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アルボス城の調査Ⅱ
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まずは本のタイトルだ。新国誕生秘話と古来の森妖精というタイトルだ。ページを捲っていると神と呼ばれる存在の森妖精が東の国を築き上げたという話だ。当然ながらこの森妖精はミロクの事を言っているんだろう。その神と呼ばれている森妖精が、神秘的な力を使って、100の国を建国したという。
そもそも100の国って別格すぎるな――。そんな森妖精が目指したのは、人間と魔物の共存だ。ありとあらゆる種族が皆平等に手をとって生きていこう。そんな理想が書かれていた。まあ完全に俺がやろうとしている事そのものだよな。
けれども、魔界から魔王の軍勢がやって来て、人間に扮した魔物が、地上の魔物を襲う事によって、人間と魔物との間に亀裂を走らせる。ただ、それに気付いた森妖精は、見事に魔王の軍勢を退けた――という話だった。正直言ってそれほど重要ではない。が――本の文末に書かれているメモ書きが俺は気になった。
『我々は神を崇高し神に全てを捧げる。それが我々の役目である』と――。推測だけど、ミロクに全てを捧げるということで間違いないし、創世の創始者がミロクという何よりの証拠だ。
「何て書いているのだ?」
「神と呼ばれる森妖精が、国を100個造ったという話だ。その神と呼ばれている森妖精はミロクという森妖精の始祖で間違いない。文末に我々は神に全てを捧げると書かれているから、ミロクが創世の創始者という事だな」
「神と呼ばれているのがミロクという人物とも限らないだろ?」
「じゃあスカーは、他に神と呼ばれている人物を聞いたことがあるか?」
「――青龍様くらいしかいないな」
「だろ? ミロクを信仰している集団がいたらしいが、その集団こそが創世だと思っている」
「成程な。だとすると、創世にちょっかいをかけるのはかなりマズいんじゃなかったか?」
「そんなもん、3つのスキルに関する話を聞いた時からヤバいのは分かっていたから今更だよ。もう後には退けない」
「確かにそうだ」
「とりあえずそれをミク・アサギに渡しておいてくれないか?」
「ああ。分かってる」
カルディアにそう言われて、俺はミクちゃんに本を渡しに行った。
「どうだった?」
「まあミロクが創世の創始者で間違いないって事くらいかな」
「それ、結構重要な情報じゃない?」
「まあ言われてみたらそうかも」
まあ、多かれ少なかれミロクだろうなって思っていたから別に今更って気もする。単純に創世の創始者がミロクって断定――。
「よくよく考えたらミロクって断定していいのか?」
「何で今更?」
「この本の文末のメモ書きには、我々は神を崇高し神に全てを捧げる。それが我々の役目であるって書いているんだよね」
「絶対創世の幹部の誰かでしょ。これ見た? 何か書いているよ。右下に書いているから名前じゃないのかな?」
「legatus――この国の言語じゃねえな」
「ラテン語だよね? 多分――」
俺はそうミクちゃんにそう言われて再度読み上げてみた。
「――なあ、これレガトゥスじゃね?」
「た――確かに。カルディアさんと戦った人の事だよね?」
「そうだな。まあラテン語が何で起用されているのかが謎なんだよ。元々俺達って普通に会話をしているけど、日本語でもなければ、英語でもない。イタリア、スペイン、ドイツ、中国、とまあ色々あるわけだし、こういう異世界ってルーン文字が使われていたりするけど、ルーン文字ですらないもんな」
「そうだね。それに不思議な事に、言語は統一されていて、主な言語が私達人間が使う言語だけど、他には竜語、魔人語、森妖精語みたいな感じで色々な言葉があるんだよね?」
「そうだな」
「そうなるとレガトゥスって男の人は転生者と森妖精のハーフなのかな?」
「そうなるよな。一体誰が名付け親なんだろう」
「まあ今考えていても仕方ないし作業をどんどん進めていこう」
「そうだな」
ミクちゃんにそう言われて俺は引き続き作業を進めた。そしてあれから数時間――。進捗率は40%といったところだろうか。まだまだ探さないといけない箇所は多いけど日も暮れてきたので、今日はここで野宿となる。
俺は家を建てたけど、この辺りは電気もガスも水も無い。アルボス城で住んでいた人々は皆スキルを使って、電気、ガス、水道のライフラインを整えていたようだ。
「屋根があるだけで楽だな」
「今までの野宿とは快適さが違う」
スカーとカリブデウスがそう感心していた。
「そうだろ?」
俺が建てた仮宿は2階建ての洋館だった。無駄に大きいがそこは気にしない。水はカリブデウスの自然水があるし、スカーが持っている火のスキルがあれば何とでもなる。
そして食料に関しては、カルディアがその辺りにいる魔物を狩ってくれたので、それをミクちゃんが手料理をして3人に振舞った。肉と野菜だったたけど、ミクちゃんの手が加わることによって最高の塩焼きができた。何でそんな料理ができるかって? 調味料に関しては転移イヤリングを使ってマーズベルに戻るというズルをしたからだ。
