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14話*特等席
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慣れた山を車で上がると『蒼穹』の看板を通り過ぎ、少し先にあるペンション村へと入る。紅葉を散らす並木道と県外ナンバーの車が並ぶ数軒のペンションを横目に高台を目指せば、人気どころか廃墟と化している『天空の休憩所』へと辿り着いた。車から降りた二人は変わり果てた洋館を物悲しそうに見上げる。
「……ノアは最後来たのいつ?」
「開業前だな。アオが鍵を持っているとは驚いた」
「叔父さんがくれたの。再会した日に私は入れなかったけど、ノアが一緒ならって……埃だらけで天敵かもしれないけど」
「心配しすぎだ。さっさと行くぞ、愚か者」
マスクをしたノアが笑いながら先を歩く。それだけで張り付いていた足が動いた葵もマスクをすると鍵を開けた。建て付けが悪くなっているだけで扉も鈍い音を立てながら開き、室内を薄暮が照らす。
殆どの物は震災や閉業の際に片付け、家具しか残っていない。その家具も年月と雨漏りで傷み腐っているが、額縁の日焼け跡、葵が傷を付け豪華な料理が並んでいたテーブル、凍える寒さを癒した暖炉やお風呂。さらに軋む階段を上がり『蒼穹』を見下ろせる屋根裏部屋へ入れば布団のない板張りのベッド、使い古したテーブル。廃れても使っていた光景が蘇る。
「一度しか来ていないのに案外覚えているものだな……アオ?」
空になった棚を撫でていたノアは窓の外を眺める葵の背に声をかけるが返答はない。ゆっくり歩いても音が鳴る床を他所に近付いたノアは肩が震えていることに気付いたのか、そっと腰に腕を回し抱きしめた。次第に震えが伝わり静寂のなかに啜り泣く声が響く。
「アオは俺の前だと泣き虫だな」
「っ……」
耳元でくすくす笑いながら汚れた窓には映らない涙を手で拭われる。それでも止まらないのは、たった数年の夏休みが葵の心に根強く残っているからだ。
泊まりに行く前日は胸が躍り、笑顔で迎えてくれた祖母と叔母、昼と夜で違う顔を見せる自然、食べたことのない料理を作ってくれる叔父、身体の芯まで温める温泉、ペンションと共に在り続けてくれた巨木。葵が自暴自棄にならなかったのは陰鬱な家の出来事を温情あふれるもてなしで忘れさせてくれた『天空』のおかげだろう。
マスクを外し、口元まで流れた涙をハンカチで拭う葵に対してノアは素っ気なく問うた。
「おい、思い出の中に俺も入ってるだろうな?」
「っ……あ、あれは一時の思い出っン!?」
割り込まれる巨木での出来事に肩を揺らすと、マスクを外した唇に口付けられる。挿し込まれた舌は荒々しく、服越しに胸を揉む手も強い。不満の目に葵は青菜に塩状態だ。
「ご、ごめんなさい……」
「まったく、俺はアオに会うため『天空』に来て添い遂げたいとも思ったのに」
「わーわーっ! 卑猥な思い出を足さないで!!」
「愚か者め。そう言われると尚更染めたくなる……ほら」
「ひゃっ!」
鼻を噛まれるとスカートに何かが当たる。視線を落とせば着物の隙間から取り出された肉棒。涙も引っ込んだ葵は躊躇うが『しゃぶれ』と囁く声にお腹の奥が疼いた。はじめてのデートに対して何度シたかわからない行為。調教された身体が中腰になると鞄を下ろし、聳え勃つ肉棒を両手で握るとひと舐めする。
「っ……!」
呻きと共に亀頭から唾液とは違う汁が滲む。それを舐め回しながら棒と袋を撫でるが、増える汁に口を開けると咥え込んだ。
「っあ、はあ……アオ……っ」
のけ反りと喜悦の声に葵も高揚するとゆっくりだった吸い付きを速くしながら両手で棒を擦る。
「っはあ……っく、アオ……そのまま顔を上げろ……そう」
