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番外編*聖夜の贈り物
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*最終話前半後、クリスマスのお話
黄金に彩られていた巨木の葉も寂しげになり、阿蘇山も雪肌へと変わった十二月中旬。まだ薄っすらと星が見える明け方の冷え込みに両腕を擦りながら明かりが漏れる戸を開けた。
「おはようございまーす」
「おはよう、アオイちゃん」
「おはようございます」
明々と点る照明と暖房が入った邸宅のダイニングに顔を出した葵を麦野夫妻が迎える。仕事着の葵とは違い休日の麦野は私服で、妻のマユ美と台所で朝食の用意をしていた。出る幕はないと感じたのか、こたつがある茶の間に足を入れる葵だったが誰もいないことに目を瞬かせる。
「お声掛けはしたのですが、やはり“妻”からが効くかと」
笑う麦野に、こたつを捲っていた葵の頬が少しだけ赤くなると内廊下から隣室へと向かう。返事を待たずノックした襖を開けば布団に丸まる物体を簡易照明が照らした。
「ノア、体調悪い?」
「……It’s cold toda」
「そっちね」
か細い返事に肩をすくめた葵は電気と暖房のスイッチを入れると枕元に座る。布団から出てきたノアの頭が葵の膝に移るが、その身体は外気温との差で震えていた。
「冬は暖房入れっぱなしがいいんじゃない?」
「そうしたいが……喉が渇いて、水分摂るまでがまた寒い……」
強調される寒がりに溜め息をついた葵は掛け布団を引っ張ると彼の肩に掛け、寝癖が付いた髪を撫でる。と、不満げな碧色の瞳と目が合った。
「そもそも、一緒に寝てくれないアオが悪い」
「へっ!?」
責任転嫁に声が出るが、頬が赤いことに気付いたノアはくすりと笑うと葵の左手を掴んだ。
「なんで断る? “夫婦”になったのに」
「っ……!」
手の甲に顔を寄せたノアの唇が薬指で光る物にキスを落とす。彼の薬指と同じ金色の結婚指輪に。
先月二十九日の誕生日にプロポーズを受け、十二月頭に入籍した二人は今や夫婦。名前も吹石 葵から神楽坂 葵へと変わり、寝室を一緒にしようと提案されるも葵が断ったため不平不満を抱いているようだ。そんなジト目に葵も口を尖らせる。
「だ……だって、寝る時間……違うし」
「それでも、隣にいると嬉しいだろ?」
「そ、そうだけど……」
「だけど?」
ノアの眼差しが話同様逸れる気がしないのは言い訳だと気付かれているからだろう。暖房とは違う熱を内側から感じる葵はやけっぱちに言った。
「いっ、一緒に寝たらずっといたくて起きたくないからダメ!」
「Quite」
同意に我に返れば上体を起こしていたノアの笑みが映る。と、口付けられた。
「んっ……はぁ……ん」
重なる彼の唇は渇いている。それを潤すように自然と舌を伸ばした葵は上下の唇を舐め、口内へと挿し込んだ。
「っはあ……アオ」
「んっ……あっ、ちょっ~!」
互いの舌を絡めながら葵を押し倒したノアの手がブラウス越しの胸を揉む。咄嗟に両手で彼の肩を押すも、開けた寝巻き浴衣から見える胸板。なにより膝に当たるモノに耳まで真っ赤にした葵にノアは意地悪く笑った。
