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脱出を目指してⅠ
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「それにしてもジャックさんが敵だったとはね。それに殺戮の腕といいスキルは強力だったわ」
「そうだな――ミユキ殿はジャックに対して今思うと不審だったなと思うところはあるか?」
「無いわよ――強いて言うならば、会ってジャックさんの家に招かれて話をしたとき、やけに質問が多かったな~と思うくらいだわ。でも、警戒心が強ければ至極当然のことよ」
「そうなのだ。我もミユキ殿が意識を失っている時に考えていたのだが、思い当たらなくてな――完璧な立ち回りだったと思う」
「それにある程度の情報はあっちから漏らしてくれたしね。あまりにも自然過ぎて今思うと驚きよ」
「それを考えると、メルム・ヴィジャは奴が仕掛けた魔物だったのだろうか?」
「どうだろう。一概には言えないわね。ランベリオンはあのRという人物についてはどう思う?」
私がそう求めるとランベリオンは「そうだな~」と言って顎を触り始めた。
「相当な手練れの者だな。ジャックも強いがあのRという男は別次元だ――」
「どれくらいのレベルだと思う?」
「まあマカロフ卿やワイズくらいのレベルが妥当だろうな――ったく世界は広いな」
ランベリオンはそう言って溜め息を吐いていた。私もそう思う――ここ最近は特に強い敵とばかり遇う――それはタテワキさんが強いから類は友を呼ぶ的なやつで寄ってきているのだろうか? 4,000という戦闘値でも十分に強いのに5,000以上の敵がこうもポンポンと現れると困ったものだ。
「Rは貴族なのかしら?」
「どうだろうな。ただ、特徴的ではあったな」
ランベリオンはそうニッと口角を吊り上げた。笑顔は勿論いい事だけど、ランベリオンの真意が私には分からなかった。
「どういう事?」
「非常にシンプルだ。2m程の屈強な男で、両手とも義手という事だ」
「あれが義手では無い可能性もあると思わない?」
「ん? どういう事だ?」
「スキルはスキルなんだけど、元々普通にある手があんな形になるスキルとか」
私がそう言うとランベリオンは「確かにそれもあり得るな!」と手をポンと叩いた。
「まあ、いずれにしても手をロボットのように飛ばさせるなんて、それこそうぬ等の世界にある漫画のようだ。ほら、ロケットパンチ! ってあるのだろう?」
気になる――凄く気になる。何でランベリオンはここまで日本の文化に詳しいんだ。
「本当に気になるから一回貴方の過去の転生者の友人の名前洗いざらい言いなさいよ」
「今度ゆっくりと話をしてやる。マーズベルに戻ったら団子でも食べながら談笑しよう。話せばいっぱいいるからな」
「そんなに?」
「まあ、強いて言えば戦国時代の武将や、江戸時代の人斬りもいたぞ」
想像以上に濃いな――しかもその武将って知っている人かしら? いずれにしてもめちゃくちゃ気になる。
「1つの時代に1人は友人関係になっていると思うぞ。まあ今はそんな事より、できる限りの考察をしようではないか。まず、ここは何処なのか? という事。我等は何故殺されずに済んだのかという事――などなど」
ランベリオンはそう言いながら、私の表情を伺っていた。私に意見を求めているのだろう。或いは同意を求めている。
「まあそうね。殺されずに済んだのは不幸中の幸いだわ。けどそれは単純に人質などのネガティブな事に使われるんだと思うわ」
すると、ランベリオンは私の顔を見て何か思い出したような表情を浮かべた。
「今思うと、ミユキ殿の完全なる運命のスキル効果が働いたのではないか? だからこの捕まった状況も寧ろプラスなのでは?」
「確かにユニークスキルは常に発動しているわ。マーズベルでのんびりと過ごしている時は発動していないけど任務の時は必ずね」
