転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)

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第伍章

130話 嘘



 助けて。




 助けて。


「シストお兄様……助けて!」


 目を開けると——6人の大人達に取り囲まれていた。

 大人達は衣服を脱ぎ捨てて同じベッドへと上がってくる。麻縄で縛られた手首を上下に揺らす、骨が軋み、皮膚を細かい傷が走る。

「お兄様……お兄様ぁっ」

 名前を呼び続ければきっと、見つけ出してくれると思った。助けてくれると思った。

 やがてあいつと同じように秘境に踏み込んでくる奴等の向こう側で。扉が微かに開かれていた。

 真っ白の瞳と目があった。不思議な模様が見える眩しい光の瞳があった。

「はふへ……はふへへ」

 口いっぱいに押し込まれた肉棒に呼吸を邪魔されて言葉に出来なかった。

 白い瞳が自分から離れ、白い姿も遠くなっていく。

「おひい、ひゃは……」

 助けて。助けてくださいお兄様。

 6人のうちの一人。傍観するだけの男が指をくい、と曲げた。それだけで扉はバタンッと音を立てて閉められる。

 自分を取り囲んでいた5人の大人が一瞬にして消滅し、傍観していただけの男が覆い被さってくる。冷たい舌が下部で蠢き、全て飲み込まれ吸い上げられた途端自分の身体が飛び跳ねる。

「あぅ、あ、ぁ……あ」
「ククク、いい声を出すようになったな。……もう少し成長してから挿れてやろう」
「ん、んん……ぃゃ、ゃ……たすけ」

 指をパチンと鳴らして手首の縄を外す、自由になった手で相手の黒髪を引っ張って口を離させようとするが。力は敵わなかった、睾丸まで口に含もうとされるが、悲鳴を上げれば顔を上げられる。

「ヴァントリア、気持ちいいだろう。嫌がるな、身を委ねろ。そうすれば自然と美しい声が出るさ」
「い、いやです。いりません、そんなのいりませ——」
「私の名を呼べヴァントリア」
「あ、ゼ、ゼクシィル……さま」
「ふふふ。愛らしい唇だ。私の名を呼ぶとより可愛らしい」

 そう言って舌舐めずりした後、冷たい唇を重ねられる。口の中に氷のように冷たくて、滑らかに動く少しざらついた舌が入り込んでくる。それは必ず、最初に数えるように歯列をなぞった後、舌先に触れる。舌下へ潜り込み下面のみを撫で回して唾液の分泌を促す。増えた唾液を自らの口の中に吸い出して飲み込んでいく。

 満足が行けば、相手は自分の口からも唾液を寄越してくる。これを飲み干さない限り、相手は口を離そうとしない。

 冷たい液体が喉を通り過ぎ胃に落ちる感覚がする。気持ち悪くて吐きそうになったが、塞がれた唇によりそれは禁止された。

 全て飲み切ればやっと、冷たい唇が離れていく。

「ヴァントリア……もう無理だ。我慢が出来ない……少しくらい痛くてもいいだろう」

 そう言って相手はいつも、俺の身体を——辱める。

「たす……け、て。誰か」





            ◇◇◇






 ゼクシィルは適当な部屋へ入り、俺をベッドの上へ放り投げる。どうやら倉庫らしい。ベッドも監獄の余り物か何かだろうか。

 44層の監獄は、内側には複数名がごった煮の状態で収監されている広い檻がある。その外側には、分厚い壁を挟んで、隠された個室の檻が並んで広がっている。これはゲームの攻略本に載っていた地図で知ったことだ。

 綺麗とは呼べないベットの上に、ゼクシィルが服を脱ぎ捨てながら登ってくる。変な既視感を覚えて後ずさり、背中を何かに押されてハッと振り返る。
 既に行き止まりに到達していたことに気がついた。相手の方に振り向けば、冷たい手に頬を撫でられ、長い睫毛が伏せられて自分の睫毛の上に振るように降りてきて。

「嫌だ……ッ」

 顔を咄嗟に逸らし胸を押して拒絶する。しかし奴はにんまりと笑い、俺の唇を舌で舐め上げた。

 再び寄せてくる唇から逃れるために、必死で抵抗を試みるが相手はビクともしない。しかし、ゼクシィルは何が楽しいのか。俺の抵抗をたまに受け入れながら、離された距離から自らの唇を伸ばして触れてくる。キスとも呼べない掠めるように触れるそれに気味の悪さを感じて総毛立つ。

 伸ばされた唇に少しずつ少しずつ吸い付かれるようになり、やがて飲み込むように口を覆われる。

 息をしようと口を開ける度に入ろうとして出ていく舌が蛇のようだと思った。再びどこかで経験したことがあると脳が訴えてくる——俺は、このキスの仕方を、知っている?

 そうだ。きっと、こちらから舌を伸ばせば、彼の唇は離れていく。

 でも……ゼクシィルの口に自ら舌を入れるなんて絶対に嫌だ。

 何よりただの思い違いの可能性が一番高い。いや、そうであってほしかった。

 ゼクシィルの手に服を脱がされていき、中途半端に脱げた服の隙間に手を突っ込まれる。

 冷たい手が決まった道を歩んでいく。先に触れるのは脇下だ。それから徐々に脇腹へ移動し、ヘソの入り口を親指で弄られ、人差し指が親指に掠めてから腹筋に沿って真っ直ぐになぞる。人差し指と中指が滑るように移動して乳頭を摘み引っ張って、離してから強く指の腹で押し潰される。

