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マカロフ卿から見たマーズベルⅡ
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「気になっていたんだが、私の事は何も言っていないのか? この町の奴等私を怖がらない」
「戦闘員しか知らないよ。別に言う必要無いだろ。それにヴェドラウイルスの事を知らなかったんだろ? 後はアンタがどうしたいかを決めるだけだ」
「そうか」
「それより腹減ってないか? 好きな所入れよ」
俺がそう言うとマカロフ卿は「お前正気か?」みたいな表情を浮かべていた。
「ナリユキ君がそう言っているんだから、何でもいいから選びなよ」
「貴様等本当に何を考えているんだ?」
もはやマカロフ卿にすら呆れられている。
「ボルシチが置いている店は無いのか?」
マカロフ卿がポロッとそう漏らすと俺もミクちゃんもニヤニヤとした笑みを浮かべた。
「あるぞ」
「ロシア人がしているお店だから味の再現度は高いかも」
「ロシア人? それに貴様等なんでそんなにウキウキなんだ?」
「いいからいいから」
そして、俺達が着いたお店の名前はрадугаというお店だった。
「ロシア語じゃないか。貴様等が勉強したわけでは無いよな?」
「勿論、ロシア人の転生者がいるお店だからね」
ミクちゃんがそう言って入ったお店はオレンジ色の照明に4人掛けのテーブル席が10席ほどあるお店だった。お昼過ぎという事もあり人はそれほど入っていなかった。テーブルには赤いテーブルクロスが敷かれている。
「私普通に観光していないか?」
「いいからいいから」
俺はそう言いながら店長を呼んだ。
「挨拶が遅れてしまって申し訳ございません――ってマカロフ卿――!?」
白いコックコートを身に纏ったブラウンの瞳の中年男性だ。
「ナリユキ様――一体どうして?」
「どうこうもちょっと考えていることがあってな。んでボルシチが食べたいって言ったからソボレフさんのお店に来たんだ」
俺がそう言うと、ソボレフさんが俺に近付いて来ては耳打ちをしてきた。
「御言葉ですがナリユキ様。このマカロフ卿はこの世界でもあっちの世界でも危険視されている人物――元反乱軍のリーダーでログウェルでは高い地位についておきながら、マーズベルに攻撃を仕掛けて来た人物です」
「大丈夫だって何とかなる。てかロシアにいたときのマカロフ卿知っていたのか」
「勿論。ニュースでも顔写真は出ていましたから」
「何だ私の事知っていたのか? 有名人だな」
「そりゃそうだろ! 世界的な犯罪勢力だったんだから!」
「メディアは悪い面しか取り上げない悪趣味な奴等だかからな。それはそうとボルシチとキエフ風チキンカツレツをくれ」
「――本当に作るんですか? マカロフ卿の料理」
「頼む作ってくれ」
ソボレフさんは物凄く嫌そうな表情を浮かべていた。まあ何か色々あったんだろうな。
「俺はビーフストロガノフ」
「私もビーフストロガノフ。あ、ナリユキ君、サリャンカっていうスープ美味しいから一緒に食べようよ」
「お、そうだな」
すると、マカロフ卿が俺とミクちゃんをじっと見てきた。
「貴様等付き合っているのか? 前から思っていたがえらく仲が良いよな。明らかに友達同士の雰囲気じゃないというか」
「まあそんな関係かな」
「そんな関係だね」
俺とミクちゃんがそう言うとマカロフ卿は「青いが悪くない」と笑みを浮かべた。意外と恋愛とか興味あるのか?
