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英雄の復活Ⅵ
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次の日。ミクちゃんとデアが目覚めたので、転移イヤリングを使用してミクちゃんの病室に訪れた。
「ナリユキ君!」
と、俺が現れた瞬間にミクちゃんは満面の笑みを浮かべていた。俺はミクちゃんに近付き優しく抱き寄せた。
「何とも無い? 大丈夫?」
俺がそう問いかけると「大丈夫だよ。ナリユキ君は?」と問いかけてきた。
「俺は大丈夫。昨日起きれたよ」
「そうだったんだね。他の皆は?」
「デアもミクちゃんと同じくらいに起きて、アスモデウスさんとルシファーはまだみたいだね」
「成程。そうだったんだ。私、あの時ナリユキ君にウェイトかけすぎたからな――」
と、ミクちゃんは責任を感じていた。
「でもお陰で黒龍を倒す事ができたよ」
「リーズさんから聞いたよ。本当に凄いね」
と、全力で褒めてくるミクちゃんの笑顔を見ていると嬉しい反面照れる。
「ルシファーの力があったからだな」
「ルシファーさんのユニークスキル入手したの? ステータスには英雄ノ神が表記されているけど――」
「そう。ルシファーの黒滅斬も入手しているように、知性・記憶の略奪と献上でルシファーの知性を抜き取ったから、適性のあるルシファーのアクティブスキルはその場で入手したんだけど、英雄ノ神は最後に入手したんだ。ルシファーは傷だらけのなか、一度立ち上がってくれたから英雄ノ神発動の感覚を掴んで使えるようになった」
「どんな感じで発動するの?」
「まあ相手を絶対に倒したい! って思う事かな。ぶっちゃけ諦めかけていたんだけど、英雄ノ神があると不思議と相手を必ず倒せる自信が出てくるんだよ。だから、ルシファーが最後の最後まで、どこか余裕を見せていたのは英雄ノ神があったからだろうな。これ使えるならベリアルも倒せると思うんだけどな~」
「そんなに凄いんだ。私もその感覚覚えてみたいな」
と、ミクちゃんは自分の手をぐっぱーと握ったり広げたりの動作を行っていた。
「それにしてもナリユキ君が諦めかけるって珍しいね」
「シンプルに力の差だよな。ミクちゃんに守ってもらったけど、黒滅龍炎爆発の威力が凄すぎて、それ以降体がめちゃくちゃ重たかった。そうだな――風邪のように動かなかったんだよ」
俺がそう言うとミクちゃんは「成程」と頷き腑に落ちたようだ。
「だから、黒滅龍炎爆発前に、ルシファーが放った英雄ノ神あっただろ? あれを受けて立っている黒龍の姿を見たルシファー本人は驚いていたんじゃないかな」
「それはそうだね。結構唖然としていたけど、内心はめちゃくちゃ驚いていただろうね」
「それほど黒龍がタフなんだよ。結局俺が放ったのも二発同時だしな。一発だけだったらまだ倒れていなかっただろうな」
「どういう事?」
と、首を傾げるミクちゃん。
「ルシファーから預かった英雄ノ神が宿った黒刀と、俺が黒紅煉刀に宿した英雄ノ神の二刀流だったんだ」
「あの斬撃が二倍って事か~」
と、苦笑を浮かべるミクちゃん。
「あと、言っておかなくちゃならない事があるんだ。デアと一緒に聞いてほしい」
「いいよ」
ミクちゃんはそう言ってベッドから起き上がった。
「もう大丈夫なのか?」
「全然平気。行こう!」
ミクちゃんにそう言われて俺達はデアの病室へ向かう事にした。
「調子はどうだ?」
「ええ。何とか大丈夫よ。ナリユキもミクちゃんも体調はどう?」
そう聞いてきたデアは読んでいた本を読むのを止めてかけ布団の上に置いた。
「大丈夫だ」
「復活したよ!」
「そう。良かったわ」
と優しい笑みを浮かべた。
「どうやら黒龍を倒せたみたいね。でもナリユキはあまり嬉しくなさそうね。何かあったのかしら?」