「目覚めのキスと一緒にコレもスッキリさせてくれ。アオのナカで」
「だ、ダメダメ! それまでシてたら朝御飯どころか仕事に遅れちゃあああぁぁ!!」
一緒に寝れない最大理由に寒さも吹き飛び、麦野の一喝が数分後に響くのだった。
* * *
「今朝もラブラブでしたね、オーナー夫人」
「花枝ちゃん!」
チェックアウトが終わり、バスでの送迎客もいなかった葵はロビーの床を掃きながら声を上げる。が、その顔が別の意味で赤いのがわかる花枝は吹き出した。
「あはは、ごめんごめん。だって『付き合いました』から『結婚しました』まで聞けるなんて思わなかったからさ」
「俺たちですら、オーナーが喜んでるのわかったからな」
作業しながら笑う受付の二人に言い返せない葵は床に落ちたオーナメントを拾う。その手に光る指輪を贈られ、役所と『蒼穹』で祝われたのは先日のことでまだこそばゆい。
「結婚式はいつ?」
「なにも決まってないよ。年末年始あるし、考えるのは冬季休業の時じゃないかな」
「この業界じゃ仕方ないよな。つーか、クリスマスは?」
毎年多くの人が大観峰含め阿蘇五岳から昇る初日の出を拝みに訪れるため『蒼穹』も満室。以降は積雪の関係でオフシーズンに入るため、二週間ばかりの長期休業に入るのだが来週に迫るは聖夜だ。
拭いたオーナメントをロビー中央に設置された大きなツリーに飾った葵は笑顔で振り向く。
「変わらず仕事だよ……へっ!? や、『蒼穹』と家でパーティーするし……あ、ちゃ、ちゃんとプレゼントも用意してるよ!」
二人のジト目に慌てて反論するも、今度は大きな溜め息をつかれた。新婚初の聖夜が仕事というのも申し訳なさと虚しさを募らせたのだろう。
(一緒に住んでるし、マユ美さんが家でもクリスマスしようって言ってくれたし、外出は路面が危ないし、ノアは寒がりだしなー……)
仕事を終え、邸宅へ続く廊下から縁側に出た葵はイチョウに積もる雪を見据える。
職種、土地柄、相手を考えるに仕方ないと思うのはまだ入籍の実感がないからか、毎日キスをしているからか。息白が見えても熱い胸の内に足を進めるが、奥の部屋に明かりがないことに茶の間へと入った。
「マユ美さん、ノアいないんですか?」
「あら、アオイちゃん。ええ、坊ちゃんなら主人と出掛けてますよ。そろそろ戻って……ほら、噂をすれば」
台所に立つマユ美同様玄関の音に気付いた葵は内廊下へ出る。車から数メートルとはいえ、髪やコートに付いた雪を落とす二人に駆け寄るとタオルを差し出した。
「ありがとうございます、アオイ様」
「いえ、おかえりな……あっ」
「? ただいま」
タオルを受け取ったノアが顔を上げるが何故か葵が固まる。靴を脱いだノアは髪を拭きながら首を傾げた。
「なんだ?」
「へっ!? や、あー……さ、寒かったでしょ? お風呂先にどうぞ!」
「? アオも今帰ってきたなら一緒に」
「ううん! 私はイチョウの雪かきしてから入るからいい!! じゃっ!!!」
「what!?」
早口で捲し立てた葵は自室へ駆け込む。
閉じた襖を背にその場にへたり込むと早鐘を打つ動悸を手で押さえた。
(ど、どうしよう! ノア、マフラー持ってた!!)