「それでは直ぐにお持ち致しますのでしばらくお待ち下さい」
ソボレフさんはそう言って厨房へ戻った。
しばらく待つとソボレフさんが直々に料理を持ってきてくれた。マカロフ卿はホカホカのキエフ風チキンカツレツとボルシチがテーブルの上に置かれるとマカロフ卿は既に満足そうな笑みを浮かべていた。
「これは美味そうだな」
その後に俺とミクちゃんの料理も運ばれてきた。
「食べていいか?」
「勿論」
俺がそう言うとマカロフ卿はテーブルに置かれているスプーンを取ってボルシチを口に運んだ。
「美味いな。ビーツのコクがしっかりと出ている。それにニンジンやキャベツの質がいいのか、野菜の深いうま味が引き出されている」
と、好評だ。俺はビーフストロガノフを食べながらマカロフ卿がキエフ風チキンカツレツを食べているとこを見ていた。
「これも美味いな」
そう言って黙々と料理を食べるマカロフ卿に俺はホッとした。どうやら口に合ったようだ。まあ俺が作った料理じゃないから何とも言えないけど。
「気に入ってくれたようだな」
「五月蠅いな。美味しい料理に食いついて何が悪い」
「別に? アンタも人の子なんだなって思っただけさ」
「私を何だと思っていたんだ」
「分からず屋のろくでなし」
「腹は立つがそう言われても仕方ない。今度ぶっ飛ばしてやるから覚悟するんだな」
「枷が付いているのに?」
「五月蠅い。食事がまずくなる」
マカロフ卿はそう言って出された料理をたいらげた。
「こういうのも何だが感謝はしたよ。懐かしい味に巡り合えたのでな」
「それなら良かった」
俺はマカロフ卿に感謝をされたことで二重の満足を得た。料理も美味しかったけど、マカロフ卿のとげとげしさが抜けてきている。決してコイツがやってきたを許すわけじゃない。ただ、マカロフ卿にはベリトと同じで、奪った分の命以上に、多くの命を救えると思っているんだ。それに黒の殲滅軍の戦力はなかなかえげつないしな。
「腹ごしらえは出来た。それで観光はもう終わりか?」
「まだまだ。次行くぞ」
俺がそう言うと、マカロフ卿は「ほう」と呟いた。楽しそうに見えるのは気のせいか? とりあえず俺はマカロフ卿を次の場所に案内した。
「戦闘員しか知らないよ。別に言う必要無いだろ。それにヴェドラウイルスの事を知らなかったんだろ? 後はアンタがどうしたいかを決めるだけだ」
「そうか」
「それより腹減ってないか? 好きな所入れよ」
俺がそう言うとマカロフ卿は「お前正気か?」みたいな表情を浮かべていた。
「ナリユキ君がそう言っているんだから、何でもいいから選びなよ」
「貴様等本当に何を考えているんだ?」
もはやマカロフ卿にすら呆れられている。
「ボルシチが置いている店は無いのか?」
マカロフ卿がポロッとそう漏らすと俺もミクちゃんもニヤニヤとした笑みを浮かべた。
「あるぞ」
「ロシア人がしているお店だから味の再現度は高いかも」
「ロシア人? それに貴様等なんでそんなにウキウキなんだ?」
「いいからいいから」
そして、俺達が着いたお店の名前はрадугаというお店だった。
「ロシア語じゃないか。貴様等が勉強したわけでは無いよな?」
「勿論、ロシア人の転生者がいるお店だからね」
ミクちゃんがそう言って入ったお店はオレンジ色の照明に4人掛けのテーブル席が10席ほどあるお店だった。お昼過ぎという事もあり人はそれほど入っていなかった。テーブルには赤いテーブルクロスが敷かれている。
「私普通に観光していないか?」
「いいからいいから」
俺はそう言いながら店長を呼んだ。
「挨拶が遅れてしまって申し訳ございません――ってマカロフ卿――!?」
白いコックコートを身に纏ったブラウンの瞳の中年男性だ。
「ナリユキ様――一体どうして?」
「どうこうもちょっと考えていることがあってな。んでボルシチが食べたいって言ったからソボレフさんのお店に来たんだ」
