ワールドメイク 〜チート異能者の最強くん〜

プーヤン

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第1章 異能力の目覚め

第11話 事件を憂う

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橋爪、飯田を帰し、俺たちは野外活動施設に向かう。

「おいおい。なんで俺たちは走ってきたんだ。」

額に汗を浮かべて辛そうに南が俺に訴えてくる。

「というと?」

「いや、お前の異能で瞬間移動とかしたらよかったんじゃねぇか?」

「まあ、その通りだが。むやみやたらにこの異能を行使したくないってのもある。まだ分からないことが多いしな。」

「…………あ?…………まあ。そうか。よし、着いたぞ。ここだ。」

この野外施設に来たことはあまりない。

昔、中学の部活か何かのバーべキューで来たくらいだ。これほど広い場所だったのかと驚くほどこの場所の記憶は定かではない。

南は何故か来たことがあるそうだ。どうせ女性関係だろう。

「ん?…………西京!あれ北条じゃね?」

「あ。本当だ。」

南が指さす方に目を向けると、北条さんともう一人の小柄な少女がベンチに座っており、その横のベンチに眼鏡の男性が寝ていた。彼らの顔には切り傷がいくつかあり、皆一様に下を向き脱力していることから彼らが戦いに敗れたことを物語っている。

そのお通夜のような雰囲気の彼女らに声をかけるのは少しためらわれた。

「あ、あのー。北条さん?」

俺の声に気づいた北条さんはこちらに顔を向ける。

「…………?あら。西京くん。こんなところに何の用?」

「いや、用っていうか。えっと。」

「ああ。買い物の件はごめんなさい。メールでも送ったけど、別の用があったの。」

北条さんは申し訳なさそうにこちらに頭を垂れる。

「用ってのは橋爪のことだろ?」

そこに嫌らしい顔で南が言葉を挟む。

「あら南くんまで。…………ちょっと待って。なんでその事を知っているの?あなた達もしかしてファウストの…………。」

北条さんが眉間に皺を寄せてこちらを警戒している。

そらそうだ。

何の関係もなさそうな俺たちが急に現れたら驚くのも無理はない。

その様子を隣の少女は強張った表情で見守る。

北条さんはこちらに身構えると、手に紫電を纏わせていた。そしてこちらに威嚇するようにバチバチと音をたてて、体に青い電気の線が見え隠れする。

彼女もやはり異能者だったのか。

疑いを晴らすために俺は過剰に体をのけぞらせ、彼女に弁解する。

「待った。待った。別に俺らはその橋爪の奴の仲間とかではないから。」

「そうそう。なんか橋爪をやったら、そいつらがあんたらを倒したみたいなことを宣ってたから西京が心配して来ただけだ。」

「え?あなたたちが橋爪を?信じられない。…………でも確かに目が覚めたら悪の影が消えていたわ。」

「え…………えっとどういうことですか?」

その時、初めて隣に座っていた少女が口を開いた。小さい体から発せられているだろう高く可愛い鈴を転がすような声音に一瞬、気を取られてしまう。

南は何故かその子を見て固まっている。

「おい。南どうした?」

「え?…………いやなんでもない。話を続けよう。」

「このロリコン野郎が。…………とりあえず、大丈夫そうで良かったよ。そっちのお兄さん寝てるけど救急車とか呼んだ方がいいかな?」

「…………ちょっとまだ状況が飲み込めていないけれど、大丈夫。ありがとう西京くん。その必要はないわ。…………でも改めて説明する時間を頂戴。いろいろとそっちも聞きたいことがあるでしょ?」

「そうだね。また今度で。」

彼女は酷く衰弱しているように見受けられる。それに今、彼女をここに長く引き留める理由もないように思う。

無事であることは確認できたし、今日のところは帰ろうかと南の方にに振り向く。

「いや待て。はっきりしておこう。ここで変に分かれて敵認定されて急に襲われても困るしな。とにかくそのファウストだったか?その組織と俺らは関係ないぞ。あと、お前らが何人きても俺らには勝てないだろう。俺たちはあの橋爪ってやつよりは強いしな。」

