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4日前
1 じれじれなナトワ
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城についた。
セルヴェス様達は忙しくて慌ただしいが、勿論エネメ様は留守番や。
エネメ様は一族存亡の最終兵器やからな。
身バレさせるわけにはいかんのや。
エネメ様はくぅんくぅんとハクの様に鼻を鳴らして窓に張り付いとる。
わかっとる。
ラスタはんが見えへんかと見とるんや。
おやつを出してもフルシカトや。
ん~。
コレは毎年毎年、まだ春が浅い頃から街道を見張ってたのとおんなじや。
ゼロスはんの行商がラスタはんを連れてやって来るのを待ち焦がれてたんとおんなじや。
切ないねぇ。
仁王立ちしとる背中がすんげぇ可愛くて。
むっちゃくちゃ尊かったんやで!
ラスタはんは"王子"という役職でこの城に居る。
城の人間にとっちゃあパンゲア族は胡散臭い呪い師御一行やん。
しかも王さんがわざわざ招聘したっちゅうし。
近寄って来る訳ないやんか。
ほら、あちこちに兵さん隠れとるし。
セルヴェス様によると王妃さんはいつ旅立たれても可笑しゅうないて。
そう言うて、もうずっと部屋に詰めとる。
で、エネメ様は厩舎に行きたいとごねた。
なんせハクを世話して毎日厩舎行ってたんやしな。
ねぇ、ねぇ、とねだられてセルヴェス様達は呆気なく陥落や。
絶滅危惧種まっしぐらなパンゲア族は子供はエネメ様だけやし。
皆んなが皆んなエネメ様を可愛がっとる。
喜んでぴょんと跳ねたエネメ様に、もうほにゃにゃんとなってもうた。
まぁ、厩舎の場所らへんを王子やお偉いさんが彷徨いたりせんやろうし。
とりあえず髪をかくすフード付きのマント着てもうて、馬の土産にリュスベル領の林檎を持った。
小さくて硬いけど甘いんや。
厩舎ではドンピシャに赤い髪が掃除しとった。
びっくりして二度見したわ。
王子が寝藁の掃除⁉︎ はぁ?
「ラスタ…?」掠れた声にラスタはんが振り向く。
「エネメ?」うん、ほんまもんのラスタはんや。
「ラスタ‼︎」
弾かれたように走り出す。
子犬のように飛びつこうとしたエネメ様は、相手が自分の知ってる子供じゃ無い事に驚いて急停止したんや。
籠から林檎が勢いよく飛んで、たすたすと床に降る。
ぐはぁ!なんちゅうこっちゃ‼︎
3年の間に元気な兄ちゃんをふかしてたちびっこが、大人の入り口に立っとるイケメンになっとるやないか!
飛びつこうとした自分の幼さが恥ずかしゅうてエネメ様は立ち尽くしたん。
そんで広がった髪がフードを弾いて月白色の髪が後光のように広がってむっちゃ綺麗やわぁ。
うん。3年の間に育ったのはラスタはんだけや無い。
ころころと子犬のように戯れったエネメ様も、大人の階段に足掛けとるしね。ラスタはんが見惚れてもしゃあないよね。
ナトワは厩舎の入り口からそっと二人を見守った。
二人は見つめ合って目が逸らせない。
そのまま二人は立ち尽くした。
濃い桃に染まったエネメはふるふるしている。
ラスタは口を開けたまま、そんなエネメを凝視していた。
くうぅぅ 甘酢っぺぇ‼︎‼︎
やがてもじもじと会いたかっただの元気そうで良かっただのと、絞り出すように声をだした。
でも視線は一本線で逸らされる事は無い。
うひいぃぃ 甘酸っぱくてむず痒いっ‼︎
子供時間が終わりかけた二人が、壁に積まれた敷き藁の山に並んで座るのをナトワは悶々と見守った。
転がった林檎をゲットした馬だけがシャクシャクブルルと喜びの声をあげていた。
セルヴェス様達は忙しくて慌ただしいが、勿論エネメ様は留守番や。
エネメ様は一族存亡の最終兵器やからな。
身バレさせるわけにはいかんのや。
エネメ様はくぅんくぅんとハクの様に鼻を鳴らして窓に張り付いとる。
わかっとる。
ラスタはんが見えへんかと見とるんや。
おやつを出してもフルシカトや。
ん~。
コレは毎年毎年、まだ春が浅い頃から街道を見張ってたのとおんなじや。
ゼロスはんの行商がラスタはんを連れてやって来るのを待ち焦がれてたんとおんなじや。
切ないねぇ。
仁王立ちしとる背中がすんげぇ可愛くて。
むっちゃくちゃ尊かったんやで!
