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恐るべき天衣無縫Ⅲ
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「私の天衣無縫。ナリユキは攻略したわよ」
「何――?」
デアの言葉に黒龍が俺の方を見てくると、俺はサムズアップをした。
「成程。ならば俺様でも攻略できない訳では無いのか」
と、呟いていたので本当に攻略しそうな気がする。黒龍の俺への対抗意識に火をつけたようだ。これで負けてしまったらどうなるんでしょうね本当に。
「未来を捻じ曲げる――。さっきから俺様は思った通りに動けていないだけ」
黒龍はそう言ってブツブツと呟き始めた。下手に破壊神でパワーアップしても意味がない事は分かっているようだ。恐らく、今まで力で全てをねじ伏せてきた為、他人のユニークスキルを攻略しようと思ったのは、今回を入れてそう多くは無い筈。だからこうして黒龍が考えなら戦うところを見るのは希少に違いない。
「少しは考える事できた?」
「あとは試すのみだな」
そう呟いた黒龍の空気が変わった。そこから始まる二人の刀による戦い。
「何かあれだな。ちょっかいかけようと思えば、俺はちょっかいかけれるのに、何か手を出したら駄目な空気出てるよな。ほら、漫画やアニメでそこ手助けしたらいけるんじゃね? ってシーンあるだろ?」
「確かにそうだね。それに黒龍がデアさんの天衣無縫を攻略するところを見たい気がする」
「異世界の人間と言うのは呑気だな」
「本当じゃのう。まあそこが良い点ではあるがのう。そもそも妾と青龍は攻撃したくても返り討ちにあうだけじゃし」
アスモデウスさんに関しては魔真王を解除してMPの消費を抑えている。
「せっかく地上に来たのに、攻撃を与える隙が無いとどうしようもないな」
ルシファーは二人の戦闘をまじまじと見ながら常に乱入できる隙を伺っているようだ。
「ねえナリユキ君気のせいかな?」
「何が?」
「黒龍が押し始めているよ?」
ミクちゃんの言った通りだった。天衣無縫を使っている以上、攻撃を受けることが無い筈のデアが先程から黒龍の刀傷を負い始めた。当然、デアも直ぐに再生するから問題は無いけど、これは黒龍が天衣無縫の未来を捻じ曲げるという力に抗い始めている証拠だ。
「奴も戦いのなかでスキルが増えるほど、戦闘センスの高い龍族だ。未来を超越できても可笑しくはない」
「ナリユキ。あのデアという女は普段どんなスキルを持っているんだ?」
ルシファーがそう質問してきた。そう言えば、青龍さんもルシファーも本来の姿知らないもんな。
「デアは転生者で、コヴィー・S・ウィズダムの手によって、龍族、魔族、森妖精を主体に様々な血を持つ人間だ」
「もしかして魔真王も使えるのか?」
「ああ。魔真王も使えるし相当な腕を持つ森妖精にしか使えない神樹のスキルも使える。それに天衣無縫を極めたんだろうな。天衣無縫を持つ者しか使えないアルティメットスキルを二つ持っている。今は天衣無縫で黒龍に化けているからステータスを視てもそれらのスキルは消えているけどな」
「――成程。魔界で広めておくか。地上に侵攻しようものなら、神のユニークスキルを持つ二人の転生者と、闇払いを持っている転生者がいるとな」
「そうしておいてくれ。敵がわんさか来るのは普通に困る」
俺とルシファーがそう会話をしている時だった。「あっ!」とミクちゃん、青龍さん、アスモデウスさんが叫んだと思えば、デアが初めて黒龍のスキルをまともに直撃していた。それは黒滅龍炎波だった。
「お返しだ小娘」
デアは全ての体が再生するなり「ふう」と溜め息をついていた。
「やるわね」
「これ決着つくのかな?」
「いや、しばらくは無理だろ。黒龍と戦う時は三日程戦い続けないといけない覚悟がいる」
俺がそう言うとルシファーが「体力勝負か――」と少し苦い表情を浮かべていた。多分体力勝負には自信ないのだろう。
突如、黒龍の邪気が大幅に増幅した。しかし破壊神によるパワーアップという訳では無さそうだった。一体何をする気だ――。
「皆! 今すぐここから離れて!」
デアは剣幕な表情を見せながらそう叫んだ。
「離れよう」
俺達はデアの言った通りこの場から直ぐに離れた。事情は分からないけど、デアのあの焦り方は異常だった。そして突如としてデアと黒龍がいた周囲は大爆発を起こした。半径10kmにも及ぶ大爆発。俺達は爆発の中に巻き込まれていたので、ミクちゃんの星光の聖域によってノーダメージだったし、この強烈な爆風を浴びる事はなかった。
爆風が止むと爆心地から半径10kmの場所は何も無い更地となっていた。そして隕石でも落ちたのか? と疑うレベルのクレーターは、マーズベル森林の生物を一瞬にして塵と化したのは言うまでもない。
「俺、やっぱり黒龍嫌いだ。人の森をむちゃくちゃにしやがって」
「本当に酷いよね……」
「まあそこは余に任せろ。いくらでも自然を元通りにしてやる」
「ありがとうございます」
俺がそうお礼をすると、青龍さんが「構わん」と言って微笑んでくれた。
「デアさん。大丈夫かな?」
「流石に今の爆発はマズそうだな」
そう思っていた時だった。二人の黒龍が再生するなり、ハアハアと息を切らしていた。デアも今の爆発で相当な体力を減らしてしまった。黒龍に関しては体力とMPを削ってしまった。そこまでしてデアにどんなダメージを与えたかったのか、黒龍のステータスを視ても検討がつかないので不明である。
