転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)

文字の大きさ
238 / 293
第十一章

235話 かわいいやつめ


「ディスゲル兄様は反対されると思ってるんじゃないかな……」
「なぜだ? ワタシが反対する理由がないだろう?」

 いやお前自分に隠し事してるからって理由で反対する奴じゃん。

「とにかく、お前はディスゲル兄様より偉いから警戒されてるんだろ」
「なぜワタシを警戒する……ディスゲルめ、これからも絶対にあいつの言うことは聞かん」

 いや聞いてあげて。

「それよりヴァントリア。早くこの菓子を食せ」
「え?」
「え? じゃない。キサマのために用意したんだ。早く食せ」
「え、いや、お前のじゃないの?」
「ワタシは甘いものをこんなには食べん」

 本当に俺のためだけに用意したのか? ロベスティゥいい奴だな! って何コロッといってるんだ、まだ警戒……する必要ないような気がするんだよな。コロッといっちゃお、うん!
 極上のスイーツを食べていたら、それを眺めながらロベスティゥが冷静に言う。

「菓子を食べたら歯を磨いて湯に浸かれ、久しぶりに一緒に寝るぞ」
「うん……って、え?」
「え? じゃない。キサマが腕の中にいないと快眠出来ん。ずっと迷惑していたんだ」
「いやいやいやいや! 俺お前と一緒に寝たことなんかないと思うんだけど!」
「キサマは主従契約を使っているつもりでワタシの腕枕で眠るようになっていた。ワタシもキサマを抱きしめないと眠れん。代わりに枕でもと思ったが、抱き心地はキサマが一番なようでな、どうにも寝付けん」

 確かにヴァントリアの抱き心地がいいのは認めるけど。

「いやだよ一緒に寝るなんて! それに仲間達と合流しなきゃいけないし、外にウォルズ待たせてるし」

 そう言うと、扉からノックの音が聞こえてきて、扉の向こうから声が聞こえてくる。

『俺は大丈夫です! いつまででも立ってられますのでご自由に何でもしちゃってください!』
「おい!」
「仮眠を取るだけだ。早く食べて早く歯を磨け。湯に浸かるのは後でも良い」

 手からフォークを奪われ、あーんされる。どんどん口の前に運ばれてくるが、食べたい時にタイミングよく運ばれてくるそれは明らかに慣れている。まさかヴァントリア、昔からこうやってロベスティゥに食わされていたのか。いや、ロベスティゥに命令してお世話させてたなこれは。

「ほら、あーんしろ」
「あ、あーん」

 なんやかんや考えているうちにスイーツは食べ終えた。じゃあ今のあーんは何なんだと言われれば、歯磨きである。口の中見られるって不思議な感覚だな。でもなんだか綺麗に磨かれているような気がするし、なんだかロベスティゥの膝枕心地いい気がするし、悪くないな。

「ほら、歯ブラシだ。ぐじゅぐじゅっぺしてこい」
「はーい」

 歯ブラシを持たされ、この部屋に備え付けの洗面台へ向かう。洗面台は扉の向こう側にある。その向こうの扉の奥にはトイレがあるが、今は使わなくて大丈夫だ。
 ぐじゅぐじゅっぺして、歯ブラシを洗い、歯磨きを終えてから、ロベスティゥの元に戻る。ロベスティゥはベッドの上に乗り布団をめくった状態でスタンバイしていた。いや、このままだと一緒に寝る流れじゃん。

「あの……本当に寝るんですか?」
「ん? いまさら敬語はいらないが」
「そうじゃなくて。本当に一緒に寝るのか?」
「はやくしろ。寝不足で最近イライラするし頭痛がする」

 まさか俺以外の人に意地悪なのってそれのせいですか!? し、仕方がない……ディスゲル兄様にも優しくしてもらうために、一回寝とくか。
 ふかふかなベッドに上がり、用意されるロベスティゥの腕枕に頭を乗せる。うわー腕枕って初めてされたけど結構フィット感すごいな~。
 って何満足してるんだ俺は。
 暑苦しく身体に密着してくるロベスティゥ。巻き付いてくる反対の腕が腰を引き寄せてくる。暑い暑い。
 顔近い……こう見ると美形だな、ロベスティゥって。羨ましい……。
 ウォルズに悪いから俺は眠らないでおこう。
 しばらくすると寝息が聞こえてくる。本当に快眠らしく凄くリラックスした寝顔だ。涎垂らしてるし間抜け面だし、ゲームでは絶対に見られない顔だな。いや、俺でしか快眠出来ないんだから俺しか見られないのでは?
 いつまで眠るんだろう。5分くらい経ってから起こすか。
 5分後、ロベスティゥの胸を叩き起こそうとするが、全然目覚める気配はない。名前も呼んでみるが起きる気配はない。顎に頭突きしてみるが起きる気配はない。