デアは情報収集の達人ではあるが、コヴィー・S・ウィズダムの情報を得る事はやはり出来ないらしい。
「黒龍を倒した後の話だ。俺が英雄ノ神で黒龍を戦闘不能にした後、とある人物が登場した」
「とある人物?」
そう聞き返してくるミクちゃん。そして神妙な顔つきになるデア。
「コヴィー・S・ウィズダムだ」
俺がそう発言するとミクちゃんもデアも目を丸くして驚いていた。
「博士と会ったのね?」
「ああ。そして黒龍の力を取り込んだ。破壊神をな――」
ミクちゃんは苦い表情を浮かべ、デアは冷や汗を流していた。
「それはマズいわね――そもそもあの人、ユニークスキルを奪うスキルなんて持っていたかしら――」
そう目を瞑って人差し指で額をトントンと軽く叩き思い出そうとするデア。
「俺ですらステータスを視る事ができなかったからどんなスキルを有しているのか分からないけど、コヴィー・S・ウィズダムが黒龍に触れた瞬間、黒龍の禍々しい邪気がコヴィー・S・ウィズダムにそのまま乗り移ったんだ。それで何かを抜き取ったと思えば、コヴィー・S・ウィズダムは破壊神の力を貰ったと公言していた」
「破壊神の力が博士に移ったのは間違いないのね?」
「ああ。そしてその後、黒龍は絶命してしまった。倒したのは俺だけど殺したのはコヴィー・S・ウィズダムなんだ」
俺がそう伝えるとデアは大きな溜め息をついた。
「聞きたくなかった話ね。博士の野望を止められる人なんているのかしら」
「私達なら何とかできるよ!」
と、ミクちゃんは明るく振る舞って見せたけど、デアが「甘いわ」と一言。
「破壊神を入手した博士の強さは桁違いの筈よ。ナリユキなら分かる筈」
デアがそう言うとミクちゃんは俺に視線を移した。
「怖くて気絶したくらいだ。ルシファーも威嚇だけで倒れたしな」
俺がそう呟くとまるで都市伝説か何かを聞いているような表情を浮かべるミクちゃん。
「恐ろしく強いのよ。ナリユキが恐怖で気絶しても不思議じゃないわ」
妙に納得がいく説明にミクちゃんの表情はみるみる暗くなっていった。
「ナリユキ君!」
と、俺が現れた瞬間にミクちゃんは満面の笑みを浮かべていた。俺はミクちゃんに近付き優しく抱き寄せた。
「何とも無い? 大丈夫?」
俺がそう問いかけると「大丈夫だよ。ナリユキ君は?」と問いかけてきた。
「俺は大丈夫。昨日起きれたよ」
「そうだったんだね。他の皆は?」
「デアもミクちゃんと同じくらいに起きて、アスモデウスさんとルシファーはまだみたいだね」
「成程。そうだったんだ。私、あの時ナリユキ君にウェイトかけすぎたからな――」
と、ミクちゃんは責任を感じていた。
「でもお陰で黒龍を倒す事ができたよ」
「リーズさんから聞いたよ。本当に凄いね」
と、全力で褒めてくるミクちゃんの笑顔を見ていると嬉しい反面照れる。
「ルシファーの力があったからだな」
「ルシファーさんのユニークスキル入手したの? ステータスには英雄ノ神が表記されているけど――」
「そう。ルシファーの黒滅斬も入手しているように、知性・記憶の略奪と献上でルシファーの知性を抜き取ったから、適性のあるルシファーのアクティブスキルはその場で入手したんだけど、英雄ノ神は最後に入手したんだ。ルシファーは傷だらけのなか、一度立ち上がってくれたから英雄ノ神発動の感覚を掴んで使えるようになった」
「どんな感じで発動するの?」
「まあ相手を絶対に倒したい! って思う事かな。ぶっちゃけ諦めかけていたんだけど、英雄ノ神があると不思議と相手を必ず倒せる自信が出てくるんだよ。だから、ルシファーが最後の最後まで、どこか余裕を見せていたのは英雄ノ神があったからだろうな。これ使えるならベリアルも倒せると思うんだけどな~」
「そんなに凄いんだ。私もその感覚覚えてみたいな」
と、ミクちゃんは自分の手をぐっぱーと握ったり広げたりの動作を行っていた。
