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死闘続発★ホモら共存編
ちゃんと人の話は聞きましょう
しおりを挟む「ルーク、何でいきなり走り出したり…。…コージくんっ!!!!!!」
ルークさんとガレが気絶して、俺はあわあわ。
狐さんミゲルさんと、その他ガレの部下さん達は、あんぐり。
ロイは伏したルークさんを木の枝でつんつん。
セキは大爆笑。
そしてそこに飛び込んできたリイサスさん。
一瞬混乱したようなお顔になったけど、俺を見付けて目を輝かせた。
「リイサスさんっ!」
「コージくん!!!」
ぎゅぅぅぅぅぅっっっ!!!
リイサスさんは必死な様子で俺に抱き着いてきた一方、俺は現実逃避を兼ねてリイサスさんにぎゅー。
リイサスさんも、ちょっと痩せたかな? ……うわ、隈酷い…。
ちゅっちゅーーーーー
「んっ、んーーー…」
「コージくん…!! はぁ…、コージくんっ!!」
リイサスさんもルークさんと同様、ディープなキッスをしてきた。でも、今度は邪魔する人はいない。ロイとセキはムッとしてるみたいだけど…見逃してくれるようだ。
うんうん、広い心を持ってるな! プリストファーさん家のガレくんとは大違い!!
「こーじくん…コージく…!!」
唇を離したかと思えば、俺の首筋に顔を埋めてスーハースーハー。
くすぐったいけど、久しぶりだからな! 我慢するぜ!
「…リイサスさん……、あっ狐さん!」
やべーやべー! リイサスさんをナデナデしてる場合じゃないわ!
狐さんの足の怪我を思い出して、リイサスさんから離れて狐さんに駆け寄ると、リイサスさんも名残惜しそうに着いてきた。
…ルークさん達をスルーして。
「狐さん、怪我見せてください!」
ミゲルさんに抱っこされている狐さんに声をかけると、狐さんは倒れたままのガレを心配そうに見詰めながら、怪我した前足をちょこんと差し出してきた。可愛い。肉球もちもちしたい。
「ちょっと触りますね」
「は、はい…」
もふもふ…、ふむ、骨は無事っぽいな…。俺素人だからなんとも言えねぇけど…。まぁ、治せるだろ。
さーて久々の慰安魔法!
慰安魔法の神様! 狐さんの足を治してください!
パァァァァ
毛に滲んでいた血が戻って、光る前足。
………光る前足って何それ面白い。ここにツイッターあったら即呟くレベル。
「わぁ…! ありがとうございますコージさん!」
「いやぁー…、原因は俺ですし…」
「アレはお頭の心が狭すぎるのが悪いですよ…」
ミゲルさんが未だにピクリとも動かないガレを見て、溜め息を吐いた。
……まぁその通りではあるんだけど…。
「……でも変だな。ロイへのほっぺちゅーは見逃したのに…」
※コージは自分とロイがセッセした事をガレが知っているとは思ってもいません。
「は? ロイにほっぺちゅーしたのか?」
今まで黙ったまま、狐さん達を不審な目で見ていたリイサスさんが、険しいお顔でロイを睨む。木の枝でルークさんをつんつんしていたロイの瞳に焦りが浮かんだ。
…しまった口が滑った。
「ロイ、どういう事だ? 俺はお前に『コージくんを無事に、野郎共の手垢を付けずに連れて帰って来い』と命令した筈だが? 何でお前の手垢が付いてるんだ?」
「え、えっと…それは……」
「………まさかとは思うが、抱いたりしてないよな?」
「………いえ…」
「コージくん?」
「だっ、抱かれてないですよ!」
「ロイ…!! 貴様……!!!」
えー何故バレたしーーー!! でも俺のウソで見抜かれたよな。ロイごめーーーん!!!
キレたリイサスさんを頑張って宥めて、『説明しますから!』と説得しながらギルドに引っ張る。
狐さんはもうちょっと安静にという事で、ミゲルさんに抱っこされてる。多分ミゲルさんがもふもふしたいだけなんだろうけど…。羨まちぃ…。
……ルークさんとガレは、セキに抱えられてギルドに運ばれてる。………なんかウケる…。
「コージくん放してくれ。その無感情野郎はこの世に存在してはいけないんだ」
「ひでェ!? ちょ、落ち着いてください! 経緯も聞かずに抹殺ですか!!」
「何か俺が許せるような訳が?」
「…あ~……いや………えっと…」
「ブッコロス!!!」
「わぁ~やめでぇ~!!」
…間。
「……………………ん…………あァ……?」
「あ、おはようガレ」
「………俺、いつの間にかコージと結婚していて今幸せ絶頂な朝チュンを迎えたところか?」
「混乱してるんだな、可哀想に」
寝起きで頭が回ってないガレを、俺は優しく微笑んでナデナデしてあげた。記憶の混濁があるようなので、ついでに経緯の簡単な説明も。
「ガレがルークさんに攻撃して、戦闘になったんだよ。で、俺が魔法で止めたんだけど…、その際に2人共頭打っちゃって、気絶したんだ。だからギルドに運んだ」
「お、あの熊野郎死んだか」
「気絶って言ったよな? 人の話は聞こうな?」
ルークさんもリイサスさんもガレも、自分の都合の良いように聞くよな。話の本質やこっちの伝えたい事を理解してるのが、余計に質悪い。
「ルークさんは先に起きてるぜ。『身体強化』を使ってたから、防御が上がってたみたいだ。で、今は応接室にいる。というか関係者全員、応接室で待ってる」
「…ふぅん。俺が逆の立場なら、無防備に寝てる所に乗り込んで、トドメを刺すがな。で、俺はどのくらい寝ていた?」
「2時間半ぐらい? ルークさんも、ここに乗り込もうとしたよ。けど、これまでの経緯の説明にガレは欠かせないからな。頑張って止めた」
「………説明が終わった途端に殺しにかかるパターンだな…」
あーあー聞こえなーい。俺は何も聞こえないし聞いてなーい。
…でも…また『重力操作』でごっつん★しなきゃ……。…今度は嫌がらせに、互い同士ぶつけてみようかな?
