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宣告Ⅰ
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俺達はレンさんに案内されながら、お店の奥に入った。どうやらここはクラブのホールのような造りをしている。皆が奥でダンスバトルなんかもできそうだ。
と――。そんなことはどうでもいい。重要なのはここに倒れている兵士達だ。皆深い傷を負って苦しんでいる者が多数だった。
「何とか傷を癒したんですけど完全回復とまではいかず。ネオンちゃんも今は精神面が不安定なもんで」
「そうか」
痛々しい傷だ。包帯をぐるぐる巻きにされたり、体は大方癒えているが目を覚ましていない人もいる。
「アリシア」
「はい」
「女神の加護」
アリシアが祈りを捧げながらそう言うと、血の気の引いたよう顔をしている人達は、自分の体の異変に気付いたようだ。俺達から見れば、顔色は一気に良くなっている。いや、一気にどんだけ血流良くなったんだよって言いたいレベルだ。
「これは!」
勿論、疲れて壁にもたれかかっていたネオンさんも、この広範囲回復スキルの範囲内に入っているので、異変に気付いてこっちを見るなり、凄く明るい表情をしていた。
「アリシア様! ナリユキ様!」
そう言ってアリシアに飛びつくネオンさん。
「あれ面識あるの?」
「私は森妖精のなかじゃ有名人ですからね。それに、マーズベルは森妖精の中では、楽園と
呼ぶ人もいるくらいですから、彼女は以前遊びに来た事があったんですよ」
アリシアは俺にそう言った後、ネオンさんの事をぎゅっと抱きしめていた。
「凄く可愛い女の子になりましたね」
表情を見るからに、もはやお姉ちゃんとかそんな感じだ。何かこう俺でも感じ取れるくらいの母性本能が出ている。
「アリシア様に会いたかったですううう!」
と――。ちょっと鼻水をすすりながら言っているネオンさん。
「そういえば、アズサさんはどうしているんだ?」
「それがずっと寝込んでるんですわ。まあ、俺達実はアードルハイム皇帝とガープに捕まったんですよ」
「おい。その報告が一番最初じゃね? てかよく脱出できたな」
「まあ、脱出できたんは俺が魔眼を開眼できたからなんですけどね。そんときに、俺達拷問受けたんですよ。勿論、スキルが発動できへん錠をさせられて」
「それで?」
「まあ予測はしてるかもしれないですけど、そん時にアズサとネオンちゃんがが帝国兵に犯されたんです。で、アズサを犯していた奴が、アズサに咥えさせようとしていたので、アズサはそいつのブツを思いっきり噛みました」
ナイス! でも、痛そうだな。想像しただけも金玉縮み上がる。
「そこからアズサに対して数人がかりで暴行が行われて、アズサは意識不明の重体になりました。ネオンちゃんが回復したものの、まだ目は開けないんですよね。ノーディルスが傍で見守っています」
あの上位のアンデッドのクールな青年か。元の姿は顔面は骸骨なんだろうな。まあアンデッドだし――。
「成程ね。それは災難だったな」
「まあ気を抜いていたんでしょうね。俺達はそんなつもりなかったんですが」
「まあ仕方ないだろ。状況がどうであれ。無事でよかったよ。とりあえず、ランベリオンとノアはここに、ノーディルスさん達に合流してくれ。案内はネオンさんに任せる。その後は、俺達の仲間のところへ合流するんだ」
「分かった」
「いいよ! 方舟で待機しておけばいいんだよね?」
「そうだな。そこで俺達が戻ったときにドデカイ花火を見せてあげるよ。反乱軍の皆には帝都を離れるように指示をしてくれ」
「お前たちは一体何者だ? 見たところ日本人だが――」
そう話しかけてきたのは、金髪のオールバックをしている30代前半の、身長は190cm程ある男だった。彼も反乱軍のなのだろう。そしてニキータ・クリンコフという名前は、恐らくロシア人の転生者だ。
「ああそうだ。ロシア人だな? 俺はナリユキ・タテワキだ宜しく。そんなに不思議がるもんか?」
「ああ。紹介が遅れた。俺は反乱軍の暗殺部隊の兵長をやっているニキータ・クリンコフだ。見たところ、有名人のランベリオン・カーネルに、森妖精の族長で有名なアリシアを従えているからな」
「まあ、色々あるのさ。それよりこのランベリオンとノアの指示に従ってほしいんだ。君たちがやろうとしていた革命は、俺達に預けてほしい」
「一体何をする気なんだ?」
クリンコフの問いに、反乱軍の視線が一気に集まった。こういうとき、アリスがいれば裏切り者が誰か分かるんだけどな――。
「あんまり言いたくないんだけど。ここにもしかしたら、帝国軍のスパイが紛れているかもしれないだろ?」
「いいから言え。自己紹介をしたとは言え、俺は貴様等の事を完璧に信用しているわけではないのだ。第一、いきなり大物ばかり連れて来た転生者なんか怪しいに決まっているだろ?」
クリンコフはそう言ってきた。まあ確かにそうだよな。
「ナリユキさん。それは俺も知りたいから教えてくれへんか?」
そう、レンさんやネオンさんに言われてしまったら仕方ないよな――。
「しゃあねえ。3人集まってくれ」
俺は3人にヒソヒソ話で俺の意思をきちんと伝えた。
俺の話を聞くなり、3人共驚いた表情をしていた。
そんな馬鹿な事ができるのかと――。
