魔術師長様はご機嫌ななめ

鷹月 檻

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第五章

35 意識の同調【ユリウス×アリア微エロ】

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『ミドルキュア!』

 ユリウス様がいきなりミドルキュアをして驚いた。

「あなたの魅了や催淫に掛かってしまってたんで、解きました」
「あっ、ごめんなさい!」
「いいんです、掛かるのは、心地いいので。ただ、あなたといる時にこういう状態だと襲ってしまいそうですからね。念のために解除しました」
「す、すいません!」

 ユリウス様がじっと私の顔を見る。取られたブルカはユリウス様の膝の上にあり、返してくれる様子はなさげだ。

「まず最初に、封印解除は私の掛けた記憶封印なら解くのは簡単です。指を鳴らせばすぐ解けます。だが、他人の掛けた封印を解くには、その人の意識の中に入り込み、その人の意識に同調しなければいけない。そして、記憶を閉じた封印の扉を探し当て、あなたの意識自身でその鎖を外すのです。私が出来るのは、意識を同調し、封印の扉を探すまでです」
「へぇ~」
「その、言いにくい事ですが……」
「? 何です?」
「私と意識を同調する際に、性行為にも似た快感が走ります」
「えっ!?」
「止めますか?」
「実際に致すわけじゃ、ないですよね?」
「当たり前です。そんな事しません」
「じゃ、いいです、やります」
「……本当に良いのですか!?」
「えっ? ……はい、仕方無いんですよね?」
「ええ、意識を同調するためには仕方無いですね」
「なら、はい。としか言えないんですが?」
「わ、……分かりました」

 ユリウス様は少し緊張していたみたいだった。
そのあと、個人椅子を向かい合わせにして、お互い椅子に座った。

「私の手に両手を乗せて、目を瞑って下さい」

 私は両手をユリウス様の両手に乗せて、目を閉じた。

「ゆっくり数を数えます。1から10まで数えたら、あなたは自分の意識の暗闇の中にいる。そこで、私が迎えに行くまで少し待ってて下さい」
「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。今あなたの周りは真っ暗だ」

 ユリウス様の声の言うとおり私は真っ暗な暗闇の中にいた。

「あなたのいる所に私は行きます。白い光の輝きが私です」

 暗闇の中、遠くから白い光がこちらに向かってやってきた。それは白い光に包まれ輝いているユリウス様だった。……しかも裸だ。

「ユリウス様、裸なんですけど?」
「意識体なのでそういう事になっていますが、本物の裸とは微妙に違いますから」
「そうなんだ?」
「ちなみに、アリア様も裸ですよ?」

 言われて自分の体を確認すると、素っ裸だった。

「どうやって服を着るの?」
「ここでは着れません、意識体なんで」
「恥ずかしいんですけど?」
「それは意識体で、偽の裸ですから、本当のアリア様の裸とは違いますよ」
「そう言われても……」
「他人の意識に入るというのは、結構精神力を使うんですよ。さっさとやってお終いにしてしまいましょう」
「あっ、申し訳ありませんでした」

 意識体のユリウス様が、意識体の私の身体を抱き寄せた。ぎゅっと力を込められた感覚まで伝わる。

「えっ、あのっ」
「こうやって、意識体同士をくっ付けて、お互い達すれば意識を同調させる事が出来ます。アリア様も私にくっ付いて下さい?」
「えっ、でも……」
「同調出来なければ、扉は見つかりませんよ? さぁ」

 私はユリウス様を抱きしめた。お互い抱き合うと凄く気持ちが良くなってきた。
まるで愛撫でもされているかのような感覚。
そうしてると、ユリウス様の下半身のあの部分が大きくなり、ユリウス様は立ったまま私を抱き上げお股にそれを挿入した。
痛みも何も無い、快感だけが広がる。

「あっ、何これ……?」
「ああ、アリア様、あなたは素敵だ。こんなにいいなんて」

 ユリウス様は腰を動かして私を突いた。

「ねぇ、ちょっと待って! これ、本当に意識を同調させる行為なの? 本当に? わたくし騙されてない!?」
「私は嘘など言ってませんよ。お互い意識体同士で達すれば、意識は同調されます。ほら、アリア様頑張って、イキましょう?」

