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Season 1
最終話 Go to the next stage!
しおりを挟む後日談。
「わーいっ! 明日から夏休みーっ! 嬉しーっ!」
晴れて恋人同士になった俺と悠那は
「よしよし。頑張ったね。でも、夏休みになったら色々あるからね? 初のファンクラブイベントもあるし、イベントのゲスト出演もあるし。歌番組の収録も結構入ってるからね」
「8月には陽平の誕生日もあるもんね」
「うん」
いい感じに仲良くイチャイチャしていた。
「司」
「ん?」
「ん」
俺に向かってちょんと唇を突き出す悠那に小さく笑ってキスをする。
ちゅっ、って触れるだけのキスをするだけでも悠那はとても嬉しそうな顔になる。
ああ……もうほんと可愛い。
悠那を好きだと自覚したら悠那への愛が止まらない状態だ。
「あー……暑ぅ~……暑苦しぃ~……クーラーガンガンにしてんのにウザ暑いぃ~……」
「せめて部屋でやって欲しいですよね。これだからバカップルは。見境がないというか、場所を弁えないっていうか」
「いいなぁ~……ラブラブで」
「海」
「いや……つい本音が……」
7月も下旬に入り、高校生組は明日から夏休み。
と言っても、ここぞとばかりに仕事を取ってきたマネージャーのおかげで、俺達は忙しい夏を送ることになりそうだった。
「そういえば、湊さん達のデビューももうすぐですね」
「おう」
「楽しみです。新曲気になりますし」
「サビの部分だけちょっと聴かせてもらったけど、夏にぴったりって感じの爽やかな曲だった」
「良かったですね、陽平さん。また昔の仲間と交流できるようになって」
「まぁ……うん」
俺と悠那も順調だけど、メンバーもそれぞれ順調な様子。
陽平は昔の仲間との交流を再開させ、そんな素振りを見せないように繕っているけど嬉しそうだし。律と海も未だにキス止まりではあるものの相変わらず仲がいい。
グループでの仕事はもちろんだけど、最近はそれぞれ個人の仕事もちょっとずつ入り、まさに公私ともに順風満帆って感じ。
いやはや。恋人がいるって素晴らしい。
「司」
「ん~?」
お風呂から出てきた俺は、部屋に戻って来るなりくま吉の上でのんびり寛いでいた悠那に声を掛けられた。
くま吉と戯れる悠那、可愛い。
悠那の目が“こっち来て”と訴えてくるから、俺の足は自然と悠那に向かう。俺が悠那のいるベッドに腰かけると、悠那はくま吉の上から俺の膝の上に移動してきた。
元々悠那は甘えっこなところがあったけど、俺と付き合い始めてからは更に俺にべったりになった。
イチャイチャするのが大好きらしい。堪らん。
ついつい悠那の頭に手が伸びて悠那の頭をこれでもかってくらいに優しく撫でてやると、悠那は嬉しそうにしたけれど急に拗ねたような目をして俺を見上げてきた。
何か不満があるらしい。
「あのさ。俺、そろそろ司とちゃんとしたエッチがシたいんだけど」
いきなりそんなことを言い出す悠那にギョッとなる。
ちゃんとしたエッチというのはつまり……セックスしたいってことですか?
「せっかく恋人同士になったのに司は俺とエッチしてくれないよね? 今のも凄く気持ちいいんだけど、俺、司とエッチしたい。司は俺とシたくないの?」
「いや……そういうわけじゃないよ? 悠那とセックスしたいとは思ってるんだけど……」
「けど?」
そうなのだ。悠那と恋人同士になったというのに、俺はまだ悠那とちゃんとしたセックスをしていない。
それは俺が童貞であるということも関係しているけれど、もう一つ。悠那が一度、朔夜さんとそういうことをしかけたという事実。
悠那が朔夜さんとセックスしかけたから悠那とシたくないということではなくて、その時悠那が朔夜さんのテクニックに翻弄され、完全に骨抜きの腰砕けにされたということが原因だ。
童貞の俺は朔夜さんほどのテクニックを持っていない。悠那とセックスしたいとは思っているけど、いざやってみて下手だと思われるのが怖い。
陽平に相談したり、ネットで色々調べてみたり、海と情報を共有したりして、少しずつテクニックを知識として蓄積していってはいるけれど、実践する勇気がなかなか出なかった。
「もうちょっと待って。今勉強中だから」
「勉強中?」
「だって……ヤるなら悠那を気持ち良くさせたいじゃん。だから勉強中」
「そんなの気にしなくていいのに。俺、司にシてもらうこと全部気持ちいいし感じるよ?」
「くぅっ!」
また……無防備にもそんな可愛いことを。そんな風に言われると俺も少しは勇気が湧いてくるというもの。でも……。
「司。セックスしよ?」
甘えた声で言ってくる悠那にそれだけでナニが反応してしまいそうになる俺は、みっともない姿を悠那にだけは見られたくないと思ってしまうのだった。
俺と悠那が恋人同士になってから、最初の夏が始まる。
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