俺がそう言うと、ソボレフさんが俺に近付いて来ては耳打ちをしてきた。
「御言葉ですがナリユキ様。このマカロフ卿はこの世界でもあっちの世界でも危険視されている人物――元反乱軍のリーダーでログウェルでは高い地位についておきながら、マーズベルに攻撃を仕掛けて来た人物です」
「大丈夫だって何とかなる。てかロシアにいたときのマカロフ卿知っていたのか」
「勿論。ニュースでも顔写真は出ていましたから」
「何だ私の事知っていたのか? 有名人だな」
「そりゃそうだろ! 世界的な犯罪勢力だったんだから!」
「メディアは悪い面しか取り上げない悪趣味な奴等だかからな。それはそうとボルシチとキエフ風チキンカツレツをくれ」
「――本当に作るんですか? マカロフ卿の料理」
「頼む作ってくれ」
ソボレフさんは物凄く嫌そうな表情を浮かべていた。まあ何か色々あったんだろうな。
「俺はビーフストロガノフ」
「私もビーフストロガノフ。あ、ナリユキ君、サリャンカっていうスープ美味しいから一緒に食べようよ」
「お、そうだな」
すると、マカロフ卿が俺とミクちゃんをじっと見てきた。
「貴様等付き合っているのか? 前から思っていたがえらく仲が良いよな。明らかに友達同士の雰囲気じゃないというか」
「まあそんな関係かな」
「そんな関係だね」
俺とミクちゃんがそう言うとマカロフ卿は「青いが悪くない」と笑みを浮かべた。意外と恋愛とか興味あるのか?
「それでは直ぐにお持ち致しますのでしばらくお待ち下さい」
ソボレフさんはそう言って厨房へ戻った。
しばらく待つとソボレフさんが直々に料理を持ってきてくれた。マカロフ卿はホカホカのキエフ風チキンカツレツとボルシチがテーブルの上に置かれるとマカロフ卿は既に満足そうな笑みを浮かべていた。
「これは美味そうだな」
その後に俺とミクちゃんの料理も運ばれてきた。
「食べていいか?」
「勿論」
俺がそう言うとマカロフ卿はテーブルに置かれているスプーンを取ってボルシチを口に運んだ。
「美味いな。ビーツのコクがしっかりと出ている。それにニンジンやキャベツの質がいいのか、野菜の深いうま味が引き出されている」
と、好評だ。俺はビーフストロガノフを食べながらマカロフ卿がキエフ風チキンカツレツを食べているとこを見ていた。
「これも美味いな」
そう言って黙々と料理を食べるマカロフ卿に俺はホッとした。どうやら口に合ったようだ。まあ俺が作った料理じゃないから何とも言えないけど。
「気に入ってくれたようだな」
「五月蠅いな。美味しい料理に食いついて何が悪い」
「別に? アンタも人の子なんだなって思っただけさ」
「私を何だと思っていたんだ」
「分からず屋のろくでなし」
「腹は立つがそう言われても仕方ない。今度ぶっ飛ばしてやるから覚悟するんだな」
「枷が付いているのに?」
「五月蠅い。食事がまずくなる」
マカロフ卿はそう言って出された料理をたいらげた。
「こういうのも何だが感謝はしたよ。懐かしい味に巡り合えたのでな」
「それなら良かった」
俺はマカロフ卿に感謝をされたことで二重の満足を得た。料理も美味しかったけど、マカロフ卿のとげとげしさが抜けてきている。決してコイツがやってきたを許すわけじゃない。ただ、マカロフ卿にはベリトと同じで、奪った分の命以上に、多くの命を救えると思っているんだ。それに黒の殲滅軍の戦力はなかなかえげつないしな。
「腹ごしらえは出来た。それで観光はもう終わりか?」
「まだまだ。次行くぞ」
俺がそう言うと、マカロフ卿は「ほう」と呟いた。楽しそうに見えるのは気のせいか? とりあえず俺はマカロフ卿を次の場所に案内した。
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