「それにしてもナリユキ君が諦めかけるって珍しいね」
「シンプルに力の差だよな。ミクちゃんに守ってもらったけど、黒滅龍炎爆発の威力が凄すぎて、それ以降体がめちゃくちゃ重たかった。そうだな――風邪のように動かなかったんだよ」
俺がそう言うとミクちゃんは「成程」と頷き腑に落ちたようだ。
「だから、黒滅龍炎爆発前に、ルシファーが放った英雄ノ神あっただろ? あれを受けて立っている黒龍の姿を見たルシファー本人は驚いていたんじゃないかな」
「それはそうだね。結構唖然としていたけど、内心はめちゃくちゃ驚いていただろうね」
「それほど黒龍がタフなんだよ。結局俺が放ったのも二発同時だしな。一発だけだったらまだ倒れていなかっただろうな」
「どういう事?」
と、首を傾げるミクちゃん。
「ルシファーから預かった英雄ノ神が宿った黒刀と、俺が黒紅煉刀に宿した英雄ノ神の二刀流だったんだ」
「あの斬撃が二倍って事か~」
と、苦笑を浮かべるミクちゃん。
「あと、言っておかなくちゃならない事があるんだ。デアと一緒に聞いてほしい」
「いいよ」
ミクちゃんはそう言ってベッドから起き上がった。
「もう大丈夫なのか?」
「全然平気。行こう!」
ミクちゃんにそう言われて俺達はデアの病室へ向かう事にした。
「調子はどうだ?」
「ええ。何とか大丈夫よ。ナリユキもミクちゃんも体調はどう?」
そう聞いてきたデアは読んでいた本を読むのを止めてかけ布団の上に置いた。
「大丈夫だ」
「復活したよ!」
「そう。良かったわ」
と優しい笑みを浮かべた。
「どうやら黒龍を倒せたみたいね。でもナリユキはあまり嬉しくなさそうね。何かあったのかしら?」
デアは情報収集の達人ではあるが、コヴィー・S・ウィズダムの情報を得る事はやはり出来ないらしい。
「黒龍を倒した後の話だ。俺が英雄ノ神で黒龍を戦闘不能にした後、とある人物が登場した」
「とある人物?」
そう聞き返してくるミクちゃん。そして神妙な顔つきになるデア。
「コヴィー・S・ウィズダムだ」
俺がそう発言するとミクちゃんもデアも目を丸くして驚いていた。
「博士と会ったのね?」
「ああ。そして黒龍の力を取り込んだ。破壊神をな――」
ミクちゃんは苦い表情を浮かべ、デアは冷や汗を流していた。
「それはマズいわね――そもそもあの人、ユニークスキルを奪うスキルなんて持っていたかしら――」
そう目を瞑って人差し指で額をトントンと軽く叩き思い出そうとするデア。
「俺ですらステータスを視る事ができなかったからどんなスキルを有しているのか分からないけど、コヴィー・S・ウィズダムが黒龍に触れた瞬間、黒龍の禍々しい邪気がコヴィー・S・ウィズダムにそのまま乗り移ったんだ。それで何かを抜き取ったと思えば、コヴィー・S・ウィズダムは破壊神の力を貰ったと公言していた」
「破壊神の力が博士に移ったのは間違いないのね?」
「ああ。そしてその後、黒龍は絶命してしまった。倒したのは俺だけど殺したのはコヴィー・S・ウィズダムなんだ」
俺がそう伝えるとデアは大きな溜め息をついた。
「聞きたくなかった話ね。博士の野望を止められる人なんているのかしら」
「私達なら何とかできるよ!」
と、ミクちゃんは明るく振る舞って見せたけど、デアが「甘いわ」と一言。
「破壊神を入手した博士の強さは桁違いの筈よ。ナリユキなら分かる筈」
デアがそう言うとミクちゃんは俺に視線を移した。
「怖くて気絶したくらいだ。ルシファーも威嚇だけで倒れたしな」
俺がそう呟くとまるで都市伝説か何かを聞いているような表情を浮かべるミクちゃん。
「恐ろしく強いのよ。ナリユキが恐怖で気絶しても不思議じゃないわ」
妙に納得がいく説明にミクちゃんの表情はみるみる暗くなっていった。
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