料理も食べ終えてからの残業タイム。5人で見つけた資料に目を通す作業が始まる。
そもそも100の国って別格すぎるな――。そんな森妖精が目指したのは、人間と魔物の共存だ。ありとあらゆる種族が皆平等に手をとって生きていこう。そんな理想が書かれていた。まあ完全に俺がやろうとしている事そのものだよな。
けれども、魔界から魔王の軍勢がやって来て、人間に扮した魔物が、地上の魔物を襲う事によって、人間と魔物との間に亀裂を走らせる。ただ、それに気付いた森妖精は、見事に魔王の軍勢を退けた――という話だった。正直言ってそれほど重要ではない。が――本の文末に書かれているメモ書きが俺は気になった。
『我々は神を崇高し神に全てを捧げる。それが我々の役目である』と――。推測だけど、ミロクに全てを捧げるということで間違いないし、創世の創始者がミロクという何よりの証拠だ。
「何て書いているのだ?」
「神と呼ばれる森妖精が、国を100個造ったという話だ。その神と呼ばれている森妖精はミロクという森妖精の始祖で間違いない。文末に我々は神に全てを捧げると書かれているから、ミロクが創世の創始者という事だな」
「神と呼ばれているのがミロクという人物とも限らないだろ?」
「じゃあスカーは、他に神と呼ばれている人物を聞いたことがあるか?」
「――青龍様くらいしかいないな」
「だろ? ミロクを信仰している集団がいたらしいが、その集団こそが創世だと思っている」
「成程な。だとすると、創世にちょっかいをかけるのはかなりマズいんじゃなかったか?」
「そんなもん、3つのスキルに関する話を聞いた時からヤバいのは分かっていたから今更だよ。もう後には退けない」
「確かにそうだ」
「とりあえずそれをミク・アサギに渡しておいてくれないか?」
「ああ。分かってる」
カルディアにそう言われて、俺はミクちゃんに本を渡しに行った。
「どうだった?」
「まあミロクが創世の創始者で間違いないって事くらいかな」
「それ、結構重要な情報じゃない?」
「まあ言われてみたらそうかも」
まあ、多かれ少なかれミロクだろうなって思っていたから別に今更って気もする。単純に創世の創始者がミロクって断定――。
「よくよく考えたらミロクって断定していいのか?」
「何で今更?」
「この本の文末のメモ書きには、我々は神を崇高し神に全てを捧げる。それが我々の役目であるって書いているんだよね」
「絶対創世の幹部の誰かでしょ。これ見た? 何か書いているよ。右下に書いているから名前じゃないのかな?」
「legatus――この国の言語じゃねえな」
「ラテン語だよね? 多分――」
俺はそうミクちゃんにそう言われて再度読み上げてみた。
「――なあ、これレガトゥスじゃね?」
「た――確かに。カルディアさんと戦った人の事だよね?」
「そうだな。まあラテン語が何で起用されているのかが謎なんだよ。元々俺達って普通に会話をしているけど、日本語でもなければ、英語でもない。イタリア、スペイン、ドイツ、中国、とまあ色々あるわけだし、こういう異世界ってルーン文字が使われていたりするけど、ルーン文字ですらないもんな」
「そうだね。それに不思議な事に、言語は統一されていて、主な言語が私達人間が使う言語だけど、他には竜語、魔人語、森妖精語みたいな感じで色々な言葉があるんだよね?」
「そうだな」
「そうなるとレガトゥスって男の人は転生者と森妖精のハーフなのかな?」
「そうなるよな。一体誰が名付け親なんだろう」
「まあ今考えていても仕方ないし作業をどんどん進めていこう」
「そうだな」
ミクちゃんにそう言われて俺は引き続き作業を進めた。そしてあれから数時間――。進捗率は40%といったところだろうか。まだまだ探さないといけない箇所は多いけど日も暮れてきたので、今日はここで野宿となる。
俺は家を建てたけど、この辺りは電気もガスも水も無い。アルボス城で住んでいた人々は皆スキルを使って、電気、ガス、水道のライフラインを整えていたようだ。
「屋根があるだけで楽だな」
「今までの野宿とは快適さが違う」
スカーとカリブデウスがそう感心していた。
「そうだろ?」
俺が建てた仮宿は2階建ての洋館だった。無駄に大きいがそこは気にしない。水はカリブデウスの自然水があるし、スカーが持っている火のスキルがあれば何とでもなる。
そして食料に関しては、カルディアがその辺りにいる魔物を狩ってくれたので、それをミクちゃんが手料理をして3人に振舞った。肉と野菜だったたけど、ミクちゃんの手が加わることによって最高の塩焼きができた。何でそんな料理ができるかって? 調味料に関しては転移イヤリングを使ってマーズベルに戻るというズルをしたからだ。
料理も食べ終えてからの残業タイム。5人で見つけた資料に目を通す作業が始まる。
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