【完結】初恋の君を探していたが、本人と気づかずにあれやこれやとドツボにハマる話

たまとら

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ルツ、頑張る

15 ラッシュの逡巡

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今日も森を歩いた。
学園が休みの日には森を歩く。
勿論彼を探す為だ。
ただひたすら歩く。


俺は騎士団の生え抜きから剣を習った。
おかげで教科書通りの美しい型が出来ていた。
朝起きて寝るまでの間。
分刻みで予定が決まっていた。
勉強だって作法だって、達成しても次々と出てくる。
これは終わりがあるんだろうか…

疑心暗鬼になっている時。
騎士団の遠征で、代わりに来た男は毛色が違っていた。
上級貴族の口利きで来た男だったが、彼は自ら貴族から平民になっていた。
騎士団も貴族の地位も捨てて、冒険者と生きていた。

"過ぎたるは及ばざるが如し"
と、その男は笑った。
『研究者になる訳でも無いのに、そこまで勉強なさるのは何故ですか?もう王立学園の騎士コースは卒業出来る程の学力はありますよね』と。
そう言われて、
あれ?俺ってナニやってんの?
って思った。

言われるままにひたすら学んで来たけれど。
ふと気がつくとその辺の文官よりも明らかに学力も作法も上だ。
10歳に満たないこの俺が!

つまりガッチガチに囲まれて教え込まれてたって事だ。
やばい。
俺、他に何も知らない。

そんな訳で俺は暴れた。
反抗期って、奴?
そして自分で必要なものか選択した。
とりあえずその男を師匠にして。
やがて冒険者に登録までした。


休日は馬で森に行く。
魔獣を刈るのは楽しい。
自分の立場を考えずに、能力だけで過ごせる。

まぁ、冒険者の生活に飛び込もうとは思わない。
休日の気晴らしだけでいい。
自分の立場と責任はわかってるつもりだ。


~~そうして、彼に会った。

"月の君"と名付けた彼。
煌めくプラチナブロンドが、月の光のようで。
彼は月の精霊のようだった。

焦ってぐいぐい行って驚かせたのだろう。
彼は名前も名乗らず消えてしまった。
ああ、彼に会いたい。
これは恋だ。
恋以外にない。

そんな時、アメデオが俺の世話係にと森人を連れてきた。

森人は少ない。
まぁ、絶滅危惧種に近い。
そんな森人を連れてくると言われたら、
彼か‼︎
彼だろう⁉︎
と、ときめくのは無理ない事だと思う。


そうして現れたルツは、薄黄色い地味な少年だった。

いや、と言ったのは悪かったと思ってる。
ルツは悪くないのに、な。

そんな感じの悪い俺の所に、とりあえずお試しでくる事になった。



今までの世話係は役立たずだった。
朝、水を。
と言ったら、食堂にオーダーを出しに行く。
お茶。
と言ったら、煮出して温いものが出て来た。
脱ぎ捨てた靴下を拾う事を知らない。
そして仕事をしろと言うと、泣く。
そのくせ俺のベッドの中で裸で待ち伏せていて、正直、怒髪が天を突いた。


こんなおとなしげな地味メンは、どうせ役に立たないだろう。と、思った。
ベッドに入り込まなきゃそれでいいか。
俺の怒鳴り声に長くは続かないだろうし。
と、思った。

だから朝の氷水をぶっかけてやったのに。

なんでもないように次を用意して。
お茶はちゃんと沸騰させてから、茶葉を踊らせる。
しかも朝練後に、すっと爽やかな飲み物を手渡された。

それを飲んで。
あ、美味い。
と、思ってしまった。

…負けて気がする。
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