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スピンオフ

市中お馬さんの刑 パート3

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「陛下、お目通り頂きまして光栄の至りに存じます」

「ふむ」

 俺の目の前で跪いている女性の名はレイラ。透き通るような肌をしており、肩を露出したドレスは胸元の谷間が強調されている。そんな気はないのだが、自然と谷間に視線が吸い込まれていってしまう。困ったものだ。

 腰まで伸びた艶やかな黒髪に腰はくびれて出る所は出て、ボンッキュッボンの申し分ないプロポーションだ。顔は絶世の美女といっていいだろう。俺に向けて微笑をたたえており、男好きしそうななんとも言えない妖艶な魅力がある。

「ごほんっ!」

 傍らのラミアが咳払いが一つ。うっ、ジト目でこちらを見ている。いかんいかん、鼻の下伸びてたかな? 俺はポーカーフェイスを意識して、

「遠い所からご苦労だったな。それでメイドの派遣斡旋をしているって?」

「はい、我が商会はメイドの派遣業をしておりまして、世界中から集めた寄りすぐりの美女をメイドとして派遣しております。お客様の様々なご要望、ロリからお嬢様、お姉さんに妹、ぺちゃぱいから巨乳までよりどりみどりでございます」

「ほう……」

 俺は思わず、王座から身を乗り出す。

「ご要望がございましたら、身辺警護が可能なもの、学業に優れ家庭教師も可能なもの、そして、夜のお世話をさせて頂くものも派遣可能でございます」

「そ、その夜のお世話っていうのは具体的には……?」

「ケイン様?」

 ラミアはその背後からゴゴゴゴゴゴという音が聞こえてきそうなほどの剣幕だ。まっ、まずい!
 
「そ、その具体的な業務内容については後日聞くとして……まあ具体的な交渉は宰相のセバスチャンとしてくれ」

「かしこまりました」

 そういって彼女は優雅に立ち上がる。ドレスのスカートはスリットとなっており、その白く美しい太ももが顕になる。俺は生まれて始めて、この時代に転生してきて初めて思った。レイラよ悪いことをしろと。酷いことをして我が臣下、臣民を困らせろと。帝国法に違反して罪に問われろと。

 その心は?

 そんなのは決まっている。彼女を市中お馬さんの刑に処す為だ! 彼女の華奢な背中にまたがり、あのむしゃぶりつきたくなるようなお尻をひっぱたく! ぱちーーんってね。征服感を味わえ、彼女の柔らかな身体をダイレクトに感じ、そして、あの白桃に触れることができる。でゅふふふふふ。

「ケイン……様?」

 うっ、ラミアがまたジト目でこちらを見つめている。また鼻の下が伸びていただろうか?

「それではこちらにどうぞ」

 セバスチャンは絶世の美女レイラを別室へと連れて行く。あっ! セバスチャンも鼻の下伸ばしまくってる! あいつ罵ってくださいとか言わないだろうな?

 とまあ、俺とレイラの初めての出会いはこんな感じだった。セバスチャンとの会合も好印象だったらしいが、念の為にとレイラとその周辺の身体検査をしたところ驚愕の事実が明らかになったのであった。


 
 
「お呼びに預かりまして至極光栄でございます」

 レイラは今度は胸の中央部が円形に開いているドレスを着てきた。その胸部の穴は角度によっては、もしかしたら見えるんじゃないかというような絶妙な位置と大きさで空いている。

「なぜわざわざ俺のところに来た? バレないとでも?」

 レイラは若干ではあるがその表情をヒクつかせる。

「一体何のことでございましょう?」

 だが流石すぐにポーカーフェイスに戻り、いつもの妖艶な微笑をたたえる。
 
「吸血女王グレース」

 俺のその言葉にレイラはその身体をビクッと震わせる。

「その妹で階級はセカンドだって?」

「………………」

 そこまで俺がしゃべるとレイラはその顔に浮かべていた微笑をすっと打ち消し真顔になる。

「そこまでバレてるんじゃあ、しょうがないわね。そうだよ、私がグレースの妹レイラさ。王宮に入り込み姉の借りを返してやろうかと思ったけど、これは厳しそうだね」

 そう冷や汗をかきながらレイラは述べる。俺の隣に佇むラミアはいつもは隠しているその魔力を最大限に解放している。今、王の間には俺とラミアとレイラとセバスチャンしかいない。もし他のものがいればラミアのそのあまりの魔力に卒倒しかねない。それほどの魔力だった。