南は納得できないのか北条さんに忠告する。俺らを相手取ると痛い目に合うぞと半ば脅し文句のような。

いや、お前は橋爪との闘いの時、寝ていただけだろとツッコミたい気持ちをグッと我慢する。

もっと言えば奴は飯田との闘いの時も吹き飛ばされただけだ。

「チっ。…………とにかく分かったわ。私も同級生を疑いたくはないしね。でも今日は疲れているし、この子を家まで送っていかないといけないから。」

「そっか。分かった。」

「いや、待て。西京。いま、こいつ舌打ちしたぞ。絶対別れたあと増援よんで俺等をやろうとしてただろ。」

「まあまあ。今日はもう遅いし帰ろう。」

「…………そうだな。」

「北条さん。もしよければ送っていこうか?」

北条さんはやっとこちらに対しての警戒を解いたのか、深く息を吐くとこちらを一慶する。やはり疲れがたまっているのだろう。

「ううん。遠慮するわ。そちらの自称たらし君がものすごい眼光でこちらを睨んで来てるし、それに私は西京くんには少し悪いことをしたから。申し訳ないわ。」

「え?」

「ああ。だいたい話は分かった。…………西京。今日は帰ろう。」

俺が彼女の言葉の真意を問おうとするも、南の言葉に遮られる。

「そうしてもらえると助かるわ。」

「分かった。じゃあ、また明日。」

「ええ。また明日。」

そうして俺たちは明日、北条さんと待ち合わせて放課後に会う約束を取り付けた。

 

 

 

「ごめん。待った?」

「ううん。今来たところだから。………茶番はいいかしら?南くん。」

「ああ。及第点はやろう。」

「南はちょっと黙っとけ。じゃあ、単刀直入に聞くけどファウストってのはどういう組織なの?俺らはちょっと聞いただけだからあんまり詳細を知らなくて。」

「うん。まずそれより貴方たちが橋爪を倒したって証拠はあるの?話はそれからよ。」

放課後、俺たちは空き教室を借りて話しあいを始める。その教室は旧校舎の部室が密集する棟の一角である。

東と俺がよく使っている文学同好会の教室は本棟にある。特に活動実績もない同好会があんないい部屋をもらえることも不可解であるが。

今回の話し合いのための教室はなんなく借りられてその教室に着けば北条さんが仏頂面で待っていた。彼女はいつも輝くような笑顔でいるのが常であったため一瞬、見知らぬ人かと思ってしまった。

美人の真顔は少し怒っているように見えるのかもしれない。

「ああ。そんなことか。うーん。西京。お前の異能を北条に知ってもらうしかなさそうだな?」

「まあ。そうだな。北条さん。俺の異能力は宣言したことを可能にする異能だ。俺の髪を金色に変える。」

「おお。やれやれ。きんぱつ。きんぱつ。」

その瞬間、俺の髪が金色に変わる。しかし、頭のつむじ周りは黒のままだ。これは昨日南と共に色々と試していて分かったことだが、俺の異能は宣言の具体的な部分については想像で補完するみたいだ。