「何――?」
デアの言葉に黒龍が俺の方を見てくると、俺はサムズアップをした。
「成程。ならば俺様でも攻略できない訳では無いのか」
と、呟いていたので本当に攻略しそうな気がする。黒龍の俺への対抗意識に火をつけたようだ。これで負けてしまったらどうなるんでしょうね本当に。
「未来を捻じ曲げる――。さっきから俺様は思った通りに動けていないだけ」
黒龍はそう言ってブツブツと呟き始めた。下手に破壊神でパワーアップしても意味がない事は分かっているようだ。恐らく、今まで力で全てをねじ伏せてきた為、他人のユニークスキルを攻略しようと思ったのは、今回を入れてそう多くは無い筈。だからこうして黒龍が考えなら戦うところを見るのは希少に違いない。
「少しは考える事できた?」
「あとは試すのみだな」
そう呟いた黒龍の空気が変わった。そこから始まる二人の刀による戦い。
「何かあれだな。ちょっかいかけようと思えば、俺はちょっかいかけれるのに、何か手を出したら駄目な空気出てるよな。ほら、漫画やアニメでそこ手助けしたらいけるんじゃね? ってシーンあるだろ?」
「確かにそうだね。それに黒龍がデアさんの天衣無縫を攻略するところを見たい気がする」
「異世界の人間と言うのは呑気だな」
「本当じゃのう。まあそこが良い点ではあるがのう。そもそも妾と青龍は攻撃したくても返り討ちにあうだけじゃし」
アスモデウスさんに関しては魔真王を解除してMPの消費を抑えている。
「せっかく地上に来たのに、攻撃を与える隙が無いとどうしようもないな」
ルシファーは二人の戦闘をまじまじと見ながら常に乱入できる隙を伺っているようだ。
「ねえナリユキ君気のせいかな?」
「何が?」
「黒龍が押し始めているよ?」
ミクちゃんの言った通りだった。天衣無縫を使っている以上、攻撃を受けることが無い筈のデアが先程から黒龍の刀傷を負い始めた。当然、デアも直ぐに再生するから問題は無いけど、これは黒龍が天衣無縫の未来を捻じ曲げるという力に抗い始めている証拠だ。
「奴も戦いのなかでスキルが増えるほど、戦闘センスの高い龍族だ。未来を超越できても可笑しくはない」
「ナリユキ。あのデアという女は普段どんなスキルを持っているんだ?」
ルシファーがそう質問してきた。そう言えば、青龍さんもルシファーも本来の姿知らないもんな。
「デアは転生者で、コヴィー・S・ウィズダムの手によって、龍族、魔族、森妖精を主体に様々な血を持つ人間だ」
「もしかして魔真王も使えるのか?」
「ああ。魔真王も使えるし相当な腕を持つ森妖精にしか使えない神樹のスキルも使える。それに天衣無縫を極めたんだろうな。天衣無縫を持つ者しか使えないアルティメットスキルを二つ持っている。今は天衣無縫で黒龍に化けているからステータスを視てもそれらのスキルは消えているけどな」
「――成程。魔界で広めておくか。地上に侵攻しようものなら、神のユニークスキルを持つ二人の転生者と、闇払いを持っている転生者がいるとな」
「そうしておいてくれ。敵がわんさか来るのは普通に困る」
俺とルシファーがそう会話をしている時だった。「あっ!」とミクちゃん、青龍さん、アスモデウスさんが叫んだと思えば、デアが初めて黒龍のスキルをまともに直撃していた。それは黒滅龍炎波だった。
「お返しだ小娘」
デアは全ての体が再生するなり「ふう」と溜め息をついていた。
「やるわね」
「これ決着つくのかな?」
「いや、しばらくは無理だろ。黒龍と戦う時は三日程戦い続けないといけない覚悟がいる」
俺がそう言うとルシファーが「体力勝負か――」と少し苦い表情を浮かべていた。多分体力勝負には自信ないのだろう。
突如、黒龍の邪気が大幅に増幅した。しかし破壊神によるパワーアップという訳では無さそうだった。一体何をする気だ――。
「皆! 今すぐここから離れて!」
デアは剣幕な表情を見せながらそう叫んだ。
「離れよう」
俺達はデアの言った通りこの場から直ぐに離れた。事情は分からないけど、デアのあの焦り方は異常だった。そして突如としてデアと黒龍がいた周囲は大爆発を起こした。半径10kmにも及ぶ大爆発。俺達は爆発の中に巻き込まれていたので、ミクちゃんの星光の聖域によってノーダメージだったし、この強烈な爆風を浴びる事はなかった。
爆風が止むと爆心地から半径10kmの場所は何も無い更地となっていた。そして隕石でも落ちたのか? と疑うレベルのクレーターは、マーズベル森林の生物を一瞬にして塵と化したのは言うまでもない。
「俺、やっぱり黒龍嫌いだ。人の森をむちゃくちゃにしやがって」
「本当に酷いよね……」
「まあそこは余に任せろ。いくらでも自然を元通りにしてやる」
「ありがとうございます」
俺がそうお礼をすると、青龍さんが「構わん」と言って微笑んでくれた。
「デアさん。大丈夫かな?」
「流石に今の爆発はマズそうだな」
そう思っていた時だった。二人の黒龍が再生するなり、ハアハアと息を切らしていた。デアも今の爆発で相当な体力を減らしてしまった。黒龍に関しては体力とMPを削ってしまった。そこまでしてデアにどんなダメージを与えたかったのか、黒龍のステータスを視ても検討がつかないので不明である。
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