内心叫びながら手に取るのは机に置かれたクリスマスカラーの袋。綺麗にラッピングしたリボンを解き取り出したのは藍色のマフラーで、ハンガーに掛けている青色マフラーに目を移す。
両親との一件から貰ったノアのマフラー。
父親に絞められた証拠品として一度は警察に渡り、戻ってきた物。怪訝なノアとは違い、助けになった葵が有難く頂戴したため、代わりのマフラーをクリスマスに贈ろうと手編みで編んだのだ。が、先ほど帰宅したノアは既に別のマフラーを巻いていた。しかも同じ藍色を。
(そりゃそうだよねー……一枚なわけないし、さっき買ったのかな)
青以外を見たことなければ車移動や暖冬のおかげで見る機会がなかったため油断していた。今からでもセーターに替えるか買いに行くか悩むも、編み直すには時間が掛かるし今週は寒波到来予報。早くも葵の頭に冬将軍が訪れ顔面蒼白となった。
虚しくも時間だけが過ぎた、十二月二十五日。
足元が悪いなか、宿泊客や大浴場目当ての客が多く訪れる『蒼穹』もクリスマスソングが流れ、サンタクロースの帽子を被った葵も子供たちにお菓子をプレゼントしていた。チェックインの確認が終わると花枝に手招きされる。
「葵ちゃん、もう上がっていいよ」
「へ? でもまだ夕飯とか」
「大丈夫大丈夫。今日は家でクリスマスパーティーでしょ? マユ美さんたちもお年で、遅い時間に用意してもらうのもどうかと思うし……あと、オーナーとケンカしてるなら仲直りして!!!」
インカムを通して聞こえたのか、花枝だけでなく他の従業員からも切望の笑顔を向けられる。笑っているのに目は笑っていないブラックサンタたちに高速頷きを返した葵は帽子を脱ぐと、荷物を持って邸宅への扉を開けた。
ケンカをしているつもりはない。だが、降り続く雪と迫る聖夜の焦りに、ノアとの会話を避けていたのは事実だ。なのに、プレゼントを替えることも買うこともできず今日を迎えてしまった。
(いや、被ることなんてあるし、マフラーも何枚持っててもいいわけで……)
「……オ」
(でも……先越された感あって……)
「……ーオ」
「なんか……嫌だな」
「嫌なら俺を見ろ、アオ」
「へっ!?」
驚いた葵はイチョウを見つめたまま立ち止まっていることに気付くと視線を移す。着物の袖口に両手を差し込んでいるノアが眉根を寄せたまま立っていた。
「あ、おかえり……」
「いや、俺はずっと部屋にいたぞ。なのにイチョウばかり見て……俺よりイチョウが好きなのか?」
口調から葵が帰ってきたのを自室から見ていたのだろう。不貞腐れている様子と花枝たちが浮かんだ葵は猛省した。
「ごめん! そういうことじゃないの……ちょっと、取ってくる物があるから部屋で待っててくれる?」
「……Ok。急がなくていいから着替えてこい」
「……ありがとう」
頭を下げられ一驚するノアだったが、ひと息つくと葵の頬を撫でる。その暖かさに顔を上げた葵は口元を緩めると自室へと足を向けた。
急がなくていいと言われても気持ちは速まり、仕事着から私服に着替えると包み直した袋を持って内廊下からノアの部屋へ向かう。襖の前で立ち止まると一呼吸し、ノックした。
「ノア、入るよ?」
『どうぞ』
返事に襖を開けば、和室側にテーブルとお茶を用意したノアが座っていた。足を入れた葵の動悸が速くなるが先に声を掛けられる。
「おかえり、アオ」
「っ……ただいま、ノア」
柔らかな声に不思議と葵の目頭が熱くなる。
同じ家に住んでいても“今”いるかはわからない。それは寂しいと、帰宅したら必ず声を掛け合おうと決めたのだ。いなかったら待って『おかえり』を、いたら『ただいま』を。近いのに遠い距離が焦れったくて、いっそう“好き”を実感する葵は座布団に座ると包みを差し出した。
