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四龍と龍騎士伝説Ⅲ
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「原則は余が止めるが――。言い訳がましくて申し訳ないが、余の力は2,000年前と比較して大分落ちている。なので、ナリユキ殿にも協力してほしいのだ」
「勿論、私は構いません。しかし、これはマーズベルとオストロンだけの問題ではないので、六芒星会議を開くべきです」
俺がそう言うと、青龍さんは苦い表情を浮かべていた。
「確かにそうではあるが――」
「何か懸念点あるのですか?」
「余の単純なトラウマというべきか。奴は敵とみなしたものは必ず殺すのだ。それによって人々の命は数千万人奪われてしまった」
と、言うと始めから戦う気が無い人間を巻き込みたくないということか。それに運次第ではあるけど、救われる命が2,000年前と比較しても最小限に抑えることができると仮説を立てたのか?
「つまり、たくさん命が亡くなったので大々的に公表せずに、協力者を募ってその者達で戦うと」
「それよって無謀な挑戦で命を落とさずに救われる命があると考えている。なので、頭数だけを揃えても意味は無い。強き者が弱き者を救うべく、立ち上がる。ナリユキ殿も余と同じ考えだと思うが?」
青龍さんがそう言って俺の様子を伺ってきた。
「勿論その通りですよ。俺は一人でも多くの人に豊かな人生を歩んでもらいたいっていう信念がありますから」
「他の者が言えば綺麗事にしか聞こえないが、ナリユキ殿が言うと妙に納得するな。それもその創造主のお陰かな?」
「確かにそうですね」
「死んだときに相当綺麗なことを言ったんだろうな」
青龍さんがそう言って俺の顔を見て笑った。
「手から何でも出せたら、生産性が上がって、一人でも多くの人を豊かにできるんじゃないか? と思って死にましたからね」
「成程。それでそっちの言葉で言うチートスキルを手に入れたわけだな? ユニークスキルで100kmの岩山を落として帝都を亡ぼした人間なんて聞いたことがないし、その後にきちんと復興させたのは、流石としか言いようがない」
何か知らんが改めてべた褒めをしてきた青龍さん。
「そう言えば、封印はいつ頃解けると推測されているのですか?」
「あと、3年ほどとは考えている。アスモデウスもこの件に関しては知っているからな。魔界にいる自分の部下を戦闘員として鍛えているそうだ」
「成程。一回魔界に行ってみたいな」
「料理が料理じゃないから止めたほうがいい。日本人には確実に合わないぞ。昔、うちの日本人の料理人が食べたことがあって倒れたことがあったからな」
そう笑いながら言っているが、俺は苦笑いしか出来なかった。いや、どんだけマズいんだよ。
「料理がマズいのは確かに行く気が失せますね」
「魔界に行ったところでデメリットだらけだ。経験値を積むにしても、カルベリアツリーのダンジョンやゾーク大迷宮に潜り込んだ方がよっぽどいい」
「成程。話が戻ってしまうのですが、その黒龍を倒すのに、どれくらいの人を集めているのですか?」
「約100人程だ。如何せん条件としては戦闘値が4,000以上だから、各国の人物に呼びかけている」
「そうなんですか。青龍さんの御友人は結構強いのですか?」
「ああ。今の余よりかは強いぞ、マルファスという魔族だ」
「青龍さんより強いって一体どのくらいなんですか?」
「6,500くらいだ。しかし黒龍はそれを凌駕する。綿密な作戦が必要だ。最悪、ここの山が破壊されることくらいは覚悟しているので、ここの辺りは黒龍を捕えるための罠をたくさん仕掛けている」
「そうだったんですか」
黒龍――。一体どれほどなのかはピンとこない。そもそも何のスキルが効いて、何のスキルが効かないのか。ベルゾーグやアリシアのユニークスキルや、アマミヤのアルティメットスキルで何とかできないのか? それらが効くなら大して怖くないのだが、戦闘値が高すぎるとまた別次元の強さになり、俺の想像をはるかに超えてくる。そうなると手を付けることができない――。
「俺達もっと強くならないとな。マーズベルの皆には伝えておきますよ。彼等には働かせるばかりではなく修行をつけさせたいと思います」
「助かる。さてそろそろ戻るか。せっかくだし、料理を出すぞ? うちのメニューをもっと盗みたいだろ?」
「確かに」
普通に帰ろうかなって思っていたけど、それを言われると帰りたくなくなる。気付いたらもう夕方だしな。
俺達はこの場を離れて、ドラグーンタワーへと向かった。どうやらここから約50km程あるらしいのだが。
「転移イヤリングで来たんだろ? 余も付けておるから一緒にアテナのイメージをしよう」
「アテナさんいつもドラグーンタワーにいるのですか?」
「そうだ。まあ余についていないときはアテナが決定権を持っている」
「うちはミクが決定権あるので同じですね」
「本当だな。さあ行くぞ」
「はい」
俺と青龍さんはこの場から離れてドラグーンタワーへと向かった。勿論、その後ちょっと変わった日本料理をたくさんご馳走してもらい、盗めるものは盗もうという気概で食べてみたが、どれも感動してばかりで、味の研究にはなかなか至らなかった。似たようなものを作ることができるかもしれないが、やはり 従者達をここで修行させるしかないと感じた。
オストロンとはこれからも自然な流れで交流がもっと深まりそうだ。
「勿論、私は構いません。しかし、これはマーズベルとオストロンだけの問題ではないので、六芒星会議を開くべきです」
俺がそう言うと、青龍さんは苦い表情を浮かべていた。
「確かにそうではあるが――」
「何か懸念点あるのですか?」
「余の単純なトラウマというべきか。奴は敵とみなしたものは必ず殺すのだ。それによって人々の命は数千万人奪われてしまった」
と、言うと始めから戦う気が無い人間を巻き込みたくないということか。それに運次第ではあるけど、救われる命が2,000年前と比較しても最小限に抑えることができると仮説を立てたのか?