 こんこんと突かれて段々気持ち良くなってしまった。このユリウス様が入れている穴はどこの穴なのか? さっぱり分からなかった。菊でもないし、蜜花でも無かった。不思議がっているとユリウス様が答えた。

「これは意識体ですから、菊も密花もありませんよ。ただ、あなたの体の中に挿入しているだけです。それだけで気持ちが良くなるんですよね、意識体ってのは」
「へ~」
「話をしていないで、感覚に身を任せて感じて下さい? じゃないと扉が見つけられない」

 私は頷いて、ユリウス様の動きに合わせて腰を動かした。
立ったままゆっさゆっさと揺らされて気持ち良かったけど、私はそこで腰を旋回させる。右に左に。

「アリア様!?」
「んっ、ふぁ……、気持ちいいぃよぅ……」

 ユリウス様は私を見えない暗闇の床に寝かせた。そして上に乗り、私の両足を持って無遠慮に責め立てる。

「んっ、んっ、ふっ、ああぁん、いぃいっ!」
「アリア様っ! ああ、意識体でもあなたとひとつになれるなんて、私には極上の喜びだ!」

 ユリウス様の唇が私の唇に触れた。意識体なのに唇の感触がある。
唇の感触は優しいのに、ユリウス様のそれは凶暴な獅子が荒れ狂うように私の中で猛っていた。

「んっ、あっ、きちゃう……、ユリウス様、イっちゃうっ……!!」
「そんな風に囁かれては、私も持ちませんよ……!」
「えっ、あっ、あぁ、んっんっ、ぁあああああああぅ、イくううっ!!」
「アリア様、私もだっ、くっ……!」

 二人で達するとユリウス様の白い光は少し青みを帯びた。私もその青みを帯びた光で包まれている。

「意識の同調が出来ましたよ」
「微妙に色が変わったかも」
「ええ」
「恥ずかしかった……」
「……私は嬉しかった。さぁ、扉を探しに行きましょう」
「はいっ」

 意識の暗闇の中をユリウス様と手を繋いで空でも飛ぶかのように飛んでいた。
ユリウス様は左手を前方に伸ばしていて、指先には青白い糸みたいな物がずっと先へ繋がっている。その先を追いかけているようだった。
暫く飛んでいると大きな扉の前に着いた。その木目調の扉には銀色の艶光した鎖が幾重にも巻きつけられていた。

「ここがアリア様の封印された記憶の扉。あの鎖を自分で引き千切り、扉を開けて中に入ると、失われた記憶は呼び戻されます。でも……本当に良いのですか?」

 私は頷いて扉の前の鎖に手を掛けた。

「わたくしの記憶……返せっ!」

 取り敢えず、手でがしがしと引っ張るとぽろりと一部が取れた。
手でも取れちゃう……、意外と脆いんだ?
そこから私は鎖を蹴ったり、パンチしたり、引っ張って、ぽいぽいと取れた鎖を放り投げた。最後の鎖のひとつが取れて、扉は勝手に開いた。
眩いばかりの光がそこから注ぎ、私が立ち尽くしているとユリウス様が叫んだ。

「今だっ! 入れっ!」

 私は思い切ってそこに飛び込んだ。
そして私は現実に戻った。





 目を開くと、私はユリウス様の両手に自分の両手を乗せていた。
その手がぷるぷると震える。
私は全て思い出してしまった……。
そして、既に後悔している。
思い出すんじゃなかったと……。
ユリウス様は私の異変にいち早く気付いた。

「どうしましたアリア様? 顔色が悪いですよ?」
「わ、わたくし……とんでもないことを……してしまった」
「ああ、あれは意識体を同調させる為ですから、気にする事じゃないですよ?」
「違うのっ!」

