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肉のパン包みフリッターガーリック風味
肉のパン包みフリッターガーリック風味2
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ドクの家だけは廃墟の中でも、華やいだ雰囲気があった。それはひとえに広い畑を有し家畜などもいるから、命の営みが感じられるせいだった。
それに家の屋根から上がる煙はホッとする。日常がそこにあるのは幸せなことだった。
「レオ様、おはようございます」
中年の男が麦わら帽子を脱ぎながら近づいてきた。背はレオより低いが、がっしりとしていてアリシャの知っている痩せた農民のイメージとは違ってみえた。
「おはよう。ほら、アリシャ」
「おはようございます。貴重な食料を分けてくださりありがとうございました」
男はアリシャに握手を求めたが、自分の手に土が付いていることに気がついて、ズボンで手を拭いた。
「おっと失礼。畑をやっていたもんでな。あらためて、ドクだ。よろしくな」
再び差し出された大きなゴツゴツとした手をアリシャは握った。力仕事をしてきた頼もしい手だった。
「アリシャです。レオさんとお話させていただいて、こちらに居を構えることにしました。色々教えて下さい」
お! と、目を見開いたドクは垂れた目をそっと細めて二回頷いた。
「そうか、そうか。大歓迎だ。若い娘さんが来たとなると息子たちが喜ぶな。おい! レゼナー! レゼナ、ウィン!」
家影からひょこっと顔を出した若い男はドクと瓜二つ。ドクの顔から皺をそっくり取り除いて、僅かに目尻を上げた優しい雰囲気の人だった。
「これはウィンだ。十八になる長男だ」
鳶色の瞳でアリシャを見下ろすとウィンもズボンで手を拭いてから、握手を求めた。
「よろしく。二日も眠ったままだったから心配したよ。えっと……?」
「アリシャです。二日も寝ていたのですか? 知らなかったわ」
「正確にはもっとだ。馬の背で気を失って──」
「馬、そうよ! スリ! 私の馬はどちらですか?」
その時、家の扉が開いて、中から中年の女性が元気よく飛び出してきて「あらあら!」と声を上げて駆けてきた。
「目が覚めたのね。可愛らしいこと。名前は? 年はいくつなの? 本当に可愛らしいわ」
その女性はアイシャの手を掴み両手で包み込み、とびっきりの笑顔を向けてきた。横からドクが呆れ顔で「アリシャだよ。ここに住むらしい」と言い伝えると、ますます笑みを深めた。
「嬉しいわ。女が一人でしょ? 話し相手が欲しかったのよ。レゼナよ、抱き締めていいかしら?」
おずおずと頷いたアリシャをレゼナは力いっぱい抱き締めた。
「うーん、可愛いこと」
レオが来た道を振り返り「エドは森か?」と誰ともなしに問う。
「パンを咥えて出ていっちまいました。レオ様にご挨拶してから行けと言ったんですけどね」
答えたドクが頭を掻いて、その後まだアリシャを抱き締めているレゼナに放してあげなさいと注意した。
「ドクにはウィンの下にもう一人息子があるのだが、主に狩りをするものでしょっちゅう森に行ってしまうのだよ。レゼナ、エドは幾つになった?」
レゼナが「十六です。アリシャはおいくつ?」と話を振った。
「十七になりました」
レゼナは笑みを引かせて、神妙に頷いた。
「私にも娘が居たのよ。生きていれば十七歳だわ。生まれて直ぐに亡くなってしまったの」
そう言って再び笑みを取り戻し、アリシャと手を繋いだ。
「あの子だと思って甘やかしちゃうわ。さぁ、朝ご飯にしましょ」
家に向けて足を前に出したレゼナに手を引かれてアリシャも動き出そうとすると、隣にいたウィンが体を屈めて囁く。
「君の馬は元気にしているから心配ないよ。食後に会わせるから」
ウィンの囁き声に釣られてアリシャも小声で「ありがとう」と返した。
「ほらコソコソ話してないで、ウィンは井戸までひとっ走りして手を洗うついでに水を汲んで来て頂戴!」
「人使いが荒いんだよ、レゼナは」
息子の代わりにボヤくドクにレゼナは「あなたもよ」とピシャリ。
「あ、じゃあ私も水を汲みに……」
アリシャが手伝おうとすると「アリシャはいいのよ。病み上がりだもの」と早速甘やかしにかかる。困ったアリシャをレオが救う。
