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28話
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なんとか身支度を終えたソフィアは、食堂に向かった。
モンテカリブからの使者が到着して、陛下は広間で報告を受け、献上物を受け取り、使者をもてなすために昼食が用意されていた。女官たちも、そこには同席して構わないと言うので、間に合うように急いだのだ。
「ソフィア・リッテンバーグ侯爵令嬢様が、おこしになりました。」
食堂の扉が開けられて、ソフィアが入室する。
ガタンっと、椅子から立ち上がる音がして、こちらに駆け寄る男性が見える。
「ソフィア!」
駆け寄る男性を見て、ソフィアは驚いた。
「メイナード?!」
使者として来ているのは、ヨナスだと思っていたのに、現れたのは第2王子のメイナードだった。
メイナードは、ソフィアの両手を握ると言った。
「ソフィア。あぁ、会えて嬉しいよ。君のお守りをヨナスから受け取った時に、絶対に会いに来ようと思ったんだ。」
「私もよ。メイナード・・・!無事で良かったわ。凄く心配した。ヨナスが弱気なこと言うからっ。ねぇ、ゲイル王太子は?」
「あぁ、兄上もなんとか一命をとりとめたよ。もう王太子じゃなくて国王になるけどな。ソフィアにもラトニア王にも、ちゃんと感謝を伝えるように仰せつかって来たんだ。君に、贈り物もあるんだ。」
「え?私に?」
「ゴホン!」
突然、大きめの咳払いで、はっとする。
使者を歓迎する昼食の席には、ヴィンセント王や、モンテカリブの使者ご一行様、ラトニアの要人が座っていた。
その中の1人であるアデルが、ソフィアに目配せをして、再度咳払いをした。
「え~、モンテカリブの王子とは、とても仲の良い友人関係であったようですね。」
すると、メイナードはソフィアから離れて、席に戻った。
「これは、失礼いたしました。彼女とは、3年間。同じ屋根の下で過ごし、毎日同じ釜の飯を食べ、学び過ごしておりましたので、とても親しい仲なのです。」
その言い方に、ヴィンセントはピクリと反応し、毛を逆なでされた猫のように、メイナードに視線を向ける。
その事に気がついたソフィアは、フォローした。
「同じ寮生活をされていたので、仲間意識というか、騎士団の団結力に似ているというところかしら。」
ほほほほ・・と笑って、ヴィンセントの隣の席につく。
ヴィンセントは、ソフィアを見てから、メイナードに話しかける。
「王子は、此度の闘いで、見事な指揮であったと。また、国では右に出るものがないほどの、弓の使い手であると聞く。今までにどのようなものを仕留めてきたのだ?」
メイナードは、満面の笑みで答える。
「はい陛下。主には柿の実、枝になるリンゴ、はたまた枝にぶらさがる梨などでございます。」
その場に居た全員が、「?!」とメイナードを見る。メイナードは笑いながら続ける。
「そこにいるソフィア嬢に、やれ鹿は可哀そうだ、鳥も可哀そうだ、獣ではなく枝に揺れる果物をとってみろと言われましてね。」
ギクッと、ソフィアは体を強張らせる。メイナードはソフィアを見てニヤリとする。
「彼女は果物にもキズを付けずに撃ち落として見ろと言う。それで、私は撃ち落とせたら私の望む物を貰うと賭けたのですよ。そんな練習をしているうちに、300ノートル先のリンゴも正確に打てるようになったのです。」
ソフィアは、ヒヤヒヤしながら、ヴィンセントを見る。
ヴィンセントは、涼しい顔をしていた。
「なるほど。大変な鍛錬をされたのだな。・・・して、賭けには勝ったのか?」
「えぇ、もちろんです国王陛下。」
「メイナード王子!!ところで、お兄様の、モンテカリブ国王の戴冠式はいつになるのかしら?」
ソフィアは耐えかねて、話を無理やり変えた。
「あぁ、それでしたら・・・・」
ドキドキ、バクバクと心臓が鳴る。
陛下の前で、私との話などされては困る。メイナードはどういうつもりなのか?
メイナードは、まだ私を好きなのだろうか?帰国してから連絡もしていなかったし、まだ同じ思いということなんて・・・あるのだろうか?
サラダを口にして、そうっとメイナードを見ると、彼は私を真っすぐに見ていた。
「・・・」
「・・・」
な、なんで、そんなに見つめてくるの?!
話が政治的な話しになっていて、他の使者達やアデルさんとも話しながらも、メイナードは私から視線を離さなかった。
どうしよう。そんなに見つめられたら、陛下に勘違いされてしまう!!