俺の想像する金髪は不良がよくしているようなプリンカットだった。南は金髪といえば違うものを想像していたようだが。

他者の承認も必要だが、彼女に自分の弱点をさらけ出すのは少しためらわれたためそこは隠して話す。

「え?…………えっと。つまり言ったことを現実にする能力?…………そんなの反則の強さじゃない。」

「そうだよな。その気になればそこらの女性を剥き放題だぜ。」

「最低ね。死んでもいいわよ。許可するわ。…………でも信じられない。瀬川さんからもそんな能力聞いたことがないわ。」

北条さんは南に対して冷たく言い放つと、そこからとある人物の名を言った。

「瀬川?」

「うん。シャクンタラーの探知系異能のスペシャリストなの。」

「そんなことを気軽に俺らに話していいのか?」

「別にいいでしょ。彼の異能は別に秘匿すべきものでもないし。」

「せがわ。せがわ。…………なんか聞いたことあるな。なあ。南?」

「ん?確かに。…………ああ。それより北条も異能者だよな?なんの異能?」

「まあ。隠すことでもないか。…………紫電の能力よ。電気を操る異能力。昨日見たでしょ?南くんは?」

「俺は物を思念で操る異能力だ。」

南は自身満々に自分の能力を言う。

お前はこの教室に向かうとき、彼女はまだ不明な点が多いから色々と秘匿して話せと俺に警告してきたばかりだろ。何サラッとバラしてるんだと彼をねめつける。

「え?…………。なるほど合点がいったわ。…………。貴方たちがテレキネシス小田を倒したんでしょ?違う?」

しかし、返ってきた北条さんの答えは全く想像もしないものだった。

なぜ、彼女が公園での一件を知っているのか。

「小田さんか?確かに西京がやったな。」

南は先ほどの失態を取り返すためか、全然驚いてませんよと言わんばかりにスラスラと言葉を紡ぐ。

「その時、寝ている彼から時計を奪ったんじゃないの?イケメンの男がはめていた時計よ。」

「は?時計?」

「いや、南。もしかしてあの時計じゃないか?」

「ああ。これか。」

そういって南は自分の腕に巻かれた古い時計を見る。特に変わった様子もなく、錆びており針も止まっている。まじまじと見入る北条さんを前にして俺はなぜかまた少し頭痛がする。

「それ。外せないのか?」

「いや外せるようにはなったが、なんか気に入って付けてるな。」

「その時計。日吉さんの物よ。…………その反応を見るに強奪したわけではなさそうね。」

「日吉?…………奪ってねぇよ。拾ったんだ。」

「そう。まあいいわ。あの公園に四人いたでしょ?その中で一人、イケメンの男性がいたでしょ?」

「うーんと。ああ。あの裸で寝てたやつだ。そうだな。その裸を見たとき堀の深い顔立ちに筋肉質な肉体だから彫刻かと思ったな。」

「いやに具体的ね…………。そう。その人がシャクンタラーの異能力がレベルのBのテレキネシスだったの。だからあなたもテレキネシスってこと。」

「はぁ。なるほど?…………。ん?待て。異能ってのはそんな誰かに譲渡できるものなのか?」

「北条さん。根本的なことを聞きたいんだけど。異能力って勝手に生まれるものじゃないの?この時計が関係しているの?」

「普通はそうね。私たちもなんでなのかは分かっていないけれど、その時計を拾った者は皆、異能者になるの。また、その時計を人に譲渡すると異能は移るらしいわね。いまだその譲渡の方法は知らないけれど。」

異能力の譲渡は実質、可能である。それは俺の異能も俺の前に使っていた奴がいたってことになるのか?

いや、待て。

俺は時計なんて持っていない。

おかしい。

北条さんの話だと時計によって異能は成立している。俺は時計を持っていないのになぜ異能力を行使できるんだ?

「そうな…………んだ?」

頭が痛む。

俺は偏頭痛持ちでもないんだが。なぜか頭が割れるように痛む。

この異能力に目覚めてから、時折頭が痛む。あの事件のことを考えたときと同じだ。

「北条。もし時計を破壊されたらどうなる?」

「そう。時計を破壊されたらお察しの通り。異能はなくなるわ。またその異能に関する記憶もなくなる。異能は記憶と結びつかれた時計によって発動するの。」

「はあ。分かるような分からないような。…………ん?どうした?西京?顔色悪いぞ?」

「いや。今日はちょっと用事があるから先に帰っていいか?」

「…………。お、おう。話は俺が聞いておくから後でメールする。」

「ちょっと待って、まだ話は終わってないわ。」

北条さんの声が聞こえるが、今は何故か東に会いたかった。なぜかは分からない。

「東か?」

「まあ、そんなところだ。」

「分かった。じゃあまた。」

「ちょっと!話は終わってないわ。それにあの子ことなんて今は良いでしょ?あんな暗い子は。今は大事な話をしているの。私が話しているんだから聞きな…………。」

「…………。」

「うん。いいから行ってこい。」

「…………ああ。」

俺はなんとか一言吐き出すと、その場を後にした。

 

