていけないと思うわ…。失恋しても、私はかっちゃんの所に帰れる…帰れる場所がある。それって…多分ドラマチックな恋愛より素敵な事じゃない」
言ってリナは、今度は大輪の花のような艶やかな笑みを零した。
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