「そうだ。モンテカリブの国王が即位される式典には、彼女を連れて行くと思う。」
ヴィンセントが使者達に宣言する。
「ここにいる、ソフィア・リッテンバーグ侯爵令嬢は私の妃になる。正式な発表はこれからだが、結婚式は来年になるかと思う。その招待状もいずれお送りしよう。」
メイナードは、ソフィアを真っすぐに見る。それを直視することが出来ずに、目をそらしてしまった。
「そうでしたか。それは、おめでとうございます。」
そう言ったメイナードの表情は、いたって普通だった。
そのことに、あぁ、なんだ。私が気にし過ぎたのだ。そう思って安心した。
その後も、普通に食事を終えて、部屋に戻ろうとするとメイナードが言った。
「あぁ、ソフィア嬢にプレゼントがあるのですが、お渡ししても?」
それにヴィンセントが、頷いて答える。
「それは彼女が喜ぶだろう。」
女官たちが言う。
「それでは、後ほど応接室で。」
そうゆうことになり、応接室に移動すると、メイナードが多きな箱と、小さい箱を持って現れた。
「メイナード。プレゼントなんで必要なかったのに!」
メイナードは、荷物を部屋に運ばせてから、ニコニコと言う。
「ラトニア国の援軍のおかげで我が国は助かったのです。みなさまに感謝をと、持って来たのですよ。そちらの大きな箱は、侍女方や女官の方々へ。」
そう言われて、侍女や女官達はキャーキャー!と宝石を手に取り始める。
それを横目にメイナードが、隣で言った。
「ソフィア。」
「?何?」
「おまえには、コレ。」
そう言って、手渡されたのは、メイナードと同じ目の色のサファイアのペンダントだった。
「・・・綺麗。」
「つけてやるよ。」
そう言って、真正面から向き合って、メイナードが私の首にペンダントを付けてくれた瞬間だった。グイッ!!と抱き寄せられて、彼は、私の唇にキスをした。
「!!!?」
慌てて突き放す。
「メイナード・・・!!?」
「・・・キスしてくれるって言っただろう?」
慌てて周囲を見ると、女官たち全員は宝石に夢中になっていて、誰も気がついていない様子だった。ホッとして、メイナードに向きなおる。
「・・・だめよ。・・・唇にじゃないわ。あの時、ほっぺにって言ったのよ。」
メイナードは、ソフィアの手をとる。
「なぁ、ソフィア・・・今、幸せか?」
「・・・幸せよ。」
その時だった、女官達がこちらを向いて、全員でメイナードにお礼を言う。
「王子殿下、ありがとうございます。皆喜んでおりますわ。」
メイナードは余所行きの顔で笑う。
「それは良かった。あぁ、そうだ。ソフィア嬢と久しぶりに2人で話したいこともあるし、お庭を案内して頂けると言うので、移動するがよろしいかな?」
え?!
「はい!どうぞどうぞ。いってらっしゃいませ。」
・・・・え?!
「では、参りましょう。ソフィア嬢。」
ぐいっとメイナードが手を引っ張る。
「・・・」
しかし、これで最後なのだと思うと。最後にきちんと話をしようと思った。
2人で、お城の中庭に出た。
バラの花が綺麗に咲いていて、素晴らしい庭園になっている。そこを2人で暫く歩きながら話をした。
「君が、国に戻ってから何度も忘れようとした。だけど、まだ忘れられない。」
メイナードが、ハッキリとそう言ったので、私も立ち止まって、メイナードを見上げる。
「ごめんなさい。私は、あなたの事を、兄のように慕っているけれど、でも、それ以上には思えないの。」
キッパリと言えたことに、自分でホッとする。
メイナードは、私を抱きしめた。
「メイナード、やめて。離して・・・」
「こんな国よりも、男尊女卑の無い、モンテカリブの方が君には合ってる。」
・・・・確かにそうだ。こんな国、戻って来たくもないと思ったこともある。ずっと、モンテカリブで生活できたら、自由で幸せなんだろうと思った。
「えぇ。そうね。そう思った事もあったけれど、でもね。私は・・・」
メイナードの腕を押しても、びくともしない。でも、この人が嫌いなわけじゃない。大事な大事な友人。
「私ね・・・陛下の事が好きなの。あの人のこと、愛してるから。だから・・・」
「聞きたくない。そんな言葉・・・」
「ごめんなさい。メイナード。」
あなたを傷つけると解っていて、でも言わなきゃいけない言葉だったから。
私を離してくれないから、逆にメイナードを抱きしめて言った。
「ごめんなさい。メイナード。あなたにも、きっと、もっと素敵な人が現れるわ。」
メイナードは、私をきつく抱きしめて言った。
「後悔させてやるよ。俺をふったこと。」
