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「あれ……。ここは何処なのかしら」
目が覚めると私は見知らぬ部屋にいた。
目の前に鏡があってそこには若い時の私の姿が映っていたの。
しかし少し違和感があり、何故か裸体だった。
よく見ると私は全身傷だらけでボロ布のような服を着せられていたのです。
「やっと起きたか、ルミア」
「私はあなたのモノではありませんわ!
一体どういうつもりなの!  酷いじゃない!
私の意思を無視してこのような行為をするのは間違っておりますわ! 」
私は激高すると詰め寄ろうとした。
すると彼は冷たく見下ろされていた。
私はその視線にたじろぐと黙ってしまった。
そしてしばらく沈黙の時間が流れた後、彼の方がその重い口を開いたの。
「本当にすまなかったと思っている。
謝っても許してもらえるとは思ってはいない。
ただ、後悔だけはしていない」
そう言ったきり目を合わせようとすらしなかったのよ!
私は思わず感情的になって、
「出て行ってくださいまし!!!」
「お前が望むのならばもうここには来ないし連絡もしないようにしよう。今まで世話になったな。それでは」
と言い残して出て行く。
最後に振り返って微笑を浮かべていた気がするがそんなことはどうでもいい。
一刻も早く追い出して鍵を掛けてやりたいと思っていたのであるからして。
私は怒りに任せて部屋の物を乱雑にひっくり返していたがしばらくして冷静になりだすと、
だんだん落ち込んできたの。
そうして、私は余りにも王太子に酷い事をしたような気がするので王太子がいる部屋へと向かうのです。
「失礼しますわ」
「……」
彼は冷たい瞳でこちらを見つめ返してくるだけだった。
「その……さっきはすみませんでしたわ。少し頭に来てしまっていて……。
反省しておりますわ。どうかご容赦願いますわ」
私は恐縮して謝罪したものの反応は無い。
当然だと思う。きっと王太子の心は折れてしまっているに違いない。
それを思うだけで心が締め付けられる気持ちになると同時に私は自分の罪の大きさを知ってしまうのでした。
このままにしておいては取り返しがつかなくなると感じた私はもう一度謝罪することにしたわ。
「その……王太子が不快に思われているのは分かりますが、ここまでにした方が良いと思いますの。
とにかくまずは落ち着いて話し合いましょう。お願いいただけませんか?」
私は誠意を込めて告げましたのよ。
彼はゆっくりと私の元へ歩いてくる。
そして私を抱き寄せるとその唇を重ねてきたのですわ。
私は必死に抵抗してその場から離れようとするのですけど体格差がある上に薬の効力に
よってまともに動くことが出来ないまま一方的に蹂躙されるような形で彼に抱かれてしまいましたの。
「な、何をするつもりなの?  やめて頂戴!」
私は必死に叫んでいましたがまるで無視されてそのまま乱暴に衣服を剥ぎ取られてしまいましたわ。
それからの事はほとんど覚えていないわ。
ただ私の中で得体の知れないものが溢れかえってきているということだけが感じ取れたのよ。
私は涙を流しながら懇願してみた。
「お……王太子様。もうこれくらいで勘弁して下さいませ。
もう十分に辱しめを受けましたわ。
もしあなたがお望みであれば私の方からお断り致したいと考えておりましたのに」
「まあいいだろう。今日のところはこれで止めといてやる。だが次からは容赦なく行くからな」
彼はあっさりと私の上からどいていくと今度は背中を向けた。
私は安心してしまったのもあって暫く寝転んでいたけれどやがて立ち上がって
彼を追いかけていったらいきなり後ろから抱きつかれたの。
そして耳元で囁かれる。
「なあルミア。お前は俺のものだ。誰のことも好きにはならないし俺のことしか考えなくていいんだぞ?」
ああ駄目。そんなの絶対にいけないんですのよ。私は決して彼を拒まない。でも本音は嫌なんですの。
どうしてこんな事に!  助けて誰か!  ああ。これは夢なんだ。
私はまたあの時に戻れるんだ。私はまだやれそうなんだ。
だけどやっぱり上手くいかない。
彼は私に執拗に執着してくるの。もう無理なのよ。私はこの世界そのものに嫌われてるの。
私は絶望的な気分で今日もまた身支度を始める。
そして部屋にはノック音が響き渡る。
彼が来たの。
「おはようございますわ王太子」
私は丁寧に挨拶をしたの。
そうすれば彼はこう言ってくる。
「ああ。お早うルミア。昨夜は良く眠れたか? ほお……随分と肌艶が良いみたいだが何かあったのかな?」
そう言って楽しそうに見下ろしてきて私は背筋に寒気が走ったわ。
彼は最近私に対して変な態度をとるようになっていたのよ!
いつもより饒舌だしどこか威圧感を感じる表情をするのだわ!
前はあんな人じゃ無かった。
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