異世界で俺探しの旅

MAKO

文字の大きさ
上 下
5 / 6

#5 名もなき魔剣

しおりを挟む
「この剣、いくらですか」
笑顔で接客していた店主が真顔になった。

「お客さん、その剣はやめときな」
店に行ったら商品を進める店員はいても、
その商品はやめとけという店員はいないだろう。

「なんでですか?切れ味がわるいとか」
俺は剣の刃の部分を触ってみたが全く切れる様子がない。

「切れ味はS級だ、だが...」


店主の態度、この黒い剣から感じる禍々しい雰囲気で素人の俺でも、いわく付きなのを
察した。


「この剣は、持ち主の生命エネルギーを吸い取る、吸い取った分だけ切れ味が上がる魔剣だ。使えば使うほど持ち主が死に近づいちまう。だからやめときな」


俺は剣を手に取って、振り下ろした。

「おい!あんたなんともないのか!?」


多分俺はこの世界の人間じゃないないから
生命エネルギーの容量的なものが、こっちの人達と違うんだろうか。
剣が馴染む、けどそこはやはり魔剣、持っているだけで疲れる、生命が吸われていくのがわかる。

「店主さん、これ買うよ」

「ゴク....わかった」

「いくら?」

「銀貨1枚でいい、どうせ置いてても売れないからな!」

S級の剣で銀貨1枚は破格らしい、相場は銀貨30枚くらいだという。金貨なら3枚分だ。

「ありがとう!この剣の名前は?」


「その剣に名前はない!あえて言うなら
   名も無き剣てところか」



「名も無き剣か、気に入った!」




ーーーーー


「よかったね翔! 初めからS級の剣を手にいれるなんて、すごいよ!」

「プック、フィー」

「おい、どうしたのだ翔?」

「フフ、なんか酔っ払いみたい」

「にゃんだってぇ~」

     !?

なんとこの剣、生命エネルギーを吸い取るだけではなく、使い終わると酔っ払ってしまうらしい。とんだ糞魔剣だ!

「おっとと」
よろけてルルに倒れかかってしまった

ぷよん

「うぃっと、なんかいい感触だ~スライムかあ~」

「こ、このど変態の馬鹿者がー!!」

「ちょ、まへっへ~!!」
10発目の蹴りまではギリギリ覚えている、
何故かリリカにも殴らていた。俺は気を失う間際思った、わざとではないが、剣を使ったあとは絶対気を抜いてはいけないと。
命に関わる...




ーーーーーーー


俺は見知らぬベッドで目が覚めた。
宿屋か。
横をみたらルルが丸椅子に座ってる


「目が覚めたか、し、翔」

「ん?(なんか様子が変だな)」


「えっとだな、翔は私にまさか気があるのか?」

........

「はあ!?何のことだ?」

わからないわからない、一体何の事だ、何があったんだ?俺が何かしたのか?


「覚えてないのか?」

「覚えてない!」

「ば、バカものー!!」

ルルは顔を真っ赤にして部屋から出ていった


あとからリリカに全部事情を聞いた。
それからルルに謝りに言ったら普段どうりのルルだった。





「この魔剣使う時は考えないとまずいな」

「代償がでかすぎるね」

「そうだ、その魔剣だけじゃ心もとないので翔の為にナイフを買っといた!」

「おお!ナイス!ルル」

ルルの買ってくれたナイフは使いやすそうな果物ナイフだった...



「お金も、もう尽きるな」

「私はお腹がすいたぞ!」

「今日はウマインゴの実だけで我慢するか」

リリカは何かチラシをずっとみているようだ


「翔、ルル、明日クエストに参加しよ!」




しおりを挟む

処理中です...