「メリークリスマス」
「? 今でいいのか?」
麦野夫妻とのクリスマスパーティーで渡すと思っていたのか驚きながらも葵の頷きにノアは袋を開ける。取り出した藍色のマフラーに目を丸くする様に葵は視線を落とした。
「えっと……ノアのマフラー、私が貰っちゃったから編んだんだけど……」
「what? この短期間で?」
「う、うん。夜番の時とか……でも、もう同じの持って……へ?」
視線を上げると既にマフラーを巻き出していた。慌てる葵に対して口元まで覆ったノアはほっと息をする。
「It’s warm…cheers、アオっと!」
声だけで充分伝わってくる感謝に、葵はノアに抱きつくと振り絞るように言った。
「同じ色のマフラー……もう持ってたから不安で迷っちゃって……つれなくしてごめんね」
「なんだ、そういうことか。むしろ同じ考えで嬉しくなったぞ」
「へ?」
苦笑と共に背中を撫でられた葵が顔を上げると、立ち上がったノアが同じクリスマスカラーの袋を持ってくる。促され開けば空色のマフラーが出てきた。目を瞬かせている葵の首にノアが空色マフラーを巻く。
「アオには悪いが、やはり愚か者に締められたマフラーをやるのは気が引けてな……明るいのと悩んだが俺が好きな色を選んだ」
申し訳なさ半分に笑うノアに葵は口元が隠れていて良かったと思う。嬉しいのに笑顔じゃない。でも、泣きたくなるほど嬉しくて、再びノアに抱きつくと震える声を発した。
「ノア、ありがと……嬉しい」
「それを聞いて安心した……てことで、一週間分の不満を受け留めてもらおうか?」
「もうっ、我儘ンンっ!」
咄嗟に反論するが、非が自分にあると重々理解している葵はせっかくのマフラーを引っ張られても唇を塞がれてもキスを受け入れた。シていなかった分、挿し込まれた舌は荒く、押し倒され何度も口付けられる。
「んっ、はぁ……んくっ……ふっ」
吐息と共に白糸を繋いだまま熱を帯びた頬と碧色の双眸と目が合うが、すぐ首筋に顔を埋められ舐められる。くすぐったさと気持ち良さに自分で上着を捲ればノアの手がブラジャーをズラし、赤く実った先端を指先で弾いた。
「ひゃっん!」
「っはぁ……アオの身体も俺を待ってたんだな」
「へ、変なこと言わなああぁ……!」
指で転がされていた先端にしゃぶりつかれ、口内で舐め回される。久し振りの快楽に葵は嬌声を上げるも、ノアの手がロングスカートに潜れば自然と腰が上がり、くすりと笑う声と共にショーツを下ろされた。
「アオ……かわいい」
「あっあ……ひうっ!」
吐息交じりに長い指先が秘部に挿し込まれる。
早くも響く蜜音に葵の耳が真っ赤になり顔を逸らすが、指を増やすばかりか速めるノアに蜜音が増した。
「ひあああぁぁ! ま、まっへ……あぅ」
「シてないのに、こんなに広いとは……ひとりでシてたか?」
「し、シへないぃっ……そんなこと」
「俺はシてたぞ?」
衝撃発言より先に着物の裾が捲られ、肌着を押し上げるモノが目に入るが、それ以上にはにかむノアの顔が近付き口付けを交わす。絡み合う舌は先ほどより優しいが、秘部に宛がわれるモノはなによりも熱かった。
「はぁ……触れただけなのに……自分でするよりすぐ出そうだ」
「ほ、本当にひとりで……シてたの?」
「再会前からずっとな」
「へ、へんたっあああぁ!」
さらなる衝撃に驚くも、待ちきれなかった肉棒が挿入される。掴んだ腰を引き寄せたノアは深くまで沈め、両脚を持つと抽迭を繰り返した。蜜だけでなく腰を打ち付ける音と矯声が響き渡る。