********************
そのままセッセに持ち込もうとしたガレを、半ば引きずるようにして応接室に放り込んで、ギラッギラの目でガレを睨むルークさん、ロイを睨むリイサスさんを宥める。
文字にすると結構簡単そうだけど、怒るヤンデレを静めるのはかなり大変だ。最悪、俺の唇や尻を使わなきゃならない。
今回も、俺はルークさんリイサスさんにキスせにゃならなかった。
ヤンデレって本当に面倒だ…。
あ、今、応接室にいるのは全部で9人。
まず、いなくては話にならない張本人、俺! 応接室にはソファが2つあって、俺がどっちに座るかでルークさんとガレが揉め出したので、間を取って上座の1人用ソファに落ち着いた。
次に、ソファに偉そうに腰掛けるガレと、同じくソファに座って、俺をチラチラ見ているロイ。
ローテーブルを挟んだ反対側のソファには、殺気を飛ばしまくってるルークさんとリイサスさんで。
ルークさんリイサスさんの背後には、俺の希望でジャックさんとワーナーさんが立っている。! ワーナーさんが手ぇ振ってくれた!!
狐さんは俺の膝でもふもふターイム! あ、ミゲルさんはガレの後ろで、緊張の面持ちで直立だぜ!
セキは俺の後ろで、その場を面白そうに眺めている。セキは何でもかんでも興味を示すな…。
ここにいる人(一部例外)は、俺が『俺の事情を知っていて欲しい』と願う人。
ルークさんとリイサスさんとジャックさん、それにガレとセキは、一先ず俺の正体を知っているけど…。
一部、隠してる能力もあるし、ワーナーさんやロイ達にも知って欲しい。
だから、『惑わしの霧』に拐われてから今に至るまでの経緯をおさらいだ!
「まず、今から俺の10日間の旅を話していきます。分かんないところとかあったら、遠慮なく質問してください」
俺の言葉に全員が頷き、俺は経緯を語り出した。で、話していくうちに、俺の正体とか、ガレが俺を聖騎士に引き渡した理由が明らかになると、そう思ってたんだけど…。
「『惑わしの霧』に拐われて、気付いたら知らない森にいたんです。で、どうしようか迷ってると、怪我したガレが現れて…。ガレも驚いたみたいで、攻撃されたんですけど、ジズが守ってくれて」
「オイ待てジズって誰だ」
リイサスさんのツッコミに、俺はハッと気が付いた。
そうだ、全部話したガレ以外は、ジズの存在すら知らないんだって事に。
「あっ、ジズはリイサスさんが致命傷を与えて倒したクォックで、今は俺の守護鳥です」
「…そんなの俺、知らなかったぞ……。なんでコージくんに? いつどのタイミングで守護鳥に?」
『なんで教えてくれなかったんだ』っていう恨みのこもった視線を受けて、俺はジズが俺を選んでくれた理由を説明すると、一同は驚きつつも納得してくれた。で、続けて守護鳥になってくれたタイミングについて説明しようとした、俺の口が止まる。
「…? コージくん?」
『ワーナーさんの料理を食べt…』で口をつぐんだ俺に、ワーナーさんは不安な様子を見せる。
が、そんな事は頭に入ってこない。何故なら、俺は今から仮昇天について話さなきゃいけないからだ。
『料理が美味しすぎて仮昇天しちゃった際にジズと出会いました★』なんて事を料理した本人の前で言わねばならない。
………あれ、これなんて羞恥プレイ?
………………あっ!! しかも創造主ゼロアと面識があるって、ワーナーさん達は知らないから、そこから話さなきゃなんない!?
おいガレなんで笑ってんだよ! さては俺が言いにくい事に気付いたな!?
………結局、地球で死んでから今に至るまでを話す事になった。
********************
はぁい(* ̄∇ ̄)ノ
メルです。
お気に入り3100、ありがとうございます!!
応援ありがとうございます!
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