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新たな情報Ⅴ
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「ブラックマーケットで聞いた情報よ」
「ん? ブラックマーケット?」
「ええ」
「ロビン・パーカーって奴に会ったか?」
「寧ろ、ランベリオンの指示で会いに行きましたよ。あそこ凄いですね。レイドラムはいなくなったけど、裏の取引は未だに行われているみたいで」
アマミヤはそう言って神妙な顔つきをしていた。
「まあな――で? パーカーは何て言っていた?」
「そうですね。あっしっていう奇妙な一人称だったけど、裏付けはしっかりとれているみたいでした。情報としては、秘密結社ジェスという組織の構成員の1人にカルカラの貴族がいるらしいですね」
「ジェスってどういう意味ですか?」
俺も思った疑問だ。アマミヤがそれは~と口ごもると。
「ジェスは未だに謎が多くて100年程前にできた国、ペルソナの言葉だな。意味は創世を現す。確かペルソナはナリユキ殿達と同じ世界からきた人間の筈だ。そっちの世界では創世を英語でジェネシスと言うらしいが、そこから取ったのだろう」
「成程な。で、その創世っていう組織はどんな組織なんだ?」
「パーカーさんの情報によると、新世界を創る為にできた水面下で動いている組織のようですね。マカロフ卿は裏世界の王と呼ばれるほど認知度が高く有名ですが、創世は表舞台に立っていないようです。今まで行ってきた社会の発展の為の実績は凄いのですが、その裏では大きな事件に絡んでいるという話ももあります」
「何だ。フリーメイソンみたいな感じかと思ったけどそうではないのか」
「フリーメイソンはメディアに露出し過ぎていますからね」
俺とアマミヤがそう話をしていると――。
「フリーメイソンか~。久しぶりに聞いたな~」
と、どこか懐かしそうに思い出に浸っているランベリオン。俺はもうツッコミは入れないしその話題には触れんぞ。もはや、戦国時代の武将と会っていたりしてもツッコミはしない。全然あり得そうだし。
「実績としてはどんな感じなんだ?」
「レンファレンス王国の宮殿の建設。ログウェルの建国――」
アマミヤが書いている紙を見るとその他に諸々功績があるが、正直アマミヤが言った2つで凄いのは十分分かった。
「いや、もう凄いのは分かった」
「規模ものすごく大きいね」
ミクちゃんはそう言って感心していた。
「ただ――私達が共通認識している事件で言うと、カーネル王国に魔王軍の魔物達が襲って、カーネル王、クロノス、ランベリオン達が退けた戦争があるのですが、それを仕向けたのが創世という話も出ています……。他にも各国の大事件に関与している可能性があるらしいですね」
アマミヤがトントンと叩いている箇所を見ると、ベルティア連邦国で起きたクーデター事件、ヒーティス共和国の国民100名が消息不明になった事件などが挙げられている。仮に創世が絡んでいるとすれば一体何が目的なんだろう……?
「そして一番の特徴は構成員全員がQと同じ金色蛇の仮面を被って素顔を隠しているそうです」
「じゃあQという男は、創世の構成員の貴族ってことになるんですかね?」
「そういうことですね。パーカーさんの情報ではあるけど、パーカーさんは元創世の構成員から聞いた情報だって自信満々に言っていたわね。創世の現構成員には確かにカルカラの貴族がいると――ただ、それが誰かっていうのは言えないって言われたらしいから、名前までは分からないけど、構成員には金色蛇と同じ絵柄のタトゥーが左胸にあるらしいの」
「な? なかなか有力な情報だろ? つまりカルカラの貴族にそのタトゥーがある男が誰かいないかを聞けばいいのだ!」
ランベリオンは少し興奮気味にそう言ってきた。ミクちゃんも確かに凄い情報だね! それだと見つけるの簡単だ! と大喜びだけど1つ引っかかるんだよな――。
「タテワキさんどうかされましたか?」
「水面下で動いているのに、仮面を付けて動くのはあまりにも目立つと思わないか? だって金色の蛇柄の仮面だぜ? めちゃくちゃ目立つだろ? そんな仮面を付けた男がいたら話題になるだろうに」
「確かに――」
ランベリオンは唸っているがミクちゃんは俺に疑問をぶつけてきた。
「でも、人前で仮面を付けているとは限らないよ? Qは関係者とそういった話をするときにだけ仮面を付けていると思うんだ。他の人に貴族の正体は実は〇〇侯爵でした! みたいな話が他に流れたらマズいからね――情報を盗み聞きしている人を毎回発見できるとは限らないからリスクヘッジで付けているだけ――なら、辻褄あうと思うんだけど」
