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水族館 1
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「サッカー、好きなの?」
少女が1人の少年に問う。
「うん、小学校入ってからずっとやってるよ」
リフティングの練習をしながら、少年は答えた。
「じゃあ、将来はサッカー選手になるの?」
蹴りあげたボールを両手で受け止め、少女の方を見る。
「うん、なるよ!」
少年のその言葉を聞いた少女は目を輝かせた。
「すごいね! 私、ずっと応援し続けるから!」
少女のその笑顔につられて、少年も笑顔になった。
その瞬間、少女がその場を去ってしまった。
そして、その場所に他の子供たちがやってくる。
彼らはさっきまでいた1人の少女の事など気にもせずに遊び始める。
戸惑うたった1人少年も強制的にその輪の中に入れられた。
遠くでその少年を睨む少女が見える──
「っは……やば」
目の前に広がっている見慣れた景色を見て、俺はさっきまでのが夢だったのだと理解した。
そしてそのまま視線を横にずらしていく。
「え、もう9時じゃん!」
全神経を呼び起こし、時計の針を何度も瞬きを繰り返しながら確認し、飛び上がった。
今日は鈴木さんと水族館に行く日だったのだ。
10時に現地集合。
まだ回りきらぬ頭を最大限に回して考え、なんとか遅刻せずに行くことは出来そうだと思った。
そしてまずその1つ目の作業として、俺は顔を洗いに1階へと駆け下りた。
それから無事に準備を終えて、現在は水族館に向かう電車の中。
これから俺は鈴木さんと会う。
鈴木さんとはあの文化祭の後、何日も連絡を取りあった。
それから1度だけ映画を見に行き、今日また出かけることになった。
今はお盆休みなので、夏期講習は終わったし、部活ももちろんない。
この前は予定を合わせるのに少しだけ苦労したが、今回は俺の予定が空いたおかげですんなりと決めることが出来た。
それにしても、女子と2人でお出かけとか──
「デート……」
誰にも聞こえぬような小さな声で呟き、自滅した。
え、恥ずかしすぎる。
デートなの?
別にそういう仲だとは思っていないが、確かに普通に考えて女子と2人で出かけるなんて、デートじゃん。
これは、デートになるのか。
ってことは、その、最終的には恋──
そこで俺の思考を遮ったのは電車のアナウンス音。
「ドアが閉まります」
「お、おります!」
そこまで混んでいるわけではない車内で1人声を上げ、閉まり始めたドアをくぐり抜けた。
──危なかった。
今日は起きる時間が遅くなってしまったり、電車を乗り過ごしそうになったり、なんだかよくないことばかりだ。
このまま鈴木さんの前でも何かやらかしてしまったらどうしよう。
さっきこれがデートだということを知ってしまったからか、不安が大きくなってくる。
俺は悪いものを吐き出すようにその場で1つ大きな呼吸をしてから、待ち合わせ場所へと歩き出した。
改札を出てすぐ目の前に見える噴水の前に集合。
そこから5分歩けば水族館に到着だ。
水族館がここまで駅近なせいか、駅の中は青を基調とした水を意識させるような見た目になっている。
他にもペンギンが描かれている顔出しパネルがあり、その周りでわあわあやっている女子グループがいたり、まだ幼稚園生か小学生そこらの子供を連れている人もいた。
少女が1人の少年に問う。
「うん、小学校入ってからずっとやってるよ」
リフティングの練習をしながら、少年は答えた。
「じゃあ、将来はサッカー選手になるの?」
蹴りあげたボールを両手で受け止め、少女の方を見る。
「うん、なるよ!」
少年のその言葉を聞いた少女は目を輝かせた。
「すごいね! 私、ずっと応援し続けるから!」
少女のその笑顔につられて、少年も笑顔になった。
その瞬間、少女がその場を去ってしまった。
そして、その場所に他の子供たちがやってくる。
彼らはさっきまでいた1人の少女の事など気にもせずに遊び始める。
戸惑うたった1人少年も強制的にその輪の中に入れられた。
遠くでその少年を睨む少女が見える──
「っは……やば」
目の前に広がっている見慣れた景色を見て、俺はさっきまでのが夢だったのだと理解した。
そしてそのまま視線を横にずらしていく。
「え、もう9時じゃん!」
全神経を呼び起こし、時計の針を何度も瞬きを繰り返しながら確認し、飛び上がった。
今日は鈴木さんと水族館に行く日だったのだ。
10時に現地集合。
まだ回りきらぬ頭を最大限に回して考え、なんとか遅刻せずに行くことは出来そうだと思った。
そしてまずその1つ目の作業として、俺は顔を洗いに1階へと駆け下りた。
それから無事に準備を終えて、現在は水族館に向かう電車の中。
これから俺は鈴木さんと会う。
鈴木さんとはあの文化祭の後、何日も連絡を取りあった。
それから1度だけ映画を見に行き、今日また出かけることになった。
今はお盆休みなので、夏期講習は終わったし、部活ももちろんない。
この前は予定を合わせるのに少しだけ苦労したが、今回は俺の予定が空いたおかげですんなりと決めることが出来た。
それにしても、女子と2人でお出かけとか──
「デート……」
誰にも聞こえぬような小さな声で呟き、自滅した。
え、恥ずかしすぎる。
デートなの?
別にそういう仲だとは思っていないが、確かに普通に考えて女子と2人で出かけるなんて、デートじゃん。
これは、デートになるのか。
ってことは、その、最終的には恋──
そこで俺の思考を遮ったのは電車のアナウンス音。
「ドアが閉まります」
「お、おります!」
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──危なかった。
今日は起きる時間が遅くなってしまったり、電車を乗り過ごしそうになったり、なんだかよくないことばかりだ。
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