卑猥な音を響かせながら視線を上げれば、夕日か興奮かわからないほど頬を赤めたノアが携帯を向けていた。音がしないのを察するに動画だろう。
「っん……へんひゃい」
「やめないアオも同類だ」
意地悪く笑われるとやめたくなるが、残念なことに口が離れようとしない。むしろ火口よりも魅力的で官能な眼差しに肉棒を吸い上げた。
「っあ、ああ……アオっそれ、は……っ!」
「んんん゛ん゛ン~~っ!!!」
のけ反ったノアに頭を掴まれると根元まで咥え込まされた挙げ句、腰を振られる。喉奥を突きながら放出された熱に目を瞠ると肉棒が抜かれ、なんとも言えない味を呑み干した。そんな蕩けた表情で白濁を落とす葵を撮影していたノアは吐息と汗を滲ませながら舌舐めずりする。
「アオ……かわいい」
「ぜっはいウソ……」
息を切らしながら睨む葵を立たせたノアは笑いながら脱いだ羽織をベッドに投げ捨てると口付ける。白濁を奪おうとする舌に葵も舌で抵抗するが、彼の携帯を手渡されたことに意識を逸らされた。
「へ?」
「交代だ」
「へ……ひゃっ!?」
呆けている間に屈んだノアがスカートを捲し上げるばかりかショーツ底をズラし秘部にしゃぶりつく。予想外のことに千鳥足になる身体を支えるように壁に背を預ける葵だったが、いっそう股座に埋まり、蜜を吸い上げられた。
「っああ……ノ、アっ……!」
「んっ……さっきのお返しだ。ココも撮ればよかったな」
「バっあああぁぁ!」
既に濡れきっているナカに指が三本挿し込まれ不規則に動く。痛みよりも快楽に何度ものけ反っては蜜を零す葵は震える手で動画モードの携帯を向けた。画面には黒の頭髪。だが、視線が合えば舌と秘部を糸で繋ぎながら笑う姿が映った。
「今の俺、んくっ……どんな顔してる?」
「っあ……ん、う、うれひそっ……ああぁ」
「正解」
「ひああぁあ!」
長い指先に最奥を掻き回された身体が大きく震えると潮が噴き出す。ノアを濡らすだけでなく、雨漏りとは異なる蜜池を作ったなど知る由もない葵は膝から崩れ落ちた。
「おっと……イったアオもかわいいな」
「撮らないへ……」
腕で支えたノアは肩で息をする葵を愉し気に撮影する。力ない両手を振っても空振るほど達しているとベッドに敷かれた羽織の上に寝転がされ、持ち上げられた腰と愛液を零す秘部に硬いモノが宛てがわれた。
「もぅ……されたら私……運転できない」
「その時は麦野に迎えにきてもらおう。五分もかからないし、そのまま風呂で続きをするのもいい」
「あぅ……」
話している間に亀頭が挿し込まれ、蜜が落ちる。浅い呼吸を繰り返しながら見上げた先には夕日が掛かる碧色の瞳。その瞳孔の奥に宿るのは自分と欲情。
「アオ……『天空』でシたかった俺の願いを叶えろ」
「……我儘」
互いに皮肉った言い方だが口元は笑っている。それが合図となり、ぐっと腰を引き寄せられると深く挿入された。
「っああああぁン!」
「はあ……簡単に奥まで入れさせるとは……アオも『天空』でシたかったんじゃないか」
「そんなわけ……あン、ああぁっ、なぃンああぁ!」
「ウソつけ」
腰を持ったまま立ち上がったノアは抽迭を速める。下半身が宙に浮いたまま突かれる激しさに羽織を握った葵は首を横に振った。
「あぁ……それダメ……すぐイっひゃう……まだイひたくないぃンああぁ」
「嬉しいこと言ってくれるな……っと」
「ああぁ……!」
矛盾してしまうのは快楽に溺れはじめた証拠。それをよく知るノアに両脚が肩に当たるほど屈曲させられると、大きな肉棒が自分のナカを出たり入ったりする卑猥な様をゆっくりと見せつけられる。
「あぁ……ノアの大きの……っはあ、私のナカにン……食べられて」
「確かに……アオは誘惑ばかりだ」
「ひあっ!」