「だとしたらいける! いけるぞ!」
ランベリオンの能天気すぎるポジティブさに私は溜め息をついた。
「このスキルは、表面上では物事をプラスの方向に変えることができる。とステータスには出てくるけど、そう簡単な話ではないのよ」
「と、言うと?」
「確かに完全なる運命は幸運をもたらす強力なスキル。けどね発動しないときがあるわ」
するとランベリオンは目を丸くして驚いていた。
「そうだったのか!?」
「ええ。だって人間は何もしない、行動理念をしっかり持って行動し無ければ何も起きないと思わない?」
「た――確かに――」
「だからね、こういう窮地に陥った時に助けてくれるこのスキルを生かすには、何でもいいから今できる解決策を本気で立案して行動を起こす必要があるのよ。するとこのスキルはプラスの運命に変えてくれるの」
私がそう言ってもランベリオンは「う~ん」と首を傾げていた。
「それならば、ナリユキ殿のように自分を信じ続けて行動をすればプラスの方向に変わっているから、考え方次第であってスキルの恩恵は少ないんじゃないか?」
「確かに今の伝え方だとそうなるわね。でも人間って必ず失敗するじゃない? だって正解が分からないから本気で取り組んでも無理な時は無理。そこに失敗という概念が生まれ、さらに改善を行う事によって過去の失敗が成功体験に変わるのよ。私のスキルはどちらかと言うと筋トレのようなものかしら。筋トレってタンパク質やEAAを使う事によって、より効果的に筋力を肥大化させることができるけど、筋力自体はトレーニングを続けてさえいれば効果はあるし、小さな変化かもしれないけどおよそ3ヶ月~6ヶ月周期で肉体が変化するらしいの。だから筋トレは継続さえできれば必ず報われるのよ。私のスキルもそれと同じ。自分なりに熟考して行動すれば必ずプラスに物事が動くのよ。それが正しければ正しい程恩恵が大きくなる。だから今何ができるかを本気で考えるの。その恩恵は何かは私には分からないけどね」
するとランベリオンはニッと笑みを浮かべた。
「分かった。一緒に考えよう」
「そうだな――ミユキ殿はジャックに対して今思うと不審だったなと思うところはあるか?」
「無いわよ――強いて言うならば、会ってジャックさんの家に招かれて話をしたとき、やけに質問が多かったな~と思うくらいだわ。でも、警戒心が強ければ至極当然のことよ」
「そうなのだ。我もミユキ殿が意識を失っている時に考えていたのだが、思い当たらなくてな――完璧な立ち回りだったと思う」
「それにある程度の情報はあっちから漏らしてくれたしね。あまりにも自然過ぎて今思うと驚きよ」
「それを考えると、メルム・ヴィジャは奴が仕掛けた魔物だったのだろうか?」
「どうだろう。一概には言えないわね。ランベリオンはあのRという人物についてはどう思う?」
私がそう求めるとランベリオンは「そうだな~」と言って顎を触り始めた。
「相当な手練れの者だな。ジャックも強いがあのRという男は別次元だ――」
「どれくらいのレベルだと思う?」
「まあマカロフ卿やワイズくらいのレベルが妥当だろうな――ったく世界は広いな」
ランベリオンはそう言って溜め息を吐いていた。私もそう思う――ここ最近は特に強い敵とばかり遇う――それはタテワキさんが強いから類は友を呼ぶ的なやつで寄ってきているのだろうか? 4,000という戦闘値でも十分に強いのに5,000以上の敵がこうもポンポンと現れると困ったものだ。
「Rは貴族なのかしら?」
「どうだろうな。ただ、特徴的ではあったな」
ランベリオンはそうニッと口角を吊り上げた。笑顔は勿論いい事だけど、ランベリオンの真意が私には分からなかった。
「どういう事?」
「非常にシンプルだ。2m程の屈強な男で、両手とも義手という事だ」
「あれが義手では無い可能性もあると思わない?」
「ん? どういう事だ?」
「スキルはスキルなんだけど、元々普通にある手があんな形になるスキルとか」
