身代わりにと差し出された悪役令嬢は上主である、公爵様に可愛がられて~私は貴方のモノにはなれません~

一ノ瀬 彩音

文字の大きさ
16 / 24

16.

しおりを挟む
(ちょ、ちょっと待ってよぉぉおお!)
心の中で絶叫するが当然ながら止まるはずもなく、結局、目的地に到着するまでの間、ずっと揺さぶられ続けたせいで気分が悪くなって
しまい、到着した時にはフラフラになっていた。
「さあ着いたぞ」
そう言われて顔を上げるとそこは立派なお屋敷の前であった。
(ここってもしかしてレリオ様のお屋敷なんじゃ……?)
そう思っていると案の定、その通りだったようで中に入るように促されたので大人しく従うことにする。
案内されたのは応接室のような部屋でソファーに座るよう言われたので言われた通りにする事にした。
「どうぞ、お飲みください」
そう言って差し出された紅茶を飲んで一息つくとようやく落ち着いたような気がした。
すると今度はお腹が空いてきたような気がしてきたので目の前のテーブルに並べられた料理に手をつけてみることにする。
(うわぁ、美味しいなぁ、こんなに豪華な食事は初めてだよ)
そう思いながら夢中になって食べているとあっという間に平らげてしまっていた。
「ごちそうさまでした!」
満足感に浸りながらお腹をさすっていると不意に視線を感じて顔を上げるとそこにはこちらを見つめている彼の姿があった。
その視線はまるで獲物を狙う肉食獣のようにギラギラとしており思わず身震いしてしまうほどであった。
恐怖を感じた私は慌てて目を逸らすとそそくさと退散することにしたのだがなぜか呼び止められてしまったため
仕方なく立ち止まることになった。
「待ちたまえ、どこへ行くつもりだ?」
そう言われて振り向くと彼はこちらに近づいてきており、目の前まで来ると見下ろしてきたため威圧感を感じずにはいられなかった。
(うぅ、怖いよぉ、どうしてこんなことになっちゃったんだろ……?)
そんなことを考えていると突然、顎を掴まれたかと思うと強引に顔を上げさせられたため痛みに顔を顰める。
だが、そんなことはお構いなしといった様子でじっと見つめられると恥ずかしさが込み上げてきて顔を背けようとしたが
許してもらえなかったため諦めるしかなかった。
しばらくすると満足したのか手を離してくれたのでホッとした次の瞬間、いきなり抱き寄せられると耳元で囁かれたのである。
「俺のものになれ」
その言葉に背筋がゾクッとするのを感じた私は慌てて離れようとしたものの拘束を解くことができずにいた。
その間も何度も繰り返し言われ続けるうちに段々と頭がボーッとしてきて何も考えられなくなると無意識のうちに頷いてしまっていた。
それを見た彼がニヤリと笑みを浮かべたのを見て我に返った時には既に手遅れであり、完全に堕ちてしまっていたのだと
悟った時にはもう手遅れだったのだ。
こうして、私は彼のものにされてしまったのである。
それからというもの毎日のように求められ続け、ついには私の身体はすっかり開発されきってしまい、
今では彼に抱かれないと 落ち着かない身体になってしまったほどだ。
そして今日もまたいつものように激しく責められた後で気を失うように眠りについたのだった。
翌朝、目を覚ますと隣には既に誰もいなかったため起き上がると服を着て部屋から出ることにする。
しかし、そこで違和感を覚えることになる。
それは何故かと言うといつもなら使用人達が出迎えてくれるはずなのに今日はそれがなかったからだ。
(変だな、何かあったのかな?)
不思議に思いつつもとりあえず食堂に向かうことにすると途中でメイド達とすれ違ったのだが、やはりと言うべきか皆、忙しそうにしており、
私に構っている余裕などないといった感じで通り過ぎて行ってしまったのだ。
「おはようございますお嬢様」
そんなことを考えていたら後ろから声をかけられたため振り返るとそこにいたのは執事長のアルバートさんであった。
彼は私が生まれる前からこの家に仕えており、私にとって父親代わりの存在でもある人物だ。
そのため幼い頃からお世話になっており、とても信頼している人物である。
「おや、お嬢様、こんなところで何をなさっているのですか? もうすぐ旦那様がいらっしゃる時間になりますよ?」
その言葉に時計を見ると確かにそろそろ準備をしなければならない時間帯だったので急いで部屋に戻ることにしたのだった。
部屋に戻って支度をしているとノックの音が聞こえてくると同時に扉が開いたためそちらに目を向けるとそこに立っていた。
「レリオ様、ようこそいらっしゃいました」
そう言いながら頭を下げるとその相手は満足そうに微笑みながら言った。
「やあ、久しぶりだね、元気にしていたかい? 子猫ちゃん」
その呼び方にムッとするものの、ここで機嫌を損ねてはいけないと思い我慢していると、いつの間にか目の前に来ていたらしい
彼の手が伸びてきて顎を持ち上げられたと思ったら顔を覗き込まれていた。
「ふむ、顔色も良さそうだし体調の方も問題なさそうだな、安心したよ」
そう言って微笑む姿はまさに王子様のようで見惚れているとふいに顔が近づいてきて唇を奪われたことで
我に帰ると慌てて抵抗しようとするが無駄だったようでそのまま押し倒されてしまった。
「きゃっ!?」
悲鳴を上げながら倒れるとその上に覆い被さってきたため身動きが取れなくなってしまった。
私は必死に抵抗するのだがびくともしないどころかどんどん強くなっていく一方で息苦しくなってきたところで
ようやく解放された頃にはすっかり力が抜けてしまっていてされるがままの状態になっていた。
「はぁ……はぁ……」
肩で息をしていると今度は首筋に吸い付かれてチクリとした痛みを感じたがそれすらも快感へと変わっていき、次第に身体が熱くなってきた気がした。
(どうしよう、このままじゃおかしくなっちゃうよぅ)
そう思った時だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

