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来襲Ⅲ
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「残念だったな」
「どこに行った!?」
俺は転移イヤリングを使ってマカロフ卿の後ろに回り込んだ。身体が全て再生された後、マカロフ卿の背中に手を向けた。
「大爆発!」
俺がそう言ったと同時にマカロフ卿の体は大爆発を起こした。まるで地雷を踏んだの如く爆炎に巻き込まれるマカロフ卿。
しかし、体を硬化させていたのか、煙の中から出て来たマカロフ卿は、俺をギロリと睨むだけで特にダメージは受けていないようだった。
「鋼の体Ⅴがあるんじゃ話にならんな」
俺はマカロフ卿の頭上に30m級の岩山を落とした。
「どうだ?」
俺はその間にAA-12フルオートショットガンを繰り出して、次の攻撃を伺っていた。
すると何が起きたのか。岩山は真っ二つに割れるなりマカロフ卿はただならぬ殺気で俺を睨みつけていた。まあ奴の戦闘値なら岩山を真っ二つに破壊するくらい容易いか――。
やはり俺が奴にダメージを当てるのは銃撃しかない。圧倒的な手数で奴を蹂躙する――。
「ナリユキ・タテワキー!」
そう怒号を散らしながら俺に向かって突っ込んできたマカロフ卿。スペツナズナイフはホルスターにしまって代わりに持っているのはマカロフ卿の愛銃の――。
銃の形状が全然違った。マカロフ卿が持っているのは回転式拳銃のコルト・パイソンだ。
「確かに俺にダメージを与えるにはちょうどいい武器だな」
そう思っているとマカロフ卿がコルト・パイソンを放ってきた。龍騎士との戦闘をしているから、弾道を見切ることくらいは容易い。
俺がそう思って避け切ったときにはすでにマカロフ卿の姿を無かった。そう意識が銃弾にほんの僅か0コンマ何秒という時間の間に――。
そう思っていると、死の領域が発動した。マカロフ卿は正面にいる――!
差し伸べられた魔の手――俺はマカロフ卿に向かってAA-12をぶっ放した。
重厚な銃撃音と共に繰り出される圧倒的火力の散弾銃。鋼の体Ⅴを持っているマカロフ卿の体でも流石に耐え切れず血まみれになっていた。
俺が距離を取ろうとしたその時だった。
ニッと不気味な笑みを浮かべる体中血まみれのマカロフ卿は手を伸ばしていた。
「そうはさせん」
怒り――。
憎しみ――。
嫉妬――。
様々な感情が入り混じったマカロフ卿の手――。直感的ではあったが、この尋常ではない感情の込められ方は、俺の唯一無二の弱点である脳を吹き飛ばすには十分だった。
さっきのように転移イヤリングを使いたいが――間に合わない。何とか触れられる手をずらさなくては――。
そう思って咄嗟に出した紅炎放射。逃げようとしていた体と、紅炎放射を地面に吐き出したことにより生まれた推進力でマカロフ卿の手が、俺の足に触れたと同時に俺は再び光に包まれたかに思えた。
「何も起きない――」
一瞬光ったように見えたのは幻か? 俺がそう啞然としているとき、マカロフ卿が放ったデザートイーグルが俺の頭にクリーンヒットした。
いってえ――。
俺が不思議そうな表情を浮かべながらマカロフ卿を見ていると――。
「いつ死ぬか分からない恐怖をとくと味わうがいい」
その意味が分かった。マカロフ卿の復讐の時限爆弾は直ぐに爆発させるだけで無くいつのタイミングでも爆発させることができる。それに威力はどんどん上がるという代物だ。
ヤバい――。
俺が焦っている表情を浮かべているのを見て、マカロフ卿は高笑いを始めた。
「フハハハハハ! とうとう貴様を殺すことができる! あとは、貴様が再生できないような威力にするだけだ。貴様の命はこの私が預かっているとでも言えよう。メリーザの恨み晴らさせてくれる」
「だから違うって!」
「ほざけ。しらじらしい」
参ったな。そもそも俺がメリーザにヴェドラウイルスをかけて何のメリットがある――まああるか。敵の回復要員を削ることができるもんな。にしてもメリーザは協力者だ。俺がそんな意味の分からん命令をする訳がない。
では、一体誰がマカロフ卿達に嘘の情報を流したんだ? まさかコードか? それともQか?
「今度は何の悪だくみを企んでいる?」
マカロフ卿はそうやって俺を睨みつけて来た。悪魔との機密契約を使おうとしているだけだがな。あとは、知性・記憶の略奪と献上を使って間違った記憶を――。いや、それはきちんと誰がどういう理由でこの人が真の犯人というものが無い限りは無理だな。
マカロフ卿の復讐の時限爆弾に関してはアリシアに取り除いてもらう事も可能だけど、正直なところそんな時間があるかどうか分からない。ここで、俺がマカロフ卿を食い止めていなければ、確実に他の人間がヘイトを買う事になる。そうなると、まともに太刀打ちできる人間がいない――。
そして、マカロフ卿の足を止めるだけなら、魔界の扉を使って数時間閉じ込める事ができるがそれには問題がある。俺に対しての憎しみが増えるだけ。そうなると、俺の脳みそは吹き飛ばされて死ぬ――それだけは避けたい。
では、復讐の時限爆弾は一体どっちなのだろう。埋め込まれているなかでも、対象者に対しての憎しみが増大しても、爆発したときにその蓄積された憎しみは反映されるのだろうか? それとも、触れたときの憎しみが爆発に反映されるのだろうか? また、爆発をしろと念じた時に、魔界にいるマカロフ卿のスキル効果は、人間界という別世界にいる俺に果たして通用するのだろうか?
