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森妖精の秘密Ⅰ

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「フォルボス。他の皆を探すのを任せられるか?」

「勿論だ」

「よし。行って来てくれ」

「大丈夫なのか?」

「勿論だ」

 俺がそう答えると、フォルボスは「ありがとう」と俺の前から立ち去った。問題は、この森妖精エルフの老人だ。念波動の戦闘値は6,300。数字だけなら俺より弱い。けど、年齢をものすごく重ねている人でも、青龍リオさんのように、格上と戦って負けないどころか、大した傷を負わずに戦闘に勝利することだって可能だ。そうなってくると、この森妖精エルフの老人――コンスルが戦闘タイプの人間で、青龍リオさんのように場数を踏んでいれば相当厄介な事になるな。

 と、するならば、何とか隙を見て知性・記憶の略奪と献上メーティスを発動し、コンスルのあらゆる戦闘スキルと、創生ジェスについての情報を奪うのが無難な勝ち筋だと言える。知性・記憶の略奪と献上メーティスでコンスルの情報を奪えば、神樹セフィロトに関する情報を奪う事が出来て、うちの国の森妖精エルフを強化できる可能性もあるしな。アリシアに関しては狙われている身だ。だから、神樹セフィロトを覚えておいてくれたら、創生ジェスの幹部と対等に戦えるようになる筈だ。

「危ない顔をしておるの。何かよからぬ事を企てておるな?」

「何だと思う?」

 俺は縮地を使って爺さんコンスルの懐まで一瞬で詰めた。すると爺さんコンスル神樹の宝刀セフィロト・スパーダの横薙ぎを繰り出して来た。

 ただまあ、俺にはそんな攻撃など関係ない。神樹の宝刀セフィロト・スパーダの攻撃を、コンスルの背後に転移テレポートイヤリングを使って回り込んで避ける。

「これはキツイだろ?」

「なっ……!?」

 コンスルは俺の動きに反応することは出来なかった。俺が放った零距離射撃のレミントンM870、ポンプアクション式ショットガンの一発の散弾は、コンスルの体内を駆け巡った。

「何だこの武器は……」

 見るからに致命傷だった。吐血し、ぜえぜえと息を切らしていた。まあ、普通なら俺の強化されたショットガンの威力なら、全然死んでも可笑しくないんだけど、この爺さんコンスルはパッシブスキルを視る限り、やたら固いからな。まあ、体中血まみれになっているし相当苦しい筈だ。

「遠慮なくいかせてもらうぞ?」

「な……何をする気だ!?」

 ショットガンで攻撃をすると意外とあっけないもんだ。俺は爺さんコンスルの問いには答えずに、そのままコンスルの頭を掴んで創生ジェスに関する情報。殺戮の腕ジェノサイド・アームに関する情報。ミロクに関する情報などを入手した。

 驚くべきことにこの爺さんコンスルは元幹部。現在は創生ジェスのなかでも重要なポジションにいるみたいだ。ミロクの情報も勿論ある。ミロクは神樹セフィロトという特別な力を生み出し、ミロクと血が繋がっている森妖精エルフが使う事ができるスキルのようだ。この爺さんコンスルもミロクの直系の子供らしいが、ミロクの姿そのものは20代前半の顔立ちが整った美丈夫だ。外見のイメージとしては凄いイケメンで綺麗な安倍晴明みたいな? そしてミロクは姿を見せなくなった2,000年程前から暗躍しているようだ。ミロクが何を考えているかどうか分からないが、陰と陽という特別な属性を扱い、3つの伝説のユニークスキルも使う。

 森羅万象アルカナ天変地異アースは既にのどんなユニークスキルか分かっている。スキルの全容が分からなかったのは全知全能ゼウスだ。これは未来を視る事が出来るのと、起きてしまった現象を一度やり直すことができる。そして知っているユニークスキルやアクティブスキル、パッシブスキルを与えることができるというチートスキルだ。他にもまだ色々とあるらしいが、爺さんコンスルが知っている内容としてはこんな感じだ。

 まあ、爺さんコンスルが知っている幹部の情報も手に入れることができたし、これで六芒星会議ヘキサグラム・サミットで有益な情報を提供することができるな。

 あとはここの施設の子供達についてだ。あそこでへばっている眼鏡の男がここの施設を管理している人間で、爺さんコンスルと、黒いローブを着たマッドという男が、定期的にこの施設に様子を見に来るなり、侵入者などがいれば排除していた。その役割を創生ジェスでは抹殺人イレイザーと呼ばれている。どこかの漫画で聞いたことがあるような役割名なのはスルーだ。

 だから、今まで冒険者達が次々とやられていたんだ。勿論、ここの施設の魔物のレベルが相当高いのは分かる。この爺さんコンスルの情報からすると、バフォメットは相当危険な魔物だ。そんな危険な魔物――いや、犠牲になった子供達がいるのだから太刀打ちできない。仮に太刀打ち出来ても、この2人の抹殺人イレイザーが殺しに来ると思えば歯が立たない。現にこの2人が出てきてから、うちのチームは壊滅と言っても良いレベルに追い込まれていた。アリスやフィオナに救難信号発信機を持たせていなかったら、今頃皆殺されていたところだ。

「い――一体何をした!?」

「まあ色々と情報を貰ったさ。悪いけどアンタは死んでくれ」

 俺はそう言って掴んでいた爺さんコンスルを離した。その瞬間、俺は3発の散弾銃を浴びせた。

 爺さんコンスルが血まみれになって床に倒れたのは言うまでもない。
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