結婚したい男と、結婚させたい奴等と、結婚したくない僕。の話

たまとら

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結婚が降りかかってきました

4 思い込み体質か

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ルカは何のしがらみも無い次男坊だった。
どこに嫁に行こうが、婿に行こうが、果ては平民になろうが。
兄と父というバリケードを突破出来るのなら何の問題も無かった。

兄のジェルドは出来た男で、しかも弟に甘かった。
ルカは母に似た紅花詰草ストロベリーキャンドルと言われる苺のような紅い髪と、瑠璃色の瞳の美しい容姿で。

怯む事のない好奇心と負けん気の強さで、下町のあちこちに出没して領民からも愛されていた。

父親は、結構やらかすルカに毎回威圧をこめて眉を顰めて説教するけれど。
ごめんなさい。と、しょんぼりする姿にすぐでろでろに懐柔されてしまう、あかん奴だった。

母親は三歳のときに天に召された。
お腹の弟とともに儚くなった。


ルカは泣いて、泣いて、泣いた。
そしてその時にあった飛竜の"孵化の儀"で、今の相棒のエルメを感応してしまった。


領主一族なのに、飛竜を、だ。


しかもエルメは見た事も聞いた事も無い白い竜で。
不吉だ。とか、神の恩恵だ。
と、学者も神殿もけんけんがくがく騒いだが。
卵が小さかった事もあって、騎士として戦闘に向かない。
ペットとしましょう。
と、落ち着いた。



飛竜は生まれながらに相棒がいる。
誰とでも組める訳では無い。
候補となる竜騎士見習いは幼い頃から訓練している。
一度感応したものを引き剥がす事は出来ない。
魂が引き裂かれて、傷が残ると言われている。

片方が死んだ時。
大概もう片方も死ぬ。
生き延びたとしても、廃人になる事が多かった。



領主一族なのに竜持ちとなったルカは、
そのフェルベーツ家の領地が飛竜の産地だと言う事もあって大事に育てられた。
おかげで十歳で王立学園に入学するときも、周りがこそこそ噂話しされたり遠巻きに見られていてもまるっきり平気だった。

見かけは母親似の生き生きとした美貌を持っていたルカは、初めは竜持ちと言う事で周りの貴族の子弟がただただ指を咥えて見ていた。
ソレがある時、王都近くで起こったスタンピードでこのペアの価値は計り知れない!
とわかってしまった。

そこからだ。
面倒くさいアプローチが昼も夜も始まったのは。

良いなぁ。
と見ていた美人が本当に極上の獲物だとわかった途端。
押せ押せのアプローチが始まり。

ルカは卒業と同時に領地へと逃げ戻った。

結婚なんて冗談じゃ無い!

エルメといる時の充足感に、邪魔な奴はいらない。
……と、思ったいたが。


ソレが何故処女喪失になるかと言うと。



王家からのお見合いお茶会のせいだった。


飛竜の産地は二つ。
海側のアグネィンと、辺境のフェルベーツだ。
王太子は既にアグネィンから嫁を貰っている。
出来る事ならフェルベーツも取り込みたい。
さらにエルメの能力は他の貴族に渡せない。
見合いだ。見合い。
上手く丸め込んじゃえ。

あ、フェルベーツからなんか嘆願書あったなあ。
その嘆願書を協議しようと呼び出そう。

と、なったらしい。



フェルベーツは辺境だ。
背後から湧いてくる魔物の対処もしている。
フェルベーツの竜騎士も軍隊も強い。
でもとても忙しい。
何より隣の領地が領主不在だ。

二年前に隣の領主が没した。
妻も子も魔物に殺されたので、すんごくすんごく魔物を狩ってくれてた。
後継者がいなくて、爵位と領地を王族へと返還したけれど、王族は次を決めてくれて無い。

隣の領地には王家から騎士団が駐軍しているけれど、そんなもん焼け石に水だ。
おかげでこっちは金も体力も精神的にも綱渡りだ。
何とかしてくれと嘆願書を送り続けているから、そりゃもう、行きますよ!

と、なったわけで。



でもね、見合いなんて、勘弁だ。
王家のメンツを潰さずにお断りしたい。

~~つらつら考えたルカは、短絡的に答えを出した。


ルカは知ってる。

王家は血統を維持するために、結婚相手は処女限定なのだ。



つ・ま・り。


ルカはマルロに宣言した。



「僕は処女を捨てるからねっ‼︎」
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