ラスタはんは"王子"という役職でこの城に居る。
城の人間にとっちゃあパンゲア族は胡散臭い呪い師御一行やん。
しかも王さんがわざわざ招聘したっちゅうし。
近寄って来る訳ないやんか。
ほら、あちこちに兵さん隠れとるし。
セルヴェス様によると王妃さんはいつ旅立たれても可笑しゅうないて。
そう言うて、もうずっと部屋に詰めとる。
で、エネメ様は厩舎に行きたいとごねた。
なんせハクを世話して毎日厩舎行ってたんやしな。
ねぇ、ねぇ、とねだられてセルヴェス様達は呆気なく陥落や。
絶滅危惧種まっしぐらなパンゲア族は子供はエネメ様だけやし。
皆んなが皆んなエネメ様を可愛がっとる。
喜んでぴょんと跳ねたエネメ様に、もうほにゃにゃんとなってもうた。
まぁ、厩舎の場所らへんを王子やお偉いさんが彷徨いたりせんやろうし。
とりあえず髪をかくすフード付きのマント着てもうて、馬の土産にリュスベル領の林檎を持った。
小さくて硬いけど甘いんや。
厩舎ではドンピシャに赤い髪が掃除しとった。
びっくりして二度見したわ。
王子が寝藁の掃除⁉︎ はぁ?
「ラスタ…?」掠れた声にラスタはんが振り向く。
「エネメ?」うん、ほんまもんのラスタはんや。
「ラスタ‼︎」
弾かれたように走り出す。
子犬のように飛びつこうとしたエネメ様は、相手が自分の知ってる子供じゃ無い事に驚いて急停止したんや。
籠から林檎が勢いよく飛んで、たすたすと床に降る。
ぐはぁ!なんちゅうこっちゃ‼︎
3年の間に元気な兄ちゃんをふかしてたちびっこが、大人の入り口に立っとるイケメンになっとるやないか!
飛びつこうとした自分の幼さが恥ずかしゅうてエネメ様は立ち尽くしたん。
そんで広がった髪がフードを弾いて月白色の髪が後光のように広がってむっちゃ綺麗やわぁ。
うん。3年の間に育ったのはラスタはんだけや無い。
ころころと子犬のように戯れったエネメ様も、大人の階段に足掛けとるしね。ラスタはんが見惚れてもしゃあないよね。
ナトワは厩舎の入り口からそっと二人を見守った。
二人は見つめ合って目が逸らせない。
そのまま二人は立ち尽くした。
濃い桃に染まったエネメはふるふるしている。
ラスタは口を開けたまま、そんなエネメを凝視していた。
くうぅぅ 甘酢っぺぇ‼︎‼︎
やがてもじもじと会いたかっただの元気そうで良かっただのと、絞り出すように声をだした。
でも視線は一本線で逸らされる事は無い。
うひいぃぃ 甘酸っぱくてむず痒いっ‼︎
子供時間が終わりかけた二人が、壁に積まれた敷き藁の山に並んで座るのをナトワは悶々と見守った。
転がった林檎をゲットした馬だけがシャクシャクブルルと喜びの声をあげていた。
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