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影 3
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「佐々木くん、ありがとう」
少しばかり赤く腫れた目が、優しく笑った。
「こちらこそ、ありがとう」
お互いの目を見合わせる。
よかった。
本当によかった。
心の底から純粋に、それだけを思った。
これでもう彼女が自分を責め続けることはないだろう。
今まで幾度となく合わせてきた目線。
その全ての中で今日が1番、真っ直ぐと笑っていた。
「私、そろそろ帰るね」
もう暗くなってしまった窓の外を見て、佐倉さんが言う。
「こんな遅くまでごめんね、気をつけて」
軽く手を振り合い、別れる。
佐倉さんが未練なく出たドアの外から、次第に話し声が聞こえてきた。
なんと言っているのかはわからないが、雅也と裕貴であるのは間違いない。
俺はそれに気づいていないふりをして、2人を待つ。
やがて話し声が止み、1人分の足音だけが近づく。
そうして俺の目の前に顔を出したのは裕貴だった。
「平気か?」
久しぶりに交した言葉。
「もうなんともない」
緊張からか、2人していつもより声が単調で低い。
そんな久々の会話はたった1回のキャッチボールで終わった。
その場で立ちつくす事に苦痛を覚え始めた裕貴が、勢いよく近くの椅子に座る。
裕貴の動きに押されるようにして、俺から話し始める。
「佐倉さんと、ちゃんと話をしたよ」
椅子に腰を下ろしたきり、下を向いたまま黙る裕貴。
「ごめん」
なんの返事もないが、話だけはしっかりと聞いてくれている。
「ありがと」
その言葉で、ようやく顔を上げた。
「あれがなかったら俺、佐倉さんと話出来てなかったかも」
笑い混じりにそう言うと、裕貴も軽く笑った。
「……帰ろうぜ」
柔らかくなった声。
「そうだな」
俺はベッドから起き上がり、近くにあった荷物を手に、後を追った。
外にいた雅也がいつの間にか保健室の先生を呼んできてくれていて、俺たち3人はすぐに帰ることが出来た。
闇の中、明るい声を響かせ歩く3人。
時折くぐる街灯の下には2人の影と、もうほとんど消えかかった1つの影。
その光景がまるで当たり前であるように気にもとめない、雅也、裕貴、周りの人達。
「じゃあ、また明日」
俺の家の前で一瞬立ち止まる。
チカッという音と共に、玄関の灯りがついた。
「おう」
「明日な」
もうそこに俺の影はなかった。
少しばかり赤く腫れた目が、優しく笑った。
「こちらこそ、ありがとう」
お互いの目を見合わせる。
よかった。
本当によかった。
心の底から純粋に、それだけを思った。
これでもう彼女が自分を責め続けることはないだろう。
今まで幾度となく合わせてきた目線。
その全ての中で今日が1番、真っ直ぐと笑っていた。
「私、そろそろ帰るね」
もう暗くなってしまった窓の外を見て、佐倉さんが言う。
「こんな遅くまでごめんね、気をつけて」
軽く手を振り合い、別れる。
佐倉さんが未練なく出たドアの外から、次第に話し声が聞こえてきた。
なんと言っているのかはわからないが、雅也と裕貴であるのは間違いない。
俺はそれに気づいていないふりをして、2人を待つ。
やがて話し声が止み、1人分の足音だけが近づく。
そうして俺の目の前に顔を出したのは裕貴だった。
「平気か?」
久しぶりに交した言葉。
「もうなんともない」
緊張からか、2人していつもより声が単調で低い。
そんな久々の会話はたった1回のキャッチボールで終わった。
その場で立ちつくす事に苦痛を覚え始めた裕貴が、勢いよく近くの椅子に座る。
裕貴の動きに押されるようにして、俺から話し始める。
「佐倉さんと、ちゃんと話をしたよ」
椅子に腰を下ろしたきり、下を向いたまま黙る裕貴。
「ごめん」
なんの返事もないが、話だけはしっかりと聞いてくれている。
「ありがと」
その言葉で、ようやく顔を上げた。
「あれがなかったら俺、佐倉さんと話出来てなかったかも」
笑い混じりにそう言うと、裕貴も軽く笑った。
「……帰ろうぜ」
柔らかくなった声。
「そうだな」
俺はベッドから起き上がり、近くにあった荷物を手に、後を追った。
外にいた雅也がいつの間にか保健室の先生を呼んできてくれていて、俺たち3人はすぐに帰ることが出来た。
闇の中、明るい声を響かせ歩く3人。
時折くぐる街灯の下には2人の影と、もうほとんど消えかかった1つの影。
その光景がまるで当たり前であるように気にもとめない、雅也、裕貴、周りの人達。
「じゃあ、また明日」
俺の家の前で一瞬立ち止まる。
チカッという音と共に、玄関の灯りがついた。
「おう」
「明日な」
もうそこに俺の影はなかった。
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