「生活に必要なものを考えねばならぬだろうから家に残りさない。シーツを近くの村で買い求めないとならないだろうし……料理はどうしたらいいだろう、レゼナ」
「うちで食べればいいと思います。レオ様もここで食べるのですから、集まって食べれば美味しいですし、何より情報の共有もできますから。それに、一つの炉で作るならば道具は必要ないですもの」
レオはドクたちに井戸に行くように促すと、レゼナに向き直った。
「それは確かにそうなのだが、手狭になるな。アリシャが塔を気に入ってそこに仮住まいしたいという事だから、家を直さずにすむ。かわりに宿屋跡を修理して、そこで料理をし、食すか」
それに家の屋根から上がる煙はホッとする。日常がそこにあるのは幸せなことだった。
「レオ様、おはようございます」
中年の男が麦わら帽子を脱ぎながら近づいてきた。背はレオより低いが、がっしりとしていてアリシャの知っている痩せた農民のイメージとは違ってみえた。
「おはよう。ほら、アリシャ」
「おはようございます。貴重な食料を分けてくださりありがとうございました」
男はアリシャに握手を求めたが、自分の手に土が付いていることに気がついて、ズボンで手を拭いた。
「おっと失礼。畑をやっていたもんでな。あらためて、ドクだ。よろしくな」
再び差し出された大きなゴツゴツとした手をアリシャは握った。力仕事をしてきた頼もしい手だった。
「アリシャです。レオさんとお話させていただいて、こちらに居を構えることにしました。色々教えて下さい」
お! と、目を見開いたドクは垂れた目をそっと細めて二回頷いた。
「そうか、そうか。大歓迎だ。若い娘さんが来たとなると息子たちが喜ぶな。おい! レゼナー! レゼナ、ウィン!」
家影からひょこっと顔を出した若い男はドクと瓜二つ。ドクの顔から皺をそっくり取り除いて、僅かに目尻を上げた優しい雰囲気の人だった。
「これはウィンだ。十八になる長男だ」
鳶色の瞳でアリシャを見下ろすとウィンもズボンで手を拭いてから、握手を求めた。
「よろしく。二日も眠ったままだったから心配したよ。えっと……?」
「アリシャです。二日も寝ていたのですか? 知らなかったわ」
「正確にはもっとだ。馬の背で気を失って──」
「馬、そうよ! スリ! 私の馬はどちらですか?」
その時、家の扉が開いて、中から中年の女性が元気よく飛び出してきて「あらあら!」と声を上げて駆けてきた。
「目が覚めたのね。可愛らしいこと。名前は? 年はいくつなの? 本当に可愛らしいわ」
その女性はアイシャの手を掴み両手で包み込み、とびっきりの笑顔を向けてきた。横からドクが呆れ顔で「アリシャだよ。ここに住むらしい」と言い伝えると、ますます笑みを深めた。
「嬉しいわ。女が一人でしょ? 話し相手が欲しかったのよ。レゼナよ、抱き締めていいかしら?」
おずおずと頷いたアリシャをレゼナは力いっぱい抱き締めた。
「うーん、可愛いこと」
レオが来た道を振り返り「エドは森か?」と誰ともなしに問う。
「パンを咥えて出ていっちまいました。レオ様にご挨拶してから行けと言ったんですけどね」
答えたドクが頭を掻いて、その後まだアリシャを抱き締めているレゼナに放してあげなさいと注意した。
「ドクにはウィンの下にもう一人息子があるのだが、主に狩りをするものでしょっちゅう森に行ってしまうのだよ。レゼナ、エドは幾つになった?」
レゼナが「十六です。アリシャはおいくつ?」と話を振った。
「十七になりました」
レゼナは笑みを引かせて、神妙に頷いた。
「私にも娘が居たのよ。生きていれば十七歳だわ。生まれて直ぐに亡くなってしまったの」
そう言って再び笑みを取り戻し、アリシャと手を繋いだ。
「あの子だと思って甘やかしちゃうわ。さぁ、朝ご飯にしましょ」
家に向けて足を前に出したレゼナに手を引かれてアリシャも動き出そうとすると、隣にいたウィンが体を屈めて囁く。
「君の馬は元気にしているから心配ないよ。食後に会わせるから」
ウィンの囁き声に釣られてアリシャも小声で「ありがとう」と返した。
「ほらコソコソ話してないで、ウィンは井戸までひとっ走りして手を洗うついでに水を汲んで来て頂戴!」
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