身代わりにと差し出された悪役令嬢は上主である、公爵様に可愛がられて~私は貴方のモノにはなれません~

一ノ瀬 彩音

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だから、私は、レリオ様を信じようと思った。
だが、次の言葉で、私は絶望する事になる。
「そして、ミラ様、貴女がどうしても信じたいと言うのですから、今日の舞踏会で踊った後こう言いなさい、「婚約破棄させて頂きます」と、さすれば、本当の公爵様が御分かりになるでしょう?」
と言われたので思わず聞き返す。
「どういう事ですか?」
すると彼は笑って言いました。
「簡単な事ですよ、今から行われるのはただの余興に過ぎないのですよ、つまり、これは単なる茶番劇なのですよ、ですから、
何も心配する必要はありませんし気に病む必要もありません」
にっこりと微笑まれて執事の彼は去って行った。
私は悶々と気持ちが晴れぬまま、会場入りする事ととなるのでした。
私は今、馬車に揺られながら目的地へと向かっています。
公爵レリオ様の婚約者と成ってから、久々の舞踏会です。
正直憂鬱でした。
しかし、これも全て自分の為だと言い聞かせながら気合いを入れ直す事にしました。
(よし! 頑張るぞ!)
私は心の中で自分を鼓舞して何とか奮起させる。
そして到着しました。
そこは大きな屋敷でした。
中に入ると大勢の人達が集まっており盛大な拍手と共に出迎えられました。
そして、早速挨拶回りをする事になったのですが、まずは最初に挨拶をすることになりました。
相手はなんとこの国の王子様でした。
王子と言っても既に結婚しており子供もいるので正確には王弟殿下というべきでしょうか?
とにかく偉い人なので緊張します。
しかも、よく見ると隣には美しい女性が寄り添っていて仲睦まじくしているではありませんか?
「初めまして、僕は、第一王子のアレンだ宜しく頼むよ」
そう言って握手を求めてきたので私もそれに応えるように手を握り返す。
すると突然後ろから誰かに抱きつかれる感覚があり驚いて振り向くとそこにいたのは見覚えのある人物だった。
その人物とは先日出会ったばかりの男爵家のご子息だったのです。
(何でこんなところにいるのかしら? )
「お久しぶりです、ミラ様」
と、馴れ馴れしく話しかけられるが、はっきり言って迷惑でしかない。
私は無視して立ち去ろうとするが、腕を掴まれる。
振り払おうとするが、びくともしない。
それどころか更に強く握られる始末である。
そのまま強引に引き寄せられると、耳元で囁かれた。
「おいおい、無視すんなよ、つれねぇなぁ」
言われたので、私は、キッと睨みつけると、彼は怯んだように一歩後退りをした。
私は、構わずその場を後にすると、今度は別の男性に声をかけられました。
見るとそれは、先程お会いした。
第二王子のお付きの者でしたが、何やら様子がおかしいようです。
まるで何かに怯えているかのように身体を震わせていました。
どうしたのかと思い声をかけようとしたら、その前に向こうから話しかけてきました。
「あ、あの、私、レリオ様に頼まれて伝言を伝えに来ました」
と言って手紙を渡されました。
その内容を見て私は驚きました。
何故ならそれは、レリオ様からのお誘いの手紙だったからです。
私は戸惑いながらも了承しました。
その後、レリオ様と合流し、二人で踊る事になりました。
曲が流れ始め、私は、レリオ様の手に引かれながら踊り始める。
レリオ様は、私を見つめてきます。
「綺麗だよ、ミラ」
「ありがとうございます」
「緊張してるのか?」
と言われましたが正直に答える訳にもいかないので適当に誤魔化しておくことにしましょう。
何を思ったのか急にこんな事を言い出したのです。
次の瞬間には手を引かれ抱きしめられてしまったのです。
突然の事で驚いたのですがそれ以上に嬉しかったのです。
何せ憧れの方に触れられているのですから当然でしょう?
「嬉しいかい?」
と言われるので、私は頷きました。
執事に言われた事を思い出し勇気を出します。
「こ、」
「こ?」
「……」
しかし、いざとなると言葉が出てこない。
でも言わなければいけませんよね?
意を決して言おうとすると、それを遮ってレリオ様が口を開きました。
どうやら私が言おうとした事が分かったみたいです。
流石ですね、尊敬致しますわ♪
でも今はそれどころではありませんね。
だって、雰囲気がいつもと違うのですから……。
「少し失礼するよ、ミラ嬢おいで」
そう言うと私を抱きかかえて何処かへと連れて行かれたのであった……。
しばらくして降ろされた場所はバルコニーでした……。
そこには先客が居りましたが、その方は私と目が合うなり近づいて公爵を見ると
「おお、こわ、女性が見たら、泣くぞ、レリオ様」
彼はいつも、公爵と仲良さそうにしていた男性だった。
「すまない、フィオ、予想外の事態になってね、人避けを頼めるかな」
「あいよ、泣かすよ」
そう言うなりバルコニーの扉から出ると戸を閉めるのでした。
溜息を付くと、レリオ様はこう呟かれるのです。
「で、婚約破棄がしたいって意味であっているかな? ミラ・フィルドール?」
そう問われて私は思わず動揺してしまい、慌てて否定しようとしましたが、レリオ様は、私の顎を持ち上げると、じっと目を見つめられたので、
私は、ドキドキしながら見つめ返していると、不意に、唇を奪われてしまいました。
初めてのキスに驚いていると、舌を入れられて絡め取られてしまいました。
「俺も、こんな小娘に、何時間食っているんだか? 随分と、舐めた真似をしてくれたものだ」
と、冷たい声で言われてしまいました。
どうやら怒っているようです。
ですが、私には、その理由が分かりません。
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