囚われの斎王は快楽に溺れる  竜と神話の王国

たまとら

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女神の血脈

19 ナカツクニ

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神殿は以前と変わらないようだった。
街の人は普通に祈祷に行く。
神官もにこやかに対応している。

遠くからじっと見ながら、ネティは考えていた。
もちろん神官達は騙すつもりは無い。
以前と変わらず真摯に人の為に生きている。
ただその後ろに綱をつけて不気味なモノがうずくまっているだけだ。
どうやって丸め込んだのかわからない。
ゼオライトの薄気味悪さをひしひし感じる。

行きは良い良い帰りは怖い。だ。
バーキュライトのことが心配で駆け込んだら、あっという間に捕まって転移門に乗せられるだろう。
それがバーキュライトに向かう筈が無い。
もう、バーキュライトに帰れなくなるのだろう。


神殿の横道には小さな祠が並んでる。
ネティ達は幼いころからそこに秘密の合図を置く事を教えられていた。

祠は月や風の神が祀ってある。
僕は星からの1・1・3だ。
祠の香台の下。
高足香台の下の空間に小石を置く。
花を捧げに来たように見せて。

アキラが一緒に来てくれたので、二人でフードを深く被っている。
いまやこのアザが目立つ印になってるみたいだし。
……ダメじゃん、スノトラ。
僕を守るアザのはずなのに。

アザが無かったら、すこしは可愛いって思って貰えるだろうか。
例えばアキラに。
考えていて、赤くなった。
何考えてんの自分。 バカじゃん。

頭を振って立ち上がると、お礼を言いう。

「ありがとうございました。お参りをしてスッキリしました。」

「良かったな。じゃ買い物に行こう。」

アキラの笑顔ってお日様みたいだ。
もじもじしているネティの手をぎゅっと握って(息が止まるかと思った)歩き出す。


蒸した饅頭。炙られた肉。
市場はいろんな匂いで溢れている。
人々はネティのアザを二度見しても、あとはスルーだ。
たまに検問所の話を聞いていて、老人達を守ったアザの子という噂のままおまけしてもらったりした。

アキラの買い食いコースに連れて行かれ、顔馴染みのおじさん達に挨拶する。

「一人で買い物来たらよろしく頼む。」

その度にアキラが言う。
くすぐったい。
何か言いたげににやにやする人に、アキラが赤くなってやにさがっている。

「ネティ!」

遠くから声が上がった。
振り向くと、あのお婆さんをおぶっていたおじさんがこっちへ走っていた。

「元気になったのか!良かった。」

お肉のついたおじさんのボヨンとしたお腹に抱きしめられる。

「良かった。本当に良かった。おふくろも安心するよ。」

そう言いながらアキラをじろりと見る。
名前を名乗ると「そうか、フドウ団長の。」
と、なんか納得して、
「じゃあ安心だな。頼むぞ。」
と、アキラの背中を叩いていた。

「いいかネティ。今、街で成人前後くらいの子供が攫われている。奴隷狩りだと皆んなピリピリしてるが犯人は捕まってない。気をつけるんだぞ。」

「わかった。でも奴隷狩りなら僕は大丈夫だよ。綺麗じゃ無いから売り物にならないし。」

笑顔で答えるとおじさんとアキラがびっくりした顔をする。
いやいや、きっぱり綺麗じゃ無いって言ったから気まずくて心配してくれたんだね。
気を使わせてごめん。

「頼むぞ。俺も念話でここら一帯に通達するから。」

微妙な顔をするアキラに、おじさんは真剣に話込んでいた。
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