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肉のパン包みフリッターガーリック風味
肉のパン包みフリッターガーリック風味3
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レゼナはポンと手を叩いて、その案に大いに喜んだ。
「いいと思いますよ。あそこの炉は立派だし、部屋も広いもの。それに時々、旅人が勝手に廃屋に泊まるじゃないですか。あれはちょっと嫌だったのですよ。それならばしっかり宿に泊まってもらって、ついでにお金を落としてもらいましょう」
三人は揃ってドクの家に入って行き、レオは入口近くに持ってきた斧を立て掛けた。
この家はレオの住まいと広さは変わらず、しかしベッドが四つもあるので、こちらの方が感覚的に息苦しくなるほど狭かった。それに炉の前に置かれたテーブルも、スツールが五つあるので通るのも座るのも大変そうなのだ。
「もう暖かいのだし、宿屋の戸や窓がなくたって死にはしないわ。ご飯は直ぐにでもあちらで食べましょう」
腕まくりをしたレゼナが腰に手を当てて、テーブルを眺めた。
「とはいえ、今はお腹ペコペコ。食べてからよね。あちらの炉はそれは立派なのだけど使うとなると煤払いやら掃除やらしなくちゃならないし」
レオはスツールを一つ引いて腰を掛け、アリシャに座るようテーブルを叩いた。
「とにかくシーツとかけるもの、うつわ類は買ってこなければならないな。あとは下着か」
座ったアリシャを見ながらレゼナがテキパキと木皿を出し、そこにパンを乗せていく。
「私が隣村まで行ってきますよ。アリシャはまず家というか塔を整えて、男性陣に手伝って貰ってベッド作って貰いなさいな」
言い終えるとくるりと身を翻し、次は樽から燻製肉を取り出してそれも器に乗せてテーブルの上に置く。
「扉が外れていたから、あれを直して……ああ、階段もついでに板で囲って登り口だけシーツを上から垂らせば幾分風も遮れるだろう」
「じゃあシーツを二枚手に入れましょう」
「レゼナさん、お代をお渡しします」
「後払いでいいわよ。めいいっぱい値切って来るわね」
話しながらなのに、レゼナの手は止まることをしらない。木のカップを人数分出すと、そこに次々とミルクを注いでいく。注ぎ終わったものを各スツールの前に置いて、とうとうレゼナも腰を下ろした
「いつもなら待つところですけど、食べましょう。忙しい一日になるわ」
レゼナは提案ではなく宣言すると、神への祈りもササッと済ませてパンを一つ取り上げる。
「そうだな。アリシャ、食べなさい」
立場はレオの方が上なのだろうが、はっきりとした上下関係はないのだろうとアリシャは感じながら頭を下げて丸いパンを取り上げた。
レオもパンを取るとちぎり始めた。
「こんな時にエドったら森にいってしまうのだから……今日はえんどう豆を植えるから手伝いなさいってドクに言われたんですよ。あの子は農作業が嫌いだから困るわ」
レゼナの話に耳を傾けながらパンを齧ったアリシャは思わず動きを止めていた。
手に持ったパンはライ麦パンのはずだ。色合いや匂いからしてもライ麦パンそのものなのに、口の中にあるのは味のしないパサパサとした何かだった。
困ったアリシャはカップに入ったミルクでとにかくそれを流し込んだ。
「んー、バレちゃったわね。私って料理がとことん苦手なのよ」
アリシャが驚いて顔を上げると、苦笑したレゼナがアリシャを見ていた。
「あの、そうじゃなくて……慌てて食べたから──」
「いいの、いいの。本当に美味しくないわ、私のパン。アリシャはお料理得意?」
「あ、はい。毎日私が作っていました」
「それは最高! こうしない? 料理はアリシャにしてもらうことにして、私は服や靴を縫うわ。そっちは得意中の得意なのよ」
レゼナの顔が突然母のものに取って代わり、笑いかけてこう言った。
「おかしいわね? 私が産んだ子なのに料理が得意で針仕事がダメだなんて。私とまるっきり逆。これは神様が足らないところを補うようにアリシャを私に授けてくださったのね」
「──アリシャ? 何か気に触ったかしら?」
唐突に引き戻された現実に傍と目を瞬かせて、慌てて首を振った。母の面影、懐かしい言葉の数々を追い払った。
「いえ、お役に立てるなら喜んでやらせていただきます。私はお針が好きじゃないので、お料理やらせてください」
にっこり微笑んだレゼナは手にしていたパンを口に放り込んであっという間に飲み込んでみせた。
「こうして味を感じない方法を習得しちゃうくらい美味しくないし、嫌な仕事から解放されるなんて踊りたくなるほど嬉しいわ」
ねぇ、レオ様なんて話を振るから、レオは答えに窮して「得手、不得手はあるからな」とお茶を濁した。
「んー、なんだもう食べていたのか。急いで戻ったのに」
戸口に立ったドクが桶を置いて言う。その後ろにはウィンが控えている。
「忙しくなりそうだったから。それより聞いて頂戴! 今日から料理はアリシャがやってくれるのよ。最高じゃない? みんな私のまずい料理から解放されるのよ」
手が空いたので被っていた麦わら帽子を取り、それを壁に掛けたドクはハハハと短く笑う。
「お前は作るの嫌がってたもんなぁ、そりゃおめでとう。まぁ、俺はお前の料理も嫌いじゃないがな」