「ひ、あっ、はぁ……ああっ」
「はあ……この気持ち良さを知ったらダメだ……ずっとシていたいし、離したくない……」
「へ、へも……あっ、まだクリスマス……マフラーもっンぁ……汚れああぁ」
互いの新品マフラーには早くも涎が落ち、台所から麦野が帰宅する声が聞こえた。少しばかり口を尖らせるノアだったが、葵を抱きしめると耳元で囁く。
「なら、パーティーが終わったら風呂でも布団でも存分に啼いて俺を満たしてくれよ……アオ?」
官能な声が全身を巡り、ノアに抱きついた葵は返事の代わりに口付けた。だが、一週間分を蓄えていたモノはシャンパンよりも酔い、雪よりも真っ白な白濁を噴き出し、ケーキよりも甘く蕩けると、宣言通り風呂でも布団でも愛すのであった。
「はあぁ……もっ、ひゃめ……ノアっイっひゃああぁ……」
「愚か者め……妻のイく様を何度も見たいのが夫だ」
深々と冷え、雪がちらつく夜でも繋がれば繋がるほど熱く情熱的になる夫とは裏腹に、同じ部屋で妻が寝る日は少しばかり遠退く。
聖夜を祝うように神からの贈り物を授かるその日まで──。
黄金に彩られていた巨木の葉も寂しげになり、阿蘇山も雪肌へと変わった十二月中旬。まだ薄っすらと星が見える明け方の冷え込みに両腕を擦りながら明かりが漏れる戸を開けた。
「おはようございまーす」
「おはよう、アオイちゃん」
「おはようございます」
明々と点る照明と暖房が入った邸宅のダイニングに顔を出した葵を麦野夫妻が迎える。仕事着の葵とは違い休日の麦野は私服で、妻のマユ美と台所で朝食の用意をしていた。出る幕はないと感じたのか、こたつがある茶の間に足を入れる葵だったが誰もいないことに目を瞬かせる。
「お声掛けはしたのですが、やはり“妻”からが効くかと」
笑う麦野に、こたつを捲っていた葵の頬が少しだけ赤くなると内廊下から隣室へと向かう。返事を待たずノックした襖を開けば布団に丸まる物体を簡易照明が照らした。
「ノア、体調悪い?」
「……It’s cold toda」
「そっちね」
か細い返事に肩をすくめた葵は電気と暖房のスイッチを入れると枕元に座る。布団から出てきたノアの頭が葵の膝に移るが、その身体は外気温との差で震えていた。
「冬は暖房入れっぱなしがいいんじゃない?」
「そうしたいが……喉が渇いて、水分摂るまでがまた寒い……」
強調される寒がりに溜め息をついた葵は掛け布団を引っ張ると彼の肩に掛け、寝癖が付いた髪を撫でる。と、不満げな碧色の瞳と目が合った。
「そもそも、一緒に寝てくれないアオが悪い」
「へっ!?」
責任転嫁に声が出るが、頬が赤いことに気付いたノアはくすりと笑うと葵の左手を掴んだ。
「なんで断る? “夫婦”になったのに」
「っ……!」
手の甲に顔を寄せたノアの唇が薬指で光る物にキスを落とす。彼の薬指と同じ金色の結婚指輪に。
先月二十九日の誕生日にプロポーズを受け、十二月頭に入籍した二人は今や夫婦。名前も吹石 葵から神楽坂 葵へと変わり、寝室を一緒にしようと提案されるも葵が断ったため不平不満を抱いているようだ。そんなジト目に葵も口を尖らせる。
「だ……だって、寝る時間……違うし」
「それでも、隣にいると嬉しいだろ?」
「そ、そうだけど……」
「だけど?」
ノアの眼差しが話同様逸れる気がしないのは言い訳だと気付かれているからだろう。暖房とは違う熱を内側から感じる葵はやけっぱちに言った。
「いっ、一緒に寝たらずっといたくて起きたくないからダメ!」
「Quite」
同意に我に返れば上体を起こしていたノアの笑みが映る。と、口付けられた。
