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炎上する首都
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――203X年・4月。
再起動計画「Phase1」実行日。
⸻
■ 午前8時:新宿・東京都庁前
「起動確認よし、電磁遮断準備完了」
「警備動線、分断ルートOK。……あと5分」
無線で交わされる声が静かに、しかし鋭く響く。
都庁の地下駐車場。作業員用エリアの奥に設置された小型EMP装置が、カウントダウンを始めていた。
神楽坂カイは高架上から都庁の双塔を見上げながら、小さく息を吐いた。
「日本という国は象徴が好きだ。日の丸、総理大臣、そしてこの巨大な“見せかけの塔”。
……最初に崩すなら、こういう“虚飾”からだ」
午前8時15分。
EMP爆弾が静かに作動――
都庁周辺の一帯が一時的に電磁パルス障害で麻痺し、
エレベーター・防犯カメラ・通信網が沈黙した。
直後、塔の正面ガラス壁に投影された光学プロジェクターが動き出す。
【REBOOT JAPAN】
「我々は目覚めた。お前たちは眠っていろ。国を操る亡霊どもよ」
数分後、その映像は全国のSNSに自動投稿され、
一斉にネット上で拡散された。
⸻
■ 午前9時10分:JR品川駅
改札が止まり、アナウンスが混乱を伝える。
「全線、信号系統の異常が発生しています。安全確認のため、一時運転を――」
その声が途切れる。
ホームに人が溢れ、混乱が広がる。
構内モニターには、再び“REBOOT JAPAN”の文字が映し出された。
だが、破壊はなかった。
乗客は怪我ひとつ負わず、駅は一時停止にとどまった。
桐原 翼がタブレットを操作しながら呟く。
「大事なのは、“破壊”じゃなくて“動揺”っすよ。日本人って、“いつも通り”が崩れるだけで、パニックになる」
⸻
■ 午前10時:関東某所・原子力発電所
「冷却系統への外部干渉を検知!システム異常が――!?」
現場は瞬時に緊急モードに突入した。
だが、その直後に異常は“解除”された。
まるで、誰かが「できるけど、あえて止めた」と言わんばかりに。
監視室に残された匿名映像。
そこには神楽坂カイの顔は映っていない。
だが、加工された音声が語った。
「我々は“核”を使わない。だが、いつでも止められる力はある」
「国民を脅すな。次は、国民が黙っていない」
⸻
■ 同日午後:公安庁
「三箇所同時。だが死者ゼロ。これは……見せしめだ」
志水京介は報告書を放り投げた。
「都庁、駅、原発。あらゆる機関に潜り込まれてる。
国家機能を無力化し得る力――あいつ、本気だ。神楽坂カイ」
「テロと呼んでいいんでしょうか?」
背後で鳴海が、ためらいがちに問う。
志水は苦笑する。
「誰にとっての“テロ”かによるな。政府にとっては脅威、国民にとっては……“希望”かもしれん」
そのとき、内部チャンネルで音が鳴る。
“再起動”名義で、公安庁のシステムに直接接続された匿名映像が届いたのだ。
映像には一言、こうあった。
「政府に問う。“正義”を語る資格が、今の君たちにあるか?」
志水は眉をひそめたまま、映像を止めた。
その表情にあるのは、怒りでもなく、恐怖でもなかった。
理解だった。
再起動計画「Phase1」実行日。
⸻
■ 午前8時:新宿・東京都庁前
「起動確認よし、電磁遮断準備完了」
「警備動線、分断ルートOK。……あと5分」
無線で交わされる声が静かに、しかし鋭く響く。
都庁の地下駐車場。作業員用エリアの奥に設置された小型EMP装置が、カウントダウンを始めていた。
神楽坂カイは高架上から都庁の双塔を見上げながら、小さく息を吐いた。
「日本という国は象徴が好きだ。日の丸、総理大臣、そしてこの巨大な“見せかけの塔”。
……最初に崩すなら、こういう“虚飾”からだ」
午前8時15分。
EMP爆弾が静かに作動――
都庁周辺の一帯が一時的に電磁パルス障害で麻痺し、
エレベーター・防犯カメラ・通信網が沈黙した。
直後、塔の正面ガラス壁に投影された光学プロジェクターが動き出す。
【REBOOT JAPAN】
「我々は目覚めた。お前たちは眠っていろ。国を操る亡霊どもよ」
数分後、その映像は全国のSNSに自動投稿され、
一斉にネット上で拡散された。
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■ 午前9時10分:JR品川駅
改札が止まり、アナウンスが混乱を伝える。
「全線、信号系統の異常が発生しています。安全確認のため、一時運転を――」
その声が途切れる。
ホームに人が溢れ、混乱が広がる。
構内モニターには、再び“REBOOT JAPAN”の文字が映し出された。
だが、破壊はなかった。
乗客は怪我ひとつ負わず、駅は一時停止にとどまった。
桐原 翼がタブレットを操作しながら呟く。
「大事なのは、“破壊”じゃなくて“動揺”っすよ。日本人って、“いつも通り”が崩れるだけで、パニックになる」
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■ 午前10時:関東某所・原子力発電所
「冷却系統への外部干渉を検知!システム異常が――!?」
現場は瞬時に緊急モードに突入した。
だが、その直後に異常は“解除”された。
まるで、誰かが「できるけど、あえて止めた」と言わんばかりに。
監視室に残された匿名映像。
そこには神楽坂カイの顔は映っていない。
だが、加工された音声が語った。
「我々は“核”を使わない。だが、いつでも止められる力はある」
「国民を脅すな。次は、国民が黙っていない」
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■ 同日午後:公安庁
「三箇所同時。だが死者ゼロ。これは……見せしめだ」
志水京介は報告書を放り投げた。
「都庁、駅、原発。あらゆる機関に潜り込まれてる。
国家機能を無力化し得る力――あいつ、本気だ。神楽坂カイ」
「テロと呼んでいいんでしょうか?」
背後で鳴海が、ためらいがちに問う。
志水は苦笑する。
「誰にとっての“テロ”かによるな。政府にとっては脅威、国民にとっては……“希望”かもしれん」
そのとき、内部チャンネルで音が鳴る。
“再起動”名義で、公安庁のシステムに直接接続された匿名映像が届いたのだ。
映像には一言、こうあった。
「政府に問う。“正義”を語る資格が、今の君たちにあるか?」
志水は眉をひそめたまま、映像を止めた。
その表情にあるのは、怒りでもなく、恐怖でもなかった。
理解だった。
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