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黒龍復活Ⅱ
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「そろそろだな」
青龍さんはそう言いながら深呼吸していた。千里眼を使って水晶を確認しているようだ。
「ナリユキ閣下も使えるのだろう?」
「勿論。本当に便利なスキルですよ。気になった場所や人を思い浮かべたら様子を見ることができるので」
「妾がピンチな時は駆けつけてくれのかの?」
そう言って指をツンツンさせているアスモデウスさん。いや――乙女か!
「まあ。それは勿論!」
俺がそう言うとアスモデウスさんはめちゃくちゃ喜んでいるのだが、そもそも俺がアスモデウスさんを心配することなんて無いから、千里眼で様子を見ることは無いんだけどな。そう思いながら隣にいるミクちゃんの綺麗な横顔を見ていた。ミクちゃんはこっちに気付くなり、「なあに?」と可愛らしく首を傾げて俺の顔を覗いてきた。問いかけつつも俺が何を考えていたなんて何となく分かっているような表情だ。
「いや、何でもないよ」
「そっか」
と、知らないフリをしているのに、ミクちゃんの表情は凄く柔らかくなっていた。戦う前の表情では無いことは確かだ。
「皆をここに集めよう」
青龍さんがそう言ったので俺達は各々返事を行い隊列を組んだ。
勢力に関しては大きく分けて3つ。俺達マーズベルと黒の殲滅軍の戦力。アスモデウスさん率いる女性魔族を中心としたヒーティスの戦力。そして、青龍さん率いるオストロンの主要戦力と世界各国の猛者を集めたオストロンの戦力となっている。
マーズベルの戦力はミクちゃん、ランベリオン、ノア、ベリト、アリシア、ベルゾーグ、アリス、フィオナ、フーちゃん、メシア、黒の殲滅軍となっている。アマミヤ、ミーシャ、メイ、レンさん、アズサさん、ノーディルスさん、ネオンさん、カルディア、スカー、カリブデウスについては、国に何かあったときの為に警護に当たってもらっている。しばらく、マーズベルに滞在させてほしいと志願してきた、フォルボスとエヴァンスも同様だ。知能を持った亜人とバフォメットが戦力に加われば、相当心強いか、万が一の事を考えると連れてくるべきではないと判断した。それはまあ、ミクちゃんも同様だけど、ミクちゃんがいない事にはこの作戦そのものが成り立たないし、ミクちゃんは以前と比べて2,000近くも戦闘値が上がっている貴重な戦力だ。彼女には後衛からの支援を、主要戦力以外で連れて来た、マーズベルの森妖精達と一丸となって戦ってもらいたい。
この場において最前線に立つのは、俺、青龍さん、アスモデウスさん、ランベリオン、レイが中心となっている。また、中盤はアリシア、メシア、アリス、ベルゾーグ、フィオナ、マカロフ卿、メリーザ、スーが中心となり、後衛はミクちゃん、フーちゃんに加えて森妖精達がいる。その他の戦力に関しては、青龍さんとアスモデウスさんが適材適所を見極めて振り分けてくれた。これでこの場にいる俺達の戦力は計400人程だ。正直なところ、これからZ級と戦うのに、数だけみると少ない戦力かもしれないが、数を集めてもすぐに殺されてしまっては意味が無いし、無駄死にだけはさせたくない――。
青龍さんが皆の前に立つなり咳払いをした。先程までは話し声がちらほらと聞こえていたが、青龍さんが皆の前に立つことで、緊張感漂う空気が流れた。
「皆の者! ここに集ってくれた事を感謝致す」
青龍さんが声を高らかにそう発言をすると皆は固唾を飲み込んだ。