「んっ……はぁ……ん」
重なる彼の唇は渇いている。それを潤すように自然と舌を伸ばした葵は上下の唇を舐め、口内へと挿し込んだ。
「っはあ……アオ」
「んっ……あっ、ちょっ~!」
互いの舌を絡めながら葵を押し倒したノアの手がブラウス越しの胸を揉む。咄嗟に両手で彼の肩を押すも、開けた寝巻き浴衣から見える胸板。なにより膝に当たるモノに耳まで真っ赤にした葵にノアは意地悪く笑った。
「目覚めのキスと一緒にコレもスッキリさせてくれ。アオのナカで」
「だ、ダメダメ! それまでシてたら朝御飯どころか仕事に遅れちゃあああぁぁ!!」
一緒に寝れない最大理由に寒さも吹き飛び、麦野の一喝が数分後に響くのだった。
* * *
「今朝もラブラブでしたね、オーナー夫人」
「花枝ちゃん!」
チェックアウトが終わり、バスでの送迎客もいなかった葵はロビーの床を掃きながら声を上げる。が、その顔が別の意味で赤いのがわかる花枝は吹き出した。
「あはは、ごめんごめん。だって『付き合いました』から『結婚しました』まで聞けるなんて思わなかったからさ」
「俺たちですら、オーナーが喜んでるのわかったからな」
作業しながら笑う受付の二人に言い返せない葵は床に落ちたオーナメントを拾う。その手に光る指輪を贈られ、役所と『蒼穹』で祝われたのは先日のことでまだこそばゆい。
「結婚式はいつ?」
「なにも決まってないよ。年末年始あるし、考えるのは冬季休業の時じゃないかな」
「この業界じゃ仕方ないよな。つーか、クリスマスは?」
毎年多くの人が大観峰含め阿蘇五岳から昇る初日の出を拝みに訪れるため『蒼穹』も満室。以降は積雪の関係でオフシーズンに入るため、二週間ばかりの長期休業に入るのだが来週に迫るは聖夜だ。
拭いたオーナメントをロビー中央に設置された大きなツリーに飾った葵は笑顔で振り向く。
「変わらず仕事だよ……へっ!? や、『蒼穹』と家でパーティーするし……あ、ちゃ、ちゃんとプレゼントも用意してるよ!」
二人のジト目に慌てて反論するも、今度は大きな溜め息をつかれた。新婚初の聖夜が仕事というのも申し訳なさと虚しさを募らせたのだろう。
(一緒に住んでるし、マユ美さんが家でもクリスマスしようって言ってくれたし、外出は路面が危ないし、ノアは寒がりだしなー……)
仕事を終え、邸宅へ続く廊下から縁側に出た葵はイチョウに積もる雪を見据える。
職種、土地柄、相手を考えるに仕方ないと思うのはまだ入籍の実感がないからか、毎日キスをしているからか。息白が見えても熱い胸の内に足を進めるが、奥の部屋に明かりがないことに茶の間へと入った。
「マユ美さん、ノアいないんですか?」
「あら、アオイちゃん。ええ、坊ちゃんなら主人と出掛けてますよ。そろそろ戻って……ほら、噂をすれば」
台所に立つマユ美同様玄関の音に気付いた葵は内廊下へ出る。車から数メートルとはいえ、髪やコートに付いた雪を落とす二人に駆け寄るとタオルを差し出した。
「ありがとうございます、アオイ様」
「いえ、おかえりな……あっ」
「? ただいま」
タオルを受け取ったノアが顔を上げるが何故か葵が固まる。靴を脱いだノアは髪を拭きながら首を傾げた。
「なんだ?」
「へっ!? や、あー……さ、寒かったでしょ? お風呂先にどうぞ!」
「? アオも今帰ってきたなら一緒に」
「ううん! 私はイチョウの雪かきしてから入るからいい!! じゃっ!!!」
「what!?」
早口で捲し立てた葵は自室へ駆け込む。
閉じた襖を背にその場にへたり込むと早鐘を打つ動悸を手で押さえた。
(ど、どうしよう! ノア、マフラー持ってた!!)
