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エピローグ

愛おしい人に喜んでもらうためなら

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「おおおおっ……。♡おおおおおおーーーーっ!♡ ダメ……ダメですう……!♡ ケツ蕩けるうううっ……!♡」
「なに言ってるんだ?♡ ケツ穴がギュッてして締め付けて来るぞ!♡ いいんだろう?♡」
 白木家のリビング、色白で美貌の青年が譲の巨根を挿入されて女のようによがり狂っている。
 役者仲間であり、芸能界での後輩でもある奥山拓海だ。二十三歳。子役の時代から人気があり、今や映画にドラマに引っ張りだこの一等星だ。
 ついこの間までノンケで女好きであった彼も、確実にゲイに目覚めつつある。
(チョロくはなかったけど、うまく行くもんだな……)
 譲は後輩がメス墜ちするまでのいきさつを思い出す。
 拓海は売れっ子であることに増長して、調子に乗るところがある。そこにうまくつけいった。
 彼の周辺をそれとなく探ったところ、大麻をやる習慣があることを突き止めた。
 煙を吸って酩酊状態で運転しているのを見計らい、故意に自動車事故を起こした。
『下手に当事者で解決するのはちょっと……。警察に連絡しよう』
『そ……それだけは……! ちゃんと弁償はします……なんでもしますから!』
 警察を呼ぼうとする譲を、拓海は半狂乱で制止した。
 大麻をやっての自動車事故は、芸能人として完全にアウト。ドラマや映画の撮影も彼を降ろしてやり直しになり、多額の損害賠償を払った挙げ句に仕事がなくなるのがわかっていたのだ。
 その後はトントン拍子だった。
 スキャンダルを恐れる拓海は、たやすく言いなりになった。
『おおおおーーーっ……!♡ すごい……気持ちいいです……。♡もっとお……』
 明人に仕込まれた譲の手管に、既婚でノンケだった青年はあっさりとゲイの悦びに目覚めてしまう。
(いい調子だ。絵美香様も明人さんも喜んでくれるだろう)
 譲は、隠しカメラで自分たちを見ているであろう主たちの顔を思い浮かべる。
 明人から譲に任された初めての仕事が、拓海をゲイ調教することだった。もちろん、絵美香の趣向を満足させるために。
 既婚のノンケがメス墜ちする姿がなによりも大好きな女王様。彼女は、今回の譲の働きに大変満足しているという。
 いくつもの映画やドラマ、舞台に出演しているスター役者が男に抱かれて悦んでいる。その姿をモニターで、あるいは隠れて覗き見ながら酒をたしなんだり夫に抱かれる。「貴腐人」にとってそれが最高の愉悦なのだ。
「ケツ穴がすっかりま×こになったじゃないか。♡いい感じだよ」
「おおお……おおおおっ……!♡ うれしいです……。ちゃんと拡張してトレーニングもしてますから……!♡」
(これなら、明人さんも気に入ってくれるだろう)
 譲はそろそろ、拓海を明人に賞味してもらう段取りを考えることにする。
 最初はただ出すところに過ぎなかった紫のすぼまりは、すっかり性器と化している。
 拓海は挿入されることで快感を覚える。入れている譲にも、甘美な締まりと摩擦感をもたらすようになった。
 フェラやアニリングスも、そこいらのゲイ風俗など裸足で逃げ出すほどにうまくなっている。
 お目が高い明人やゲイセレブたちも、満足させることができるだろう。
(いずれ拓海も男しか愛せなくなる。そして……俺と同じように他のノンケを……)
 美貌のスター役者が絵美香をときめかせるのは、完全にゲイに目覚めるまで。その後は彼女の意向で、他のノンケをメス墜ちさせるのだろう。
 自分が明人にそうされたように。まるで布教のように。
 譲に負い目はなかった。
 自分はゲイに目覚められて幸せだし、他のノンケにも男同士の素晴らしさを知って欲しい。そう心から思っていた。
 なにより、うまく調教をこなせれば明人が喜んでくれる。今の譲にとってはそれが一番大事なことだった。
 絵美香に最高のメス墜ちの過程を提供できた暁には、見返りも用意されている。次に彼の作品が映画化される時、主役に抜擢してもらえることになっているのだ。
 まあ、それは今の譲にとってお駄賃のようなものだ。
 愛おしいゲイのイケメン。彼が褒めてくれて、愛し抱いてもらえる。そのためならなんでもする。心からそう思えるのだ。

「じゃ、お休み♡」
「はい……。♡お休みなさい」
 拓海を家まで車で送った譲は、キスを交わして別れる。着実にゲイに目覚め始めた美貌の青年の表情は、まるで恋する乙女だ。
 その後、待ち合わせ場所まで移動する。予定のコンビニの前には、美緒が待っていた。
「よう、お疲れ様。そっちはどうだった?」
「順調だよ。♡感じ方がすごくかわいいの。♡すぐに女しか愛せなくなるだろうねー」
 以前よりずっと美人になった嫁が、妖艶に笑う。微笑んだ顔が、絵美香に似てきた気がする。女王様であり、彼女のレズの師匠である人に。
 美緒もまた、絵美香のいいつけで拓海の嫁である月乃をレズ調教していた。本来なら夫婦の愛の巣であるはずの奥山家の寝室で。
 生まれたばかりの赤ん坊は、タワーマンションのマダムの一人が預かってくれている。女同士の触れ合いを心ゆくまで楽しめた。
 月乃の場合は拓海のときより簡単だった。
 二十歳。大学生兼ライトノベル作家だが、現在は育児のため休業、休学中だ。
 育児の大変さに加えて、肩こりや便秘、冷え性といった女特有の問題で悩んでいた。そんな彼女に、美緒が優しく近づいた。
 マッサージと称して女の機能を活性化させるツボを刺激され、媚薬を混ぜた浣腸を施されてあっさりと墜ちた。
 もともと寂しがりで押しに弱く、他人依存型だった女だ。ついでに夫とはデキ婚で周囲とギクシャクしており、子供が生まれたばかりなのに孤立気味で不安だったこともある。
 優しく接してくれる美緒とのレズセックスにどっぷりはまってしまい、完全にいいなりになっている。
 いずれ、女便所として絵美香やマダムたちに献上される予定だ。かつての美緒自身と同じように。

「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」
「ああ、楽しんでくるといい」
 帰宅した二人は、そのまま同じベッドに入ることはしない。美緒はご褒美として絵美香に抱かれに北条家に脚を運ぶ。隣であるとはいえ、生まれたままの姿で。
 そして……。
「やあ今晩は。遅くなってすまん」
「会いたかったですよ。♡明人さん……」
 訪ねてきた明人を、譲は裸で出迎える。
「明人さん……。♡んんん……。♡好きです……」
「俺も愛しているよ……譲……。♡ちゅっ……あむ……」
 イケメン二人は抱き合い、深く口づけを交わす。
(愛しています……。♡明人さん……)
 譲にとって、明人は世界で一番愛おしい存在だった。完全にメス墜ちしてゲイセレブたちの肉便器になった自分だが、愛しているのは彼だけだ。
 明人もまた、譲を好きだと言ってくれる。男たちに輪姦されないと満足できないまでに堕落し、既婚のノンケをゲイ調教するまでになってしまった男を。
「風呂場に行こうか?♡」
「はい……」
 手を恋人つなぎにして、二人は風呂場に向かう。明日は休日だ。長い夜になる。      

                               了              
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