英雄は星空の瞳に優しく囚われ英雄になる ~訳アリの年下魔術師を溺愛したら英雄になった俺の話~

べあふら

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2.王都編

2-12.二人の想い④

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 翌朝、俺のベットの上で目を覚ましたセフィリオは、微睡みながら、ふわりと幸せそうに笑った。

 その笑顔があまりにも綺麗で、俺は息を飲んだ。

 あれだけ、確かめ合ったのに、まだまだ押し倒してしまいたい欲求が、湧いてくる。
 一気に高まる熱をのを、セフィリオの身体に無数に残した俺の印を見て、なだめた。

 昨日も、随分と無理をさせたと思う。

 何よりも、大切な愛しい人。
 労わる様に、セフィリオの頬に触れて、額にキスをした。

 擽ったそうに笑うセフィリオに、俺の心はいともたやすく満たされる。 

 

 セフィリオは、ベッドに横になったままで、俺の左耳に触れて、そこにある石を確かめているようだった。 
 
 そこには、俺がずっと身につけている、茶色のピアスがある。

「これは、成人の印みたいなもので。
 半分の8歳で左にあけて、16歳で右にあける、ていう風習があるんだよ」

 俺の左耳のピアスは、唯一故郷の名残だ。
 12歳で村が無くなり、右に開けることなく、今に至る。

 当時の俺は、他の形見と呼べるものは何も持ち出さなかった。記憶も曖昧な、現実感のない部分も多く、おそらく、持ち出せなかったと言う方が正しい。

 俺の左耳のピアスは、母がつけてくれたもので、一度土台が壊れたが、修理してつけ続けている。
 左耳に触れるたびに、故郷を思い出し、そういえば、もう少しで弟もつける予定だったな、と思い出すのだ。


「やっぱり大切なものだったんだね」

 そういって、左耳にセフィリオの指が触れる。

 くすぐったいな。

 心がむず痒く、そこから幸福感が胸に広がった。

「あと二つ、穴開けようかな」

 左耳のピアスが、大切かと言われると分からないが、もはや自分の一部のような感覚もあり、外すには抵抗があった。

「え?」

「いや、だってそうしないとつけれないだろ」

 セフィリオに昨日渡された小箱を手に、当然だと答える俺に、

「…いいの?」

 セフィリオが尋ねる。

「他に選択肢がない」

「じゃあ、僕が開けていい?」

 と、いうセフィリオの顔は、喜びと、なぜかわくわくと何かをひどく期待するような、そんな顔で。

 どういう表情だ、それは。


「ああ。ぜひお願いする」

 そうして、魔術で出した氷で冷やし、どこからともなく出てきた針を使って、俺の両耳には、星空のような輝きがつけられた。


 星空の煌めきをもつ、愛しい人の手によって。



**************

第二章はここまでです。
たくさんの方に読んでいただき嬉しいです!!

この後、閑話として、セフィリオ視点のお話をはさみ、第三章を投稿したいと思います。

よろしくお願い致します!


べあふら
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