時空を駆ける荒鷲 F-15J未智の空へ

第六章

あとがき

　時空を駆ける荒鷲　F-15J未智の空へを読んでいただいた方々におかれましては、まことにありがとうございます。

　さて、最終局面の敵は各国の脱走兵から構成される反乱組織”自由と正義の翼”でした。
　最終局面では、異世界と地球双方に壊滅的な打撃が加えられる危機を描きたいと思いました。しかし、そうなるとそんな大それたことを誰がやるのかという問題になってきます。
　国家であれば、自国も巻き添えになってしまうのだからまず無理でしょう。かといって、個人レベルのテロ組織では壊滅的な破壊を起こすのは現実味がないし、戦闘の描写も盛り上がらないように思えました。
　そこで考えたのが、ありがちかもしれませんが、正規の軍からの脱走兵たちが大規模なクーデターを起こすというストーリーでした。”ドゥベ戦争”戦中の両陣営のなりふり構わないやり方や無為無策、強引かつ不公平な戦後処理に反発したという流れです。
　さらにリアリティを持たせるため、アメリカが極秘に支援しているというサイドストーリーも加えました。

　”自由と正義の翼”は、私が今までさまざまなメディアで拝見してきた架空のテロ組織や反乱組織、そして現実に存在したいろいろな反体制組織の要素を混ぜ込んだ存在です。
　こういう組織を考えていて思うのは、テロリストやクーデター分子は結局は身勝手で独善的な存在だということです。
　ガンダムセンチネルの”ニューディサイズ”。機動戦士ガンダム　閃光のハサウェイの”マフティー・ナビーユ・エリン”。戦国自衛隊1549の”天導衆”
　言葉は悪いですが、彼らは言ってしまえばすべからくただの中二病患者の集まりです。もっと利口な生き方はいくらでもあるはずだし、テロやクーデターでは何も良くはなりません。むしろ多くの人々を意味もなく不幸にするだけのやり方です。
　５．１５事件、２．２６事件で軍の暴走を止められなくしてしまい、日中戦争、太平洋戦争という破滅に突き進んだ我が国の歴史を見ても明らかです。
　ただ、人がテロやクーデターといった大それた行動に出るのには、全部ではないにせよ、相応の理由があるようにも思えます。
　第6章のラスボスとなる及川は、書いている内に好きになったキャラなので、仲間を裏切り、世界を破壊しつくそうとまでする理由はしっかりとつけておきたいと思いました。
　人が修羅になってしまう理由ってなんだろう？と考えた時。一番わかりやすいのが家族や恋人を奪われることだと思いました。そのために、彼の恋人のセシリーは話の途中で急きょ登場することになりました。
　そんなわけで、及川とセシリーの関係を掘り下げることができませんでした。それはもったいないと思ったので、外伝で描こうかと思っています。

　本編は第6章をもって、一応完結となります。
　しかし、登場人物たちの回想やその後を書いた外伝を計画中です。
　よろしければそちらも読んでいただけると幸いです。　
　これからもどうぞよろしくお願いいたします。


　ブラックウォーター