内心叫びながら手に取るのは机に置かれたクリスマスカラーの袋。綺麗にラッピングしたリボンを解き取り出したのは藍色のマフラーで、ハンガーに掛けている青色マフラーに目を移す。
両親との一件から貰ったノアのマフラー。
父親に絞められた証拠品として一度は警察に渡り、戻ってきた物。怪訝なノアとは違い、助けになった葵が有難く頂戴したため、代わりのマフラーをクリスマスに贈ろうと手編みで編んだのだ。が、先ほど帰宅したノアは既に別のマフラーを巻いていた。しかも同じ藍色を。
(そりゃそうだよねー……一枚なわけないし、さっき買ったのかな)
青以外を見たことなければ車移動や暖冬のおかげで見る機会がなかったため油断していた。今からでもセーターに替えるか買いに行くか悩むも、編み直すには時間が掛かるし今週は寒波到来予報。早くも葵の頭に冬将軍が訪れ顔面蒼白となった。
虚しくも時間だけが過ぎた、十二月二十五日。
足元が悪いなか、宿泊客や大浴場目当ての客が多く訪れる『蒼穹』もクリスマスソングが流れ、サンタクロースの帽子を被った葵も子供たちにお菓子をプレゼントしていた。チェックインの確認が終わると花枝に手招きされる。
「葵ちゃん、もう上がっていいよ」
「へ? でもまだ夕飯とか」
「大丈夫大丈夫。今日は家でクリスマスパーティーでしょ? マユ美さんたちもお年で、遅い時間に用意してもらうのもどうかと思うし……あと、オーナーとケンカしてるなら仲直りして!!!」
インカムを通して聞こえたのか、花枝だけでなく他の従業員からも切望の笑顔を向けられる。笑っているのに目は笑っていないブラックサンタたちに高速頷きを返した葵は帽子を脱ぐと、荷物を持って邸宅への扉を開けた。
ケンカをしているつもりはない。だが、降り続く雪と迫る聖夜の焦りに、ノアとの会話を避けていたのは事実だ。なのに、プレゼントを替えることも買うこともできず今日を迎えてしまった。
(いや、被ることなんてあるし、マフラーも何枚持っててもいいわけで……)
「……オ」
(でも……先越された感あって……)
「……ーオ」
「なんか……嫌だな」
「嫌なら俺を見ろ、アオ」
「へっ!?」
驚いた葵はイチョウを見つめたまま立ち止まっていることに気付くと視線を移す。着物の袖口に両手を差し込んでいるノアが眉根を寄せたまま立っていた。
「あ、おかえり……」
「いや、俺はずっと部屋にいたぞ。なのにイチョウばかり見て……俺よりイチョウが好きなのか?」
口調から葵が帰ってきたのを自室から見ていたのだろう。不貞腐れている様子と花枝たちが浮かんだ葵は猛省した。
「ごめん! そういうことじゃないの……ちょっと、取ってくる物があるから部屋で待っててくれる?」
「……Ok。急がなくていいから着替えてこい」
「……ありがとう」
頭を下げられ一驚するノアだったが、ひと息つくと葵の頬を撫でる。その暖かさに顔を上げた葵は口元を緩めると自室へと足を向けた。
急がなくていいと言われても気持ちは速まり、仕事着から私服に着替えると包み直した袋を持って内廊下からノアの部屋へ向かう。襖の前で立ち止まると一呼吸し、ノックした。
「ノア、入るよ?」
『どうぞ』
返事に襖を開けば、和室側にテーブルとお茶を用意したノアが座っていた。足を入れた葵の動悸が速くなるが先に声を掛けられる。
「おかえり、アオ」
「っ……ただいま、ノア」
柔らかな声に不思議と葵の目頭が熱くなる。
同じ家に住んでいても“今”いるかはわからない。それは寂しいと、帰宅したら必ず声を掛け合おうと決めたのだ。いなかったら待って『おかえり』を、いたら『ただいま』を。近いのに遠い距離が焦れったくて、いっそう“好き”を実感する葵は座布団に座ると包みを差し出した。
「メリークリスマス」
「? 今でいいのか?」
麦野夫妻とのクリスマスパーティーで渡すと思っていたのか驚きながらも葵の頷きにノアは袋を開ける。取り出した藍色のマフラーに目を丸くする様に葵は視線を落とした。
「えっと……ノアのマフラー、私が貰っちゃったから編んだんだけど……」
「what? この短期間で?」
「う、うん。夜番の時とか……でも、もう同じの持って……へ?」
視線を上げると既にマフラーを巻き出していた。慌てる葵に対して口元まで覆ったノアはほっと息をする。
「It’s warm…cheers、アオっと!」