「つまり、たくさん命が亡くなったので大々的に公表せずに、協力者を募ってその者達で戦うと」
「それよって無謀な挑戦で命を落とさずに救われる命があると考えている。なので、頭数だけを揃えても意味は無い。強き者が弱き者を救うべく、立ち上がる。ナリユキ殿も余と同じ考えだと思うが?」
青龍さんがそう言って俺の様子を伺ってきた。
「勿論その通りですよ。俺は一人でも多くの人に豊かな人生を歩んでもらいたいっていう信念がありますから」
「他の者が言えば綺麗事にしか聞こえないが、ナリユキ殿が言うと妙に納得するな。それもその創造主のお陰かな?」
「確かにそうですね」
「死んだときに相当綺麗なことを言ったんだろうな」
青龍さんがそう言って俺の顔を見て笑った。
「手から何でも出せたら、生産性が上がって、一人でも多くの人を豊かにできるんじゃないか? と思って死にましたからね」
「成程。それでそっちの言葉で言うチートスキルを手に入れたわけだな? ユニークスキルで100kmの岩山を落として帝都を亡ぼした人間なんて聞いたことがないし、その後にきちんと復興させたのは、流石としか言いようがない」
何か知らんが改めてべた褒めをしてきた青龍さん。
「そう言えば、封印はいつ頃解けると推測されているのですか?」
「あと、3年ほどとは考えている。アスモデウスもこの件に関しては知っているからな。魔界にいる自分の部下を戦闘員として鍛えているそうだ」
「成程。一回魔界に行ってみたいな」
「料理が料理じゃないから止めたほうがいい。日本人には確実に合わないぞ。昔、うちの日本人の料理人が食べたことがあって倒れたことがあったからな」
そう笑いながら言っているが、俺は苦笑いしか出来なかった。いや、どんだけマズいんだよ。
「料理がマズいのは確かに行く気が失せますね」
「魔界に行ったところでデメリットだらけだ。経験値を積むにしても、カルベリアツリーのダンジョンやゾーク大迷宮に潜り込んだ方がよっぽどいい」
「成程。話が戻ってしまうのですが、その黒龍を倒すのに、どれくらいの人を集めているのですか?」
「約100人程だ。如何せん条件としては戦闘値が4,000以上だから、各国の人物に呼びかけている」
「そうなんですか。青龍さんの御友人は結構強いのですか?」
「ああ。今の余よりかは強いぞ、マルファスという魔族だ」
「青龍さんより強いって一体どのくらいなんですか?」
「6,500くらいだ。しかし黒龍はそれを凌駕する。綿密な作戦が必要だ。最悪、ここの山が破壊されることくらいは覚悟しているので、ここの辺りは黒龍を捕えるための罠をたくさん仕掛けている」
「そうだったんですか」
黒龍――。一体どれほどなのかはピンとこない。そもそも何のスキルが効いて、何のスキルが効かないのか。ベルゾーグやアリシアのユニークスキルや、アマミヤのアルティメットスキルで何とかできないのか? それらが効くなら大して怖くないのだが、戦闘値が高すぎるとまた別次元の強さになり、俺の想像をはるかに超えてくる。そうなると手を付けることができない――。
「俺達もっと強くならないとな。マーズベルの皆には伝えておきますよ。彼等には働かせるばかりではなく修行をつけさせたいと思います」
「助かる。さてそろそろ戻るか。せっかくだし、料理を出すぞ? うちのメニューをもっと盗みたいだろ?」
「確かに」
普通に帰ろうかなって思っていたけど、それを言われると帰りたくなくなる。気付いたらもう夕方だしな。
俺達はこの場を離れて、ドラグーンタワーへと向かった。どうやらここから約50km程あるらしいのだが。
「転移イヤリングで来たんだろ? 余も付けておるから一緒にアテナのイメージをしよう」
「アテナさんいつもドラグーンタワーにいるのですか?」
「そうだ。まあ余についていないときはアテナが決定権を持っている」
「うちはミクが決定権あるので同じですね」
「本当だな。さあ行くぞ」
「はい」
俺と青龍さんはこの場から離れてドラグーンタワーへと向かった。勿論、その後ちょっと変わった日本料理をたくさんご馳走してもらい、盗めるものは盗もうという気概で食べてみたが、どれも感動してばかりで、味の研究にはなかなか至らなかった。似たようなものを作ることができるかもしれないが、やはり 従者達をここで修行させるしかないと感じた。
オストロンとはこれからも自然な流れで交流がもっと深まりそうだ。
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