「あんっ……——うっ!?」

 自ら出た女の子みたいな声にゾッとして口を抑える。相手に聞かせることも嫌だったが何より、自分が聞きたくなくて掌で防御していたら、冷たい掌が重ねられて指を絡め取られて口から無理やり離される。

「聞かせろ」
「ひっ……やだ……あ、あっ」

 ゼクシィルの唇がひん伸ばされて。短く吸いついた後、すぐに乳頭を口に含まれてしまった。

「ふぁ……っ」

 冷たい口内でベタ付いた唾液でぐちゅぐちゅにされる。

「や、やだ、そこ……やめて」

 唾液を吐き出して濡らしては吸い上げを繰り返し、最終的に吐き出して二本の指でびしょ濡れになった乳輪の周りに塗り込んでいく。

「や……んっ」

 冷たくて濡れた感触が肌に染み込んでいく気がしてゾクッと身体が打ち震える。

「き、きもちわるぃ、気持ち悪い…………やめ、やめ」

 生理的な涙を浮かべれば色素の薄いピンク色の舌がべろりと睫毛ごと瞼を舐めあげた。

「ゆっくり楽しもうと思ったが。久しぶり過ぎて加減が出来ぬようだ」

 下着の中に手を突っ込まれ、彼はそれを握り込んで揉みしだく。お腹のあたりが熱くなってきてゾクゾクする。

「ぁ、あ……ふぁ、あ」

 なんだこれ、前世でもこんな……うわ、気持ちい……気持ち悪い。気持ち悪い。


 心とは裏腹に、教え込まれたかのように敏感になっていく身体を相手から離そうとする。しかし、ゼクシィルは手を止めず、あろうことか自分のものまで擦り合わせてきた。

「ひっ……」

 自分とは別の、人の体温と感触が直接伝わってくる。氷のように冷たいのに表面はゴムみたいに柔らかくてしかし、自分のものと比べて一回り大きくて立派だった。

 どうして。どうして。どうしてどうしてどうして。





 知っている。この感じを。



 肌の匂い、指先の感触、触れ方。髪の乱れ方、息の仕方。動かし方。絶頂に達する寸前で抱き締められる。



 ——唇を重ねられ、ぐったりとした身体がのそりと起き上がる。

「……もう無理だ。我慢できない。少しくらい、痛くてもいいだろうヴァントリア」

 力の入らない両足を広げられ、太股を彼の太ももの上に乗せられる。

「や、やだ……」

 フルフルと首を振って拒絶の意思を見せる。

 余裕のなさそうな顔が近づいて来て唇にキスが落とされる。舌を絡めてきて思考がぐちゃぐちゃに掻き乱される。

「ん、んん……、ん……」

 舌も唇も冷たい凍り付くような口づけを与えられ、比例するように氷が秘部へと到達する。抵抗を試みても無駄な足掻きだった。


 う、うそだ。いやだ。いやだいやだいやだ。



 ——口が解放され、拒絶の意志で叫ぼうとした瞬間。




 ————ドオオオオン——と地面が落ちるような大きな揺れが起こった。

 何事だと思ったのもつかの間——相手はそれこそ何事もなかったかのように入り込もうとしてくる。普段何かを入れることのないだろうそこは拒絶を示すように締め付けた。

「くく……熱いなヴァントリア。すぐに冷やしてやる」
「気持ち悪い……俺に触るなっ、早く退けろ——」
「名前を呼べ。拒絶の言葉などいらない」
「いやだ……ッ」

 お前の名前を呼べば受け入れたことになる——

 ゼクシィルの青い瞳が釣り上がり、俺の前髪を掴んで顔を引き寄せる。近付いた爛々と輝く瞳を必死に睨み付ければ彼は泣き叫ぶように己の心の内を放った。

「俺を受け入れろヴァントリア……ッ」
「いやだ——やだ、やめろ……っ」

 グイグイと押し付けられて徐々に奴が侵入する——助け、助けて。こんな。

 怖い。誰か。

 ボロボロと涙が溢れても相手は食らいつくように押し込んでくる。自分が食っているのに食われているような引力があった。

「——たすけ、たす」

 激しく縦に揺れるベッドにしがみ付いた——その時。


「——ゼクシィル様ッ」

 バンッ——と部屋の扉が勢いよく開け放たれてヒオゥネが駆け込んでくる。

 ゼクシィルは不愉快そうに眉間に皺を寄せ俺の身体を引きずって振り返った。

「何だ……お前のせいでまた最初から——」
「——ひっ」

 その言葉を聞いてぞくりとする。

 また、また最初からって。

 頭がガンガンと金槌で叩かれるような激しい痛みを訴え、生理的な涙が頬を濡らす。ヒオゥネと目が合い——カァッと顔が熱くなるのを感じた。

 呵責と惆悵と恥辱が複雑に入り混じった結果だった。

 続けようとするゼクシィルが突然、苦痛の声を上げて覆いかぶさってくる。俺にしがみつき、胸を押さえて呻き苦しむ声を耳にして、思わずゼクシィルの背をさする。

 ハッとして手を離せばゼクシィルの瞳と目があった。朦朧とした虚ろな瞳が何を言うでもなく見つめてくる。

「ぜ、ゼクシィル……?」

 セクシィルは両腕を俺の顔の横について起き上がり離れていく。

 ヒオゥネに振り返ったので表情は見えなかったが凍り付くような低い声が放たれた。

「何のつもりだ」

 胸を押さえながら呻くように言う。

「それどころではないんですよ。博士が魔獣化して暴走してしまいまして、ヴァントリア様のお迎えが来てしまったんです」
「ま、まさか——」
「はい。こちら側の——記憶の世界の方のアゼンヒルト様がやってきてしまいました」


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