私がそう言うとランベリオンは「確かにそれもあり得るな!」と手をポンと叩いた。
「まあ、いずれにしても手をロボットのように飛ばさせるなんて、それこそうぬ等の世界にある漫画のようだ。ほら、ロケットパンチ! ってあるのだろう?」
気になる――凄く気になる。何でランベリオンはここまで日本の文化に詳しいんだ。
「本当に気になるから一回貴方の過去の転生者の友人の名前洗いざらい言いなさいよ」
「今度ゆっくりと話をしてやる。マーズベルに戻ったら団子でも食べながら談笑しよう。話せばいっぱいいるからな」
「そんなに?」
「まあ、強いて言えば戦国時代の武将や、江戸時代の人斬りもいたぞ」
想像以上に濃いな――しかもその武将って知っている人かしら? いずれにしてもめちゃくちゃ気になる。
「1つの時代に1人は友人関係になっていると思うぞ。まあ今はそんな事より、できる限りの考察をしようではないか。まず、ここは何処なのか? という事。我等は何故殺されずに済んだのかという事――などなど」
ランベリオンはそう言いながら、私の表情を伺っていた。私に意見を求めているのだろう。或いは同意を求めている。
「まあそうね。殺されずに済んだのは不幸中の幸いだわ。けどそれは単純に人質などのネガティブな事に使われるんだと思うわ」
すると、ランベリオンは私の顔を見て何か思い出したような表情を浮かべた。
「今思うと、ミユキ殿の完全なる運命のスキル効果が働いたのではないか? だからこの捕まった状況も寧ろプラスなのでは?」
「確かにユニークスキルは常に発動しているわ。マーズベルでのんびりと過ごしている時は発動していないけど任務の時は必ずね」
「だとしたらいける! いけるぞ!」
ランベリオンの能天気すぎるポジティブさに私は溜め息をついた。
「このスキルは、表面上では物事をプラスの方向に変えることができる。とステータスには出てくるけど、そう簡単な話ではないのよ」
「と、言うと?」
「確かに完全なる運命は幸運をもたらす強力なスキル。けどね発動しないときがあるわ」
するとランベリオンは目を丸くして驚いていた。
「そうだったのか!?」
「ええ。だって人間は何もしない、行動理念をしっかり持って行動し無ければ何も起きないと思わない?」
「た――確かに――」
「だからね、こういう窮地に陥った時に助けてくれるこのスキルを生かすには、何でもいいから今できる解決策を本気で立案して行動を起こす必要があるのよ。するとこのスキルはプラスの運命に変えてくれるの」
私がそう言ってもランベリオンは「う~ん」と首を傾げていた。
「それならば、ナリユキ殿のように自分を信じ続けて行動をすればプラスの方向に変わっているから、考え方次第であってスキルの恩恵は少ないんじゃないか?」
「確かに今の伝え方だとそうなるわね。でも人間って必ず失敗するじゃない? だって正解が分からないから本気で取り組んでも無理な時は無理。そこに失敗という概念が生まれ、さらに改善を行う事によって過去の失敗が成功体験に変わるのよ。私のスキルはどちらかと言うと筋トレのようなものかしら。筋トレってタンパク質やEAAを使う事によって、より効果的に筋力を肥大化させることができるけど、筋力自体はトレーニングを続けてさえいれば効果はあるし、小さな変化かもしれないけどおよそ3ヶ月~6ヶ月周期で肉体が変化するらしいの。だから筋トレは継続さえできれば必ず報われるのよ。私のスキルもそれと同じ。自分なりに熟考して行動すれば必ずプラスに物事が動くのよ。それが正しければ正しい程恩恵が大きくなる。だから今何ができるかを本気で考えるの。その恩恵は何かは私には分からないけどね」
するとランベリオンはニッと笑みを浮かべた。
「分かった。一緒に考えよう」
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