くすくす笑いながら葵の上着を捲ったノアは下着からはみ出し、自身のモノほど勃ち上がった乳房にしゃぶりつく。身動いでも羽交い締めに等しいため敵わないばかりか、崩れた髪から抜かれた簪の先端で反対の実を擦られた。
「ああぁ!」
「んっ、はぁ……この体勢は特等席だな……奥まで挿入れて柔らかい実も食べられる……なにより、イってるアオの顔がよく見える」
簪の隙間に挟み持ち上げた実を舐めながら、何度も達して蕩けた葵を見上げるノアは満足そうに笑う。次第に抽迭の激しが増し、結合部から愛液が止めどなく溢れた。
「っはああぁノアんんんン」
愉悦に喘ぎ、彼の名を呼ぶ唇が唇で塞がれると快楽が増幅する。自然と両手がノアの首に回れば身も心も繋がり、最奥で放出された熱が全身を巡った。
真っ白になった頭が徐々に色を成すと、肩に顔を埋めているノアに頬擦りする。同じように汗ばんでいる黒髪の間から碧色の瞳が覗き、顔を寄せられると口付けた。
「んっ……はあ……夢、叶った……?」
「ああ……本当はチヨ婆がいる時にシたかっだだだ!」
減らず口の頬を手で引っ張る。祖母や叔母夫婦が一階にいる時に……など、考えるだけで恥ずかしい反面、ナカが蠢動した。
「ひゃっ!」
「っは……アオ。今、想像しただろ? チヨ婆から隠れてシているところ」
「し、してなあぁ……ン」
必死に誤魔化そうとしても、いまだ抜かれていない肉棒を締め付けてしまうせいで嘘だとバレてしまう。ニヤニヤ笑うノアから視線を逸らすと耳に小さなキスが落ちた。
「ひゃうっ!」
「んっ……まあ、それはもう出来ないが報告には行くか」
「報告……あ」
舐められた耳を押さえながら考え込んだ葵は意図を察する。既に祖母の四十九日と納骨は終えたが『蒼穹』がシーズンど真ん中なのもあり、墓参りに行けていないのだ。
「そろそろ無事会えたこと、付き合ってることをチヨ婆に言わないと化けて出そうだ」
「……言ったら言ったで、お喋りのネタにされそう」
すぐに想像出来たのか、互いに笑うと再び口付け、何度目かの絶頂へと向かう。
“おまじない”を伝授し、葵とノアを救った偉大な魔法使いの休憩所は寂れても幸福と癒しを与えた。耐えきれなかったベッドに穴を開けた新しい思い出と共に──。
「……ノアは最後来たのいつ?」
「開業前だな。アオが鍵を持っているとは驚いた」
「叔父さんがくれたの。再会した日に私は入れなかったけど、ノアが一緒ならって……埃だらけで天敵かもしれないけど」
「心配しすぎだ。さっさと行くぞ、愚か者」
マスクをしたノアが笑いながら先を歩く。それだけで張り付いていた足が動いた葵もマスクをすると鍵を開けた。建て付けが悪くなっているだけで扉も鈍い音を立てながら開き、室内を薄暮が照らす。
殆どの物は震災や閉業の際に片付け、家具しか残っていない。その家具も年月と雨漏りで傷み腐っているが、額縁の日焼け跡、葵が傷を付け豪華な料理が並んでいたテーブル、凍える寒さを癒した暖炉やお風呂。さらに軋む階段を上がり『蒼穹』を見下ろせる屋根裏部屋へ入れば布団のない板張りのベッド、使い古したテーブル。廃れても使っていた光景が蘇る。
「一度しか来ていないのに案外覚えているものだな……アオ?」
空になった棚を撫でていたノアは窓の外を眺める葵の背に声をかけるが返答はない。ゆっくり歩いても音が鳴る床を他所に近付いたノアは肩が震えていることに気付いたのか、そっと腰に腕を回し抱きしめた。次第に震えが伝わり静寂のなかに啜り泣く声が響く。
「アオは俺の前だと泣き虫だな」
「っ……」
耳元でくすくす笑いながら汚れた窓には映らない涙を手で拭われる。それでも止まらないのは、たった数年の夏休みが葵の心に根強く残っているからだ。
泊まりに行く前日は胸が躍り、笑顔で迎えてくれた祖母と叔母、昼と夜で違う顔を見せる自然、食べたことのない料理を作ってくれる叔父、身体の芯まで温める温泉、ペンションと共に在り続けてくれた巨木。葵が自暴自棄にならなかったのは陰鬱な家の出来事を温情あふれるもてなしで忘れさせてくれた『天空』のおかげだろう。
