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救出Ⅱ
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「ベリト派手に暴れているな」
「あの魔族の兄ちゃんですよね? 凄いですね。帝国兵が何十万人も集中しているのに、1人で相手してるって」
「まあベリトさんは空が飛べますからね」
「いや、べりーちゃんも飛べるやん。相手からしたらべりーちゃんは天使に見えへんで」
「確かに」
「さあ、レン様。マカロフ卿から譲り受けた鍵をまずは取り行きましょう」
「せやな。ちょっと待ってて下さいね」
「何だ? 近くにあるのか?」
「そうなんですよ」
レンさんはそう言って隠し通路に入って行き、梯子を下っていた。途中の中段辺りで立ち止まり、右手で梯子を掴みながら、左手でゆっくりと漁っていた。
「これや」
俺からすれば何を言っているのかさっぱり分からなかった。暗い事もあって、鍵らしき物を手で触れているようには見えないからだ。
「ほれ」
暗くてよく分からないが、確かにキラッと金属のような物が光った気がする。そうか――。これが偽装の効果か。
レンさんはそう言って上がってくると、手には確かに鍵を持っていた。
「これがマカロフ卿から譲ってもらった鍵か」
「そうや。この鍵は俺の仲間全員を外すことができたから、多分他に捕まっている人のんも外せるかもしらんねん」
「成程ね。よし、レンさん魔眼を使ってここより上の空間がどうなっているか分かるか?」
「いや、使わんでも覚えてるからいけますよ。ここの上は単純に拷問部屋やから入ってもな」
「成程な。じゃあそれならアリシアに空間扉してもらうか」
「その後はどうするんですか? ここもミクちゃんのスキルで全ての部屋の牢を破壊して、アリシアのスキルで監視システムをダウンさせる。そして、その後は俺のコイツで」
俺はそう言ってレンさんが持っている鍵を出した。
「そうか! その手があったか!」
「これだったら皆、バケツリレー的な感じで、どんどん皆を開放して自由にすることができるだろ?」
「天才や」
「それは褒めすぎ。よし、アリシア。お願いだ」
「はい」
アリシアは目を瞑って天井に手を向けた。
「空間扉」
アリシアの掛け声で天井にブラックホールのような大穴が開かれる。
「私初めて見ましたけど凄いですね」
「それ俺も思うねん。べりーちゃんを助けに行った時にも見てんけど、やっぱり何かインチキしているみたいやわ」
「さあ、行きましょう」
俺達はアリシアの掛け声で大きくジャンプした。勿論、通常時じゃ無理だから皆、 身体向上を使って大きく跳んだ。そして跳んだ先には女性を張り付けて拷問を行っている帝国兵がいた。
「貴様! 何者だ!」
「ああ? 五月蠅いわ」
レンさんはそう言って容赦なく帝国兵を睨めつけると、帝国兵は見事に燃え始めた。暴れまわっているが不思議なことに、犯されていた女性は熱くなさそうだった。
その女性は不思議と叫ぶことはなかった。それは急激な展開過ぎて恐らく脳がついてきていない。
俺は女性の方に走って、手枷と足枷を鍵で外した。白く綺麗な肌は拷問による痣だらけになっていた。そして、特徴的な長い耳も、血だらけになっていて使い物にならないようになっていた。
彼女が森妖精だからこんな酷い目に遭わされたのだろうか?
「私達が来たからにはもう安心です。それにあの人を見たら安心できるのは?」
そう言って俺が手を向けたのはアリシアだ。彼女がそこそこ生きている森妖精なら、アリシアの存在は知っているはずだ。
すると、その森妖精は口を覆い涙を流していた。
「アリシア様を拝めるなんて……」
そう言って彼女は膝から崩れ落ちていた。
「酷い事をされましたね。こんなに可愛い顔――。白い肌を穢されるなんて辛かったでしょうに」
アリシアはそう言ってこの森妖精を回復していた。この森妖精の女性はメイという名前だ。森妖精の特徴的な耳と金色の髪。そして緑色の瞳。どことなく可愛らしい顔はネオンさんに近いかもしれない。
念話、異常聴覚、転移、念波動――。と、森妖精の代表格と言えるスキルは全て習得しているようだ。
「さあ私達について来て下さい。自由を手に入れましょう」
「はい! ついていきます!」
と、涙を手で拭って元気よく挨拶をしてくれた。
「俺はナリユキ・タテワキ。これでもマーズベル共和国の国主だ」
「私はミク・アサギ。ナリユキさんの幹部です」
「俺は冒険者のレン・フジワラや。宜しゅうな」
すると、メイはぽかんとした表情を浮かべていた。
「どうされましたか?」
アリシアがそう声をかけると――。
「もしかして3人共転生者ですか――? それにマーズベルはいつから国に?」
と――。明らかに困惑している様子だった。まあ仕方ないか。当然の反応と言えば当然である。
「まあ詳しい話は後だ。一旦この部屋を出てミクちゃんとアリシアに攻撃を仕掛けてもらってそっから一気に、皆を開放していくぞ」
「了解!」
「俺の出番少なさそうやな」
「任せて下さい!」