「いや~考えにくいだろ。だってその話をする約束の場所に行くまでの目撃情報で裏付けされたらあの貴族が怪しいってなるだろうし」
「あ――確かにそうだね」
ミクちゃんはそう言って残念そうな表情を浮かべていた。
「今、考察しても結論は出ないと思うぞ? とりあえず我とミユキ殿は創世についての情報を集めた方がいいと考えている」
「そうだな。因みにペルソナの場所は分かるのか? 何か手がかりがあるかもしれないと思うし。単純に考えたら、創世の構成員が創り上げた国の可能性が高いだろうに」
「我とミユキ殿も同意見だ。パーカーは創世とペルソナの関連性についてはよく分からないと言っていたしな。パーカーも情報屋なので、創世という言葉がペルソナで使われている言葉とは知っていたらしいので、その元構成員とやらに訊いたらしいが教えてくれなかったそうだ。ペルソナの場所も教えてくれなかったらしいが、別のパイプでペルソナの場所を突き止めたって言っていた」
「場所は何処にあるんだ?」
「ここだ」
ランベリオンが指した場所は、ちょうど世界地図の中央だった。この世界の海に囲まれた世界の中心部の島には、世界樹があるとコヴィー・S・ウィズダムの著書に書かれていた。島の名前はヴァース島と呼ばれている島だ。しかし、国があるとは書かれていなかったけどな――。でも、世界の中心部という事で創世という組織名にピッタリな場所じゃないか? 俺でもここの島を選ぶかも。
「ヴァース島には世界樹がある。世界樹は世界のシンボル――何か掴めそうな気がせんか?」
ランベリオンがニッと笑みを浮かべていたので、俺は「そうだな」と頷いた。
「では方針は決まりね。私とランベリオンはヴァース島に向かいます」
「ああ。頼む」
「頑張ってね2人共」
ミクちゃんがそう言うと、アマミヤもランベリオンも口元が緩んでいた。「任せろ」と言わんばかりの表情だった。
「ん? ブラックマーケット?」
「ええ」
「ロビン・パーカーって奴に会ったか?」
「寧ろ、ランベリオンの指示で会いに行きましたよ。あそこ凄いですね。レイドラムはいなくなったけど、裏の取引は未だに行われているみたいで」
アマミヤはそう言って神妙な顔つきをしていた。
「まあな――で? パーカーは何て言っていた?」
「そうですね。あっしっていう奇妙な一人称だったけど、裏付けはしっかりとれているみたいでした。情報としては、秘密結社ジェスという組織の構成員の1人にカルカラの貴族がいるらしいですね」
「ジェスってどういう意味ですか?」
俺も思った疑問だ。アマミヤがそれは~と口ごもると。
「ジェスは未だに謎が多くて100年程前にできた国、ペルソナの言葉だな。意味は創世を現す。確かペルソナはナリユキ殿達と同じ世界からきた人間の筈だ。そっちの世界では創世を英語でジェネシスと言うらしいが、そこから取ったのだろう」
「成程な。で、その創世っていう組織はどんな組織なんだ?」
「パーカーさんの情報によると、新世界を創る為にできた水面下で動いている組織のようですね。マカロフ卿は裏世界の王と呼ばれるほど認知度が高く有名ですが、創世は表舞台に立っていないようです。今まで行ってきた社会の発展の為の実績は凄いのですが、その裏では大きな事件に絡んでいるという話ももあります」
「何だ。フリーメイソンみたいな感じかと思ったけどそうではないのか」
「フリーメイソンはメディアに露出し過ぎていますからね」
俺とアマミヤがそう話をしていると――。
「フリーメイソンか~。久しぶりに聞いたな~」
と、どこか懐かしそうに思い出に浸っているランベリオン。俺はもうツッコミは入れないしその話題には触れんぞ。もはや、戦国時代の武将と会っていたりしてもツッコミはしない。全然あり得そうだし。
「実績としてはどんな感じなんだ?」
「レンファレンス王国の宮殿の建設。ログウェルの建国――」
アマミヤが書いている紙を見るとその他に諸々功績があるが、正直アマミヤが言った2つで凄いのは十分分かった。
「いや、もう凄いのは分かった」
「規模ものすごく大きいね」
ミクちゃんはそう言って感心していた。
「ただ――私達が共通認識している事件で言うと、カーネル王国に魔王軍の魔物達が襲って、カーネル王、クロノス、ランベリオン達が退けた戦争があるのですが、それを仕向けたのが創世という話も出ています……。他にも各国の大事件に関与している可能性があるらしいですね」
アマミヤがトントンと叩いている箇所を見ると、ベルティア連邦国で起きたクーデター事件、ヒーティス共和国の国民100名が消息不明になった事件などが挙げられている。仮に創世が絡んでいるとすれば一体何が目的なんだろう……?