 私は頭を左右に振った。

「違う、違うっ! わたくしはっ……レイジェス様を裏切ってしまった! あの人を……愛してしまった……そんな馬鹿な? あの人を愛してる? わたくしが?」
「……アリア様?」
「許されない、許されない! 殺して! わたくしを今すぐ殺して!!」
「アリア様!? 大丈夫ですか? 落ち着いて下さい!」

 ユリウス様は私を抱きしめた。

「落ち着いて下さい、何があった? 貴方の過去に何があったんだ!?」
「わたくしは……レイジェス様を裏切った」
「レイジェスを……? どういう事だ?」
「レイジェス様がいるのに……他の人を愛してしまった……」
「!? そんな馬鹿な? ……あなたは誰を愛したと言うんですか……!?」
「……フェリシアン」
「フェリシアン? 誰だ……?」
「……フェリシアン=アルフォード公爵様……レイジェス様のお父様……」
「……レイジェスの父はもう亡くなったと聞いているが……?」
「わたくしは……酷い女です。ユリウス様、どうかわたくしを殺して……もう生きていたくない」
「何を言っているんです!? 正気に戻って下さい! アリア様!?」

 私はユリウス様に呼び掛けられながら意識が段々遠くなっていった。





 ぽぅっと青白い炎の光が自分の近くにいる。
私もピンクの炎の光になっていた。

『お前また来たのか。ここはそうそう何回も来るところじゃないぞ?』

「来ようと思って来た訳じゃないんです」

『自分の意識から逃げようとしたからここにいるんだぞ?』

「え? そうなの?」

『記憶の封印を解除してしまったんだろう? アズライルが止めておけと言ったのに、聞かないからこんな後悔する事になるんだ』

「だって、知りたかったんだもん……」

『レイジェスを裏切り、フェリシアンを愛し、記憶の封印を解く為に、意識体でユリウスと寝た。まったく酷い女だ』

「……うん。私、酷い」

『お上品ぶるのはやめたのか?』

「言葉遣いのこと? 止めた訳じゃなくて、素が出ただけ。これが私の素」

『素ねぇ……』

「ねぇ、あなた、9代目のナナシ様なんでしょ? 一緒に死のうとした女の人って誰? もしかして……べテル様なの?」

『……そうだ。べテル』

「べテル様の事、好きだったの?」

『そんなこと、もう忘れた』

 青白い炎のような光はすっと消えて行った。

「待って! 行かないで! 私を一人にしないで! どうしたらいいの……? 大切な人を裏切って、どうやって生きていけばいいのか、……わからないよ」





 私は手を伸ばした。それを握る暖かい手。
私が目を開くと、そこはお屋敷の寝室だった。
私の手を握っていたのはレイジェス様だった。

「どうしたリア!? 一体何があった? ユリウスから連絡があり、いきなり君が倒れたと聞かされた。……しかも、ユリウスの屋敷で……一体何が?」
「あっ、あっ、ご、ご、ごめんなさいい! ごめんなさいいいいっ! 許してっ!許してええええっ! ああああっ! うっ、ひっぐ、ううううっ!」

 私の心の中はぐちゃぐちゃだった。
裏切った! 裏切った! 大切な人を! レイジェス様を!
フェリシアンを愛してた! きっとそう、あの感情はそう! 私はフェリシアンの事を好きだった! 愛してた! レイジェス様がいるのに、それだけじゃない!
記憶を取り返す為に、ユリウス様にキスをした! また裏切った!
意識体で厭らしい事をした! あんなの性行為と一緒だ! 気持ちよかった!
良くって達した! ……達した。
レイジェス様じゃないのに……。

「うあああああっ! うっ、うっ、レイジェス様! レイジェス様!」
「どうした? どうしたんだリア!?」
「わたくしを……殺して! わたくしはレイジェス様を裏切った! 酷いの! 許しちゃダメっ! 殺してえええええっ!!」

『アリア様、眠りなさい……』

 声がした方を振り向くと、ユリウス様が寝台脇に立っていた。

『落ち着いて、あなたに安らかな眠りを……』

 ユリウス様の手が、私の両目を閉じさせた。
そこから安らかな空気の流れが出来て、私は眠った。

「わたくしを……許さないで……」

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