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4日前
3 エネメ 恋心
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3年振りのラスタは凄くかっこよかった。
たてがみのようだった赤い髪を引っ詰めて、馬の寝藁を替えている。
干し草の蒸れた匂いの中で、エネメはラスタの捲り上げた腕の筋肉に見惚れた。
大人たちは王妃の側から離れられない。
パンゲア族は月白色だから、明らかに城の人の中で浮いてしまうそうだ。だからナトワと一緒に大人しく部屋にいなさいと言われた。
無理です。
この城のどこかにラスタがいると思ったら、じっとしてなんかいられない。
窓に張り付いて外を凝視したけどここは城の裏手で、兵士や使用人しか見れなかった。
ラスタを探すにはどうしたらいいんだろうか?
もうそわそわと浮き足だって、部屋中をぐるぐるぐるぐる歩き回ってしまった。
ナトワが呆れた顔してるけど、無理。
じっとしてなんかいられない。
出来たら詠う前に会いたい。
こんなそわそわじゃ全身全霊詠えない。
ラスタは春に行商隊とやってくる。
毛長牛の群れを連れて来る。
ゼロスおじさんは毛長牛の世話をさせるために屋敷の隣の牧草地にテントを張って、ラスタに任せると自分達は領地を巡るために出て行く。
その半月程の間に二人は親しくなった。
ラスタの仕事は馬と毛長牛の世話だった。
ラスタなら厩舎から離れたりしないはず。
厩舎を見張ればラスタが来るはずだ!
エネメは頼み込んで厩舎に行く許可をもらった。
そして見つけたのだ。
ラスタだ。
本当に本当?
夢じゃ無くて?
「ラスタ…」 我ながら掠れた声だった。
ラスタは目を丸くしてピッチフォークを床に刺した。
「エネメ?」
夏空のような目がランプの灯りで夕日を浴びてるように見える。
広げられた腕に慌てて駆け寄って、飛びつこうとした時。
目の前のラスタに急停止した。
すっごくかっこいい。
一緒に走り回った子供時代を卒業して、目の前のラスタは大人になりかけていた。
自分だけが変わらない。
自分だけが3年前と同じ…。
急に恥ずかしくなって、エネメはもじもじと立ち止まった。
絡んだ視線の先に熱が蠢いている。
あっけらかんと転げ回って大好きだと言い合った3年前と違って、熱が湧き上がる。
視線は絡まり合って目が逸らせない。
きっと自分も同じ目をしてるんだろう。
ああ、ラスタ。会えて嬉しい。
ああ、ラスタ。覚えてくれて嬉しい。
ああ、ラスタ。やっぱり好き。
そんな視線にラスタの目が俺もと言った。
声に出さなくても分かり合えるって素敵。
二人は隣り合って座る事で満足した。
互いの体温に落ち着いて、ゆっくり息をする事が出来た。
エネメとラスタは時間の許す限り一緒にいた。
良くない気配がすると言うナトワの警告は、耳に入ってもカケラも残さず流れていった。
たてがみのようだった赤い髪を引っ詰めて、馬の寝藁を替えている。
干し草の蒸れた匂いの中で、エネメはラスタの捲り上げた腕の筋肉に見惚れた。
大人たちは王妃の側から離れられない。
パンゲア族は月白色だから、明らかに城の人の中で浮いてしまうそうだ。だからナトワと一緒に大人しく部屋にいなさいと言われた。
無理です。
この城のどこかにラスタがいると思ったら、じっとしてなんかいられない。
窓に張り付いて外を凝視したけどここは城の裏手で、兵士や使用人しか見れなかった。
ラスタを探すにはどうしたらいいんだろうか?
もうそわそわと浮き足だって、部屋中をぐるぐるぐるぐる歩き回ってしまった。
ナトワが呆れた顔してるけど、無理。
じっとしてなんかいられない。
出来たら詠う前に会いたい。
こんなそわそわじゃ全身全霊詠えない。
ラスタは春に行商隊とやってくる。
毛長牛の群れを連れて来る。
ゼロスおじさんは毛長牛の世話をさせるために屋敷の隣の牧草地にテントを張って、ラスタに任せると自分達は領地を巡るために出て行く。
その半月程の間に二人は親しくなった。
ラスタの仕事は馬と毛長牛の世話だった。
ラスタなら厩舎から離れたりしないはず。
厩舎を見張ればラスタが来るはずだ!
エネメは頼み込んで厩舎に行く許可をもらった。
そして見つけたのだ。
ラスタだ。
本当に本当?
夢じゃ無くて?
「ラスタ…」 我ながら掠れた声だった。
ラスタは目を丸くしてピッチフォークを床に刺した。
「エネメ?」
夏空のような目がランプの灯りで夕日を浴びてるように見える。
広げられた腕に慌てて駆け寄って、飛びつこうとした時。
目の前のラスタに急停止した。
すっごくかっこいい。
一緒に走り回った子供時代を卒業して、目の前のラスタは大人になりかけていた。
自分だけが変わらない。
自分だけが3年前と同じ…。
急に恥ずかしくなって、エネメはもじもじと立ち止まった。
絡んだ視線の先に熱が蠢いている。
あっけらかんと転げ回って大好きだと言い合った3年前と違って、熱が湧き上がる。
視線は絡まり合って目が逸らせない。
きっと自分も同じ目をしてるんだろう。
ああ、ラスタ。会えて嬉しい。
ああ、ラスタ。覚えてくれて嬉しい。
ああ、ラスタ。やっぱり好き。
そんな視線にラスタの目が俺もと言った。
声に出さなくても分かり合えるって素敵。
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