転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)

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第八章

201話 屋敷がボロボロだぁあ!


 聞かれないよう呟いたのか、それとも心の声が溢れてしまったのか、と思うくらい控えめな声量だったが、隣に立って優しく微笑むイルエラにテイガイアは感極まって抱き付く。

「イルエラくん!! すまなかった! 謝れなかったことも、謝るのが遅くなってしまったことも、君を助けなかったことも、許されることではないかもしれないが、本当に、すまなかった!!」
「落ち着け。邪魔だ。早く回収しろ」
「君達もすまない、必ず助けるから、私達の言うことを聞いてくれ」
――「お、おい! お前達! 何をしている!」

 全ての瓦礫の動きが止むと、しゃがみ込んで騒いでいた見張り達がイルエラ達を発見して突撃してくる。

「領主様のお屋敷がボロボロだぁあ! こンなの聞いてないゾ~!! 取り押さえないと責任を取らされる~!!」
「見張りは私が倒しておく。準備をしたら知らせてくれ」
「ああ、頼む! バン様、今の私は何でも出来そうな気がします!」

 イルエラが見張りを倒している間に奴隷達を博士が運ぶ。イルエラが見張りをいとも簡単に倒してしまうが、別の見回りが来て騒動の規模のデカさに気がついた。
 おい! ――と駆けつける見回りだけでなく、この騒ぎに他の兵士も駆けつけた。屋敷に残っていたらしい領主の側近が騒ぎと詳細を聞きつけ通信魔法で領主に報告をする。それを聞いた領主はもちろん近くのビレストの騎士に報告し、報告を受けた騎士は屋敷近くに這っている騎士達に報告した。
 近くにいた兵士も、騎士達も次々と屋敷に集まったが、問題を起こした当人はもちろん、奴隷達いる筈の2.5階を確認すれば、人っ子一人いやしなかった。
 ビレストの赤みがかった髪を後ろで結んだ男、ベリュムード・アディテュゲータが言う。

「どう言うことだ、いったい何が起きたってんだ!」
 金髪癖っ毛のモルゼ・クラウェヌがベリュムードの背に追いついてきて言う。
「あれだけの大人数ッス、まだ遠くへは逃げていない筈ッスよ」
「目立つだろうし、全員の統率が取れるとも思えない。探せ!」
「どうせエレベーターも稼働しないッス、逃げ場はないッスよ!」

 モルゼはそう言うとすぐにベリュムードの後ろ髪を引っ掴んで階段を降りようとする。

「いてててて!? 待て待てモルゼ、奴等はどっちに逃げたんだ? なんなら屋根の上から追っかけた方が見つけやすいし早いだろ?」
「あんたは移動出来るかもしれないッスけど僕は出来ないッス!」
「なら俺だけには行かせろよ!? 俺が上から居場所を教えるからよ!?」
「ッス」

 モルゼに階段の途中で髪を離され、ベリュムードはバランスを崩し危うく階段から転倒しそうになる。そばにあったモルゼの身体に飛びついてモルゼは手すりを掴みそれに耐えて、転倒だけは回避した。

「屋根から落ちないよう気を付けてくださいッス」
「ああん!?」
「ベリュムードさんはおっちょこちょいじゃないッスか」
「それはだいたいお前のせいだろ!!」

 ベリュムードは屋根の上に登り、遥か遠くに二つの背中を発見する。

「追いつけねえ距離じゃねえ! モルゼ、下からついてこいよ!」
「そんな! まだ階段すら降りてないッスよ!?」

 イルエラとテイガイアは屋敷からある程度離れると、路地裏へ降り立ち、仲間達へ連絡を取ろうとテイガイアが魔法石を取り出した。
 魔法石の上に小さな魔法陣が展開されたその時だった――上方からおたけびが降って来た。
 イルエラとテイガイアはおたけびと一緒に弾丸のように降ってくる巨軀を避ける。イルエラとテイガイアのいた地面が割れ、二人は警戒しつつその場所を見た。
 それは赤みがかった髪を後ろで結んだ男、ベリュムードだった。

「囚人イルエラと、博士テイガイア。二人とも前までは逆賊だったが、今はヴァントリア・オルテイル様の逃亡を手助けする迷惑な奴らってことになってるぜ」
「逆賊と呼ばれるとは……。まあバン様とウォルズさんが王になると言うのならば私は手伝うつもりだが」
「ああ。それがあいつらの進む道なら、私も共に行こう」
「ヴァントリア・オルテイル様は王宮に戻る……が、お前達は独房行きに決まってんだろ!!」

 ベリュムードが拳を掲げ飛び出してくると、テイガイアは魔法石から剣を取り出し、イルエラは戦闘体制に入る。
 ビレストはレベル45~90の敵だ。テイガイアはレベル60、イルエラはレベル50だ。相手のレベルが90だとしてもこちらに勝機はある。そう思っていたのだが――……

「到着ッス!!」

 光の紋章が特徴的なビレストの衣装を纏った金髪癖っ毛の男の子がやって来た。彼だけかと思えば、後ろからぞろぞろとその仲間が現れる。

「逃げるぞイルエラくん!」
「言われなくても分かっている」

 二人は再び屋根の上に跳躍し、合流場所へと向かう。ビレストをぞろぞろ連れていくわけにもいかないので、テイガイアは魔法石からあるものを取り出した。
 イザロベリオン言う名の一対の翼と四肢のような体、角を持つを持つ魔獣、10体である。
 因みにテイガイアが今持っているのは魔法石3つのうちの魔獣の森で手に入れた魔獣達がわんさかいる魔獣専用の魔法石である。
 町中で魔獣が出たとなれば被害が免れない、それを止める為にビレストは動くだろう。足止めにはなるだろうが、ビレストならすぐに彼らを倒してしまう筈だ、時間はない。
 一刻も早く、彼らを振り払い、合流地点に到着しなければならない。
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