【完結】初恋の君を探していたが、本人と気づかずにあれやこれやとドツボにハマる話

たまとら

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学園のはなし

3 急募"世話係"

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王立学園は全寮制だ。
そしてそこに侍従は連れていけない。
一人で入学して、一人で入寮する。

寮で共に暮らして絆を深めよう。
困難を乗り越えよう。
自分の事は自分でして、貴族としての立場と平民の立場を考えよう。

~~という、なんかいかにもご立派な教訓を掲げているけれど。
どう考えても無理だろう。


貴族は大変なのだ。
そしてその親も大変なのだ。

貴族を育て上げるには、凄くお金と時間が掛かる。
それは位と家の格が高ければ高いほど、天文学的にかかる。

まず環境は一流品を揃えなければいけない。
モノを見る目を養うためには一流品に囲まれるようにする。
モノの良し悪しを見抜けない貴族は、まぁ相手にされなくなる。

子供は周りの真似をするから、幼い頃から出来る侍従を配備する。
出来る侍従は争奪戦になるから、金ではたいて来てもらう事になる。

上手く育てば見そめられて上位の者から引き揚げられる縁もあるから。
親も、自分の存在意義に燃える侍従も、厳しく作法を仕込んでくる。

さらに当たり前だが教育費。
教科ごとに先生は違うし。
名の通った先生は、勿論引くて数多で高額だ。

親も子もギリギリの綱渡りをしている。

そんな過酷な環境で育つ子供が、掃除や洗濯を行う時間があるだろうか。
いや、無い‼︎
下手したら遊ぶ時間もまるで無い。

掃除、洗濯という下位の仕事は、出来る侍従にとっては『その場に行ったら誰でも出来ます』と、流すものだ。
わざわざ教える事はない。

親にとって学園は、多額の寄付と学費を出せば、財布的に唯一息抜きの出来るありがたい期間だ。
しかも制服があるしね。

そんな訳で、お茶の入れ方も分からないと泣く子供に。
親はなんとか寮で立ち回れ。
社交と同じだ!
と、叱咤激励するしかない。



まぁ、学園という牧場に放たれた子弟は、当たり前だか自分の事は出来ない。
特に高位の者は、顔を洗うのも着替えるのも侍従任せでいたわけで。
正直木偶の坊でしかない。



そんな訳で"世話係"と言うものが出来た。
これは同じ学生に世話をしてもらう制度だ。
お給金も出る上に、高位と縁が繋げる。
だいたい下位の貴族が世話係につく。



ルツは平民だ。
奨学金で学園に入学した。
つまり掃除も洗濯も、襟に火熨斗を当てる事さえ出来るという綺羅星の様な存在なわけだった。

そんな訳で世話係になりませんか?
と、声が掛かったのは先日。
実に入学して三ヶ月は経っていた。

その間に食堂で皿洗いバイトを見つけ。
町の薬師ギルドにも繋ぎをつけ。
薬学の研究室から薬草採取の依頼を受けたりして、ルツは堅実に小金を稼いで生活していた。

そんなルツが世話係にと目に止まったのは、下位貴族のお坊ちゃん達が、あまりにも使えなかったからだ。

ツーといえばカーと言うはずの世話係が、ヒイも鳴かず。
ラッシュはイラつき。
その威圧に世話係は萎縮してミス連発という負のスパイラルに陥った。

さすがにこの国の王子が、よれた服とボサボサな髪ではいかんだろう!
と、アメデオは新しい世話係を探す事に至ったわけだ。
決して世話係がいないからと、自分が世話をさせられるからでは無い。
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