「まあ、でもグレースの妹だからって何も悪さしてないようだったら別にこのまま返してもよかったんだけど。お前、俺のお膝元の帝都で何人か眷属にしてるな?」
 
「ああ、それが何か? 下等な人間から上位種である吸血鬼にしてやったんだ。感謝こそされ非難されるいわれはないけど?」

 腰に手を当て、見下すようにレイラはいう。

 セバスチャンは…………恍惚な表情をしている。ダメだこいつは。

 ラミアは…………まずい、今にも爆発しそうだ。レイラは人間ではない。弱肉強食の魔物の世界ならレイラはラミアに瞬殺されてもおかしくなかった。

「ラミヤ、お前の気持ちはわかる。…………だが、ここは俺の為に少し我慢してくれないか?」

 俺は神妙な顔つきとなってラミアにそうお願いする。

「ケイン様…………失礼しました。一番お怒りになってますのは臣民を傷つけられた皇帝陛下である、ケイン様ご自身! 考えが及ばず大変申し訳ございませんでした!!」

 俺はラミアのその謝罪を片手を上げることで無言で許容する。

「ああ、なんてお優しい…………」

 俺のその様子にラミアは薄っすら涙すら浮かべている。

「よし! それではレイラ、お前は………………ゴホン」

 俺はついに発表するその言葉に緊張のため咳払いを一つし、

「お前は…………市中お馬さんの刑に処す!!」

「ケイン様?」

 先ほどまで俺に尊敬と羨望の眼差しを向けていたラミアは、嘘のような冷たい声で俺に問いかける。

「市中お馬さんの刑って……?」

 レイラは疑問を呈する。まあ、わからないだろうな。
 
「よ、よし! じゃあ、セバスチャン。警備などは手はず通り頼むぞ!」

「ケイン様?」

 ラミアは薄っすら凍りつくような笑みすら浮かべている。
 
「さあ、ついてこい、レイラ! 抵抗しても無駄だぞ!」

「ケイン様っ!!! なんで市中引き回しの刑が必要なんですか? 罰を与えるというなら私が今すぐに滅してチリ一つ残らないようにしてやります!」

「ラミア!!」

「っ!」

 俺の剣幕にラミアは少したじろぐ。

「いいか? 吸血鬼たちとの戦いは臣下、臣民たちも知っている。人が多く犠牲になったことも知っている。そこで、そこでだ! 皇帝である俺が臣下、臣民たちの前で吸血女王の妹たるレイラに辱めを与えることによって臣下、臣民たちの溜飲が下がる。そして俺は讃えられ、皇帝の支持はもっと高まる。そういうことだ! これは必要な処置。帝国にとって臣下、臣民たちにとって必要不可欠だと思ったからこその刑罰の断行だ! 分かってくれ、ラミア!」

「…………そこまで仰るなら」

 ラミアはまだ納得いっていない表情ではあったが、そこで引き下がる。

 ふーーっ、うまく説得できた。俺は額から汗を拭う。市中お馬さんの刑の最大最悪にして最強の障壁。ラミアたんさえ、説得できてしまえば後はこっちのものだ。ちなみに今述べたことは、さっき思いついた全くの口からのでまかせだ。我ながらよくここまで口からでまかせをいえたなと関心する。逆にいえばそれだけ俺は市中お馬さんの刑に対する情熱が高いということなのだろう。

  
 

「陛下、準備整っております」

「ふむ」

 王城の入り口から伸びる街道。街道の両脇には押し合いへし合いする程の市民が集まっていた。久しぶりの市中お馬さんの刑。しかも相手は吸血女王の妹ということで市民たちの注目度も相当高いらしい。周囲はガヤガヤと人々の話す声でうるさく、人々は思い思いに声を上げる。

「きゃーー、皇帝陛下がいらっしゃったわ!」

「あれが吸血鬼なの……ああ、恐ろしい!」

「まあ、でも面は結構いいんじゃね?」

「っていうかこの角度だともしかしたらちく……イテテテ」

 そこまで話した男性は彼女と思われる女性に耳を引っ張られる。

「それでは!」

 俺のその一言で周囲は静まり変える。

「吸血女王グレースの妹でかつ、吸血鬼階級セカンドのレイラ。我が臣民を吸血化させたことの罰として市中お馬さんの刑に処す!」

 うおーーーーーーっと市民たちから大きな歓声が上がる。

 俺は早速レイラの華奢な背中にまたがる。おーー、俺の短い股下はレイラの腰のくびれにすっぽりハマる。そして彼女からたちこめる香水のいい匂い。ドレスの背中は大きく開いており、透き通るような白い肌が眩しい。

 俺は右手を天高く掲げる。

 おおーーーーという人々の期待の声が上がる。彼らは知っている。俺の右手がどこに向かうのか。

 ぱちーーーーーーーん

「あふーーーんっ!」

 決まった…………手に残る柔らかな感触。響き渡った極上の打尻音。

「さあ、レイラよ! 進め!!」

 レイラは屈辱に顔を歪めて、街道を四つん這いで進んでいく。男たちはその目を血走らせ、押し合いへし合いをして、レイアの見えそうで見えない胸元を必死に覗こうとする。

「てめえ! 邪魔なんだよ!!」

「てめえこそ邪魔だ! 引っ込んでろ!!」

 そこらかしこで男たちの喧嘩が勃発している。そんな男たちの様子を女性たちは軽蔑の視線で見つめていた。

 ぱちーーーーーーーん

「きゃいーーーんっ!」

 ぱちーーーーーーーん

「いやーーーんっ!」

 レイラはこれまたいい声で鳴く。男たちは鼻息を荒くし、充血した視線をレイラに向けている。うん、これはお店で見るとしたらこれだけの美女だ、結構料金取られるだろう。お前ら、タダでこんな眼福見られてよかったな。

 こうして我が帝都には、ぱちーーんという小気味のいい音と、レイラの嬌声とが響き渡っていくことになるのであった。




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 前に吸血鬼女王の市中お馬さんの刑が見たかったという感想をもらったので短編化してみました。


 【NEW】2022/6/10
 新たに連載を開始しました。
 こちらもよければよろしくお願いします!

 不遇ジョブで追放されたが俺のスキル経験値貸与がチート過ぎる。トイチの利息で不労所得して最強最富に成り上がり、追放した奴らに当然ざまぁします!
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/980968044/314637197
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