【完結】敵は恐山にあり!?

十文字心

文字の大きさ
43 / 68
第五章 準備

【四十二】動向(才蔵)

しおりを挟む
幸景殿が夜の読経で本堂へと向かわれた後、小太郎師匠と今後について打ち合わせをすることにした。

「それにしても…予想よりも早くに、佐助が接触してきたとは…あちらも準備が整ったということですね。」

『うむ、交戦した訳では無いが、お千代殿のくノ一部隊が来てくれなかったらワシも危なかったかもしれんのぉ…奴は昔の奴とは比べ物にならぬ程の力を手に入れておる。お主の方は、左京の封印を解く方法は解かったのか?』

ここに来てから今日まで、幸景殿に協力してもらい過去の文献を解読しながら様々な方法を研究してきた…これまでの年月を決して無駄にしてきた訳では無い。

「はい、手は尽くしました。しかし、残念な事に別人格を生み出す程の強力な呪印である為、完全な分離を無傷で行うのは難しいようなのです。ただ、左京の近くに陽の呪印を持つ姫がいれば、左京の陰の呪印は効力を発揮できないということはわかりました。しかしそれは万が一、姫が絶命してしまった時には左京の中の右京が主導権を握り、最悪の事態を迎えることとなります…。」

『なるほど…全く安倍晴明は面倒な事をしてくれたもんじゃのぉ。将来的に暁国を手に入れる為に、奥方に双子は悪とでも吹き込んで施したのだろうが…今は左京と姫が一緒に行動している故、暫くは新月が来ても安心といったところじゃな。晴明も、奥方の前で姫を殺めるような馬鹿な真似はしないであろう。しかし、時が来たと判断したら容赦なく姫を殺め、幸成殿の血を引く左京を大々的に祀りあげて暁国を良いように操る事も考えておるじゃろう。何としても左京と姫をこちらへと避難させ、一刻も早く奴らを倒す必要があるということじゃな。』

左京と姫を取り戻すのは早急に行わねばならないことではあるが、弥助と弥生の動向が気になった。

「師匠、弥助はどのように動いているのでしょうか?」

『あれ?ワシ、言ってなかったかの?弥助は弥生と共に此方へと向かっておるはず。明日にでも到着するのではないかの?心配するな、預かっている間に弥助にはしっかり、修行をつけたからの。少しは役にたつようになっておる!』

この戦いは弥助と弥生にとって、実の父親と戦うという非常に厳しいものになる。果たして二人の心は正常な状態を保つことができるだろうか…

『才蔵よ、そう険しい顔をするでない!己の弟子を信じるのだ。お主が信じなくてどうするのじゃ?佐助と会わせる事に不安があるのはわかるがの。』

「はは、流石は小太郎師匠。何もかもお見通しですね。私がこの様な状態では二人を不安にさせるだけ。まだまだ修行が足りぬようだ。本堂へと行って私も精神を集中して参ります。」

”ワシは寝る!疲れたぞ!”
と言う師匠を部屋に残し、中庭から本堂へと向かおうとしていた刹那、寺へと登る石段に気配を感じた。人数は…一人、二人、三人か…弥助と弥生ならば二人のはず…こんな夜更けに襲撃か…?正門へと近づき様子を伺っていると突然背後から声を掛けられた。

『おや、もう来たようじゃの。』

「し、師匠寝たのではなかったのですか!」

『なーに、知ってる気配を感じたもので様子を見に来ただけじゃ。幽霊が出迎えるよりワシが行った方がいいじゃろ?幽霊の方がいいか?お主は本堂で白装束でも着て待っておれ!ははは』

そうか、来たのはやはり弥助と弥生。
もう一人はお千代部隊のくノ一といったところか。師匠に言われた通り、本堂へと向かい弟子が到着した旨を幸景殿に伝える。さて、どんな顔をして会うべきか…
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

対米戦、準備せよ!

湖灯
歴史・時代
大本営から特命を受けてサイパン島に視察に訪れた柏原総一郎大尉は、絶体絶命の危機に過去に移動する。 そして21世紀からタイムリーㇷ゚して過去の世界にやって来た、柳生義正と結城薫出会う。 3人は協力して悲惨な負け方をした太平洋戦争に勝つために様々な施策を試みる。 小説家になろうで、先行配信中!

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

処理中です...