「・・・・うん。」
見上げると、彼は切なそうに笑っていた。
それを見て、悲しくなって涙が出て来る。
「なんで、おまえが泣くんだよ。」
「・・・わかんない。わかんないけど・・・本当にごめん。」
友達でいたかった。
こんな風に分かれたくなかった。
モンテカリブからの使者が到着して、陛下は広間で報告を受け、献上物を受け取り、使者をもてなすために昼食が用意されていた。女官たちも、そこには同席して構わないと言うので、間に合うように急いだのだ。
「ソフィア・リッテンバーグ侯爵令嬢様が、おこしになりました。」
食堂の扉が開けられて、ソフィアが入室する。
ガタンっと、椅子から立ち上がる音がして、こちらに駆け寄る男性が見える。
「ソフィア!」
駆け寄る男性を見て、ソフィアは驚いた。
「メイナード?!」
使者として来ているのは、ヨナスだと思っていたのに、現れたのは第2王子のメイナードだった。
メイナードは、ソフィアの両手を握ると言った。
「ソフィア。あぁ、会えて嬉しいよ。君のお守りをヨナスから受け取った時に、絶対に会いに来ようと思ったんだ。」
「私もよ。メイナード・・・!無事で良かったわ。凄く心配した。ヨナスが弱気なこと言うからっ。ねぇ、ゲイル王太子は?」
「あぁ、兄上もなんとか一命をとりとめたよ。もう王太子じゃなくて国王になるけどな。ソフィアにもラトニア王にも、ちゃんと感謝を伝えるように仰せつかって来たんだ。君に、贈り物もあるんだ。」
「え?私に?」
「ゴホン!」
突然、大きめの咳払いで、はっとする。
使者を歓迎する昼食の席には、ヴィンセント王や、モンテカリブの使者ご一行様、ラトニアの要人が座っていた。
その中の1人であるアデルが、ソフィアに目配せをして、再度咳払いをした。
「え~、モンテカリブの王子とは、とても仲の良い友人関係であったようですね。」
すると、メイナードはソフィアから離れて、席に戻った。
「これは、失礼いたしました。彼女とは、3年間。同じ屋根の下で過ごし、毎日同じ釜の飯を食べ、学び過ごしておりましたので、とても親しい仲なのです。」
その言い方に、ヴィンセントはピクリと反応し、毛を逆なでされた猫のように、メイナードに視線を向ける。
その事に気がついたソフィアは、フォローした。
「同じ寮生活をされていたので、仲間意識というか、騎士団の団結力に似ているというところかしら。」
ほほほほ・・と笑って、ヴィンセントの隣の席につく。
ヴィンセントは、ソフィアを見てから、メイナードに話しかける。
「王子は、此度の闘いで、見事な指揮であったと。また、国では右に出るものがないほどの、弓の使い手であると聞く。今までにどのようなものを仕留めてきたのだ?」
メイナードは、満面の笑みで答える。
「はい陛下。主には柿の実、枝になるリンゴ、はたまた枝にぶらさがる梨などでございます。」
その場に居た全員が、「?!」とメイナードを見る。メイナードは笑いながら続ける。
「そこにいるソフィア嬢に、やれ鹿は可哀そうだ、鳥も可哀そうだ、獣ではなく枝に揺れる果物をとってみろと言われましてね。」
ギクッと、ソフィアは体を強張らせる。メイナードはソフィアを見てニヤリとする。
「彼女は果物にもキズを付けずに撃ち落として見ろと言う。それで、私は撃ち落とせたら私の望む物を貰うと賭けたのですよ。そんな練習をしているうちに、300ノートル先のリンゴも正確に打てるようになったのです。」
ソフィアは、ヒヤヒヤしながら、ヴィンセントを見る。
ヴィンセントは、涼しい顔をしていた。
「なるほど。大変な鍛錬をされたのだな。・・・して、賭けには勝ったのか?」
「えぇ、もちろんです国王陛下。」
「メイナード王子!!ところで、お兄様の、モンテカリブ国王の戴冠式はいつになるのかしら?」
ソフィアは耐えかねて、話を無理やり変えた。
「あぁ、それでしたら・・・・」
ドキドキ、バクバクと心臓が鳴る。
陛下の前で、私との話などされては困る。メイナードはどういうつもりなのか?
メイナードは、まだ私を好きなのだろうか?帰国してから連絡もしていなかったし、まだ同じ思いということなんて・・・あるのだろうか?
サラダを口にして、そうっとメイナードを見ると、彼は私を真っすぐに見ていた。
「・・・」
「・・・」
な、なんで、そんなに見つめてくるの?!
話が政治的な話しになっていて、他の使者達やアデルさんとも話しながらも、メイナードは私から視線を離さなかった。
どうしよう。そんなに見つめられたら、陛下に勘違いされてしまう!!
