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若葉色パンケーキ 苺ジャムとバター添え
若葉色パンケーキ 苺ジャムとバター添え3
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村に戻ったアリシャの横にはボリスとココが並ぶ。陽気で話し上手なボリスが居てくれたら、村は活気づくに違いない。アリシャをからかわない時は本当に面白い話を聞かせてくれた。
「ボリス。遅いと思ったら……」
エドは半ば呆れてボリスと握手を交わす。一緒に居たドクも「村には一年ぶりか? よく来たな」とこれまた握手をしていた。
「じゃあ、私は料理の続きを……。あ、もしベッドの枠を作れるようならお願いします。私が藁を運びます」
苺がどっさり入ったカゴを両手で持ち、料理部屋に向かう途中、振り返ってベッドの話を思い出して口にした。すると、ボリスはまたアリシャをからかう糸口を見つけてニヤリとした。
「俺の為にわざわざベッドの心配をしてくれるなんて、優しいねぇ。でも、俺はアリシャのベッドで一緒に寝ても構わないんだがなぁ」
からかわれているのがアリシャにはわかっていても、頬が火照る。この現象をどうにかしたかった。
それよりもドクはボリスの言葉を真に受けてそれは良いと言うものだからアリシャは焦ってしまった。
「ドクさん……!」
「だってボリスもアリシャも適齢期だろ? うちの村に人が増えるのはありがてーし、なんて言ったって、アリシャの食事は最高だ。嫁に貰うならアリシャがいい……いや、別に料理の腕が全てじゃねぇが」
「そ、そ、そういう話はやめてください! あの、私は苺をやってきます」
アリシャは苺のカゴを持って、一目散に料理部屋の逃げ込んだ。水分をずっしり蓄えた苺がカゴに山盛りなのに、この時だけは重さなんて感じることがなかった。
アリシャは確かに結婚適齢期だし、ボリスもアリシャより十くらい上ならば、適齢期だ。だからこそ、やたらと現実味を帯びていた。
(だからって、ついさっき初対面の挨拶を交わした人と結婚なんてできるものですか!)
ボリスは愉快な人かもしれないが、それ意外はなにもしらないのだ。あれよあれよと結婚が決まった例を見てきたことがあるだけに、思わず逃げ出してきたのだった。
アリシャが鍋に苺を入れ水を加えて何度も洗っている間、宿屋の広間からは男たちの笑い声が絶えず聞こえてきていた。
ココも広間の方が楽しそうだと感じたらしく、アリシャから離れてそちらに行ってしまっていた。
(レゼナさんの気持ちがわかるわ。女のコの友達とか、とにかく私にもお喋りできる人が居たらいいのに)
レゼナとは会えば話すが、レゼナとウィンは畑にかかりっきりなので、なかなか会うことが出来ない。食事をする時くらいに限られてしまうので、他愛もない話をする機会に恵まれないのだ。
苺を洗い終え、ナイフで全てのヘタを落としてから、広間に顔を出すと片方の扉を入れているところだった。
「あのー、ベッド作るなら藁を運んで来ますけど」
エプロンで手を拭きながら問うと、ドクが一番初めに「あー、そうだなぁ」と反応してくれた。アリシャからボリスに視線を移したドクは「ここはいいからベッドの枠をつくっちまいな」と指示を出す。
「枠だけでも作れば藁が崩れませんしね。底板は後からやればいいか。じゃあアリシャ、藁を頼むよ」
また何かしらからかってくるかと思ったらボリスはごく普通の返事をし、身構えていたアリシャは肩透かしにあった気分だった。
「ドクさん、ベッドは二階に作ればいいですかね?」
「ああ、それがいいだろうな。二階は窓も小さいのが一つきりだし、雨が降っても濡れなそうなところに作るといい」
二人の会話を背で聞きながら外に出ると、明るさにクラリとする。目が慣れるまで待つと、足元でアリシャを見上げていたココの頭を撫でてやった。
「薄情なココ。汚名返上でついてくる気になったの?」
「おい、アリシャ」
振り返るとエドがやって来ていた。
「俺が運ぶの手伝ってやるよ」
「あら、一人でも出来るわよ?」
「いいんだよ。ほら行くぞ」
大きくノビをしながらエドは歩き出したので、アリシャもそれに続いていく。
ヤギたちが草を食んでいる。あごひげがユラユラゆれていた。常にもぐもぐ顎を揺らすヤギは並んで歩くアリシャとエドを眺めていた。
「なぁ、ボリスはいい奴だ」
徐にそんな話題になってアリシャは思いっきりしかめっ面でエドを睨んだ。
「だからなによ」
「誰にでもいい奴なんだってこと」
「それは素晴らしいことじゃない」
「だからさーほら、なんだ? 優しくされてもだな、それはアリシャが特別って事じゃなくてだな。女なら誰でもいい……んじゃなくて、誰にも優しくするんだよ」
アリシャは片眉をクイッと上げて「忠告してくれているの? ボリスに夢中にならないように」と、先回りして問い詰めた。
「いや……俺、そういうの苦手だしわかんねーけどな!」
頭をボリボリ掻くと「今日はいい天気だな」などと、わかりきったことを言って話を変えようとすらしていた。
「心配ご無用よ。彼がきっとプレイボーイだってことは私にだってわかるもの」
なぜか、アリシャはボリスを好きになる前提で話されたことが腹立たしかった。いやそれより出会ったばかりの人に恋心を抱くような子供に思われたのが嫌だったのかもしれない。自分より子供なエドに忠告されたのが気に触ったのだ。たぶん。