そう。俺が告げたのは直径100kmの岩山を落とすから、部下に帝都の住人を洗脳させて、帝都から逃がしているという事と、帝都に残っている国民は反乱軍の君達だけだということだった。
と――。そんなことはどうでもいい。重要なのはここに倒れている兵士達だ。皆深い傷を負って苦しんでいる者が多数だった。
「何とか傷を癒したんですけど完全回復とまではいかず。ネオンちゃんも今は精神面が不安定なもんで」
「そうか」
痛々しい傷だ。包帯をぐるぐる巻きにされたり、体は大方癒えているが目を覚ましていない人もいる。
「アリシア」
「はい」
「女神の加護」
アリシアが祈りを捧げながらそう言うと、血の気の引いたよう顔をしている人達は、自分の体の異変に気付いたようだ。俺達から見れば、顔色は一気に良くなっている。いや、一気にどんだけ血流良くなったんだよって言いたいレベルだ。
「これは!」
勿論、疲れて壁にもたれかかっていたネオンさんも、この広範囲回復スキルの範囲内に入っているので、異変に気付いてこっちを見るなり、凄く明るい表情をしていた。
「アリシア様! ナリユキ様!」
そう言ってアリシアに飛びつくネオンさん。
「あれ面識あるの?」
「私は森妖精のなかじゃ有名人ですからね。それに、マーズベルは森妖精の中では、楽園と
呼ぶ人もいるくらいですから、彼女は以前遊びに来た事があったんですよ」
アリシアは俺にそう言った後、ネオンさんの事をぎゅっと抱きしめていた。
「凄く可愛い女の子になりましたね」
表情を見るからに、もはやお姉ちゃんとかそんな感じだ。何かこう俺でも感じ取れるくらいの母性本能が出ている。
「アリシア様に会いたかったですううう!」
と――。ちょっと鼻水をすすりながら言っているネオンさん。
「そういえば、アズサさんはどうしているんだ?」
「それがずっと寝込んでるんですわ。まあ、俺達実はアードルハイム皇帝とガープに捕まったんですよ」
「おい。その報告が一番最初じゃね? てかよく脱出できたな」
「まあ、脱出できたんは俺が魔眼を開眼できたからなんですけどね。そんときに、俺達拷問受けたんですよ。勿論、スキルが発動できへん錠をさせられて」
「それで?」
「まあ予測はしてるかもしれないですけど、そん時にアズサとネオンちゃんがが帝国兵に犯されたんです。で、アズサを犯していた奴が、アズサに咥えさせようとしていたので、アズサはそいつのブツを思いっきり噛みました」
ナイス! でも、痛そうだな。想像しただけも金玉縮み上がる。
「そこからアズサに対して数人がかりで暴行が行われて、アズサは意識不明の重体になりました。ネオンちゃんが回復したものの、まだ目は開けないんですよね。ノーディルスが傍で見守っています」
あの上位のアンデッドのクールな青年か。元の姿は顔面は骸骨なんだろうな。まあアンデッドだし――。
「成程ね。それは災難だったな」
「まあ気を抜いていたんでしょうね。俺達はそんなつもりなかったんですが」
「まあ仕方ないだろ。状況がどうであれ。無事でよかったよ。とりあえず、ランベリオンとノアはここに、ノーディルスさん達に合流してくれ。案内はネオンさんに任せる。その後は、俺達の仲間のところへ合流するんだ」
「分かった」
「いいよ! 方舟で待機しておけばいいんだよね?」
「そうだな。そこで俺達が戻ったときにドデカイ花火を見せてあげるよ。反乱軍の皆には帝都を離れるように指示をしてくれ」
「お前たちは一体何者だ? 見たところ日本人だが――」
そう話しかけてきたのは、金髪のオールバックをしている30代前半の、身長は190cm程ある男だった。彼も反乱軍のなのだろう。そしてニキータ・クリンコフという名前は、恐らくロシア人の転生者だ。
「ああそうだ。ロシア人だな? 俺はナリユキ・タテワキだ宜しく。そんなに不思議がるもんか?」
「ああ。紹介が遅れた。俺は反乱軍の暗殺部隊の兵長をやっているニキータ・クリンコフだ。見たところ、有名人のランベリオン・カーネルに、森妖精の族長で有名なアリシアを従えているからな」
「まあ、色々あるのさ。それよりこのランベリオンとノアの指示に従ってほしいんだ。君たちがやろうとしていた革命は、俺達に預けてほしい」
「一体何をする気なんだ?」
クリンコフの問いに、反乱軍の視線が一気に集まった。こういうとき、アリスがいれば裏切り者が誰か分かるんだけどな――。
「あんまり言いたくないんだけど。ここにもしかしたら、帝国軍のスパイが紛れているかもしれないだろ?」
「いいから言え。自己紹介をしたとは言え、俺は貴様等の事を完璧に信用しているわけではないのだ。第一、いきなり大物ばかり連れて来た転生者なんか怪しいに決まっているだろ?」
クリンコフはそう言ってきた。まあ確かにそうだよな。
「ナリユキさん。それは俺も知りたいから教えてくれへんか?」
そう、レンさんやネオンさんに言われてしまったら仕方ないよな――。
「しゃあねえ。3人集まってくれ」
俺は3人にヒソヒソ話で俺の意思をきちんと伝えた。
俺の話を聞くなり、3人共驚いた表情をしていた。
そんな馬鹿な事ができるのかと――。
そう。俺が告げたのは直径100kmの岩山を落とすから、部下に帝都の住人を洗脳させて、帝都から逃がしているという事と、帝都に残っている国民は反乱軍の君達だけだということだった。
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