「そうだ。モンテカリブの国王が即位される式典には、彼女を連れて行くと思う。」
ヴィンセントが使者達に宣言する。
「ここにいる、ソフィア・リッテンバーグ侯爵令嬢は私の妃になる。正式な発表はこれからだが、結婚式は来年になるかと思う。その招待状もいずれお送りしよう。」
メイナードは、ソフィアを真っすぐに見る。それを直視することが出来ずに、目をそらしてしまった。
「そうでしたか。それは、おめでとうございます。」
そう言ったメイナードの表情は、いたって普通だった。
そのことに、あぁ、なんだ。私が気にし過ぎたのだ。そう思って安心した。
その後も、普通に食事を終えて、部屋に戻ろうとするとメイナードが言った。
「あぁ、ソフィア嬢にプレゼントがあるのですが、お渡ししても?」
それにヴィンセントが、頷いて答える。
「それは彼女が喜ぶだろう。」
女官たちが言う。
「それでは、後ほど応接室で。」
そうゆうことになり、応接室に移動すると、メイナードが多きな箱と、小さい箱を持って現れた。
「メイナード。プレゼントなんで必要なかったのに!」
メイナードは、荷物を部屋に運ばせてから、ニコニコと言う。
「ラトニア国の援軍のおかげで我が国は助かったのです。みなさまに感謝をと、持って来たのですよ。そちらの大きな箱は、侍女方や女官の方々へ。」
そう言われて、侍女や女官達はキャーキャー!と宝石を手に取り始める。
それを横目にメイナードが、隣で言った。
「ソフィア。」
「?何?」
「おまえには、コレ。」
そう言って、手渡されたのは、メイナードと同じ目の色のサファイアのペンダントだった。
「・・・綺麗。」
「つけてやるよ。」
そう言って、真正面から向き合って、メイナードが私の首にペンダントを付けてくれた瞬間だった。グイッ!!と抱き寄せられて、彼は、私の唇にキスをした。
「!!!?」
慌てて突き放す。
「メイナード・・・!!?」
「・・・キスしてくれるって言っただろう?」
慌てて周囲を見ると、女官たち全員は宝石に夢中になっていて、誰も気がついていない様子だった。ホッとして、メイナードに向きなおる。
「・・・だめよ。・・・唇にじゃないわ。あの時、ほっぺにって言ったのよ。」
メイナードは、ソフィアの手をとる。
「なぁ、ソフィア・・・今、幸せか?」
「・・・幸せよ。」
その時だった、女官達がこちらを向いて、全員でメイナードにお礼を言う。
「王子殿下、ありがとうございます。皆喜んでおりますわ。」
メイナードは余所行きの顔で笑う。
「それは良かった。あぁ、そうだ。ソフィア嬢と久しぶりに2人で話したいこともあるし、お庭を案内して頂けると言うので、移動するがよろしいかな?」
え?!
「はい!どうぞどうぞ。いってらっしゃいませ。」
・・・・え?!
「では、参りましょう。ソフィア嬢。」
ぐいっとメイナードが手を引っ張る。
「・・・」
しかし、これで最後なのだと思うと。最後にきちんと話をしようと思った。
2人で、お城の中庭に出た。
バラの花が綺麗に咲いていて、素晴らしい庭園になっている。そこを2人で暫く歩きながら話をした。
「君が、国に戻ってから何度も忘れようとした。だけど、まだ忘れられない。」
メイナードが、ハッキリとそう言ったので、私も立ち止まって、メイナードを見上げる。
「ごめんなさい。私は、あなたの事を、兄のように慕っているけれど、でも、それ以上には思えないの。」
キッパリと言えたことに、自分でホッとする。
メイナードは、私を抱きしめた。
「メイナード、やめて。離して・・・」
「こんな国よりも、男尊女卑の無い、モンテカリブの方が君には合ってる。」
・・・・確かにそうだ。こんな国、戻って来たくもないと思ったこともある。ずっと、モンテカリブで生活できたら、自由で幸せなんだろうと思った。
「えぇ。そうね。そう思った事もあったけれど、でもね。私は・・・」
メイナードの腕を押しても、びくともしない。でも、この人が嫌いなわけじゃない。大事な大事な友人。
「私ね・・・陛下の事が好きなの。あの人のこと、愛してるから。だから・・・」
「聞きたくない。そんな言葉・・・」
「ごめんなさい。メイナード。」
あなたを傷つけると解っていて、でも言わなきゃいけない言葉だったから。
私を離してくれないから、逆にメイナードを抱きしめて言った。
「ごめんなさい。メイナード。あなたにも、きっと、もっと素敵な人が現れるわ。」
メイナードは、私をきつく抱きしめて言った。
「後悔させてやるよ。俺をふったこと。」
「・・・・うん。」
見上げると、彼は切なそうに笑っていた。
それを見て、悲しくなって涙が出て来る。
「なんで、おまえが泣くんだよ。」
「・・・わかんない。わかんないけど・・・本当にごめん。」
友達でいたかった。
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