マスクを外し、口元まで流れた涙をハンカチで拭う葵に対してノアは素っ気なく問うた。
「おい、思い出の中に俺も入ってるだろうな?」
「っ……あ、あれは一時の思い出っン!?」
割り込まれる巨木での出来事に肩を揺らすと、マスクを外した唇に口付けられる。挿し込まれた舌は荒々しく、服越しに胸を揉む手も強い。不満の目に葵は青菜に塩状態だ。
「ご、ごめんなさい……」
「まったく、俺はアオに会うため『天空』に来て添い遂げたいとも思ったのに」
「わーわーっ! 卑猥な思い出を足さないで!!」
「愚か者め。そう言われると尚更染めたくなる……ほら」
「ひゃっ!」
鼻を噛まれるとスカートに何かが当たる。視線を落とせば着物の隙間から取り出された肉棒。涙も引っ込んだ葵は躊躇うが『しゃぶれ』と囁く声にお腹の奥が疼いた。はじめてのデートに対して何度シたかわからない行為。調教された身体が中腰になると鞄を下ろし、聳え勃つ肉棒を両手で握るとひと舐めする。
「っ……!」
呻きと共に亀頭から唾液とは違う汁が滲む。それを舐め回しながら棒と袋を撫でるが、増える汁に口を開けると咥え込んだ。
「っあ、はあ……アオ……っ」
のけ反りと喜悦の声に葵も高揚するとゆっくりだった吸い付きを速くしながら両手で棒を擦る。
「っはあ……っく、アオ……そのまま顔を上げろ……そう」
卑猥な音を響かせながら視線を上げれば、夕日か興奮かわからないほど頬を赤めたノアが携帯を向けていた。音がしないのを察するに動画だろう。
「っん……へんひゃい」
「やめないアオも同類だ」
意地悪く笑われるとやめたくなるが、残念なことに口が離れようとしない。むしろ火口よりも魅力的で官能な眼差しに肉棒を吸い上げた。
「っあ、ああ……アオっそれ、は……っ!」
「んんん゛ん゛ン~~っ!!!」
のけ反ったノアに頭を掴まれると根元まで咥え込まされた挙げ句、腰を振られる。喉奥を突きながら放出された熱に目を瞠ると肉棒が抜かれ、なんとも言えない味を呑み干した。そんな蕩けた表情で白濁を落とす葵を撮影していたノアは吐息と汗を滲ませながら舌舐めずりする。
「アオ……かわいい」
「ぜっはいウソ……」
息を切らしながら睨む葵を立たせたノアは笑いながら脱いだ羽織をベッドに投げ捨てると口付ける。白濁を奪おうとする舌に葵も舌で抵抗するが、彼の携帯を手渡されたことに意識を逸らされた。
「へ?」
「交代だ」
「へ……ひゃっ!?」
呆けている間に屈んだノアがスカートを捲し上げるばかりかショーツ底をズラし秘部にしゃぶりつく。予想外のことに千鳥足になる身体を支えるように壁に背を預ける葵だったが、いっそう股座に埋まり、蜜を吸い上げられた。
「っああ……ノ、アっ……!」
「んっ……さっきのお返しだ。ココも撮ればよかったな」
「バっあああぁぁ!」
既に濡れきっているナカに指が三本挿し込まれ不規則に動く。痛みよりも快楽に何度ものけ反っては蜜を零す葵は震える手で動画モードの携帯を向けた。画面には黒の頭髪。だが、視線が合えば舌と秘部を糸で繋ぎながら笑う姿が映った。
「今の俺、んくっ……どんな顔してる?」
「っあ……ん、う、うれひそっ……ああぁ」
「正解」
「ひああぁあ!」
長い指先に最奥を掻き回された身体が大きく震えると潮が噴き出す。ノアを濡らすだけでなく、雨漏りとは異なる蜜池を作ったなど知る由もない葵は膝から崩れ落ちた。
「おっと……イったアオもかわいいな」
「撮らないへ……」
腕で支えたノアは肩で息をする葵を愉し気に撮影する。力ない両手を振っても空振るほど達しているとベッドに敷かれた羽織の上に寝転がされ、持ち上げられた腰と愛液を零す秘部に硬いモノが宛てがわれた。