第二王子の婚約者候補になりましたが、専属護衛騎士が好みのタイプで困ります!

春浦ディスコ
恋愛
王城でのガーデンパーティーに参加した伯爵令嬢のシャルロットは第二王子の婚約者候補に選ばれる。 それが気に食わないもう一人の婚約者候補にビンタされると、騎士が助けてくれて……。 第二王子の婚約者候補になったシャルロットが堅物な専属護衛騎士のアランと両片思いを経たのちに溺愛されるお話。 前作「婚活に失敗したら第四王子の家庭教師になりました」と同じ世界観ですが、単品でお読みいただけます。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

塩対応の婚約者を置いて旅に出たら、捨てたはずの王子がついてきた

のじか
恋愛
「エリアス様、どうか私を抱いてください……!」 婚約者であるエリアス王子に恋い焦がれる公爵令嬢、ルーチェはキスの瞬間に前世の記憶を思い出した。自分は乙女ゲームの悪役令嬢で、エリアス王子はチョロい攻略対象。「私には塩対応なのに、ヒロインにはチョロいんだ……」自身の運命に失望したルーチェはエリアスを置いて、ゲームのストーリーから逃れるために豪華クルーズ船での旅に出ることにした。しかし優雅な船旅のはずが、なぜかエリアスが先に乗り込んで、その上ルーチェのスイートルームに滞在している。「君が捨てても、僕はついていく」いままでそっけなかったのに急にどういうつもりだと戸惑うルーチェだが、船は出航し、強制的にスイートルームでの婚前旅行が始まってしまう。なんとか距離を取ろうとするルーチェだが、エリアスはぐいぐい執着してきて……。元サヤハッピーエンドものです。忘れなければRシーンに☆をつけます。ムーンライトノベルズさんで先行公開中です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

処理中です...