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第五章 準備
【四十二】動向(才蔵)
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幸景殿が夜の読経で本堂へと向かわれた後、小太郎師匠と今後について打ち合わせをすることにした。
「それにしても…予想よりも早くに、佐助が接触してきたとは…あちらも準備が整ったということですね。」
『うむ、交戦した訳では無いが、お千代殿のくノ一部隊が来てくれなかったらワシも危なかったかもしれんのぉ…奴は昔の奴とは比べ物にならぬ程の力を手に入れておる。お主の方は、左京の封印を解く方法は解かったのか?』
ここに来てから今日まで、幸景殿に協力してもらい過去の文献を解読しながら様々な方法を研究してきた…これまでの年月を決して無駄にしてきた訳では無い。
「はい、手は尽くしました。しかし、残念な事に別人格を生み出す程の強力な呪印である為、完全な分離を無傷で行うのは難しいようなのです。ただ、左京の近くに陽の呪印を持つ姫がいれば、左京の陰の呪印は効力を発揮できないということはわかりました。しかしそれは万が一、姫が絶命してしまった時には左京の中の右京が主導権を握り、最悪の事態を迎えることとなります…。」
『なるほど…全く安倍晴明は面倒な事をしてくれたもんじゃのぉ。将来的に暁国を手に入れる為に、奥方に双子は悪とでも吹き込んで施したのだろうが…今は左京と姫が一緒に行動している故、暫くは新月が来ても安心といったところじゃな。晴明も、奥方の前で姫を殺めるような馬鹿な真似はしないであろう。しかし、時が来たと判断したら容赦なく姫を殺め、幸成殿の血を引く左京を大々的に祀りあげて暁国を良いように操る事も考えておるじゃろう。何としても左京と姫をこちらへと避難させ、一刻も早く奴らを倒す必要があるということじゃな。』
左京と姫を取り戻すのは早急に行わねばならないことではあるが、弥助と弥生の動向が気になった。
「師匠、弥助はどのように動いているのでしょうか?」
『あれ?ワシ、言ってなかったかの?弥助は弥生と共に此方へと向かっておるはず。明日にでも到着するのではないかの?心配するな、預かっている間に弥助にはしっかり、修行をつけたからの。少しは役にたつようになっておる!』
この戦いは弥助と弥生にとって、実の父親と戦うという非常に厳しいものになる。果たして二人の心は正常な状態を保つことができるだろうか…
『才蔵よ、そう険しい顔をするでない!己の弟子を信じるのだ。お主が信じなくてどうするのじゃ?佐助と会わせる事に不安があるのはわかるがの。』
「はは、流石は小太郎師匠。何もかもお見通しですね。私がこの様な状態では二人を不安にさせるだけ。まだまだ修行が足りぬようだ。本堂へと行って私も精神を集中して参ります。」
”ワシは寝る!疲れたぞ!”
と言う師匠を部屋に残し、中庭から本堂へと向かおうとしていた刹那、寺へと登る石段に気配を感じた。人数は…一人、二人、三人か…弥助と弥生ならば二人のはず…こんな夜更けに襲撃か…?正門へと近づき様子を伺っていると突然背後から声を掛けられた。
『おや、もう来たようじゃの。』
「し、師匠寝たのではなかったのですか!」
『なーに、知ってる気配を感じたもので様子を見に来ただけじゃ。幽霊が出迎えるよりワシが行った方がいいじゃろ?幽霊の方がいいか?お主は本堂で白装束でも着て待っておれ!ははは』
そうか、来たのはやはり弥助と弥生。
もう一人はお千代部隊のくノ一といったところか。師匠に言われた通り、本堂へと向かい弟子が到着した旨を幸景殿に伝える。さて、どんな顔をして会うべきか…
「それにしても…予想よりも早くに、佐助が接触してきたとは…あちらも準備が整ったということですね。」
『うむ、交戦した訳では無いが、お千代殿のくノ一部隊が来てくれなかったらワシも危なかったかもしれんのぉ…奴は昔の奴とは比べ物にならぬ程の力を手に入れておる。お主の方は、左京の封印を解く方法は解かったのか?』
ここに来てから今日まで、幸景殿に協力してもらい過去の文献を解読しながら様々な方法を研究してきた…これまでの年月を決して無駄にしてきた訳では無い。
「はい、手は尽くしました。しかし、残念な事に別人格を生み出す程の強力な呪印である為、完全な分離を無傷で行うのは難しいようなのです。ただ、左京の近くに陽の呪印を持つ姫がいれば、左京の陰の呪印は効力を発揮できないということはわかりました。しかしそれは万が一、姫が絶命してしまった時には左京の中の右京が主導権を握り、最悪の事態を迎えることとなります…。」
『なるほど…全く安倍晴明は面倒な事をしてくれたもんじゃのぉ。将来的に暁国を手に入れる為に、奥方に双子は悪とでも吹き込んで施したのだろうが…今は左京と姫が一緒に行動している故、暫くは新月が来ても安心といったところじゃな。晴明も、奥方の前で姫を殺めるような馬鹿な真似はしないであろう。しかし、時が来たと判断したら容赦なく姫を殺め、幸成殿の血を引く左京を大々的に祀りあげて暁国を良いように操る事も考えておるじゃろう。何としても左京と姫をこちらへと避難させ、一刻も早く奴らを倒す必要があるということじゃな。』
左京と姫を取り戻すのは早急に行わねばならないことではあるが、弥助と弥生の動向が気になった。
「師匠、弥助はどのように動いているのでしょうか?」
『あれ?ワシ、言ってなかったかの?弥助は弥生と共に此方へと向かっておるはず。明日にでも到着するのではないかの?心配するな、預かっている間に弥助にはしっかり、修行をつけたからの。少しは役にたつようになっておる!』
この戦いは弥助と弥生にとって、実の父親と戦うという非常に厳しいものになる。果たして二人の心は正常な状態を保つことができるだろうか…
『才蔵よ、そう険しい顔をするでない!己の弟子を信じるのだ。お主が信じなくてどうするのじゃ?佐助と会わせる事に不安があるのはわかるがの。』
「はは、流石は小太郎師匠。何もかもお見通しですね。私がこの様な状態では二人を不安にさせるだけ。まだまだ修行が足りぬようだ。本堂へと行って私も精神を集中して参ります。」
”ワシは寝る!疲れたぞ!”
と言う師匠を部屋に残し、中庭から本堂へと向かおうとしていた刹那、寺へと登る石段に気配を感じた。人数は…一人、二人、三人か…弥助と弥生ならば二人のはず…こんな夜更けに襲撃か…?正門へと近づき様子を伺っていると突然背後から声を掛けられた。
『おや、もう来たようじゃの。』
「し、師匠寝たのではなかったのですか!」
『なーに、知ってる気配を感じたもので様子を見に来ただけじゃ。幽霊が出迎えるよりワシが行った方がいいじゃろ?幽霊の方がいいか?お主は本堂で白装束でも着て待っておれ!ははは』
そうか、来たのはやはり弥助と弥生。
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