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ギルドと依頼とジャダと俺

9 超絶美形が現れた

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川に座り込んで頭を洗った。
薄ピンクの水がじわりと流れに走って行く。
水は冷たいが、おかげで生温かいぬるっとした感触が消えてくれる。

血染めの服なんてごめんだから、濡れて張り付いたシャツを脱いだ。
ゴシゴシきつめに肩も脇腹も擦ると、冷たいピリッとした感じがポッポと温かくなってくる。
調子に乗って靴を岸辺に放り投げ、ズボンもパンツも脱いだ。
血は直ぐに水洗いが大事だから、そのままガシガシと洗っていく。

まぁ空間庫にローブが入ってるから、マッパな変態にならずに済む。
靴も乾かなくても風で身体を持ち上げれば裸足で歩かなくて済むし。
とりあえず他の獣が寄って来ないように、血を洗うのは念入りだ。

洗い終わると立ち上がって両手でぎゅっと絞る。
ぱたぱた落ちる水が流れを掻き回して小魚が慌てた。

くすっ。ちょっと口元がにやける。
無事で良かった。なんて。
真面目な顔で言われたら、なんか照れちゃうじゃん。

川底にレースを重ねたように水紋がゆらめく。
水は冷たいが、陽に当たってる所は暖かい。
濡れて張り付いた髪から、雫がころころと転がってくすぐったい。
サワサワと葉擦れの音がして風が通って行く。
ああ、気持ちがいい。

ふぅ。と息を吐くと、辺りの気配を探った。
こんなすっぽんぽんで川の中で、何かに襲われたら間抜け過ぎる。
人も獣も注意しないと…


パキッ。

向こう岸で何かが枝を踏んだ。

ビクッと振り向くとそこに超絶美形がいた。

くるくると房になった金の髪が太陽に溶けている。
そのキラキラとしたゴージャスな髪は、なんか神々しさを撒き散らしていた。
その青空の様な目がレンを見ていた。

なんだこの圧倒的顔面力。
そうだ、神話の太陽の神だ。
男臭そうな顔なのに、美しいってどうよ。
眩しくて視界が一瞬ホワイトアウトしそうになった。
いや、これ人間?

レンの頭の中はいきなり登場した男にガヤガヤと沸き立った。

そのイケメンはじっとレンを見つめて、それから口元を綻ばせた。
「ふぅん。お邪魔だったかな?」

? ナニ?
問いただす前に、背後からバシャバシャと跳ね散らかす音がして、布をばさりと被されてぎゅっと絡め取られた。

あ、俺、すっぽんぽん。

遅れてやって来た羞恥にがーんと赤くなる前に、布でぐりぐり巻かれて縦に抱き上げられた。

うっわぁ。

布の薄闇の中で、ジャダの肩に額を押し付けて悶える。
恥ずい‼︎恥ずかしい過ぎるっ!
そして布越しのジャダの体温の高さに、自分の体が冷えていた事を知った。

「何の用だ、アオニア。」

静かだけど吠えてる様なジャダの声。
布越しでもはっきりわかります。
完全御怒りモードです。

「いやぁ、ただの好奇心だよ。」

笑いを含んだイケボに、巻き付いているジャダの筋肉がきゅっと締まった。
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