「まさか死んでる?」

 胸に耳をくっつけてみるとちゃんと心臓の鼓動は聴こえてくる。

「ウォルズ~、ウォルズ~いるか?」
『はいはい、いますよ~全裸待機してますよ』

 本当にしてないだろうな。

「ロベスティゥのこと起こしてくれないか?」
『ロベスティゥの寝顔が拝見できるんですな!』
「そうですよーおいでー」
『わ~いヴァントリアのおいでだああ~!」

 かわいいやつめ。
 ウォルズはロベスティゥの寝顔を堪能した後、さっそく快眠グッズである俺を彼の腕から抜き取った。

「確かに抱き心地最高♡ いい匂いするしかわいいしもう離さない♡」
「は、離せ!」

 なぜかドキドキする。ウォルズみたいな爽やか系は苦手なんだ、って言うことはヒオゥネも爽やかなのか? まあ確かに顔は爽やかかも……。

「今何考えてるの?」
「え、いや、別に」
「めちゃくちゃぽわぽわしてたよ。かわいい顔してた」
「ぽわぽわ?」
「かわいい!」
「はいはい、いいから離しなさい」

 ウォルズに離され自由になると、ロベスティゥの様子を窺う。めちゃくちゃ寝苦しそうだ。

「う~ん……?」
「お、目ぇ覚めたか?」
「ヴァントリア……キサマ、ワタシの腕の中にいたのではなかったのか?」
「だってお前起きないんだもん」
「スッキリしているようなしていないような……」
「文句はいいから、俺もう帰るぞ。俺も寝たいし」
「一緒に寝ればいいだろう」
「寝れるか! とにかく帰るから!」
「分かった。明日の朝迎えに来よう」
「なんでだ!」
「部屋の番号を教えろ」
「やだ!」

 そう言ったのに、ウォルズがすらすら~っと答える。口を押さえるが遅い。

「久しぶりに皆で朝食をとろう」

 楽しみと言わんばかりに笑うので、断りづらくなる。ディスゲル兄様も誘うらしい。その際にトルショーを誘って良いかと聞いたら「ダメだ」と言われた。説得したいならワタシからもしてやろうと言われ、やっと頷く。

「じゃあな、ロベスティゥ。また明日」

 扉の外でそう言えば、ロベスティゥはコクリと頷き、顔を近づけてくる。

「おやすみヴァントリア」

 額にちゅっと、湿ったものが触れ、ロベスティゥの顔が離れていく。

「ひょええええ!」

 奇声を上げるな奇声を。

「何すんだよ」
「ヴァントリアはかわいいな」
「な、何なんだよ!」

 あのロベスティゥから、ヴァントリアかわいいなんて単語聞いたら精神崩壊起こしそうなんですけど!

「ディスゲルももう少し可愛くなればいいんだが……」

 そんなことをぶつぶつ呟きながらロベスティゥは扉を閉じる。サイオン兄様も可愛がり方がめちゃくちゃだったけどまさかロベスティゥもめちゃくちゃな可愛がり方をするのか?
 でもサイオンよりかは嫌じゃなかったかも。


感想 23

あなたにおすすめの小説

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!

梅村香子
BL
バカ王子の名をほしいままにしていたロベルティア王国のぽっちゃり王子テオドール。 あまりのわがままぶりに父王にとうとう激怒され、城の裏手にある館で謹慎していたある日。 突然、全く違う世界の日本人の記憶が自身の中に現れてしまった。 何が何だか分からないけど、どうやらそれは前世の自分の記憶のようで……? 人格も二人分が混ざり合い、不思議な現象に戸惑うも、一つだけ確かなことがある。 僕って最低最悪な王子じゃん!? このままだと、破滅的未来しか残ってないし! 心を入れ替えてダイエットに勉強にと忙しい王子に、何やらきな臭い陰謀の影が見えはじめ――!? これはもう、謹慎前にののしりまくって拒絶した専属護衛騎士に守ってもらうしかないじゃない!? 前世の記憶がよみがえった横暴王子の危機一髪な人生やりなおしストーリー! 騎士×王子の王道カップリングでお送りします。 第9回BL小説大賞の奨励賞をいただきました。 本当にありがとうございます!! ※本作に20歳未満の飲酒シーンが含まれます。作中の世界では飲酒可能年齢であるという設定で描写しております。実際の20歳未満による飲酒を推奨・容認する意図は全くありません。

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?

MEIKO
BL
 【完結】伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷う未来しか見えない!  僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げる。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなのどうして? ※R対象話には『*』マーク付けます。