 

 

西京のあんな顔は久しぶりに見た。

あいつは東のことになるとたまにああいう顔を見せる。

それはいつものボケっとした馬鹿の顔ではない。見ると肌が粟だつような、こちらが戦慄するような顔だ。

西京のようなおとなしい奴が睨みをきかせようと特に怖くもないものだが、事情を知っている人間からすれば恐怖ではある。あいつはあの事件以降、東のことになると神経質になってしまったからな。

まさか、北条にもあんな顔をするとは思ってはいなかったが。

「なに?私、何か気に障ることでも言った?…………何か西京くんいつもと違って見えたから。」

北条は動揺し、口早に自分は悪くないと言う。確かに彼女が特に悪いわけではない。大事な話に水を差されれば文句の一つも言いたくなるものだ。

しかしながら、これは駄目だった。

いつの頃か、あいつが真剣に俺に頼み事をしてきたことがあった。あの西京が俺に頭を下げて頼む様など想像もしていなかったことだ。

それは、東に対する悪口やら陰口を吐いている人間を見つけたら、やめさせるように働きかけることだった。

押しつけがましい依頼であったし、俺も初めは突き返した。

しかし、少し過敏になっていないかと抑止する俺になお頭を下げるものだから俺は彼のたったひとつの願いを聞いたのだ。

東は俺と西京が彼らに対していじめを辞めさせるように頼んだと思っていたようだが、本当は違う。

俺が女子やらその彼氏やら、とにかく情報を集めまくって相手の粗を探して、そこから俺と西京で崩していったのだ。

そう。

西京は俺に情報を集めさせて、相手を脅したのだ。

東だけがすべてを知らない。

それゆえ、広く女子と交流を取っていたふしもある。

それが今では習慣となってしまったのはやはり、俺にはモテる才能があったからだろう。

「あいつの前で東の悪口は禁句だ。」

「あら、そう。私、過信していたのかしら。西京くんは私に好意があると思っていたんだけど。」

「どうだろうな。俺が見た感じではお前、あいつを利用しようとして近づいたんだろ?まあ、そんな事情をあいつは知らないと思うが、あいつもお前をある意味で利用しようとしていたんだろうな。」

「どういうこと?確かに、彼が中二病の痛い子だと知る前は異能者かと思って近づいたわね。だから?私を何に利用するっての?」

「それはまあ、今は関係ない話だ。…………で。異能の説明までしたってことはお前はもとから俺らをその自分の組織に入れる気だったんだろ?」

「あら、話が早くて助かるわ。頭の良い人は好きよ。」

北条はこちらに蠱惑的な笑みを見せる。

「すまないが俺はあんたみたいなタイプは嫌いだ。なにより、友達を利用しようとするってのは解せない。」

「あら男友達優先って女子に嫌われるわよ?」

「ん?知らないんだな?俺はこれでもモテるんだ。」

そう俺はモテるんだよ。

西京。俺はモテるんだ。

だから心配そうな顔をするな。

彼女だって作ろうと思えば作れるんだ。

それは、モテない奴の見栄じゃないんだぜ。この前も告られたしな。

でも、俺はお前らが心配だから今はこのままでいい。

お前はいつも俺を揶揄うくせに、どこか悲しそうだ。

罪悪感なんて感じる必要はないんだ。

あんな情報操作も好きでやったことだ。

東の件はひと悶着あったにしろもう終わった話だしな。

後は西京がこの後、東とどうしていくかを見守るだけなのだ。しかし、俺は今もこうして軽く生きている。もう女子と不用意に遊ぶ必要もないのに。

それはどこかでまだあの事件が終わっていないと思っているのかもしれない。

あの事件のことを考えると不安になる。

何故かはわからないが、漠然とした不安が俺を襲うのだ。

東の件がまだしこりとなって俺の心に残っているのか。

まあ、なんだかんだ結局は女子が好きな俺としては今の生き方を気に入っているんだ。

だから…………。

だから泣かなくていい。もう過去のことだ。

 