「時期に黒龍、ニゲル・クティオストルーデは復活する。厳しい戦いになり、失うものも大きいかもしれない。しかし、我々が立ち上がらなければ黒龍を倒す術はない! 強き皆の力で一致団結を行い、必ず勝利を掴みとるのだ! 負けることは許されない!」
「うおおおお!」
そう気合いが入った声が周りから聞こえた。そう考えるとうちの戦力は割と静かだ。各々気合いを入れるというより、意気込みを呟いているようだった。
「なかなかの盛り上がりじゃの。ナリユキ閣下のところは静かな闘志といった感じかの?」
俺にそう訊いてきたアスモデウスさん。
「確かにそうですね」
「そうかそうか。全くもって良い緊張感じゃ」
そうしている間、青龍さんが目をカッと開いた。まさか!? と思った俺は天眼の千里眼を使用した。すると水晶が割れかけているのが分かる。
「復活するぞ! 臨戦態勢に入れ!」
ほとばしる緊張感――。
そしてついに――。
水晶が割れて現れ出て来た氷のように冷たい青い瞳を持ち、左頬に三本の傷がある黒髪の褐色肌の男だ。金色の六芒星の首飾りに、胸元が大きく開いた黒の和服に身を包んでいる。身長は220cm程――と言ってもこれはあくまで人型化の姿だ。龍と言うくらいなので、人型化を解除すれば体長は100mを超えるだろう。
「復活したぞ! 準備はいいな!」
青龍さんの問いかけに、皆は「オオオオー!」という返事という名の気合いをさらに注入。それを見た青龍さんは「いくぞ!」と言って強制転移を試みたみたいだが――。
何度やってもこっちに来ない。それどころか、黒龍は、大きく息を吸い込むなり天井に向かって叫んでいるようだった。千里眼は映像を見ることができるが、声は聞こえない。なので、何を言っているのか分からないが、洞窟の天井をぶち破って龍の姿となって空高く舞い上がった。
「マズいな。早く黒龍のところへ行くぞ! 上空1,000mにまで結界を張っていない! 結界が破られた!」
青龍さんがそう焦った表情を見せて言い放ったのは、俺達が予測していた最悪なケースその1だった。
青龍さんはそう言いながら深呼吸していた。千里眼を使って水晶を確認しているようだ。
「ナリユキ閣下も使えるのだろう?」
「勿論。本当に便利なスキルですよ。気になった場所や人を思い浮かべたら様子を見ることができるので」
「妾がピンチな時は駆けつけてくれのかの?」
そう言って指をツンツンさせているアスモデウスさん。いや――乙女か!
「まあ。それは勿論!」
俺がそう言うとアスモデウスさんはめちゃくちゃ喜んでいるのだが、そもそも俺がアスモデウスさんを心配することなんて無いから、千里眼で様子を見ることは無いんだけどな。そう思いながら隣にいるミクちゃんの綺麗な横顔を見ていた。ミクちゃんはこっちに気付くなり、「なあに?」と可愛らしく首を傾げて俺の顔を覗いてきた。問いかけつつも俺が何を考えていたなんて何となく分かっているような表情だ。
「いや、何でもないよ」
「そっか」
と、知らないフリをしているのに、ミクちゃんの表情は凄く柔らかくなっていた。戦う前の表情では無いことは確かだ。
「皆をここに集めよう」
青龍さんがそう言ったので俺達は各々返事を行い隊列を組んだ。
勢力に関しては大きく分けて3つ。俺達マーズベルと黒の殲滅軍の戦力。アスモデウスさん率いる女性魔族を中心としたヒーティスの戦力。そして、青龍さん率いるオストロンの主要戦力と世界各国の猛者を集めたオストロンの戦力となっている。
