転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)

文字の大きさ
248 / 293
第十二章

245話 いい加減にして!!


 赤い町、赤い建物。赤い内装に、赤い商品達。そこは異様な雰囲気を放っているにもかかわらず、多くのお客さんが出入りする。
 サベラスに連れてこられた場所には、ハート型の瓶といやらしい下着(女性用を模した男性用)が並ぶお店であった。

「な、な、なんだここはああああああああ!」

 しかも堂々と町の中にあるではないか。大通りからは逸れているものの堂々すぎやしないか。看板にもハートがたくさんあしらわれていてなんだか入りたくないんですけど……。

「こちらですヴァントリア様」
「何がこちらなの」
「こちらのお店の持ち主、マキノ・リマークは数多の男達を虜にしまして」
「はあ」
「階層でも問題扱いされるほどです」
「凄すぎない!?」
「住民の中でも裕福層に手を出しているので……」
「なるほど……」

 確かゲームでは、この辺りにやってこれなかった。雰囲気が合わないとか意味のわからんことを言ってUターンしていたが確かにこの場の雰囲気には合わない。
 店の側にある十字路には広場と噴水があり、そこで男同士や男女や女の子同士がイチャイチャしているのだ。イチャイチャと言ってもちゃんと優しい方のいちゃいちゃだが路地裏となるともう……見てらんない!

「本当にそのマキノ・リマークさんに頼んでもいいのか?」
「ヒオゥネ様を誘うんですからあいつくらいじゃないと」
「何故か誘うことになってるけど、そ、そう言うことをするのか、俺は!?」
「嫌なんですか?」
「え、え……嫌じゃ、ないけど、でも、早い気が……」
「そうですか?」

 お前……さては経験済みだな。
 人類を滅亡させんとするくらいサベラスを睨んでいると、店の奥からある男が出てきた。色素の薄い髪と、小悪魔そうな可愛らしい顔立ちの青年だ。その青年がサベラスを見て目を見開いて後ずさる。

「うげ……サベラス!」
「マキノ。店番をサボるな」
「うるせぇ! 何しに来たんだよ!」

 二人はどう言った関係なんだろう。そう考えていると、サベラスがちょうどよく説明する。

「こいつとは不本意ながら幼馴染なんです」
「不本意は余計だろ……っ! ……って、誰、こいつ?」
「失礼だぞマキノ。この方はヴァントリア・オルテイル様だ」
「オルテイル? あの王族の? ウロボスにいるなんて珍しいな」

 そう言えばウロボスの階層なのに誰もオルテイルのことを敵視しないんだな。サベラスに聞いてみると、オルテイル派みたいに意地悪じゃないと言われた。ついでにハッとして
「申し訳ありません。ヴァントリア様はオルテイル一族であるのに」
 と謝られる。

「いいんだよ。オルテイルは色々厳しいみたいだし、ウロボスは緩い感じでいいな」
「はあ……そのようなことは他の人の前では絶対に言わないでくださいね。オルテイル派にウロボスの味方をしたと思われたら厄介ですよ」
「そ、そっか。気をつけるよ」
「それで、お前ら何しにきたんだ」
「王族と分かってもその生意気な態度か……」

 はぁ、とサベラスはため息をつく。

「ヴァントリア様が私の主人を愛しておられる。誘惑の仕方を教えてやってほしい」
「いいけど、何で俺?」
「お前はどんな男でも落としてきただろう」
「どんな……まあ、いいけど」

 ちらちらとサベラスを見るマキノを見て、何となくだが言ってみた。

「サベラスの初体験ってマキノなのか?」
「うおおおおおおい!? 急に何言い出すんだ!!」
「違います」
「じゃあ誰なんだ?」
「まず何故私が経験していると思っておいでなのですか?」
「そんな風な発言しただろ」
「まあ経験はありますが」
「へ……」

 マキノが明らかにショックを受けた顔をする。

「確かランタール様と言うヒオゥネ様の客人で……断ることができず」

 生々しい! こんな話聞きたくなかった! 自分で聞いておいてって話だけど、だってマキノだと思うじゃん!

「不本意だったってことか?」

 マキノがダメージを受けながら問う。

「ああ」
「そこは断れよ!」

 って言うかランタールってあのランタールだよな。まだヒオゥネと繋がりがあったのか。

「私の話はこれくらいにして、マキノには誘惑の仕方を教えてもらってください」
「おすすめの商品はこれ~。媚薬入りローションです!」
「び、媚薬!? そんなの使わない、本人の気持ちを大事にしたいし」
「でも初めての夜は媚薬に縋る子多いよ」

 そう言う設定なのだろうか。

「大丈夫、初めてじゃないし、やり方は何となく分かってるから」

 サベラスが瞠目しながら尋ねてくる。

「初めてではないのですか?」
「ヒオゥネが相手じゃないぞ。昔……ちょっと不本意な相手と」
「そうですか。マキノ、媚薬入りでないおすすめの商品を選んでくれ」

 サベラスは赤い布袋を取り出し、中からお金を取り出しマキノに握らせる。

「おお! 太っ腹~」
「早く準備してヴァントリア様に指導を頼む」
「分かったよ。その間お前はどうする?」
「ヒオゥネ様の予定が早く終わるようヒオゥネ様と交渉してくる」