くそ――分からないことだらけだ。
「どこに行った!?」
俺は転移イヤリングを使ってマカロフ卿の後ろに回り込んだ。身体が全て再生された後、マカロフ卿の背中に手を向けた。
「大爆発!」
俺がそう言ったと同時にマカロフ卿の体は大爆発を起こした。まるで地雷を踏んだの如く爆炎に巻き込まれるマカロフ卿。
しかし、体を硬化させていたのか、煙の中から出て来たマカロフ卿は、俺をギロリと睨むだけで特にダメージは受けていないようだった。
「鋼の体Ⅴがあるんじゃ話にならんな」
俺はマカロフ卿の頭上に30m級の岩山を落とした。
「どうだ?」
俺はその間にAA-12フルオートショットガンを繰り出して、次の攻撃を伺っていた。
すると何が起きたのか。岩山は真っ二つに割れるなりマカロフ卿はただならぬ殺気で俺を睨みつけていた。まあ奴の戦闘値なら岩山を真っ二つに破壊するくらい容易いか――。
やはり俺が奴にダメージを当てるのは銃撃しかない。圧倒的な手数で奴を蹂躙する――。
「ナリユキ・タテワキー!」
そう怒号を散らしながら俺に向かって突っ込んできたマカロフ卿。スペツナズナイフはホルスターにしまって代わりに持っているのはマカロフ卿の愛銃の――。
銃の形状が全然違った。マカロフ卿が持っているのは回転式拳銃のコルト・パイソンだ。
「確かに俺にダメージを与えるにはちょうどいい武器だな」
そう思っているとマカロフ卿がコルト・パイソンを放ってきた。龍騎士との戦闘をしているから、弾道を見切ることくらいは容易い。
俺がそう思って避け切ったときにはすでにマカロフ卿の姿を無かった。そう意識が銃弾にほんの僅か0コンマ何秒という時間の間に――。
そう思っていると、死の領域が発動した。マカロフ卿は正面にいる――!
差し伸べられた魔の手――俺はマカロフ卿に向かってAA-12をぶっ放した。
重厚な銃撃音と共に繰り出される圧倒的火力の散弾銃。鋼の体Ⅴを持っているマカロフ卿の体でも流石に耐え切れず血まみれになっていた。
俺が距離を取ろうとしたその時だった。
ニッと不気味な笑みを浮かべる体中血まみれのマカロフ卿は手を伸ばしていた。
「そうはさせん」
怒り――。
憎しみ――。
嫉妬――。
様々な感情が入り混じったマカロフ卿の手――。直感的ではあったが、この尋常ではない感情の込められ方は、俺の唯一無二の弱点である脳を吹き飛ばすには十分だった。
さっきのように転移イヤリングを使いたいが――間に合わない。何とか触れられる手をずらさなくては――。
そう思って咄嗟に出した紅炎放射。逃げようとしていた体と、紅炎放射を地面に吐き出したことにより生まれた推進力でマカロフ卿の手が、俺の足に触れたと同時に俺は再び光に包まれたかに思えた。
「何も起きない――」
一瞬光ったように見えたのは幻か? 俺がそう啞然としているとき、マカロフ卿が放ったデザートイーグルが俺の頭にクリーンヒットした。
いってえ――。
俺が不思議そうな表情を浮かべながらマカロフ卿を見ていると――。
「いつ死ぬか分からない恐怖をとくと味わうがいい」
その意味が分かった。マカロフ卿の復讐の時限爆弾は直ぐに爆発させるだけで無くいつのタイミングでも爆発させることができる。それに威力はどんどん上がるという代物だ。
ヤバい――。
俺が焦っている表情を浮かべているのを見て、マカロフ卿は高笑いを始めた。
「フハハハハハ! とうとう貴様を殺すことができる! あとは、貴様が再生できないような威力にするだけだ。貴様の命はこの私が預かっているとでも言えよう。メリーザの恨み晴らさせてくれる」
「だから違うって!」
「ほざけ。しらじらしい」
参ったな。そもそも俺がメリーザにヴェドラウイルスをかけて何のメリットがある――まああるか。敵の回復要員を削ることができるもんな。にしてもメリーザは協力者だ。俺がそんな意味の分からん命令をする訳がない。
では、一体誰がマカロフ卿達に嘘の情報を流したんだ? まさかコードか? それともQか?
「今度は何の悪だくみを企んでいる?」
マカロフ卿はそうやって俺を睨みつけて来た。悪魔との機密契約を使おうとしているだけだがな。あとは、知性・記憶の略奪と献上を使って間違った記憶を――。いや、それはきちんと誰がどういう理由でこの人が真の犯人というものが無い限りは無理だな。
マカロフ卿の復讐の時限爆弾に関してはアリシアに取り除いてもらう事も可能だけど、正直なところそんな時間があるかどうか分からない。ここで、俺がマカロフ卿を食い止めていなければ、確実に他の人間がヘイトを買う事になる。そうなると、まともに太刀打ちできる人間がいない――。
そして、マカロフ卿の足を止めるだけなら、魔界の扉を使って数時間閉じ込める事ができるがそれには問題がある。俺に対しての憎しみが増えるだけ。そうなると、俺の脳みそは吹き飛ばされて死ぬ――それだけは避けたい。
では、復讐の時限爆弾は一体どっちなのだろう。埋め込まれているなかでも、対象者に対しての憎しみが増大しても、爆発したときにその蓄積された憎しみは反映されるのだろうか? それとも、触れたときの憎しみが爆発に反映されるのだろうか? また、爆発をしろと念じた時に、魔界にいるマカロフ卿のスキル効果は、人間界という別世界にいる俺に果たして通用するのだろうか?
くそ――分からないことだらけだ。
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