マーズベルの戦力はミクちゃん、ランベリオン、ノア、ベリト、アリシア、ベルゾーグ、アリス、フィオナ、フーちゃん、メシア、黒の殲滅軍となっている。アマミヤ、ミーシャ、メイ、レンさん、アズサさん、ノーディルスさん、ネオンさん、カルディア、スカー、カリブデウスについては、国に何かあったときの為に警護に当たってもらっている。しばらく、マーズベルに滞在させてほしいと志願してきた、フォルボスとエヴァンスも同様だ。知能を持った亜人とバフォメットが戦力に加われば、相当心強いか、万が一の事を考えると連れてくるべきではないと判断した。それはまあ、ミクちゃんも同様だけど、ミクちゃんがいない事にはこの作戦そのものが成り立たないし、ミクちゃんは以前と比べて2,000近くも戦闘値が上がっている貴重な戦力だ。彼女には後衛からの支援を、主要戦力以外で連れて来た、マーズベルの森妖精達と一丸となって戦ってもらいたい。
この場において最前線に立つのは、俺、青龍さん、アスモデウスさん、ランベリオン、レイが中心となっている。また、中盤はアリシア、メシア、アリス、ベルゾーグ、フィオナ、マカロフ卿、メリーザ、スーが中心となり、後衛はミクちゃん、フーちゃんに加えて森妖精達がいる。その他の戦力に関しては、青龍さんとアスモデウスさんが適材適所を見極めて振り分けてくれた。これでこの場にいる俺達の戦力は計400人程だ。正直なところ、これからZ級と戦うのに、数だけみると少ない戦力かもしれないが、数を集めてもすぐに殺されてしまっては意味が無いし、無駄死にだけはさせたくない――。
青龍さんが皆の前に立つなり咳払いをした。先程までは話し声がちらほらと聞こえていたが、青龍さんが皆の前に立つことで、緊張感漂う空気が流れた。
「皆の者! ここに集ってくれた事を感謝致す」
青龍さんが声を高らかにそう発言をすると皆は固唾を飲み込んだ。
「時期に黒龍、ニゲル・クティオストルーデは復活する。厳しい戦いになり、失うものも大きいかもしれない。しかし、我々が立ち上がらなければ黒龍を倒す術はない! 強き皆の力で一致団結を行い、必ず勝利を掴みとるのだ! 負けることは許されない!」
「うおおおお!」
そう気合いが入った声が周りから聞こえた。そう考えるとうちの戦力は割と静かだ。各々気合いを入れるというより、意気込みを呟いているようだった。
「なかなかの盛り上がりじゃの。ナリユキ閣下のところは静かな闘志といった感じかの?」
俺にそう訊いてきたアスモデウスさん。
「確かにそうですね」
「そうかそうか。全くもって良い緊張感じゃ」
そうしている間、青龍さんが目をカッと開いた。まさか!? と思った俺は天眼の千里眼を使用した。すると水晶が割れかけているのが分かる。
「復活するぞ! 臨戦態勢に入れ!」
ほとばしる緊張感――。
そしてついに――。
水晶が割れて現れ出て来た氷のように冷たい青い瞳を持ち、左頬に三本の傷がある黒髪の褐色肌の男だ。金色の六芒星の首飾りに、胸元が大きく開いた黒の和服に身を包んでいる。身長は220cm程――と言ってもこれはあくまで人型化の姿だ。龍と言うくらいなので、人型化を解除すれば体長は100mを超えるだろう。
「復活したぞ! 準備はいいな!」
青龍さんの問いかけに、皆は「オオオオー!」という返事という名の気合いをさらに注入。それを見た青龍さんは「いくぞ!」と言って強制転移を試みたみたいだが――。
何度やってもこっちに来ない。それどころか、黒龍は、大きく息を吸い込むなり天井に向かって叫んでいるようだった。千里眼は映像を見ることができるが、声は聞こえない。なので、何を言っているのか分からないが、洞窟の天井をぶち破って龍の姿となって空高く舞い上がった。
「マズいな。早く黒龍のところへ行くぞ! 上空1,000mにまで結界を張っていない! 結界が破られた!」
青龍さんがそう焦った表情を見せて言い放ったのは、俺達が予測していた最悪なケースその1だった。
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