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02 恋も仕事も?
酒のせいということで
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「贅沢な悩みだってのはわかってるんだけどね~。
こういうのは初めてだから…どうしていいかわからなくて~」
「本当に贅沢な悩みですね~。
3人のイケメンからよりどりみどりなのに~」
一度腹を割り、溜まっていたものを吐き出すことに決めた瞳と佐奈は、会話がはずみ始めていた。
せっかくだから酒の勢いを借りようと注文した、ブランデーとテキーラサンライズの効果もある。
瞳は、克己、勇人、龍太郎の3人といい感じだが、誰を選ぶのか決めかねていることを。
佐奈は、克己と瞳が付き合っているといううわさを耳にして、始めて自分の恋愛感情に気づいたことを。
それぞれ強い酒の勢いを借りて吐露してしまったのだ。
理屈からすれば恋敵同士。
難しいことを話し合っているはずなのに、妙に楽しい気分だった。。
(本音を話してしまうって、けっこういいことなのかもね…)
瞳はブランデーを傾けながら思う。
歴史に出て来る偉人の中には、決して本音を見せないタフさと狡猾さを兼ね備えた人間が多々見受けられる。
でも、誰にも本音を話せず、相談もできないのはさぞかし大変なことだろう。
自分には、偉人と言える人間になるのはとても無理。
そう思えるのだ。
こうして佐奈と互いに本音を話してしまって、こんなにもさっぱりした気持ちになれたのだから。
「でも先輩、あたし、林原係長のこと諦める気はありませんよ。
あんまり悩んでると、あたしが林原さん取っちゃいますからね」
「ふふん。
優柔不断な私が言うのもなんだけど、簡単にはいかないわよ。
私だって係長のこといいかなって思ってるし」
酒に任せて、恥も外聞もなく色めいて節操のない会話を続ける。
だが、瞳にはそれでいいと思えた。
恋敵でも、自分は佐奈を可愛いと思わずにはいられないのだから。
2人の酔っ払いの、お世辞にも品があるとは言えない会話は遅くまで続くのだった。
それこそ、夜景のあるバーのシックなムードをぶち壊しにするレベルのテンションで。
「いや~。お酒進んだわね~」
「お店には迷惑かけちゃったかなあ。騒がしくて~」
強い酒をあおって、すっかり酔っ払った瞳と佐奈は、危うい足取りで帰路についていた。
アルコールで暖まった体が冬の外気で急速に冷えて、地味に辛い。
「先輩。今日は誘っていただいてありがとうございます」
「いえいえ。私も話せて嬉しかったし」
改まった佐奈に、瞳は自然な感じで応じることができた。
(佐奈ちゃん、少しは元気を取り戻してくれたかしら?)
そんなことを思う。
恋愛の問題をややこしくしておいてなんだが、やはり佐奈はムードメーカーでいて欲しいのだ。
「先輩、髪の毛に糸くずが…」
「え…どこ…?」
佐奈が、瞳を抱き抱えるように髪に手を伸ばしてくる。
佐奈のやや丸顔だが、きれいな顔が、透き通った瞳がとても近い。
そして…。
「ちゅ…」
「あむ…んん…?」
なにが起きたか悟る暇もなく、瞳は佐奈にキスをされていた。
「んん…。佐奈ちゃん…なにを…」
「いいからそのままで…んむむ…」
佐奈は瞳を抱きしめ、深く唇を触れあわせてくる。
(なにが起きてるの…)
酒のせいでぼんやりしていることもあって、瞳は自分に起きていることをすぐには理解できなかった。
(どうしよう…佐奈ちゃんのキス…柔らかくて甘い…)
佐奈の唇は信じられないほど柔らかく、心地よかった。
さっきまで飲んでいたテキーラの味がしたが、それさえも甘く感じてしまう。
自分はレズではないはずだった。
なのに、身も心も佐奈のキスに蕩かされていくようだった。
「先輩。そのままそのまま…あむむ…」
「あん…ちゅっ…」
