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舌切り雀
雀のざまぁは、落ち着かない 下
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ある日Bは朝から忙しく洗い張りをしておりました。
洗い張りは、着物を解いて反物にしてからもう一度仕立て直す事です。
その事で着物は長持ちします。
貧乏なBにとって、それは大事な仕事でした。
米のりを煮たたせる匂いに、うんざりしてイケおじはさっさと外に行ってしまいました。
それでもBは一人で着物をほどいて湯のしをします。
布の両端を張り手棒で挟んで引っ張り。
伸子針で布を横に張って、ぴんと広げます。
のりを付けて広げると、布は新品のようになります。
そうして作業をしていると、退屈していたちゅん子がやって来て馬鹿にしました。
ちゅん子はイケおじに買ってもらった新しい着物を着ております。
そして働くBに、
「貧乏くさっ‼︎」
と、笑うと、のりの桶を蹴り倒しました。
ケラケラと笑うちゅん子に怒ったBは、思わず手にしてた伸子針を突き出しておりました。
イケおじは帰って来て、ちゅん子がいないことに愕然としました。
ちゅん子が振り上げた伸子針に当たって怪我をしたこと。
「ふざけんじゃないよ!
こんな貧乏な家、出てってやらぁ‼︎」
と、叫んで飛び出した事に激怒しました。
いつものほほんと無責任に生きて来たイケおじが、Bに手を上げたのです。
張られた頬の熱さに、Bは座り込みました。
「おまえがそんな酷い奴なんて思ってもみなかったよ!可愛いちゅん子に手を上げるなんて、なんて醜い心なんだ!
もう、おまえとは暮らしてはいけない!」
そう叫ぶと家中のお金をありったけ掻き集めて、出て行きました。
もちろんちゅん子の後を追ったのです。
シクシク泣いているBに、村人達は恐る恐る近付きました。
『おめぇは、頑張っただ!』
『ありゃ、雀がいかん!』
『これで、楽になれるけん。』
口々にそう言われて、段々落ち着いてきました。
考えましたら、生活に追われて、友達とお茶を飲む間もありませんでした。
辺りを見回すと村には後家になった者も沢山います。
イケおじとはもうずっと前から♡は無くなってただの下働きでありましたので、自分も後家仲間に入れます。
そう、Bはこれから友達ときゃっきゃして。
自分の為に働くだけでいいのです。
後家は一人暮らしです。
「じゃ、皆んな一緒に暮らすべぇか。」
後家の会は意気投合して、皆んなで同居生活をする事になりました。
Bはよろしくお願いしますだ。
と、笑顔をむけました。
これからの生活が楽しくなりそうで、わくわくしていました。
イケおじはちゅん子を探します。
「雀のお宿はどこかいなぁ~」
歌を歌いながら山を歩きます。
歩き回る事のなかった足の裏は直ぐに痛くなりましたが、可愛いちゅん子が泣いているのかと思うと、必死で歩きました。
そして二つ超えた山の竹藪でお宿を見つけました。
翼の先にバンドエイドを貼ったちゅん子が、イケおじを迎えます。
そうして広間に連れて行かれました。
両側に厳つい雀が並んでるいます。
正面の一段高い所には、鳥相の悪い親分雀が座っておりました。
ほいよ。
と、渡された小さな紙には、慰謝料と書かれています。
「よくもわしの可愛いちゅん子にキズを付けやがったな。」
そうすごまれて、イケおじはがたぶるです。
「いや、それはBがやったことで…
私はちゅん子を大事にしておりました…」
「おうっ‼︎
未成年者への性的虐待は、半端じゃないぜ!」
そう言うと、大きな紙をぺらりと出しました。
そこには莫大な金額が書かれています。
「この、助平じじい!
てめぇはこれから鉱山送りだ。
なぁに。まだまだイケてる。
散々可愛がってもらうんだな!」
親分雀がにやりと笑い。
ちゅん子はくすりと笑い。
イケおじは、ひぃ。と、叫びましたとさ。
めでたし
めでたし。
**********
頑張れ、意地悪婆さん!