 それってかなり大変なんじゃ。

「あ、ありがとうなサベラス」
「いえ。頑張ってください」

 サベラスはおすすめの商品とやらを受け取った後、店を後にする。残された俺は店の奥でマキノから指導を受けた。
 それはもう大変だった。
 これをヒオゥネにするのか、出来るわけあるかと言うものばかりで結局マキノからも素直になってねだるくらいでいいかもなと言われた。
 その素直になるのも、ねだるのも出来ないんだ俺は!
 こんなんで大丈夫だろうか。


.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+


 迎えに来たサベラスと共に宮殿へ向かい、宮殿に着くとずぐに屋敷の者が使う大浴場へ連れていかれる。それぞれが入る時間帯が決まっていて、今は誰も使わない時間帯なので好きに入っていいと言われた。後ろの準備もしておけと言われて少しだけしておいた。
 イーハの教会以来の大きなお風呂に満足し、上がって着替えようとした時だった。
 手を伸ばした衣服に異変を感じ、それを手に取り凝視する。

「な、何だこれええええええええ!?」

 そこにあったのは、真っ赤な階層にしか売っていない真っ赤な女性用に似た男性用下着である。な、なぜこれが俺の着替えが入っていた筈の籠に入っているんだ。

「待て、俺の着替えはいずこに!?」

 他の籠も探すが見当たらない。どうしようと考えていると、廊下からサベラスの声が聞こえてくる。

「ヒオゥネ様はそう言うのに興味があります。それを身に着けてください」
「鬼か!!」

 どこからの情報なんだそれは、信用していい情報なのか。
 でも着るものもないし……下だけでも。

「ちゃんとブラも身に着けないと衣服は渡しません」
「くそがあああああああああ!!」

 口が悪くなっているが仕方がない。こんな状況だと皆悪くなる。絶対そう。
 着用してから、自分は変態だと思い始める。

「こんな格好じゃ歩けない! 早く俺の服を返せ!」

 サベラスは扉を開けて、衣服を渡してくる。それに手を伸ばして、またもや異変を感じた。
 広げてから叫ぶ。

「だから何だこれはあああああああ!!」

 フリフリの白いレースが付いたエプロンとカチューシャ。そして黒いワンピース。とそれに似合う白い靴下と黒の靴。

「女性用のメイド服です」
「見りゃわかる!!」
「大丈夫です。うちの召使い用の衣装ですから」
「何が大丈夫なんだ!!」
「今日から貴方はヒオゥネ様だけのメイドです」
「ええええ!? 下着だけでもうさすがにおかしいって分かるんですけど……」
「ヒオゥネ様の趣味は熟知しております。そういうのも好きです」

 広げた召使い服を見ながら尋ねる。

「どんな熟知の仕方したんだ……?」
「そう言う方面に興味がないように見えていたので刺激するためにエッチな本を罠に仕掛けていたのですが」
「どんな罠だ……」
「表紙は見えないように細工してあの人が好きそうな内容の題名を書いたモノをあの人は疑いもせず開きます。仕置きはありますが慣れたものです。ヒオゥネ様はそう言う類はすぐに閉じますが、偶に数秒固まる時があります。多分想い人がその格好をしているところを想像していたのでしょう」
「想い人って、いたとしても俺じゃないし……」
「私は貴方のことだと思います」

 そこまではっきり断言されると、そうであってほしいと思ってしまう。

「この機を逃したら、もう会えなくなるかもしれません。チャンスは今だけしかありません」

 そうだよな、本体に会える機会は少ない。ちょっとやりすぎな気がするけど頑張るぞ!

「あ、メイド服を着る前にこのスケスケの羽織を着てください」
「もういい加減にして!!」

感想 23

あなたにおすすめの小説

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!

梅村香子
BL
バカ王子の名をほしいままにしていたロベルティア王国のぽっちゃり王子テオドール。 あまりのわがままぶりに父王にとうとう激怒され、城の裏手にある館で謹慎していたある日。 突然、全く違う世界の日本人の記憶が自身の中に現れてしまった。 何が何だか分からないけど、どうやらそれは前世の自分の記憶のようで……? 人格も二人分が混ざり合い、不思議な現象に戸惑うも、一つだけ確かなことがある。 僕って最低最悪な王子じゃん!? このままだと、破滅的未来しか残ってないし! 心を入れ替えてダイエットに勉強にと忙しい王子に、何やらきな臭い陰謀の影が見えはじめ――!? これはもう、謹慎前にののしりまくって拒絶した専属護衛騎士に守ってもらうしかないじゃない!? 前世の記憶がよみがえった横暴王子の危機一髪な人生やりなおしストーリー! 騎士×王子の王道カップリングでお送りします。 第9回BL小説大賞の奨励賞をいただきました。 本当にありがとうございます!! ※本作に20歳未満の飲酒シーンが含まれます。作中の世界では飲酒可能年齢であるという設定で描写しております。実際の20歳未満による飲酒を推奨・容認する意図は全くありません。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました

藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。 ================= 高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。 ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。 そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。 冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで…… 優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました! 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?

MEIKO
BL
 【完結】伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷う未来しか見えない!  僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げる。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなのどうして? ※R対象話には『*』マーク付けます。

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL