『日本再起動 ―Re:BOOT JAPAN―』

KAORUwithAI

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同志たち

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――203X年・3月、東京湾岸の倉庫街。

薄曇りの空の下、錆びついたシャッターが音を立てて持ち上がる。
中に広がっていたのは、無骨な鉄骨に囲まれた、殺風景な空間だった。
だが、そこにはすでに3人の男女が集まっていた。

「……面白い話を聞かせてもらった。まさか官僚崩れが“革命”を口にするとはな」
そう言って口元を歪めたのは、真柴レンジ――元・自衛隊特殊部隊員。
短く刈った髪に、筋肉の浮いた腕。腕にはかつての部隊章がかすかに残るタトゥーとして刻まれていた。

「俺は国家に仕えた。命令されるままに、戦地に送られ、必要なら人も殺した。
でも、国は俺たち兵士を“要らなくなった道具”みたいに捨てた。
あんたの言う“再起動”、気に入ったよ。やるなら本気で、な」

カイは無言で頷いた。

その隣では、桐原 翼が無線式のルーターとノートPCをいじっていた。
「ログは偽装済み、発信元はウクライナ経由にした。お役所にはバレない。今のところはね」

そして、最後にいたのが伊吹ヒナ。
髪をまとめたジャーナリストで、記者証も持たず、どこの媒体にも所属していない“独立系”。
その眼光は、政治家にも官僚にも媚びない、真実だけを求めるものだった。

「私はまだ、あなたの計画に賛同しているわけじゃない。
でも、あなたが見ている“真実”を追いたい。
この国が腐っているのは、誰の目にも明らかよ。
ただ、破壊だけではダメ――再起動の先に、構築がなければ」

カイはそれを聞き、はっきりと答えた。

「破壊の先に再構築がある。逆はあり得ない。
俺は“壊さずに変える”なんて、もう信じていない」

重く、静かな空気が流れる。

それでも、誰一人帰ろうとはしなかった。

これが、「再起動計画」実行部隊の原型だった。



同時刻、公安調査庁。

志水京介は、地図にピンを刺していた。
過去1ヶ月間で、神楽坂カイの痕跡がわずかに残った場所を赤く印していく。

「湾岸倉庫街か……。あの一帯、最近不審火も多い。もぐりの活動拠点にはうってつけだ」

背後で鳴海結花が資料をまとめながら言う。

「公安の監視カメラにも写っていません。ただ、……民間の防犯カメラに、一瞬だけ不自然な影が」

志水は眉をひそめる。

「神楽坂が、何かを始めたとすれば……そろそろ“最初の一手”が来る」

「テロ、ですか?」

「革命と呼ぶ奴もいるだろうがな」

志水はその夜、機密記録の奥深くに眠るあるファイルを開いた。
「再起動計画」の名が初めて登場した、匿名の投稿ログ。
その文面には、こう記されていた。

『我々は眠りすぎた。
民主主義という幻想の下、ただ従い、ただ捧げ、ただ我慢してきた。
だが、国家は我々を裏切った。
裏切りには代償を払わせる。それが、再起動だ。』

「……神楽坂、これはただの怒りじゃない。思想だ」

志水は独りごちるように呟いた。
その瞬間、彼はこの男が“危険人物”であると同時に、“本物”であることも悟っていた。

だがそれは、公安という立場からすれば最大の矛盾だった。

「止めるべきか、見届けるべきか……」

選択の時が、近づいていた。
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