 

その後、北条の話に俺は乗ってシャクンタラーなる組織に入ることに承認した。

その異能者集団に入っておけば、また橋爪みたいなやつが攻めてきたときに役立つかもしれないしな。

俺の独断だが、西京も納得するだろう。

俺は北条と別れたあと、すぐに西京にメールを送る。

宛先をスクロールする。西京以外の男はおらず、ほとんど遊んだことのある女子のアドレスばかりだ。

その中に一人、見たくもない人間の名前がある。俺は反射的にその名前で指が止まってしまった。

鬼嶋 あかり。

本当に害悪のような女であった。

こいつの名前を見れば西京は発狂するだろう。あいつにとっては忘れたい名前のはずだ。

しかし俺はのちの保険のためにこいつのアドレスを残している。

鬼嶋あかりは人を引寄せる魔力を持った女であった。その美貌は小学生ながら完成していたように見える。

鬼嶋は東を何故か親の仇のように恨んでいた。それは小学生の俺たちからしても異常なほどで、本当に理不尽なものであった。

殴る蹴るは当たり前で物を盗む壊す。もしかしたら、東の美貌にどこかで自分の自信を揺さぶられていたという初めは些細な問題だったのかもしれない。そして、それは小学生のうちに終わったかのように見えた。

しかし俺たちが中学に上がった時、西京は俺に頼んできた。

俺にデマの情報を流して、鬼嶋を動きづらくしてくれと。それは、具体的には逆に鬼嶋の立場を揺るがす情報を流せということだ。

最初は耳を疑った。

鬼嶋などとうに忘れた名前であったからだ。

それに小学生時代、東のことを救った時も確かにそういった手法を取ったが、これは違う。一個人を社会的に殺してくれと言われているようなものだ。

しかし、彼はどうしてもそれをやってくれといった。理由は言えないと。

顔は病的なまでに青白くなり、支離滅裂な言葉を並べる西京を見て、俺は思った。こいつはおかしいと。

西京はなにもいたずらに人を傷つけて喜ぶ馬鹿な輩ではない。何かがおかしかったのだ。

それから、彼女を追い詰め、俺は彼の言う通り彼女を封殺した。今は引きこもっているという情報を誰かから聞いた気がする。

西京が何故そこまで取り乱して、彼女を東から遠ざけようとしていたのかは後になって分かった。

鬼嶋はろくでもない友達たちに言っていた。

それは小学生時代から俺らによって動きを止められいたが歯止めが利かなくなったのか、もしくは新たに彼女を恨むようなことが鬼嶋の身に降りかかったのかは分からない。

しかし東 彼方はどうしようもない売女であると。尻の軽いあの女を安く売ってやると吹聴していたらしい。その嘘偽りを。

或ること無いことを触れ回り、何をしたかったのか彼女の意図は今でも分からない。

しかし、もう少し俺たちが動くのが遅れていたら彼女の言うことを真に受ける人間は大勢いたに違いない。あの美貌と口の上手さだ。
それこそ、小学生時代に巻き戻っていた可能性もある。

俺たち自身もその噂の回る早さを小学生時代に身をもって痛感した。

それはなんとか食い止められて、今に至るが本当に虫唾が走る事件であった。

しかし、疑問が残る。

何故、西京はこの事を事前に知っていたのか。

俺がその鬼嶋の件を知ったのはその事件から少し経ったくらいだ。

今思えば、西京の判断は正しかったのかもしれない。人としては間違っていたとしても、結果的に東を救っていたのだ。

東は自分が陰で何を言われていたのか知らないし、この事件のことも知らない。

しかし、西京は起こる前からその事件を察知していた。

これでは起こる事件を初めから知っていたようなものだ。

これはおかしい。

本当におかしい。

まるで異能力でも使って知っていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 
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