「そして一番の特徴は構成員全員がQと同じ金色蛇の仮面を被って素顔を隠しているそうです」
「じゃあQという男は、創世の構成員の貴族ってことになるんですかね?」
「そういうことですね。パーカーさんの情報ではあるけど、パーカーさんは元創世の構成員から聞いた情報だって自信満々に言っていたわね。創世の現構成員には確かにカルカラの貴族がいると――ただ、それが誰かっていうのは言えないって言われたらしいから、名前までは分からないけど、構成員には金色蛇と同じ絵柄のタトゥーが左胸にあるらしいの」
「な? なかなか有力な情報だろ? つまりカルカラの貴族にそのタトゥーがある男が誰かいないかを聞けばいいのだ!」
ランベリオンは少し興奮気味にそう言ってきた。ミクちゃんも確かに凄い情報だね! それだと見つけるの簡単だ! と大喜びだけど1つ引っかかるんだよな――。
「タテワキさんどうかされましたか?」
「水面下で動いているのに、仮面を付けて動くのはあまりにも目立つと思わないか? だって金色の蛇柄の仮面だぜ? めちゃくちゃ目立つだろ? そんな仮面を付けた男がいたら話題になるだろうに」
「確かに――」
ランベリオンは唸っているがミクちゃんは俺に疑問をぶつけてきた。
「でも、人前で仮面を付けているとは限らないよ? Qは関係者とそういった話をするときにだけ仮面を付けていると思うんだ。他の人に貴族の正体は実は〇〇侯爵でした! みたいな話が他に流れたらマズいからね――情報を盗み聞きしている人を毎回発見できるとは限らないからリスクヘッジで付けているだけ――なら、辻褄あうと思うんだけど」
「いや~考えにくいだろ。だってその話をする約束の場所に行くまでの目撃情報で裏付けされたらあの貴族が怪しいってなるだろうし」
「あ――確かにそうだね」
ミクちゃんはそう言って残念そうな表情を浮かべていた。
「今、考察しても結論は出ないと思うぞ? とりあえず我とミユキ殿は創世についての情報を集めた方がいいと考えている」
「そうだな。因みにペルソナの場所は分かるのか? 何か手がかりがあるかもしれないと思うし。単純に考えたら、創世の構成員が創り上げた国の可能性が高いだろうに」
「我とミユキ殿も同意見だ。パーカーは創世とペルソナの関連性についてはよく分からないと言っていたしな。パーカーも情報屋なので、創世という言葉がペルソナで使われている言葉とは知っていたらしいので、その元構成員とやらに訊いたらしいが教えてくれなかったそうだ。ペルソナの場所も教えてくれなかったらしいが、別のパイプでペルソナの場所を突き止めたって言っていた」
「場所は何処にあるんだ?」
「ここだ」
ランベリオンが指した場所は、ちょうど世界地図の中央だった。この世界の海に囲まれた世界の中心部の島には、世界樹があるとコヴィー・S・ウィズダムの著書に書かれていた。島の名前はヴァース島と呼ばれている島だ。しかし、国があるとは書かれていなかったけどな――。でも、世界の中心部という事で創世という組織名にピッタリな場所じゃないか? 俺でもここの島を選ぶかも。
「ヴァース島には世界樹がある。世界樹は世界のシンボル――何か掴めそうな気がせんか?」
ランベリオンがニッと笑みを浮かべていたので、俺は「そうだな」と頷いた。
「では方針は決まりね。私とランベリオンはヴァース島に向かいます」
「ああ。頼む」
「頑張ってね2人共」
ミクちゃんがそう言うと、アマミヤもランベリオンも口元が緩んでいた。「任せろ」と言わんばかりの表情だった。
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