「それならいいんだけど!」
自分で出した話題だった癖に、エドは一刻も早くこの話を止めたくて仕方がないらしい。いつも自信満々で偉そうなのに、まるでエドらしくない態度でソワソワしている。
「ボリス。遅いと思ったら……」
エドは半ば呆れてボリスと握手を交わす。一緒に居たドクも「村には一年ぶりか? よく来たな」とこれまた握手をしていた。
「じゃあ、私は料理の続きを……。あ、もしベッドの枠を作れるようならお願いします。私が藁を運びます」
苺がどっさり入ったカゴを両手で持ち、料理部屋に向かう途中、振り返ってベッドの話を思い出して口にした。すると、ボリスはまたアリシャをからかう糸口を見つけてニヤリとした。
「俺の為にわざわざベッドの心配をしてくれるなんて、優しいねぇ。でも、俺はアリシャのベッドで一緒に寝ても構わないんだがなぁ」
からかわれているのがアリシャにはわかっていても、頬が火照る。この現象をどうにかしたかった。
それよりもドクはボリスの言葉を真に受けてそれは良いと言うものだからアリシャは焦ってしまった。
「ドクさん……!」
「だってボリスもアリシャも適齢期だろ? うちの村に人が増えるのはありがてーし、なんて言ったって、アリシャの食事は最高だ。嫁に貰うならアリシャがいい……いや、別に料理の腕が全てじゃねぇが」
「そ、そ、そういう話はやめてください! あの、私は苺をやってきます」
アリシャは苺のカゴを持って、一目散に料理部屋の逃げ込んだ。水分をずっしり蓄えた苺がカゴに山盛りなのに、この時だけは重さなんて感じることがなかった。
アリシャは確かに結婚適齢期だし、ボリスもアリシャより十くらい上ならば、適齢期だ。だからこそ、やたらと現実味を帯びていた。
(だからって、ついさっき初対面の挨拶を交わした人と結婚なんてできるものですか!)
ボリスは愉快な人かもしれないが、それ意外はなにもしらないのだ。あれよあれよと結婚が決まった例を見てきたことがあるだけに、思わず逃げ出してきたのだった。
アリシャが鍋に苺を入れ水を加えて何度も洗っている間、宿屋の広間からは男たちの笑い声が絶えず聞こえてきていた。
ココも広間の方が楽しそうだと感じたらしく、アリシャから離れてそちらに行ってしまっていた。
(レゼナさんの気持ちがわかるわ。女のコの友達とか、とにかく私にもお喋りできる人が居たらいいのに)
レゼナとは会えば話すが、レゼナとウィンは畑にかかりっきりなので、なかなか会うことが出来ない。食事をする時くらいに限られてしまうので、他愛もない話をする機会に恵まれないのだ。
苺を洗い終え、ナイフで全てのヘタを落としてから、広間に顔を出すと片方の扉を入れているところだった。
「あのー、ベッド作るなら藁を運んで来ますけど」
エプロンで手を拭きながら問うと、ドクが一番初めに「あー、そうだなぁ」と反応してくれた。アリシャからボリスに視線を移したドクは「ここはいいからベッドの枠をつくっちまいな」と指示を出す。
「枠だけでも作れば藁が崩れませんしね。底板は後からやればいいか。じゃあアリシャ、藁を頼むよ」
また何かしらからかってくるかと思ったらボリスはごく普通の返事をし、身構えていたアリシャは肩透かしにあった気分だった。
「ドクさん、ベッドは二階に作ればいいですかね?」
「ああ、それがいいだろうな。二階は窓も小さいのが一つきりだし、雨が降っても濡れなそうなところに作るといい」
二人の会話を背で聞きながら外に出ると、明るさにクラリとする。目が慣れるまで待つと、足元でアリシャを見上げていたココの頭を撫でてやった。
「薄情なココ。汚名返上でついてくる気になったの?」
「おい、アリシャ」
振り返るとエドがやって来ていた。
「俺が運ぶの手伝ってやるよ」
「あら、一人でも出来るわよ?」
「いいんだよ。ほら行くぞ」
大きくノビをしながらエドは歩き出したので、アリシャもそれに続いていく。
ヤギたちが草を食んでいる。あごひげがユラユラゆれていた。常にもぐもぐ顎を揺らすヤギは並んで歩くアリシャとエドを眺めていた。
「なぁ、ボリスはいい奴だ」
徐にそんな話題になってアリシャは思いっきりしかめっ面でエドを睨んだ。
「だからなによ」
「誰にでもいい奴なんだってこと」
「それは素晴らしいことじゃない」
「だからさーほら、なんだ? 優しくされてもだな、それはアリシャが特別って事じゃなくてだな。女なら誰でもいい……んじゃなくて、誰にも優しくするんだよ」
アリシャは片眉をクイッと上げて「忠告してくれているの? ボリスに夢中にならないように」と、先回りして問い詰めた。
「いや……俺、そういうの苦手だしわかんねーけどな!」
頭をボリボリ掻くと「今日はいい天気だな」などと、わかりきったことを言って話を変えようとすらしていた。
「心配ご無用よ。彼がきっとプレイボーイだってことは私にだってわかるもの」
なぜか、アリシャはボリスを好きになる前提で話されたことが腹立たしかった。いやそれより出会ったばかりの人に恋心を抱くような子供に思われたのが嫌だったのかもしれない。自分より子供なエドに忠告されたのが気に触ったのだ。たぶん。
「それならいいんだけど!」
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