スツールに座った二人にレゼナはパンを出した。
「私は嫌だわ。美味しいものを食べて満足して寝れば、どんなに疲れた日でも幸福に満たされて終わるってものよ」
パンを食べきったレオが肉を摘んでミルクを飲み干す。
「飢えないだけでも御の字だ。さて、木を切ってこよう。ベッド用の藁を都合してやってくれ」
立ち上がったレオを見上げてドクが返事をする。
「天気もいいし、風にさらしておきましょう。ベッドの枠を作る終えてから塔に藁を運んでも遅くはないでしょうし」
「いいと思いますよ。あそこの炉は立派だし、部屋も広いもの。それに時々、旅人が勝手に廃屋に泊まるじゃないですか。あれはちょっと嫌だったのですよ。それならばしっかり宿に泊まってもらって、ついでにお金を落としてもらいましょう」
三人は揃ってドクの家に入って行き、レオは入口近くに持ってきた斧を立て掛けた。
この家はレオの住まいと広さは変わらず、しかしベッドが四つもあるので、こちらの方が感覚的に息苦しくなるほど狭かった。それに炉の前に置かれたテーブルも、スツールが五つあるので通るのも座るのも大変そうなのだ。
「もう暖かいのだし、宿屋の戸や窓がなくたって死にはしないわ。ご飯は直ぐにでもあちらで食べましょう」
腕まくりをしたレゼナが腰に手を当てて、テーブルを眺めた。
「とはいえ、今はお腹ペコペコ。食べてからよね。あちらの炉はそれは立派なのだけど使うとなると煤払いやら掃除やらしなくちゃならないし」
レオはスツールを一つ引いて腰を掛け、アリシャに座るようテーブルを叩いた。
「とにかくシーツとかけるもの、うつわ類は買ってこなければならないな。あとは下着か」
座ったアリシャを見ながらレゼナがテキパキと木皿を出し、そこにパンを乗せていく。
「私が隣村まで行ってきますよ。アリシャはまず家というか塔を整えて、男性陣に手伝って貰ってベッド作って貰いなさいな」
言い終えるとくるりと身を翻し、次は樽から燻製肉を取り出してそれも器に乗せてテーブルの上に置く。
「扉が外れていたから、あれを直して……ああ、階段もついでに板で囲って登り口だけシーツを上から垂らせば幾分風も遮れるだろう」
「じゃあシーツを二枚手に入れましょう」
「レゼナさん、お代をお渡しします」
「後払いでいいわよ。めいいっぱい値切って来るわね」
話しながらなのに、レゼナの手は止まることをしらない。木のカップを人数分出すと、そこに次々とミルクを注いでいく。注ぎ終わったものを各スツールの前に置いて、とうとうレゼナも腰を下ろした
「いつもなら待つところですけど、食べましょう。忙しい一日になるわ」
レゼナは提案ではなく宣言すると、神への祈りもササッと済ませてパンを一つ取り上げる。
「そうだな。アリシャ、食べなさい」
立場はレオの方が上なのだろうが、はっきりとした上下関係はないのだろうとアリシャは感じながら頭を下げて丸いパンを取り上げた。
レオもパンを取るとちぎり始めた。
「こんな時にエドったら森にいってしまうのだから……今日はえんどう豆を植えるから手伝いなさいってドクに言われたんですよ。あの子は農作業が嫌いだから困るわ」
レゼナの話に耳を傾けながらパンを齧ったアリシャは思わず動きを止めていた。
手に持ったパンはライ麦パンのはずだ。色合いや匂いからしてもライ麦パンそのものなのに、口の中にあるのは味のしないパサパサとした何かだった。
困ったアリシャはカップに入ったミルクでとにかくそれを流し込んだ。
「んー、バレちゃったわね。私って料理がとことん苦手なのよ」
アリシャが驚いて顔を上げると、苦笑したレゼナがアリシャを見ていた。
「あの、そうじゃなくて……慌てて食べたから──」
「いいの、いいの。本当に美味しくないわ、私のパン。アリシャはお料理得意?」
「あ、はい。毎日私が作っていました」
「それは最高! こうしない? 料理はアリシャにしてもらうことにして、私は服や靴を縫うわ。そっちは得意中の得意なのよ」
レゼナの顔が突然母のものに取って代わり、笑いかけてこう言った。
「おかしいわね? 私が産んだ子なのに料理が得意で針仕事がダメだなんて。私とまるっきり逆。これは神様が足らないところを補うようにアリシャを私に授けてくださったのね」
「──アリシャ? 何か気に触ったかしら?」
唐突に引き戻された現実に傍と目を瞬かせて、慌てて首を振った。母の面影、懐かしい言葉の数々を追い払った。
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ねぇ、レオ様なんて話を振るから、レオは答えに窮して「得手、不得手はあるからな」とお茶を濁した。
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戸口に立ったドクが桶を置いて言う。その後ろにはウィンが控えている。
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「お前は作るの嫌がってたもんなぁ、そりゃおめでとう。まぁ、俺はお前の料理も嫌いじゃないがな」
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