佐奈はなんとポケットからスマホを取り出し、キスの様子を自撮りする。
「贅沢な悩みだってのはわかってるんだけどね~。
こういうのは初めてだから…どうしていいかわからなくて~」
「本当に贅沢な悩みですね~。
3人のイケメンからよりどりみどりなのに~」
一度腹を割り、溜まっていたものを吐き出すことに決めた瞳と佐奈は、会話がはずみ始めていた。
せっかくだから酒の勢いを借りようと注文した、ブランデーとテキーラサンライズの効果もある。
瞳は、克己、勇人、龍太郎の3人といい感じだが、誰を選ぶのか決めかねていることを。
佐奈は、克己と瞳が付き合っているといううわさを耳にして、始めて自分の恋愛感情に気づいたことを。
それぞれ強い酒の勢いを借りて吐露してしまったのだ。
理屈からすれば恋敵同士。
難しいことを話し合っているはずなのに、妙に楽しい気分だった。。
(本音を話してしまうって、けっこういいことなのかもね…)
瞳はブランデーを傾けながら思う。
歴史に出て来る偉人の中には、決して本音を見せないタフさと狡猾さを兼ね備えた人間が多々見受けられる。
でも、誰にも本音を話せず、相談もできないのはさぞかし大変なことだろう。
自分には、偉人と言える人間になるのはとても無理。
そう思えるのだ。
こうして佐奈と互いに本音を話してしまって、こんなにもさっぱりした気持ちになれたのだから。
「でも先輩、あたし、林原係長のこと諦める気はありませんよ。
あんまり悩んでると、あたしが林原さん取っちゃいますからね」
「ふふん。
優柔不断な私が言うのもなんだけど、簡単にはいかないわよ。
私だって係長のこといいかなって思ってるし」
酒に任せて、恥も外聞もなく色めいて節操のない会話を続ける。
だが、瞳にはそれでいいと思えた。
恋敵でも、自分は佐奈を可愛いと思わずにはいられないのだから。
2人の酔っ払いの、お世辞にも品があるとは言えない会話は遅くまで続くのだった。
それこそ、夜景のあるバーのシックなムードをぶち壊しにするレベルのテンションで。
「いや~。お酒進んだわね~」
「お店には迷惑かけちゃったかなあ。騒がしくて~」
強い酒をあおって、すっかり酔っ払った瞳と佐奈は、危うい足取りで帰路についていた。
アルコールで暖まった体が冬の外気で急速に冷えて、地味に辛い。
「先輩。今日は誘っていただいてありがとうございます」
「いえいえ。私も話せて嬉しかったし」
改まった佐奈に、瞳は自然な感じで応じることができた。
(佐奈ちゃん、少しは元気を取り戻してくれたかしら?)
そんなことを思う。
恋愛の問題をややこしくしておいてなんだが、やはり佐奈はムードメーカーでいて欲しいのだ。
「先輩、髪の毛に糸くずが…」
「え…どこ…?」
佐奈が、瞳を抱き抱えるように髪に手を伸ばしてくる。
佐奈のやや丸顔だが、きれいな顔が、透き通った瞳がとても近い。
そして…。
「ちゅ…」
「あむ…んん…?」
なにが起きたか悟る暇もなく、瞳は佐奈にキスをされていた。
「んん…。佐奈ちゃん…なにを…」
「いいからそのままで…んむむ…」
佐奈は瞳を抱きしめ、深く唇を触れあわせてくる。
(なにが起きてるの…)
酒のせいでぼんやりしていることもあって、瞳は自分に起きていることをすぐには理解できなかった。
(どうしよう…佐奈ちゃんのキス…柔らかくて甘い…)
佐奈の唇は信じられないほど柔らかく、心地よかった。
さっきまで飲んでいたテキーラの味がしたが、それさえも甘く感じてしまう。
自分はレズではないはずだった。
なのに、身も心も佐奈のキスに蕩かされていくようだった。
「先輩。そのままそのまま…あむむ…」
「あん…ちゅっ…」
佐奈はなんとポケットからスマホを取り出し、キスの様子を自撮りする。
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