でした~
洗い張りは、着物を解いて反物にしてからもう一度仕立て直す事です。
その事で着物は長持ちします。
貧乏なBにとって、それは大事な仕事でした。
米のりを煮たたせる匂いに、うんざりしてイケおじはさっさと外に行ってしまいました。
それでもBは一人で着物をほどいて湯のしをします。
布の両端を張り手棒で挟んで引っ張り。
伸子針で布を横に張って、ぴんと広げます。
のりを付けて広げると、布は新品のようになります。
そうして作業をしていると、退屈していたちゅん子がやって来て馬鹿にしました。
ちゅん子はイケおじに買ってもらった新しい着物を着ております。
そして働くBに、
「貧乏くさっ‼︎」
と、笑うと、のりの桶を蹴り倒しました。
ケラケラと笑うちゅん子に怒ったBは、思わず手にしてた伸子針を突き出しておりました。
イケおじは帰って来て、ちゅん子がいないことに愕然としました。
ちゅん子が振り上げた伸子針に当たって怪我をしたこと。
「ふざけんじゃないよ!
こんな貧乏な家、出てってやらぁ‼︎」
と、叫んで飛び出した事に激怒しました。
いつものほほんと無責任に生きて来たイケおじが、Bに手を上げたのです。
張られた頬の熱さに、Bは座り込みました。
「おまえがそんな酷い奴なんて思ってもみなかったよ!可愛いちゅん子に手を上げるなんて、なんて醜い心なんだ!
もう、おまえとは暮らしてはいけない!」
そう叫ぶと家中のお金をありったけ掻き集めて、出て行きました。
もちろんちゅん子の後を追ったのです。
シクシク泣いているBに、村人達は恐る恐る近付きました。
『おめぇは、頑張っただ!』
『ありゃ、雀がいかん!』
『これで、楽になれるけん。』
口々にそう言われて、段々落ち着いてきました。
考えましたら、生活に追われて、友達とお茶を飲む間もありませんでした。
辺りを見回すと村には後家になった者も沢山います。
イケおじとはもうずっと前から♡は無くなってただの下働きでありましたので、自分も後家仲間に入れます。
そう、Bはこれから友達ときゃっきゃして。
自分の為に働くだけでいいのです。
後家は一人暮らしです。
「じゃ、皆んな一緒に暮らすべぇか。」
後家の会は意気投合して、皆んなで同居生活をする事になりました。
Bはよろしくお願いしますだ。
と、笑顔をむけました。
これからの生活が楽しくなりそうで、わくわくしていました。
イケおじはちゅん子を探します。
「雀のお宿はどこかいなぁ~」
歌を歌いながら山を歩きます。
歩き回る事のなかった足の裏は直ぐに痛くなりましたが、可愛いちゅん子が泣いているのかと思うと、必死で歩きました。
そして二つ超えた山の竹藪でお宿を見つけました。
翼の先にバンドエイドを貼ったちゅん子が、イケおじを迎えます。
そうして広間に連れて行かれました。
両側に厳つい雀が並んでるいます。
正面の一段高い所には、鳥相の悪い親分雀が座っておりました。
ほいよ。
と、渡された小さな紙には、慰謝料と書かれています。
「よくもわしの可愛いちゅん子にキズを付けやがったな。」
そうすごまれて、イケおじはがたぶるです。
「いや、それはBがやったことで…
私はちゅん子を大事にしておりました…」
「おうっ‼︎
未成年者への性的虐待は、半端じゃないぜ!」
そう言うと、大きな紙をぺらりと出しました。
そこには莫大な金額が書かれています。
「この、助平じじい!
てめぇはこれから鉱山送りだ。
なぁに。まだまだイケてる。
散々可愛がってもらうんだな!」
親分雀がにやりと笑い。
ちゅん子はくすりと笑い。
イケおじは、ひぃ。と、叫びましたとさ。
めでたし
めでたし。
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頑張れ、意地悪婆さん!
でした~
応援ありがとうございます!
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