各々感想を述べた後、この部屋を出て行った。無論、メイが未だに話についていけなくてしどろもどろになっているのが少し面白かったりする。
「あの魔族の兄ちゃんですよね? 凄いですね。帝国兵が何十万人も集中しているのに、1人で相手してるって」
「まあベリトさんは空が飛べますからね」
「いや、べりーちゃんも飛べるやん。相手からしたらべりーちゃんは天使に見えへんで」
「確かに」
「さあ、レン様。マカロフ卿から譲り受けた鍵をまずは取り行きましょう」
「せやな。ちょっと待ってて下さいね」
「何だ? 近くにあるのか?」
「そうなんですよ」
レンさんはそう言って隠し通路に入って行き、梯子を下っていた。途中の中段辺りで立ち止まり、右手で梯子を掴みながら、左手でゆっくりと漁っていた。
「これや」
俺からすれば何を言っているのかさっぱり分からなかった。暗い事もあって、鍵らしき物を手で触れているようには見えないからだ。
「ほれ」
暗くてよく分からないが、確かにキラッと金属のような物が光った気がする。そうか――。これが偽装の効果か。
レンさんはそう言って上がってくると、手には確かに鍵を持っていた。
「これがマカロフ卿から譲ってもらった鍵か」
「そうや。この鍵は俺の仲間全員を外すことができたから、多分他に捕まっている人のんも外せるかもしらんねん」
「成程ね。よし、レンさん魔眼を使ってここより上の空間がどうなっているか分かるか?」
「いや、使わんでも覚えてるからいけますよ。ここの上は単純に拷問部屋やから入ってもな」
「成程な。じゃあそれならアリシアに空間扉してもらうか」
「その後はどうするんですか? ここもミクちゃんのスキルで全ての部屋の牢を破壊して、アリシアのスキルで監視システムをダウンさせる。そして、その後は俺のコイツで」
俺はそう言ってレンさんが持っている鍵を出した。
「そうか! その手があったか!」
「これだったら皆、バケツリレー的な感じで、どんどん皆を開放して自由にすることができるだろ?」
「天才や」
「それは褒めすぎ。よし、アリシア。お願いだ」
「はい」
アリシアは目を瞑って天井に手を向けた。
「空間扉」
アリシアの掛け声で天井にブラックホールのような大穴が開かれる。
「私初めて見ましたけど凄いですね」
「それ俺も思うねん。べりーちゃんを助けに行った時にも見てんけど、やっぱり何かインチキしているみたいやわ」
「さあ、行きましょう」
俺達はアリシアの掛け声で大きくジャンプした。勿論、通常時じゃ無理だから皆、 身体向上を使って大きく跳んだ。そして跳んだ先には女性を張り付けて拷問を行っている帝国兵がいた。
「貴様! 何者だ!」
「ああ? 五月蠅いわ」
レンさんはそう言って容赦なく帝国兵を睨めつけると、帝国兵は見事に燃え始めた。暴れまわっているが不思議なことに、犯されていた女性は熱くなさそうだった。
その女性は不思議と叫ぶことはなかった。それは急激な展開過ぎて恐らく脳がついてきていない。
俺は女性の方に走って、手枷と足枷を鍵で外した。白く綺麗な肌は拷問による痣だらけになっていた。そして、特徴的な長い耳も、血だらけになっていて使い物にならないようになっていた。
彼女が森妖精だからこんな酷い目に遭わされたのだろうか?
「私達が来たからにはもう安心です。それにあの人を見たら安心できるのは?」
そう言って俺が手を向けたのはアリシアだ。彼女がそこそこ生きている森妖精なら、アリシアの存在は知っているはずだ。
すると、その森妖精は口を覆い涙を流していた。
「アリシア様を拝めるなんて……」
そう言って彼女は膝から崩れ落ちていた。
「酷い事をされましたね。こんなに可愛い顔――。白い肌を穢されるなんて辛かったでしょうに」
アリシアはそう言ってこの森妖精を回復していた。この森妖精の女性はメイという名前だ。森妖精の特徴的な耳と金色の髪。そして緑色の瞳。どことなく可愛らしい顔はネオンさんに近いかもしれない。
念話、異常聴覚、転移、念波動――。と、森妖精の代表格と言えるスキルは全て習得しているようだ。
「さあ私達について来て下さい。自由を手に入れましょう」
「はい! ついていきます!」
と、涙を手で拭って元気よく挨拶をしてくれた。
「俺はナリユキ・タテワキ。これでもマーズベル共和国の国主だ」
「私はミク・アサギ。ナリユキさんの幹部です」
「俺は冒険者のレン・フジワラや。宜しゅうな」
すると、メイはぽかんとした表情を浮かべていた。
「どうされましたか?」
アリシアがそう声をかけると――。
「もしかして3人共転生者ですか――? それにマーズベルはいつから国に?」
と――。明らかに困惑している様子だった。まあ仕方ないか。当然の反応と言えば当然である。
「まあ詳しい話は後だ。一旦この部屋を出てミクちゃんとアリシアに攻撃を仕掛けてもらってそっから一気に、皆を開放していくぞ」
「了解!」
「俺の出番少なさそうやな」
「任せて下さい!」
各々感想を述べた後、この部屋を出て行った。無論、メイが未だに話についていけなくてしどろもどろになっているのが少し面白かったりする。
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