「もぅ……されたら私……運転できない」
「その時は麦野に迎えにきてもらおう。五分もかからないし、そのまま風呂で続きをするのもいい」
「あぅ……」
話している間に亀頭が挿し込まれ、蜜が落ちる。浅い呼吸を繰り返しながら見上げた先には夕日が掛かる碧色の瞳。その瞳孔の奥に宿るのは自分と欲情。
「アオ……『天空』でシたかった俺の願いを叶えろ」
「……我儘」
互いに皮肉った言い方だが口元は笑っている。それが合図となり、ぐっと腰を引き寄せられると深く挿入された。
「っああああぁン!」
「はあ……簡単に奥まで入れさせるとは……アオも『天空』でシたかったんじゃないか」
「そんなわけ……あン、ああぁっ、なぃンああぁ!」
「ウソつけ」
腰を持ったまま立ち上がったノアは抽迭を速める。下半身が宙に浮いたまま突かれる激しさに羽織を握った葵は首を横に振った。
「あぁ……それダメ……すぐイっひゃう……まだイひたくないぃンああぁ」
「嬉しいこと言ってくれるな……っと」
「ああぁ……!」
矛盾してしまうのは快楽に溺れはじめた証拠。それをよく知るノアに両脚が肩に当たるほど屈曲させられると、大きな肉棒が自分のナカを出たり入ったりする卑猥な様をゆっくりと見せつけられる。
「あぁ……ノアの大きの……っはあ、私のナカにン……食べられて」
「確かに……アオは誘惑ばかりだ」
「ひあっ!」
くすくす笑いながら葵の上着を捲ったノアは下着からはみ出し、自身のモノほど勃ち上がった乳房にしゃぶりつく。身動いでも羽交い締めに等しいため敵わないばかりか、崩れた髪から抜かれた簪の先端で反対の実を擦られた。
「ああぁ!」
「んっ、はぁ……この体勢は特等席だな……奥まで挿入れて柔らかい実も食べられる……なにより、イってるアオの顔がよく見える」
簪の隙間に挟み持ち上げた実を舐めながら、何度も達して蕩けた葵を見上げるノアは満足そうに笑う。次第に抽迭の激しが増し、結合部から愛液が止めどなく溢れた。
「っはああぁノアんんんン」
愉悦に喘ぎ、彼の名を呼ぶ唇が唇で塞がれると快楽が増幅する。自然と両手がノアの首に回れば身も心も繋がり、最奥で放出された熱が全身を巡った。
真っ白になった頭が徐々に色を成すと、肩に顔を埋めているノアに頬擦りする。同じように汗ばんでいる黒髪の間から碧色の瞳が覗き、顔を寄せられると口付けた。
「んっ……はあ……夢、叶った……?」
「ああ……本当はチヨ婆がいる時にシたかっだだだ!」
減らず口の頬を手で引っ張る。祖母や叔母夫婦が一階にいる時に……など、考えるだけで恥ずかしい反面、ナカが蠢動した。
「ひゃっ!」
「っは……アオ。今、想像しただろ? チヨ婆から隠れてシているところ」
「し、してなあぁ……ン」
必死に誤魔化そうとしても、いまだ抜かれていない肉棒を締め付けてしまうせいで嘘だとバレてしまう。ニヤニヤ笑うノアから視線を逸らすと耳に小さなキスが落ちた。
「ひゃうっ!」
「んっ……まあ、それはもう出来ないが報告には行くか」
「報告……あ」
舐められた耳を押さえながら考え込んだ葵は意図を察する。既に祖母の四十九日と納骨は終えたが『蒼穹』がシーズンど真ん中なのもあり、墓参りに行けていないのだ。
「そろそろ無事会えたこと、付き合ってることをチヨ婆に言わないと化けて出そうだ」
「……言ったら言ったで、お喋りのネタにされそう」
すぐに想像出来たのか、互いに笑うと再び口付け、何度目かの絶頂へと向かう。
“おまじない”を伝授し、葵とノアを救った偉大な魔法使いの休憩所は寂れても幸福と癒しを与えた。耐えきれなかったベッドに穴を開けた新しい思い出と共に──。
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