声だけで充分伝わってくる感謝に、葵はノアに抱きつくと振り絞るように言った。
「同じ色のマフラー……もう持ってたから不安で迷っちゃって……つれなくしてごめんね」
「なんだ、そういうことか。むしろ同じ考えで嬉しくなったぞ」
「へ?」
苦笑と共に背中を撫でられた葵が顔を上げると、立ち上がったノアが同じクリスマスカラーの袋を持ってくる。促され開けば空色のマフラーが出てきた。目を瞬かせている葵の首にノアが空色マフラーを巻く。
「アオには悪いが、やはり愚か者に締められたマフラーをやるのは気が引けてな……明るいのと悩んだが俺が好きな色を選んだ」
申し訳なさ半分に笑うノアに葵は口元が隠れていて良かったと思う。嬉しいのに笑顔じゃない。でも、泣きたくなるほど嬉しくて、再びノアに抱きつくと震える声を発した。
「ノア、ありがと……嬉しい」
「それを聞いて安心した……てことで、一週間分の不満を受け留めてもらおうか?」
「もうっ、我儘ンンっ!」
咄嗟に反論するが、非が自分にあると重々理解している葵はせっかくのマフラーを引っ張られても唇を塞がれてもキスを受け入れた。シていなかった分、挿し込まれた舌は荒く、押し倒され何度も口付けられる。
「んっ、はぁ……んくっ……ふっ」
吐息と共に白糸を繋いだまま熱を帯びた頬と碧色の双眸と目が合うが、すぐ首筋に顔を埋められ舐められる。くすぐったさと気持ち良さに自分で上着を捲ればノアの手がブラジャーをズラし、赤く実った先端を指先で弾いた。
「ひゃっん!」
「っはぁ……アオの身体も俺を待ってたんだな」
「へ、変なこと言わなああぁ……!」
指で転がされていた先端にしゃぶりつかれ、口内で舐め回される。久し振りの快楽に葵は嬌声を上げるも、ノアの手がロングスカートに潜れば自然と腰が上がり、くすりと笑う声と共にショーツを下ろされた。
「アオ……かわいい」
「あっあ……ひうっ!」
吐息交じりに長い指先が秘部に挿し込まれる。
早くも響く蜜音に葵の耳が真っ赤になり顔を逸らすが、指を増やすばかりか速めるノアに蜜音が増した。
「ひあああぁぁ! ま、まっへ……あぅ」
「シてないのに、こんなに広いとは……ひとりでシてたか?」
「し、シへないぃっ……そんなこと」
「俺はシてたぞ?」
衝撃発言より先に着物の裾が捲られ、肌着を押し上げるモノが目に入るが、それ以上にはにかむノアの顔が近付き口付けを交わす。絡み合う舌は先ほどより優しいが、秘部に宛がわれるモノはなによりも熱かった。
「はぁ……触れただけなのに……自分でするよりすぐ出そうだ」
「ほ、本当にひとりで……シてたの?」
「再会前からずっとな」
「へ、へんたっあああぁ!」
さらなる衝撃に驚くも、待ちきれなかった肉棒が挿入される。掴んだ腰を引き寄せたノアは深くまで沈め、両脚を持つと抽迭を繰り返した。蜜だけでなく腰を打ち付ける音と矯声が響き渡る。
「ひ、あっ、はぁ……ああっ」
「はあ……この気持ち良さを知ったらダメだ……ずっとシていたいし、離したくない……」
「へ、へも……あっ、まだクリスマス……マフラーもっンぁ……汚れああぁ」
互いの新品マフラーには早くも涎が落ち、台所から麦野が帰宅する声が聞こえた。少しばかり口を尖らせるノアだったが、葵を抱きしめると耳元で囁く。
「なら、パーティーが終わったら風呂でも布団でも存分に啼いて俺を満たしてくれよ……アオ?」
官能な声が全身を巡り、ノアに抱きついた葵は返事の代わりに口付けた。だが、一週間分を蓄えていたモノはシャンパンよりも酔い、雪よりも真っ白な白濁を噴き出し、ケーキよりも甘く蕩けると、宣言通り風呂でも布団でも愛すのであった。
「はあぁ……もっ、ひゃめ……ノアっイっひゃああぁ……」
「愚か者め……妻のイく様を何度も見たいのが夫だ」
深々と冷え、雪がちらつく夜でも繋がれば繋がるほど熱く情熱的になる夫とは裏腹に、同じ部屋で妻が寝る日は少しばかり遠退く。
聖夜を祝うように神からの贈り物を授かるその日まで──。
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「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
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